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第2話目 運命の日①



 

 異例の体験をしたパーティから一週間後。

 私は、王太子が所有していると言われる離宮に来ていた。

 

 離宮内の応接間にて、出された紅茶を飲みながら待ち人を待つ。

 王族が使う応接間としては小さく、我が家の使用人達が使う食事室のような場に通されたのは納得がいかないが、今日は特別に許してあげなくもない。

 なぜなら。

 私の待ち人は、我が国の王太子であるディオクス様であり、今の私の気分はとても晴れやかだからだ。


 

 事の始まりは3日前。

 我が家に王宮からの手紙が届いたことから、現在の状況はつくられた。

 

【××××年.××月.××日


 ロサ・エンヴァイロ嬢

 

 三日後である××月××日の午前×時、私が所持する離宮へ来るように。

 折り入って話がしたい。

 

 エトァル国 王太子

 ディオクス・ロワール・エトァル】


 

 手紙の内容は私に宛てたものであり、なおかつ、王太子の直筆だと見て取れた。

 手紙を読み終えた私は、すぐさま考えた。

 

 話とは、何だろう。

 先日のパーティで私を一目見るなり、眉をひそめて背を向けたことへの謝罪だろうか。

 彼の対応は感心できないものだったが、それには理由があったのではないかと考えられる。

 他の格下令嬢達が下品に騒いでいたため、私に話しかけたくても話しかけられなかった。

 あの時の状況、折りいって話があるという点から、そう推測可能だ。

 しかし。

 それだけならば、手紙による謝罪でもよい話。

 多忙な王太子が、わざわざ会って話をする機会など設けるだろうか。

 それも、直筆の手紙で登城を促すだなんてことを。


 

『ロサとの婚約を進める話では?』

 

 手紙の内容を確認したお兄様がそう言ったことで、我が家は沸き立った。

 

『お前は絶対に王太子妃にならねばならない』

 それが口癖の、常に厳しいお父様も、今回の呼び出しには喜びの表情を浮かべており、ディオクス様と上手く話をするようにと強く念押しされた。

 

お父様に言われなくとも。

 私は、長年の目標「王太子妃になる」が叶うかもしれないこの機会をモノにしないなどという、馬鹿げたことはしない。

 というよりも、美し過ぎる容姿と王太子妃に必要な教養と王族に相応しい家柄を持つ、国一番の令嬢である私と接して、惚れない、相手に選ばない。

 そのような結果になることなど、起きるだろうか。

 いや、起きるわけがない。



「ふふっ」


 ここに居る経緯を思い返していた。

 そんな私から、笑いが漏れ出る。


 ついに、念願の王太子妃の座が私のものになるなんて。

 本当に最高だわ。

 

 例のパーティーに来ていた、私を追い出した格下令嬢達、悔がるでしょうね。

 お披露目パーティーで、私が受けた屈辱をそっくり返してあげようかしら。

 どうせなら、あの場にいた令嬢達全員、パーティーに来る人々全員に知らしめたいわ。

 私以外、王太子妃に相応しい人間など、この国にいないでしょう?って。

 〜ああっ。王太子妃になる自分を想像したら、頬が緩んで仕方ないわ!


 自分史上、1番最高で輝かしい日。

 そのための準備は万全だ。

 さあ、早く来なさい。

 ディオクス・ロワール・エトァル!

 

 

 朝から時間をかけて全身を磨き上げ、最高の品々を身にまとっている私が、心踊らせていると。

 カチャリ。ドアの開く音が聞こえてきた。

 音を確認して直様ソファから立ち上がった私は、軽快にドアのほうを向き、口角を上げながら室外にいた者らが入室してくるのを見守った。

 

 

「よく来たな。ロサ・エンヴィロ」

 

颯爽とこちらに向かって歩き、ソファ席にいる私の前で立ち止まった王太子、ディオクス・ロワール・エトァルは、はっきりとした口調で私に声をかけた。

 

 眉目秀麗。凛とした態度。

 彼は、最高の令嬢である私に似合う男として、合格だ。

 対面する彼を見て満足した私は、スカートの両端を持ち、綺麗な礼(カーテシー)をしてみせる。


「本日は宮殿へのお呼び出し、誠にありがとうございます。

 こうして殿下に会うことができ、大変光栄です」


「席を設けたのは、きちんと話をしたいことがあったからだ」


 最大限の魅力を詰めた私の挨拶。

 それに反応することなく、言いたいことを淡々と述べた王太子は、サッと向かい側の席に移動していく。

 

 パーティの時と変わらず、失礼な態度。

 気に食わないけど、まあ、いいわ。

 私が王太子妃になった暁きには、このような態度は絶対に許さない。

 見合う態度をしなければ、後悔の念を抱く事になるのだから。



「失礼します」


 内心で不満を抱きながらも、未来の王太子妃である私は、大人な対応をとって見せた。


「先日のパーティでのことなのだが」


 私が着席して直様、ディオクス様が口を開く。

 


「会場の庭園で、献上予定だった花を強く踏みつけたのは君だろう?」


 


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