表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

17/21

その4 人型ロボット兵器の有用性について


 設定に説得力があるSFはとても面白い。なので、私たちも人型ロボット兵器について今一度考えました。

ちなみに、ロボットを合理化したいのであって、合理的な兵器を考えているわけではありません(笑)

それを考え出すと、きっと戦車・戦闘機・艦艇といった、あまりにも地に足のついたこいつらに帰着するだけので。




 まず、西暦2024年現在、巨大ロボットが実現できない理由からまとめて行きます。


―巨大ロボットが実現困難な要因―


要因その1・二足歩行が難しい

 二足歩行は人間大のロボットですら難しい課題です。一応、速度の最高記録は時速15キロ程度ですが、真っ直ぐ歩く以外の動作や安定性には難があります。それが巨大ロボットともなると実現不可能と言っていいでしょう。

物体の大きさを単純に2倍すると、体積・質量は8倍になりますから、大きいロボットほど自重すら支えられなくなってしまうのです。

そして、これは「問題点その2」にもつながります。


要因その2・動力源

 人型ロボットが人型足り得るには、全身がフレキシブルに動いてもらわなければなりませんよね。

ですが、先述した通り、巨大化には著しい質量増加を伴います。それを軽快に動かせるだけの動力というのは滅多にありません。それこそ核エンジンとかが必須になってしまうでしょう。


これらを踏まえ、次へ。




 【コックピットで見た夕日】の世界における、全ロボット兵器の祖であるワーカーの成り立ちから説明します。

 ワーカーは5~6メートル程の土建用重機(・・・・・)です。

当時のテレストリス開発集団は、地球から移住して来る人を受け入れる為に先行し、その限られた人員で土地開発・インフラ整備・建設までしなくてはなりませんでした。未開の地だったので、車両が立ち入り難い場所も少なくありません。航空機では別の不便が多いのも容易に想像できます。

また、何らかの作業をするにあたっても、生身の人間では厳しい環境であり、生身の人間では作業効率も低過ぎました。

それらの問題を一度に解決する為に、「人体のスケールアップ」という手段が取られたのです。


―ワーカーの長所―


長所その1・地形克服能力が高い

 車輪に比べ、歩行は凹凸の激しい場所などで特に有効です。


長所その2・器用

 言わずもがな手が付いているのですからんですから、アームやクレーンよりも簡単に物を取り扱えます。その分、大きな工具も装備可能です。


長所その3・全高が高い

 常に色々なものを見回せる。

これって何気にすごく便利な事だと思っています。



 では、これらの長所を活かす為に立ちはだかる問題点をどう踏み倒すのか……

本作の世界はそもそも遠い未来であり、様々な技術が発展していることでしょう。


「要因その1・二足での直立が難しい」

 → 歩行能力自体は十分進歩している筈。本題は巨大化ができるかどうか。

手っ取り早い結論を出すと、今の我々では考えられないくらいには軽くて高強度な材質が必用ですね。

 一応、別の解決策もあります。

 【パシフィック・リム】を例に取ってみましょう。そこに登場する人型ロボット【イェー ガー】は70メートル級という、リアル指向作品の中ではぶっちぎりのサイズです。これ を支える設定というのは、反重力システムによって体重を軽減するというものです。凄い ですよね。

 ただし、これは「地球外生命体から解析した技術」という設定であり、流石に私の作品に は取り入れられませんでした。

話は戻りまして……「軽くて高強度な材質」とかいう都合の良いものは、実は私たちの身近にあります。そう、生物の身体です。

骨然り、外骨格然り、こういう生体力学系って凄く可能性がありそうだと思い、このような妄想に至りました。


「問題点その2・動力源」

 → 投げ槍な回答にはなりますが、こちらに関しても効率良くエネルギーを取り出す手段は十分あるということにします。

ワーカーを満足に動かし、実用に耐え得るくらいの稼働時間を確保できる動力源が量産可能……改めて見ると凄い世界だ。(この動力源、戦車に搭載したら稼働時間上限がとんでもないことになりそう)

ちなみに、エンシスはドナートの天然資源なので、こういった話から逸れた例外ですね。




 次に兵器としての評価や運用方法を考えて行きます。


問題点その3・生産性、整備性

 一応、陸戦兵器として考えた場合、真っ先に戦車が対抗馬となりますが、それと比べて人型ロボットは圧倒的に複雑な構造をしています。

果たしてこの手間と費用に見合った活躍ができるのか。


問題点その4・結局戦力としてどうなのか

 仮に配備できても、弱かったら意味がありません。

結構目立つし、脚をやられるだけで一巻の終わり。そもそも、装甲耐久度は十分なのか。

扱う武装の威力や操縦難易度も重要なポイントです。


 結論から申し上げますと、私はこれらの問題点を加味しても有用だと思います。



 操縦難易度の観点から話して行きましょう。

まず、人型ロボットは関節が多い分、操縦もさぞ大変でしょう。

射撃ひとつを例に取っても、

・肩を動かす

・肘を動かす

・手首を動かす

・指を動かす

・それに伴い移動した重心を調節する

……膨大な工程が挟まりますので、それを短縮・最適化するアルゴリズムが必要です。操縦にはプログラムによるアシストを前提とします。

ただし、これはワーカーの話。プロエリウスやアセラントは、神経操縦システムに対応しているので、プログラムに頼らずともパイロットの脳波によって生身に近い挙動ができます。しかもレスポンスがもっと速い……え、神経操縦システム優秀過ぎん?

いずれにせよ、人型ロボット兵器は一体一体が高級品と言うわけです。

「問題点その3・生産性、整備性」は元からそれなりに妥協されている代物であって、その分戦車や航空機の存在価値も残されていると言えます。


 では、直接的な戦闘能力を考えて行きましょう。

ワーカーの解説で述べた「高い地形克服能力」と、それに伴う有利を受け継いでいるので、市街地戦などで猛威を振るいそうです。

 これを拡張して行った先にある柔軟な機動力(・・・・・・)こそが、人型ロボット兵器の肝だと私は思っています。

ただの歩行では流石に遅過ぎますので、

・かかとに補助輪を搭載する(【コードギアス】のナイトメアフレームなど)

・足の裏をキャタピラにする(【ボトムズ】系で見た気がする)

・足にホバークラフトを仕込む(【ガンダム】のドムなど)

などの工夫で移動速度を底上げします。本作の場合は【アーマード・コア】に倣い、その役割をブースターが担っています。

つまり、陸戦兵器のくせにある程度飛べるんです。戦闘機並みに飛べるのはアセラントに限られますが、これはとても便利。

 更に、人型ロボットは姿勢を変える事ができます。

具体的には、屈んで被弾面積を減らしたり、飛んで来た弾に対して身を捻って躱したり。

また、小回りの効いたステップやクイックブーストというのは絶対に人型ロボット兵器にしかできないと思います。

これまた現代の戦車との比較になってしまうのですが、戦車は耐久力・安定性共にとても優秀です。ただ、そんな傑作兵器でもインフレには敵わず、対戦車ミサイルが直撃するとワンパンだそうです。


 \|||||||||||||||/

――やはり、避けなくてはならない!――

 /|||||||||||||||\


「柔軟な機動力」というのは、戦場を選ばない立ち回りと、運動性――即ち回避能力の会得なのです!

攻撃を避ける前提があれば、必要とされる装甲も少なく済みます。(というか、あまり装甲を積めなくても大丈夫という言い訳が立つ)


 武装の話もしましょう。私の想定では、

・手に持つ、腕に装着する

・肩に装着する

・背中に背負う

の主に3種類があって、それぞれ役割も違います。

人型ロボットの器用さを活かす為にも、腕部武装は取り回しの良いものを。

肩部武装は積載上限が厳しいだろうし、射角調節が難しいので、マイクロミサイルといった牽制用を。

背部武装は火力の高い本命の一撃を仕込んでおく。(下級兵なんかはいつもフル装備できる環境にはいないので、無しという選択肢もそれなりにありそうです)

こんな感じです。

特筆すべきは腕部武装。手で持っているので、当然、他機と自由に受渡できます。弾切れしても、味方の屍から借りる、或いは敵から奪う事も可能です。

武装が全てオプションになっているのは一見面倒ですが、状況に合わせて選択し、あらゆる戦い方ができるという事なのです。




 これ以上詳しい話もまだ考えているのですが、今回は一旦ここまで! 引き続き【コックピットから見た夕日】をお楽しみくださいませ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ