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メタルブレイザー -鋼鉄の戦乙女たち-  作者: サムライドラゴン
明日香 編
31/33

29.第6話「剣勇 と 明日香」(1)


 とある日。

 今回も特訓が終わり、集合しようとしていた。


「よし、じゃあ横に一列に並んでくれ。」


 剣勇の指示通り横に一列になる「第一小隊」。

 左から澪、クラリス、唯織、明日香、愛海の順番だ。


「今日は皆に重大発表がある!」


 剣勇は腕を後ろで組みながら発言した。

 それを聞いてザワザワする「第一小隊」。

 しかし剣勇は気にせずに話を続けた。


「明日香、唯織、前に出てくれ。」


 剣勇は明日香と唯織を指名する。

 二人はなにが起きるのか分かっておらず若干困惑していた。

 だが剣勇を待たせるわけにもいかないので、素直に前に出る明日香と唯織。


 すると、剣勇は後ろに隠していた両手を二人の前に出す。

 手には二枚のカードがあり、それぞれの手に一枚ずつ持っていた。

 そして明日香と唯織の二人にそれぞれ手渡した。


「昨日の任務で、ついに『第一小隊』が十回目の任務達成をしたことになる。 それを記念して、明日香と唯織にはメタルブレイザーの装着用カードキーを進呈することとなった。 このカードキーがあれば、町中にある機械を使って自由にメタルブレイザーを装着できるようになるぞ。」


 剣勇は皆に聞こえるように説明をする。

 するとカードキーを貰った二人はもちろん、後ろで見ていた少女たちも目を丸くしていた。


「本来なら『一人前』となってから渡すモノなのだが、実戦投入が早まってしまったので特例で渡すこととなった。」


 剣勇は説明を続けた。

 「第一小隊」が聞きたかったことを察して説明をした剣勇だった。


 だが疑問はまだある。


「どうしてワタクシと明日香ちゃんだけなのですか?」


 唯織が疑問を述べた。

 それを聞いた澪とクラリスは無言で二回ほど頷いた。


 すると剣勇は話し出す。


「安全に使ってくれるだろうと判断されたのが、明日香と唯織の二人だけだったという話だ。」


 剣勇がそう言うと、澪とクラリスが互いに見合わしてどこか納得行かなそうな表情をしていた。


「まあそのことは後で話すとして、もう一つ伝えることがある。 このカードキーは町中でメタルブレイザーを装着する際に使うこと以外に、オマエたちの任務達成のよる"報酬金"も振り込まれているんだ。」


 剣勇がそう説明していると、急にクラリスが目の色を変えた。


「え、ちゃんとジブンたちの報酬金があったですか!?」


 初めて知らされた事実に大慌てのクラリス。

 もちろん驚いていたのはクラリスだけではない。


「まあ、学生とはいえ命懸けの任務をしているからな。 国もそこまで酷くはない。」


 そう剣勇が説明すると、クラリスがどこか色気を出して剣勇ににじり寄ってきた。


「ねえツルギ、ジブンもカードキーが欲しいですが・・・。」

「クラリスは『まだ』ダメだ。」


 しかし剣勇はクラリスの額を軽く掴んで押し戻した。

 クラリスは目を こんな感じ→「><」 にしながら力負けする。


「この判断は教員たちの話し合いで決められたモノだ。 クラリス、どうやらお前は5教科の内『英語』と『社会』以外の三つが悪いそうだな。」

「うっ・・・!」


 突然の言葉に思わず固まるクラリス。


 すると剣勇の視線が今度は澪に向く。

 それを見て澪は嫌な予感を感じ取った。


「澪、お前は『国語』以外が悪いらしいな・・・。」

「ぐふぅ・・・!」


 剣勇の冷たい視線を浴びて固まってしまう澪。

 なにも言い返せない様子だった。


「それにお前ら二人に報酬金を渡したら、食べ物や衣服で簡単にすっからかんになる可能性があるとも聞いている。」

「あうっ!」

「おうふっ!」


 澪とクラリスに剣勇の言葉が突き刺さる。

 もはやなにも言えなくなっていた。


「まあカードキーが無い間の報酬金は、保護者の方々に手渡されてるから、そこは安心しな。 軽い親孝行だと思え。」


 剣勇はそうフォローを入れた。

 しかし澪とクラリスは不満そうだった。

 理由は、まあ言わなくても分かるだろう。



 すると唯織がさらに疑問を聞いた。


「えっと、じゃあ愛海は・・・?」


 唯織は愛海を見ながら聞いた。

 それを聞いて剣勇も愛海を見る。


 愛海は成績は悪くないのだが、今回カードキーを貰えなかった。


 しかし誰よりも愛海自身がその理由に気付いていた。


「前の独断行動ですね。」

「・・・ああ。 あれで少し見送られてしまったワケだ。」


 前のデパートでの任務で愛海が勝手に一人で行動したときのことが原因で、どうやらカードキーを渡すのを見送られたようだ。


「だが、あくまで理由はそれだけだから愛海も近いうちに貰えるハズ。 だから少しの辛抱だ。」


 剣勇は微笑みながらそう言うと、愛海は軽く頭を下げる。

 そして頭を上げたと同時に「はい!」と元気良く返事をした。




 特訓が終わり、皆はシャワーを浴びていた。


「ねえ、イオリンは報酬金をなにに使うですか?」


 シャワーを浴びながら唯織に話しかけるクラリス。

 ナイスなバストである。


「とりあえず、すぐには使わないよ。」


 シャワーを浴びながら答える唯織。

 出るとこ出てる身体だった。


「えー、もったいなくないですか?」


 クラリスは唯織の返答にやや不満のようだ。


「まあでも唯織のお金だし、どうするかは唯織の勝手でしょ。」


 同じくシャワーを浴びていた愛海がフォローをした。

 胸はそこまで大きくないが、セクシーな体つきだった。


 シャワーを止めると、愛海はタオルで髪や体を拭きながらシャワー室を出て行った。



 シャワー室には澪と明日香もいる。


「明日香ちゃんは『ナニカ』に使ったりするの?」


 澪は明日香に報酬金の使い道を聞く。

 年相応の体つきだった。


「え、えっと・・・、アスカも、まだ考え中かな・・・?」


 明日香はそう答えた。

 小柄な見た目通りの体つきである。


「ふーん、そっか。」


 クラリスと違って澪は特に反論したりはしなかった。


 やがて残り四人もシャワーを浴び終わると、シャワー室を出て行った。






 剣勇は訓練所にいた。

 上着を脱いだTシャツ姿で「ベンチプレス」と呼ばれる器具を使い筋力トレーニングをしていた。

 鍛えられた筋肉はガッチリしており、自衛隊に所属しても通用しそうな体型をしていた。

 額に汗をかきながら、大きなバーベルを持ち上げる。


 バーベルを上げたり下げたりする動作を何回も繰り返し、やがて筋力トレーニングをやめる。

 「ふぅ・・・。」と息を吐く剣勇。


「お疲れ様です。」


 すると横から女性が剣勇にタオルを渡した。

 剣勇が女性を見ると、女性は微笑む。


 とりあえず剣勇は手渡されたタオルを受け取り、顔を拭いた。

 そして拭き終わると再び女性を見る。


「ありがとうございます。 えっと、あなたは確か・・・。」

「教員の"新田(にった)絵梨花(えりか)"と申します。」


 絵梨花は微笑みながら自己紹介をした。




 筋力トレーニングを終えた剣勇は、消毒用のアルコールで濡らした新しいタオルでベンチプレスを拭く。


「生徒を守りながら戦うことは今まで以上に困難であることをこの前の任務で痛いほど味わったので、今まで以上にトレーニング量を増やさなければと思いましてね。」


 剣勇はベンチプレスを拭きながら、トレーニングをしていた理由を絵梨花に話した。


 前の任務とは、デパートでのヤミガタ駆除のことである。

 あの時は危うく愛海が死ぬかもしれなかったので、剣勇は危機感を感じていた。


 単独でヤミガタ駆除をしていた時とは事情が全く違うことを改めて覚えた剣勇だった。


「無理はしないでくださいね。 いくら剣勇様と言えども、体を壊してしまったら戦えませんから。」


 剣勇を気遣う絵梨花。

 その言葉を聞いて剣勇は「・・・そうですね。」と返事をした。



 やがて剣勇はベンチプレスを拭き終わった。

 汗を拭いたタオルとベンチプレスを拭いたタオルを(まと)める。


「色々ありがとうございました。」

「いえ、私は大したことはなにも。」


 剣勇と絵梨花は微笑みながら見合っている。

 すると絵梨花は突然顔を()らした。

 そして顔を赤らめる。


「あ、えっと、その・・・。」


 絵梨花はチラチラと剣勇の方を見る。

 剣勇は少し予想を立てながらも、不思議そうに彼女を眺めている。


 すると絵梨花は服のポケットからスマートフォンを取り出した。


「あの、実は剣勇様にお願いがございますのですが・・・。」

「えっと、なんです?」


 絵梨花はスマートフォンを大事そうに持ちながら剣勇を見る。


「一緒に写真を撮ってくださりませんか?」


 絵梨花は顔を赤くしながら剣勇に言う。

 やや予想外だったことを言われて目をパチクリさせる剣勇。


「い、いいですけど・・・。」


 とりあえず、断る理由がないため了承した。

 それを聞いて絵梨花は嬉しそうに「ありがとうございます!」と言った。



 絵梨花は剣勇の隣に移動すると、インカメラで撮影しようとする。


「あ、ちょっと待ってください。」


 だが剣勇はなぜか撮影を止めた。

 絵梨花が剣勇の方を見ると、必死に上着を着ている剣勇の姿がそこにあった。


「すみません、上着を着忘れていました。」


 Tシャツ姿だった剣勇は緑色の上着を着た。

 そして再び絵梨花に近づく。


 それを確認して、絵梨花はインカメラで撮影しようとした。


「それでは撮りますね。」


 絵梨花はそう言うと、数秒後にスマートフォンのシャッターを押した。

 「カシャ」という音と共に写真が撮られた。

 絵梨花と剣勇が一緒に写っている写真が。



 撮った写真を確認する絵梨花。

 スマートフォンの画面を眺めながら嬉しそうな笑みを浮かべている。


「本当にありがとうございました!」


 剣勇に笑顔で感謝する絵梨花。

 その笑顔はまるで子供のように無邪気だった。



 絵梨花はそのままスマートフォンを再び服のポケットに仕舞い、剣勇の方を向く。

 そして彼女は剣勇の目を見つめた。


「実は私、昔から剣勇様のファンでして、この学園に来てくださった時からずっとこうしてお話しすることを夢見ていました。」


 突然の告白だった。

 笑みを浮かべながら剣勇を見る絵梨花。


 彼女の純真な笑みを見て思わず照れて顔を逸らしたくなる剣勇だったが、頑張って彼女を見つめた。


「写真、一生大切にします!」


 絵梨花はそう言うと一礼をして訓練所を出て行った。

 そんな彼女の後ろ姿を、剣勇は呆然(ぼうぜん)と見送るだけだった。






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