#4
遅刻ギリギリの時間に教室に着く
「遅いじゃねえか。寝坊か?」
「へへ、ギリセだから。ギリセ。」
友達と学校で過ごす時間はあまりにもいつも通りで、対照的に朝のあの出来事は幻であるかのように思われた。
昼前に学校が終わり、友達と駅まで帰る途中。
一瞬、太陽に照らされた桜の下に彼女の影を見た気がして、足を止める。
いきなり歩みを止めた僕に友達が声をかけてくる。
「何やってんだよ、早く帰るぞ」
「ああ、うん。すまんすまん。」
キラキラと太陽に照らされた桜の下を歩く僕達。
いつもの通学路なのに、普段よりも輝いている気がした。
ホームで友達と別れ、1人電車の席に座る。
携帯を開き、真っ先にLINEを見る。
新しい友達の欄に見慣れないアイコンにHaruという名前。
彼女のものだ。
タップして開いた画面にはチャットが2件と1枚の写真が送られてきていた。
"やっほ〜夏みかん君。私だよ、私。"
"朝は、ごめんね? お詫びと言ってはなんだけど、朝撮った写真をあげるよw"
送られてきた写真には、学校に走って向かう僕の後ろ姿が写っていた。
"私だよ、私。って、オレオレ詐欺かよっw てか僕、夏みかんじゃないし"
"なんで写真撮ってんだよw"
最初からフレンドリーな彼女につられて、僕の返信も気軽なものになる。
ネタ話、友達の話、趣味の話。
なんの話をしても、彼女は面白おかしく返信を書いてくる。
彼女とのチャットは気楽で、面白くて、楽しくて。
僕は彼女とのやり取りに夢中になっていた。