#11
ショッピングモールを見て回って、ゲーセンに行って。
時間はあっという間に過ぎ去り、彼女との解散の時間が近づいた。
抱きかかえられるほどに大きいクマのぬいぐるみを片手に持ち、嬉しそうに鼻歌を歌う彼女と共に、駅に向かう道中、僕はずっと告白について考えていた。
彼女に避けられるかもしれない、断られたらもう話してくれないのでは。
それでも、僕は想いを伝えたかった。
駅の前につく
「じゃあ、またね」
と帰ろうとする彼女の手を掴んだ。
驚いた顔で、こちらを向く彼女。
今しかない。
僕は彼女の手を離して、深呼吸して、そして彼女の瞳を見つめて僕は声に出す。
「あの、僕はハルのことが...」
続くはずの言葉が、紡がれることはなかった。
いきなり顔の前に迫ってきたぬいぐるみに、僕の声は遮断される。
彼女が僕の顔にぬいぐるみを押し付けたのだ。
唖然とする僕をよそに、彼女がぬいぐるみから手を離す。
ぬいぐるみがストンと地に落ちる。
彼女は、ぬいぐるみをそのままに震える声でこういった。
「私は、君が大切なの。傷つけたくない。だから、君の言葉は聞けないんだ。」
ぼんやりとした僕の目に映る彼女は、泣きそうな顔で笑っていたように思う。
「今日はありがとう。またね。」
僕の視界が鮮明になる頃には、僕の目の前には、もう彼女の姿はなかった。
道にころがったクマのぬいぐるみ
その足の裏には、桜のマークが咲いていた。
ぬいぐるみを拾い上げて、駅に向かって歩き出す。
改札の目の前、堪えきれなくなった僕は柱に寄りかかり、そのまましゃがみこむ。
抱きしめたぬいぐるみに顔をうずめて、僕は静かに泣いた




