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JSとJKとOLが異世界で…  作者: ・・・・
2章 異世界で言葉を学ぶ
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デルクゥワンドルでの熱き戦い




 私達は緊迫した空気の中、互いの出方を窺い牽制しつつも相手を勝たせるべくデルクゥワンドルで睨み合っている。


 負けられない戦いならぬ、負かされたい戦いなのだ。


 ただ、手加減して負ける事は出来ない!全力で且つ自然に相手を勝たせるっと言う非常に難しい戦いをしなければならない。


 なぜ、この様に難しい戦いが始まったのか?その理由は…




 一本のチョコバーであった。



 この世界に来て7日、私達の時間的感覚では1ヶ月が経った、自分達で料理をする様になって拷問の様な食事からは解放されたが、謎の食材を塩だけで味付けをした微妙な料理しか出来ず苦悩の日々をおくっていた。


 因みに、謎食材だが毎日貰えるお肉はカサブダと言う名前らしい、癖は強いが食感は大きなエビっぽい。後は名前は違うが見分けがつか無い草草草、文字通り未知の道草を食っている気分になる草。


 だから、けして私達が料理ベタと言う事では無い!…と思う。


 だって調味料が塩しか無いの!ハーブも無い!野菜だって青臭いだけの謎の草が数種類あるだけ、玉ねぎ?ニンジン?シイタケ?キャベツ?なにそれ⁉︎欲しいよ!!


 そんな、食事が続き不意に聞こえた「チョコ食べたい」と言う声に反応して、バッグの奥にしまってあったチョコバーを思い出した。


 チョコバーを見せた時の2人の目の輝きは一生私の記憶に残るだろう。


 早速、3人で分けようとチョコバーを割った時に悲劇が起きた。


 3等分にはなったが、均等では無かったのだ。


 そこから始まった譲り合い戦争。


「シエラちゃんは育ち盛りだから大きいの食べて」


「ジュリさんチョコ食べたいって言ってたんだから大きいの食べてよ」


「もとはリマさんのだし、リマさん食べてください」


 などと互いに譲らず、大きいチョコを譲り合い。


 色々な理由を付けては相手に大きいチョコを食べさせるべく1時間ほど舌戦を繰り広げたが決着は付かなかった。


 ならばっと登場したのが、先日教わったデルクゥワンドルと言うリバーシに似たボードゲームだ。


 リバーシと違うのは、最大4人対戦でマスが100マスある事、コマは正4面体でそれぞれの面に白黒赤青が1色づつ塗られている事、中央の4マスに1コマづつ置いて内枠の内の残り12マスに順番で3コマ置くがこの時は挟んでも色が変わらない事。


「勝った人が大きいので、手加減したりとかワザと負けたり共闘したりしたら大きいのね」


 この勝敗の決め方が更なる混沌を招いたのだが、慣れない異世界での生活と舌戦の疲れに冷静な判断が遅れ異議を唱える前に勝負が始まってしまった。


 負けた人が大きいのを…っと言う事なら全力で勝ちに行けばいいし、勝った人から欲しいのを選ぶなら単純なのだけど。


 手加減無し、ワザと無し、共闘無しの全力勝負で敗者にならなければならないと言う面倒くさい戦いが始まった。


 今にして思えば、このゲームで勝敗を決めるのはシエラちゃんの作戦だった気がする。


 なぜなら、今までの対戦成績を考えるとシエラちゃんが負ける可能性が高いからだ。


 この勝敗で私が目指すのは2位の座、3位にはなれない理由は2つ。


 1つ目は今まで3位になった事がないのに、このゲームで3位になるのはワザとだと疑われかねない。


 2つ目は1位の賞品は大きいのと決まっているが2位と3位は決まっていない、なら2位になって小さいのを選べばいい。


 コマを置く順番はジャンケンで1番手はシエラちゃんで赤色を選び、2番手ジュリちゃんで黒を選び、3番手の私は白を選んだ。

内枠内は定石通りに3人ともコマが四角形になる様に置いた。


「この世界って文明レベル低いけど、平和なのかなぁ?」


「平和かどうか分かんないけど、文明レベルはヒドイよね服とか食事とか」


「あの服はナイよね〜、なんだっけダマレバカみたいな名前の、中世かよって感じだよね」


「それダルマティカだよね」


「そそ、そんな感じ」


「ココのは見た目ショボいけど、始まりは2世紀ごろだったから古代から現代まで着られてる歴史ある衣装だよ」


「現代ってテルマエのコスプレ?」


「コスじゃなくて法服として着てるよ」


「ほうふくって…あぁ〜よく根比べしてる人たちだね」


「よくはして無いかな、代替わりの選挙だし」


「でも、かこくな選挙だよね、ライバルより長生きする根比べなんて。この世界にもあるのかなぁ宗教って」


「あるんじゃない、それが平和に繋がってるかは分かんないけど」


「このデルクゥワンドルにしてもバルスバルにしてもメイドさん達もしてるぐらいだし平和な感じするよ」


「バルスバルは運の要素が強いチェスって感じだけど、どっちも戦略ゲームだから争いもある気がする」


「争いって魔王とかな?」


「うんうん、わたしたちが召喚されたのだって魔王軍とか隣国と戦うためってパターンな気がするし」


「戦争はやだなぁ、はいコレでジュリちゃん脱落決定〜」


「え!あっ⁉︎マジか〜もぅ置けるトコないじゃん」


「ジュリちゃんごめんね。でもパッとみ文明レベル低いけど偏った成長してるかもだよ、チェスの原形は紀元前だけど、リバーシは1888年ごろだったはずだし」


「それって、わたしたち以外にも召喚された人がいるってこと?ん〜たしかにラノベだとよくある話だね」


「言われてみると建物の技術レベルは高いね」


「だよね、壁なんかも布張りでクッション性もあるし、バルコニーの窓ガラスも歪みはあるけど透明度高いし隙間風もぜんぜんないもんね」


「そりゃ4重だもんね、最初開け方分かんなかったよ。外からじゃ開けられないし防犯対策なのかな?」


「あと寒冷地仕様って可能性もあるよね、北国とかだと2重窓とかあるし」


「今、南国みたいに暑いのに、冬は北国ってありえなくなくない?」


「ほっんと、暑いよね〜」


「ゲームしゅ〜りょ〜、しゅ〜け〜結果は…ダラララ〜黒3コマ赤49コマ白48コマでシエラちゃんの優勝〜!」




「優勝賞品贈呈〜って溶けてる…」



「「おぉぉの〜」」


 こうしてデルクゥワンドルでの熱き戦いは、戦士達にビターな香りを残して終わりを告げた。


次のお話は明日投稿する予定です。


誤字とか教えて頂けたら嬉しいです。

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