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本拠の防御壁建設

トヨが簡易柵のところで見張りを続ける中、ぼくとマサは武器と盾を搬入し、トモコもやってきて天辺の隅っこで焚火を熾し、松明をいつでも使えるように準備し始める。

エイコはまだ物資集積所の見張りだが、トモコがエイコを見下ろせる位置にいるから、独りぼっちではない。



マサと一緒に、本拠の壁建設の為の資材搬入に取り掛かる。

さっき高速展開した場所の少しだけ天辺寄りの場所だ。

最初の数本の壁材を島へ持ち込むと、壁にする材木をシンプルに横積みで積み上げる為に、支柱を立てるべく、またしても杭打ちだ。

穴あけ用の杭が割れてしまわないように、丁寧に穴あけをしてから、太目の長い杭を打ち込む。

梯子が必要になるが、マサがしっかり運び込んでくれているので、遅滞することなく作業が捗る。

支柱にする杭は長さ3m程で、全体、特に下半分は丹念にじっくり炙って、よく焦がしてある。

トモコに杭を支えていて貰い、高い場所から掛矢で丁寧にトントン打ち込み、1m近い深さまで打ち込むと、まだ2mほど地上に突き出ている。


あと五か所、同様に杭打ちをする。


杭六本で、巾3m級の壁の為の支柱が一組出来上がったので、既にマサがどんどん運び入れている大量の壁用材木を、隙間にジグザグに、出来上がりが低木の丸太の二重壁になるように、収めていく。

所々で、壁材同士、また向かい合わせの支柱同士を縄で縛り合わせておく。

本当は太い丸太の一重の壁の方が良いが、それだと伐り出し作業で石斧が痛みやすいので、諦めた。

どんどん壁材を入れていって、2m近い高さになったところで終わりにしておく。

最後に向かい合わせになってる支柱同士、上で縛り合わせておく。


これで立木の向こう側には簡易壁、こちら側にまともな壁が出来た。

まだ真ん中の左半分3mしか塞げていないので、これから右半分も建てて、更に左右へ延ばしていく。


--


疲れたので一旦休憩を入れる。

エイコを迎えに行き、手を引いて橋を渡らせ、壺とか鉢とかを籠に容れて背負って渡り、上でお茶を淹れて貰って、まだ整地もしてないところに円座を敷いて、腰を下ろして一服した。

後半、トモコがトヨキと見張りを交代してくれて、トヨキも休憩。

「おつかれさん」

「はい、あんがとさん」

「お茶~」

「お、ありがと」

「あー、コットも持って来よう……」

「ん、おれもいくよ~」

また橋を渡ってコットも持ち込み、木陰に置いて陽射しを避けて、マサと二人ひっくり返って、ぐて~っと休む。


--


着工初日は丸一日頑張って、無事に壁を四枚建てて、それで終わった。


持ち込んだ休憩道具をまたぼくとマサの二人で島から物資集積所へ戻してから、手ぶらで、ぼくはエコの手を引いて、全員撤収。

休憩道具の入った籠を背負い、回収してきた盾と杭や石斧も装備して、作業小屋まで戻り、皆で日暮れの小川へ行って洗濯と燻しと水浴をして、今日は贅沢に夕食も獲って、用を足して、疲れたので夜は早く寝た。


--


その後二日連続で生憎の雨天となったが、全員で武装とレーキを持って乗り込み、交代で見張りをしながら草刈りと整地作業を行った。

雨の中、木の下の焚火から煙を漂わせながら、二日間で草刈りを終え、整地作業にも少し着手した。


翌日、雨上がり、また朝食後に整地作業の続きを始め、日暮れまでに終えた。

退かした表土は壁際、脇付近に細めの杭で低く土留めを建てて、山積みした。


もうエコも手を引かなくても橋を一人で渡れるようになっていたので、見張りは主にトヨで、時折休憩のためにエコと代わる。

橋の縄が切れては一大事なので、毎日チェックし、新しい縄の余裕があれば、それで部分的に締め直す。


--


翌日は緊急脱出装置を設置。

坂上の木の太い枝に懸けた鈎から吊るした滑り具には、或る種の草の根から採れるヌルヌルした液をたっぷり満遍なく塗り付ける。

縄で腰と肩の後ろと腹を囲むように作ったハーネスに太い蔓を結わえ付け、現地で動作試験を実施。

正常に動作するのを確認後、非常時用の篝火の籠を、上がるであろう焔の高さに気をつけて木の下に設置。


その後、トヨの警戒とトモマサの武装待機下にぼくが坂を下り、ハーネスを外して手近の木の枝に引っ掛けておいて、奥へ入って鳴子を仕掛けようとしたが、上から見て初めて分かったのだが、思った以上に草が深くて無理だった。

先に草を刈って、その後また生えてこないようにしないと、折角苦労して作った鳴子装置だったが、このままでは設置できない。

草を刈るのは一人では時間がかかり過ぎるのと、複数人で奥へ入れば緊急脱出装置が足りなくなるのと、二つの理由から警報装置の設置を断念した。


それから堀と土塁の建設の為に、ハーネスをつけて坂下の高木に登り、枝打ちして、固定点を見定めて、太い蔓を結わえ付けた。

蔓の下端には、もっこを吊るし、別の蔓ももっこに取り付けて、坂上に上端を縛り付けた。

これで、坂下で掘った土などを入れたもっこを、坂上から蔓で引き上げて、土塁を盛り上げるのに使える。


土塁の土盛が最初のうち崩れやすいので、土留めの杭打ち・柴積みをしておいた。



拙作をお読み頂き、実に有難うございます。

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