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#6
あのチャットから数日後、日曜の昼過ぎに彼女からの電話がかかってくる。
驚きながらも、すぐ電話に出る。
「いきなりでごめんね。てか、良く出れたね?最悪、留守電に入れとこうかと思ってたから。」
聞き覚えのある彼女の声に、嬉しさが込み上げる。
いつもチャットで話している彼女が、現実で話している。
「出るに決まってるじゃん。舐めんなよ。」
「そう?それは嬉しいかも。そんな君に免じて、10分だけ話してあげよう」
「なんで上から目線?」
明るくも透き通った彼女の声、ケラケラとよく笑う彼女との通話は楽しかった。
「もう時間だ。やばいやばい。じゃあね!」
彼女がプツリと電話を切る。
本当に一瞬だった。
あっという間に過ぎた10分間は、まるで夢のようだった。
"また、話せる時に通話かけるね。次は予告するw"
"おう、楽しみにしとくわ"
彼女とのチャットでのやり取り、
また次回があることが嬉しい。
こんなにも人の言葉に一喜一憂するなんて、
僕らしくないが、それが楽しい。
「ああ、好きだなあ」
ポツリと口から出たつぶやきに自分で驚く。
そして納得した。
ああ、僕は彼女のことが好きなんだな。