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メタルブレイザー -鋼鉄の戦乙女たち-  作者: サムライドラゴン
初陣 編
9/33

7.第1話「剣勇 と 第一小隊」(7/7)


 唯織が壁の機械を使って、地面から装置たちを出した。

 クラリスはメタルブレイザーを仕舞うために、装置にパスワードを打ち込み、自分の箱を呼び出した。


 一方、先程まで腰が抜けていた愛海は立てるようになっており、装置を目指して歩いていた。

 彼女は手合わせ終了後も兜以外は着続けていたからだ。


「もう大丈夫か?」


 剣勇が歩行中の愛海の近くに行き、声をかけた。


「はい、大丈夫です。」


 そう一言返事をした。

 ただし剣勇の方は一切見ようとはせず、そのまま歩いていった。


 だが、剣勇は特に気にした様子はなかった。



 続いて愛海が来た方向から今度は明日香がやってきた。

 彼女もメタルブレイザーを仕舞うつもりのようだった。


 ちょうど剣勇の横を通り過ぎようとした際に、剣勇は明日香の肩を掴んだ。


「待て。」

「ひゃ!?」


 明日香は突然のことに驚いたリアクションをとっていた。

 明日香が剣勇の方を向くと、透明なバイザーから目が見えて、どうやら怖がっているようだった。


「ちょうどいいから、そのまま戦おう。」


 剣勇はお構いなしにそう言って、距離を取り始めた。

 明日香はというと、慌てていた。


 その光景を見て、剣勇はやや困惑していたが、とりあえずはクラリスと愛海がメタルブレイザーを仕舞うのを待っていた。




 二人ともメタルブレイザーを仕舞い、装置も再び地面へ潜らせたことで、準備も整った。

 澪たちも距離をあけて観戦している。


 ただ、相変わらず明日香は慌てている。

 剣勇は明日香が落ち着くまで待っていたが、一向に明日香が落ち着く気配がない。


「なぁ、大丈夫か?」


 流石に心配して剣勇が声をかけた。

 すると明日香は顔を剣勇の方へ向けた。


「だ、大丈夫です・・・! は、始めてください・・・!!」


 明日香は口下手にそう剣勇に言った。

 剣勇はやや首を傾げたが、とりあえず刀を抜いた。


 戦いが始まって、明日香が全く攻めて来ようとはしなかった。

 明日香のメタルブレイザーは防御型だからだろうか。


 剣勇は明日香が動こうとしなかったので、自分の方から明日香へ接近し始めた。

 すると、明日香のメタルブレイザーの複数のアームが伸びてドーム状のバリアを貼って、全身を守った。


 剣勇は明日香の近くへ来れたが、バリアが邪魔して(そば)までには近付けずにいた。

 しかしなにもしないわけにはいかないので、とりあえず刀でバリアを斬ろうとした。


 しかし予想通りバリアには傷一つ入っていなかった。

 その後も攻撃を止めようとはせず、バリアを素早く斬りまくった。


 明日香はその状況を怖がって、うずくまっていた。



 5分以上が経った。

 未だにバリアは解けず、バリアには傷一つ付けられないでいる。


 流石に剣勇も疲れたのか、攻撃をやめた。

 明日香はまだうずくまっており、防御をしているだけで攻撃をしてはこない。


「明日香ちゃん、防御してたら勝てないよ!」


 流石に明日香の行動に問題を感じた澪が少し前に出てそう言い放った。

 しかし明日香はうずくまったまま動こうとしなかった。


 剣勇はしばらくそのまま立ち止まった状態で、うずくまっている明日香を見ていた。



 しばらくして明日香は、ゆっくりと顔を上げて剣勇の方を見た。

 すると、明日香が小刻(こきざ)みに震えだした。

 まるで剣勇に対して(おび)えているかのように。


 次の瞬間、明日香はバリアを解いた。



 バリアが解けたことで剣勇が明日香の側まで近付いた。

 すると明日香は慌てて逃げ出した。

 そして澪のもとへ行き、後ろに隠れた。


 一連の行動から、剣勇はどういうことか察した。


「あー、明日香だっけ? 俺、別に怒っていたりはしてねえぞ。」


 明日香はメタルブレイザーを装着していながら、生身の澪の後ろで震えていた。

 剣勇はどうしていいか分からなくなってしまい、腰に手を当てた。



「あの、おそらくその顔のせいかと・・・。」


 近くにいた唯織が手の平を剣勇に向けながら、顔を指した。

 剣勇は自分が装着しているメタルブレイザーの顔部分を触り出した。

 剣勇は昔から共に歩んできたメタルブレイザーの外見は完璧に覚えているため、不必要な動作だったが。


「この口は刀を(くわ)えたりするために付けてもらったモノで、そんなつもりは・・・。」


 明日香は恐る恐る澪の後ろから頭を出してきた。

 その様子を見て、剣勇は半ば(あきら)めた。


「分かった、手合わせはこれで終わりだ。 明日香のメタルブレイザーの頑丈さは十分わかったしな。」


 剣勇がそういうと、澪は明日香の背中を押しながら、明日香を剣勇の近くに行かせた。

 明日香が近くに来たのを確認し、膝をついて明日香に目線を合わせた。


「だが、メタルブレイザーの装着者であるからには勇敢でなければならない。 今すぐとは言わないが、少しずつ戦う勇気を身につけてくれ。」


 剣勇は明日香の肩に手を乗せて、目を見ながら優しい声で語りかけた。

 明日香の目は泣きそうにはなっていたが、涙は流してはいなかった。


「・・・はい。 ・・・ごめんなさい。」


 明日香は小声でそう言った。

 少しだけだが、明日香とは仲良くなれた気がした剣勇だった。






 この後のこともあるため、明日香はメタルブレイザーを片付けずにそのまま着ていた。


 最後の一人である唯織が自分のメタルブレイザーを取り出した。


 唯織のメタルブレイザーには機械の翼が生えており、見るからに飛行型だった。

 また、立ち姿に優雅(ゆうが)さを感じさせた。


「よろしいでしょうか。」

「ああ、いいぞ。」


 剣勇が言う前に、唯織の方から確認してきた。

 そして確認すると、唯織は早速空へ向かって飛び上がった。


 そして遠くから腰の側面に付いている小型ガトリング砲で剣勇を狙い撃った。

 剣勇はクラリスとの戦いと同様に動き回って回避した。

 ちなみに他の皆は明日香のメタルブレイザーのバリアで守っているため、安全である。



 唯織は飛行移動をしながら剣勇を狙い撃ち、剣勇は動き回って回避している。

 すると、ガトリングの弾が降って来なくなった。

 唯織の様子を見るに、どうやら弾切れのようだ。


 剣勇は動きを止めて、唯織の様子を見ていた。

 次の瞬間、唯織は剣勇の方へ急降下し、頭から突っ込んできた。

 唯織と衝突しそうになったギリギリで避けられた剣勇だった。

 唯織はそのまま勢いよく上昇して、再び空へ戻った。


 唯織のメタルブレイザーの機械の翼も武器になるのだ。

 元々唯織のメタルブレイザーは戦闘向きではないため、ガトリングは弾切れを起こしたらそれで終わりなのである。

 つまり、唯織は攻撃の選択を間違えたようだ。

 今の唯織に残されたのは機械の翼での攻撃か、そのまま剣勇に向かって体当たりをするかの二択しかない。



 唯織は再び剣勇に向かって急降下し、翼を使って斬り裂こうとした。

 すると剣勇は唯織の攻撃を避けたと同時に、唯織に向かって飛びかかり、両腕で唯織の脚を捕まえた。

 次の瞬間、唯織は剣勇と共に地面に叩きつけられた。


 ただ飛び込んだ剣勇と違い、空から急降下してきた唯織への衝撃はなかなかのモノだっただろう。

 うつ伏せの状態から全く起き上がろうとしない唯織だった。


 流石に心配になった剣勇は唯織を抱きかかえて、揺さぶった。


「おい、大丈夫か。」


 しばらく揺さぶっていると、唯織は目を開いた。


「あ、すみません。 参りました。」


 気が付いて早々に敗北を受け入れた唯織だった。


 目が覚めた唯織をゆっくりと立たせる剣勇。

 唯織が地に足をつけて立ったことを確認し、語り出す。


「唯織だったな。 戦闘向きではないから仕方はないが、武器の扱いをもう少し上達させた方が良いぞ。」

「やはり、そうした方がよろしいですね・・・。 分かりました。」


 唯織も今回のことで理解したようで、剣勇からの助言を素直に聞き入れた。






 全員との手合わせが終わり、明日香と唯織、そして剣勇もメタルブレイザーを脱いで箱に仕舞った。

 そして全員が一箇所に集まった。


「今日はありがとな。 全員の動きなどは大体わかった。 次からは今回のことを参考にして特訓をしていこうと思う。」


 剣勇は五人の顔をそれぞれ見ながら話していた。

 五人の女生徒たちも、剣勇の顔を見ながら話を聞いている。


「じゃあ、今日はここまでだ。 解散!」

「ありがとうございました!」


 剣勇の「解散」の言葉と共に、女生徒たちは礼をしながら声を揃えて御礼の言葉を言った。

 そして剣勇は広場を去った。






 剣勇は指揮官室の方へ戻ろうとしていた。

 すると後ろから誰かがついてきている気配を感じた。

 剣勇が足を止めると、後ろから聞こえていた足音も止まった。

 気になった剣勇は後ろを振り返った。


「やあ、どーも。」


 そこにいたのは澪だった。


「一体なんだ?」

「いや、着いていこうかと思って。」


 なぜか澪は照れたような仕草をした。

 それに対して剣勇は特に言葉を発さなかった。



 黙ったまま再び指揮官室を目指した。

 すると、やはり後ろから足音が聞こえた。

 澪がついてきているのだ。


「あの、ちょっと聞きたいことがあるんですが。」


 澪が後ろから話しかけてきた。

 剣勇は振り返ず、そのまま歩いていた。


「なんだ?」

「指揮官さんのこと、 "チーフ" って呼んでいい?」


 剣勇は足を止めて振り返った。


「チーフ・・・、だと?」

「ほら、集団とかのリーダーのことを "チーフ" って呼んだりするじゃない? 「指揮官さん」より呼びやすいし、いいかなって。」


 澪は無邪気にニコニコと笑っている。

 剣勇はしばらく澪を見ていたが、黙ったまま再び進行方向へ向き直った。


「好きに呼んでくれ。」


 そして澪の方は見ずにそう答えると、再び歩み始めた。

 許しをもらった澪は「ルンルン」という感じで歩き出した。




 そんなこんなで指揮官室の前へ着いた。

 すると、部屋の前に一人の女性が立っていた。


「聡美姉・・・。」

「あっ、来た。」


 飯田先生は指揮官室の前で剣勇を待っていた。

 どこか慌てた様子だった。


「剣勇、大変なことになったわ・・・!」

「・・・え?」


 飯田先生は剣勇の二の腕辺りを掴んで、深刻(しんこく)そうな顔で言った。






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