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桜に恋ゆ  作者: シン
15/16

#15

" 夏みかんみたいな君へ "


パスワード突破おめでとう!! 私は君を信じていたよ? そりゃもちろん、ね?

だって、これを読んでいる君は、今よりもずっと成長しているはずだから。


きっと君がこのメモを読む頃には私はこの世に居ない。

だから、これは私から君への最後のメッセージになると思う。

きっと優しい君を泣かせてしまう

それでも君だけには私のことを覚えていて欲しかったんだ。



去年の夏、電車で出会った君は、驚いた顔をしていたよね

みかんを拾っただけなのに。

あの時の君の瞳は、夏みかんみたいにまん丸で輝いていて、あまりにも眩しくて、

自分とは真反対だな、って思ったんだ。


だって、あの日の私の瞳に光なんて宿ってなかったから。

…あの日、私は終点の駅に着いたら、家族の後を追って、海の塵になろうとしてたから。




でも、君の輝く瞳に見つめられたら、そんな自分が恥ずかしくなって、

君に嘘をついて、電車を降りた。



「またね」


君とまた会えるその日まで生きていよう、命を諦めかけた私の生きる意味



あの時から、君は私にとって特別な太陽みたいな存在だったよ



でも、未来って思ったより残酷でね、

生きようって思った私の思いに反して、現実はそう上手くは行かなかったんだ。


君と再開した、あの春を覚えてる?

桜並木の下で、君が声をかけてくれたあの日、私は夢じゃないかと思ったんだ。


フラフラと病院を抜け出てたどり着いた桜並木、

私は生きていちゃいけないんだ、サクラみたいに散ってしまえたら、楽なのに。


あの前日、急に倒れた私は、運ばれた先の病院で、命の期限を宣告されたんだ。


完治の可能性は限りなくゼロに近い、薬物治療を行っても半年持つかどうか。死期は早るけど苦痛の少ない緩和療法を選ぶこともできるから、自身で考えて決めてください、って。


病院の白い天井を眺めながら、寝ることも泣くことすら出来ずに考えた。

1度でも命を捨てようとした私への天罰なのかなって。

やっぱり私は生きてちゃいけなかったのかなって。


でもね、また君が現れてくれた。

私の心に光を差してくれたんだ。


君と連絡先を交換したのは、生きる意味を手放したくなかったから。

私が選択を、後悔することのないように。

君と未来を歩める可能性を信じて、修羅の道を選んだんだ。


薬物治療はほんとに辛かった。

地獄の副作用、本当に改善するかも分からないのに、治療を止めればその瞬間に死へのカウントダウンが始まるって、酷すぎるよね。

でも、体調の良い時に君に書くメッセージが嬉しくて、生きてるって感じられて、それだけで何でも乗り越えられる気がしてた。


治療のない日曜日の昼間、私に与えられた15分の自由時間、君に通話をかけたのは楽しかったな。

普段から散々連絡とってるのに、最初は緊張気味に声を上ずらせてる君が可愛かったし、君と話す数分間ってとても幸せな時間だなって。

一生、君と生きていられたらって。


でもね、また私の未来は閉ざされたの。

「もう、改善の見込みがありません。治療をすることが、むしろ命を削ることになります。緩和療法へのシフトをお勧めします。」


君が会おうって提案してくれたの、あれすっごく嬉しかったんだ。

もう二度と会えないかと思っていたから。

そして決めたの、

君と会うのは、これで最期にしようって。

優しい君は私の死に立ち会ったら、きっと深く傷ついてしまう。

私は、太陽みたいな君から光を奪うようなことはしたくなかったんだ。


泣き落としで外出許可をとって、久々に会った君は相変わらず眩しかった。

イルカショーのところで撮った君の顔、あれは傑作だよね。

すぐに背景画にしたもんw


昼ごはんの時、変な質問しちゃってごめんね。

幸せすぎてさ、急に不安になっちゃったんだ。

「君の最期には、僕が立ち会うよ。」

まっすぐな瞳で答えてくれた君の言葉が、何よりも嬉しくて、寂しかったな。


そして帰り道、君の告白を、私は聞けなかった、いや聞くのを拒んだ。


まさか、君が私を好いてくれるなんて思ってなかったから、嬉しくて。

でも、これじゃダメなんだ、って私の心が叫んで。

咄嗟にぬいぐるみを押し付けて、私は君から逃げた。


ズルかったよね、傷つけちゃったよね。

そんなのはわかってたよ。

でも、優しくて輝いてて温かい君を、私の死に縛り付ける訳にはいかないから。


そして、ここからは私の自己満足

優しい君はきっと聞いてくれるよね?


君の気持ちを知って尚、私だけ気持ちを吐き出さないなんて、私にはできないや。

このままじゃ、安らかに天国に行けないじゃん?地縛霊になっちゃうもんw


ずるいよね、私は本当にずるい。

だけどそれもきっと君は許してくれちゃうよね。



明るくて優しくて、太陽みたいで、何度も何度も私の心を救ってくれて、

私の人生に光をもたらしてくれて、そんな君だから。

私は夏みかん君が…ここだけは本名で呼ぶべきかな。


私は、夏樹くんが好きです。


今もこれからも、ずっとずっと大好き。

今世では付き合えなかったけど、

きっと来世では君と二人、ラブラブなカップルになってあげるから。


だから、今世では幸せな家庭を築いてください。

君の笑顔が何よりも好きだから。幸せに笑っていてほしいから。


これが私からの最後のお願い。

もちろん叶えてくれるよね?


夏みかんみたいに明るくて、大好きな夏樹くんが笑っていてくれますように。


はる

遺書フル

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