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桜に恋ゆ  作者: シン
11/16

#11

ショッピングモールを見て回って、ゲーセンに行って。

時間はあっという間に過ぎ去り、彼女との解散の時間が近づいた。


抱きかかえられるほどに大きいクマのぬいぐるみを片手に持ち、嬉しそうに鼻歌を歌う彼女と共に、駅に向かう道中、僕はずっと告白について考えていた。


彼女に避けられるかもしれない、断られたらもう話してくれないのでは。

それでも、僕は想いを伝えたかった。


駅の前につく


「じゃあ、またね」

と帰ろうとする彼女の手を掴んだ。

驚いた顔で、こちらを向く彼女。


今しかない。


僕は彼女の手を離して、深呼吸して、そして彼女の瞳を見つめて僕は声に出す。


「あの、僕はハルのことが...」


続くはずの言葉が、紡がれることはなかった。


いきなり顔の前に迫ってきたぬいぐるみに、僕の声は遮断される。

彼女が僕の顔にぬいぐるみを押し付けたのだ。


唖然とする僕をよそに、彼女がぬいぐるみから手を離す。

ぬいぐるみがストンと地に落ちる。


彼女は、ぬいぐるみをそのままに震える声でこういった。


「私は、君が大切なの。傷つけたくない。だから、君の言葉は聞けないんだ。」


ぼんやりとした僕の目に映る彼女は、泣きそうな顔で笑っていたように思う。


「今日はありがとう。またね。」


僕の視界が鮮明になる頃には、僕の目の前には、もう彼女の姿はなかった。


道にころがったクマのぬいぐるみ

その足の裏には、桜のマークが咲いていた。


ぬいぐるみを拾い上げて、駅に向かって歩き出す。

改札の目の前、堪えきれなくなった僕は柱に寄りかかり、そのまましゃがみこむ。


抱きしめたぬいぐるみに顔をうずめて、僕は静かに泣いた

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