新たなる世界への扉
前話の投稿時間を間違えたので、ついでに前倒し投稿します。
「アレは挨拶じゃないか?」
「違うだろ。何処の世界にチチをチチクリ合う挨拶が何処にあるんだよ!」
「だからソレが魔族なんじゃね?」
「ヤってみるか、魔族流の挨拶」
「オマエあのデカチチ触りたいだけだろ!」
「なぁ、知ってるか?デカイチチは使用済みスライムと同じ柔らかさなんだぞ」
「黙れ残念王子!」
「さっきから、酷くない?」
「「「酷くない!」」」
「オレ的にはデカイのより小さい方が良い」
「じゃぁ、俺は妹との違いを確かめたい」
「では、私がデカチチ、貴方は無な板、王子はロリッ子と言う事で」
「コンニチ⁉︎ワァ〜!」プチッ!
バタン「ギョワァ!」
「キャァァァ!」
ドン!ゴキッ!「グゥッ」
「「魔族こえ〜!!!!」」
「普通は“おやめ下さい”とか言って恥じらうもんだろ⁉︎」
「武の腕前は学年1位のアイツがブッ飛ばされて気絶してるぞ。アレでは面目丸潰れだな」
「伯爵家が潰れたのは面目だけだからまだマシだ。だが公爵家は将来が物理的に潰れたぞ」
「イヤイヤ公爵家子孫とか伯爵家面目とかより王家が存続の危機に瀕してるって」
「助けに行く?」
「無理だろ〜学年1位がアレだよ」
「だが、王族を守るのは貴族の務めだ…」
「なら、行ってこいよ。止めないから」
「俺は貴族として、第二王子を全力で守ります。第一王子あの世から見守って下さい」
「第一王子を全力で見捨てやがったよ。ってか第一王子まだ生きてるからな!尻を叩かれまくって心は死んでるかもだけど、生きてるから…」
「冗談抜きで助けに行った方がよくね?魔族って人を喰うんだろ?」
「たしかに魔族は何でも喰うと言う伝説は有名だ。財貨を喰らい、人を喰らい、同族を喰らい、毒をも喰らう、悪食などと言う言葉では言い表せないほどだ。だが魔族の恐ろしいトコはソコではない、形無き知恵をも喰う事だ。学園でも習っただろ、知恵の英雄様が齎した魔法技術は素晴らしいモノだった。しかし、使える物は少なく出力は安定しなかったが、魔族が魔法技術を喰らい魔法言語を作り出し、詠唱すれば誰でも使えて出力も安定する様になった」
「魔族アーべの話しだろソレぐらい、知っている!生きとし生けるものを奇妙な術で操り、王国に災厄を齎した事も…」
「まっ、マジか!」
「貴様は学園何を学んでいたんだ…魔族は先ず俺達の財産を喰らうだろう、喰う財が無くなったら…俺達を喰らう。端から焼いては喰い焼いては喰い活きたまま喰う、命だけは辛うじて残されているが手足どころか鼻や耳、目以外の身体のほとんどの肉を失う、そしてハラワタを引き摺り出し悲鳴を肴に血を呑み断末魔を聴きながら臓物と命を喰らう、デザートに頭蓋を丸焼きにしてスコーンと割って中身をチュウチュウ啜る、残った骨は死霊魔法で眷属されるって話だ」
「盛り過ぎだろ」
「イヤ、これは秘匿された古文書に記された2人目の魔族オーダーの記録だよ」
「ボクらの所為でこの国が滅ぶのか…」
「大丈夫だ!古文書には対策も記されていた。渇きを満たせ、欲望を満たせ、愛で満たせ、さすれば捕食させれる事はない!っと思うたぶん」
「大丈夫じゃねーじゃん!」
「だが、頼れる物は他に無いだろ!ヤルしか無いんだよ!必ず成功させて国を、イヤ、世界を救うんだ!コレは神が我等に与えた試練なんだ!」
「そ、そうだ!オレはやるぞ!見事試練を乗り越えて、救国の英雄、世界の救世主になるんだ!」
「ボクも頑張るよ!」
「オレもやるぞ!」
「オレも」
「王国とか世界とかの前に王子救えよ!まだ尻を叩かれてっぞ!」
「王子なら大丈夫ですよ、ほらあの声聞いて下さい…新たなる属性に目覚めた歓喜の声ですよ。それとも貴方も目覚めますか?マゾ男爵」
「よし、第二王子に未来を託そう!」
「オマエ等下らない話なんかしてんじゃねぇよ!現実見ろ現実!コレはダメだろ、例え世界が救われても俺達は確実に救われない。確かに交換には成功した…成功はしたが世界を危機に陥入れる様なの呼んじゃダメだろ!その時点で“不可”確定じゃん!あれだけ入念に準備して来た研究がこんな結果なんて、終わったよ俺達…」
「まだ諦めるな!時間はまだある、オレらの夏は始まったばかりじゃないか!」
「そーだよ、諦めるなよ。夏休みが終わるまでに宿題が終わればいいんだから、自由研究だってもう一回くらい出来るさ」
「まぁ、でもさ先の事より今でしょ。っておい!王子が開放されたみたいだ…スッゴイ顔してるけどアレは笑顔なのか…めちゃくちゃこぇーよ」
えっ?2人を連れてけって事ですか?
「王子!大丈夫ですか?」
「俺は大丈夫だ、新たなる属性の扉が開きかけたが、妹を思い出したら耐える事が出来た。それより…」
「オレなら大丈夫です、投げられた時は一瞬ほんの一瞬意識が飛びましたが、我が家に伝わる必殺技“死んだフリー”っで反撃の機会を窺っていました」
「私は…プチッと言う音と共に未来が潰えた気がします。しかしこの音は私の福音でもありました!貴方達も体験すべきで…」
「分かった、分かった。新たなる世界の扉が開いたんだろ?凄いね〜良かったね〜お大事にね〜」
「公爵家の将来は次男の誕生に期待しよう。それよりも、俺は屈辱に耐えながら今後の対策を考えていた。そして、素晴らしい対策を閃いた!」
「「「おおぉ!!」」」
「さすが王子!屈辱の中で好機を見いだすとは」
「ほんとうに流石ですな。数多の属性を極めた王子の耐性は魔族の攻撃にも勝るのですな」
「そう煽てるでない!この国の未来を担う者として当然の事だ。そんな事より重要なのは対策の事だ、コレが成功すれば荒ぶる魔族を大人しく出来るのだ!」
「何と⁉︎してその対策は?」
「うむ、“ゴメンニャサイ”だ」
「…そ、それは…謝意の最上級では?」
「実はそうでは無い、“ゴメンニャサイ”はこの一言だけで発動する魔法なのだよ。その効果は荒ぶる魔族を鎮め、唱えた者への食欲を失わせる」
「そんな⁉︎まさか…」
「俺とお前達が今生きているのが何よりの証拠だ。古文書通りならば我等はとうに喰われているだろう。だが、俺が何度も“ゴメンニャサイ”を唱えた事で魔族の荒ぶる魂が鎮められ食欲は失せた。だから我等は生きている」
「っと言う事は魔族を操る魔法を手に入れたも同然だと?」
「そう言う事だ!だが慢心してはいかん、何度も行えば対策をされるかもしれん。故に更なる対策を見出し、魔族を自由自在に操るのだ」
「魔族の生死は思いのままですな!」
「殺しはせんよ、殺すより配下に加えて利用する方が良いだろ…フフフッ」
「野蛮な魔族達も王子の慈悲深さに感謝するでしょうなw」
「然り然り王子にかかれば魔族を手懐けるなど、チョロいですなw」
「この国の未来は王子と共にあり。第二王子では力不足ですなw」
「では早速、魔法を唱えに行くぞ!」
「「「はっ!」」」
「良い覚悟だ!屈辱が有るかも知れぬが、皆で乗り越え虐げられる悦びを共に分ち合おうぞ!!」
「「「おぉぉぉお?」」」
その後…新たなる世界の扉を開いた彼等は“世界の英雄”と呼ばれ伝説となった…
のか?
次のお話は明日の20時を予定してます。
間違えたら“ゴメンニャサイ”