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メタルブレイザー -鋼鉄の戦乙女たち-  作者: サムライドラゴン
愛海 編
26/33

24.第5話「嘉堂 と 日鷹」(1/5)


 それからデパートのヤミガタ駆除は続いた。

 国防警備隊の援護を受けて、スムーズに作業は進んだ。


 デパートの従業員たちは全員無事であり、最悪の結果を迎えることは無かった。

 しかし危険な目に遭ったことには違いない。


 デパートの今後のことについては分からないが、良い結果となること願おう。



 後から分かったことだが、デパートの停電はヤミガタが仕組んだことだったらしい。

 剣勇が倒したヤミガタは、他のヤミガタより知能も力も強く、今回の作戦もヤツが考えたようだ。

 そしてヤツは裸眼で暗視をしていたようである。


 今回の戦いは、ヤミガタの脅威を改めて感じる戦いであった。






 デパートでの駆除が終わった後、剣勇は速やかに救急車で運ばれようとしていた。



 「超強力鎮痛剤『アキレス』」。

 剣勇のメタルブレイザーに搭載されている機能で、一時的に痛覚を無くすことで無理矢理身体を動かすことができる薬である。

 注入部位を選択して音声認証と共に決定後、選択した部位にトゲ状の針が出現して皮膚の刺さる。

 そして身体の中に鎮痛剤が注入される。


 今回は右脚のみに使ったが、全身に使うことも可能である。


 「アキレス」の効果は約一時間。

 効果が切れると痛みが戻ってきて大変なことになってしまう。



「怪我人が出ると思ってマフラーまで巻いてきてたのに、本人がこのザマかよ・・・。」


 凡人はメタルブレイザーの姿のまま搬送されそうになっている剣勇を見てそうコメントする。

 それを聞いて剣勇は軽く笑った。


「まあ、あとは俺らに任せてオマエはゆっくり病院で休んでおけ。」


 剣勇の頭を軽く叩きながら、凡人はそう言い放つ。

 すると剣勇は「任せた。」と一言述べた。



 そして救急車に入れられようとした直後。


「あ、ちょっと待ってくれ。 愛海、ちょっと来てくれ。」


 剣勇は突然愛海を呼んだ。

 救急隊員は空気を読んで、運ぶのを止めた。


「なんでしょうか・・・?」


 愛海が剣勇に近づく。

 「第一小隊」は兜を脱いでおり、素顔を見せていた。


 剣勇は頭だけを動かして愛海を見た。


「学校が終わったら、飯田先生と病院に来てくれないだろうか? 話しておきたいことがあるんだ。」


 剣勇の言葉を聞くと、愛海は静かに「はい・・・。」と返事をした。

 おそらく罪悪感で元気がないのだろう。


 話が終わったことを確認して、救急隊員は剣勇を搬送し始めた。

 「第一小隊」は剣勇を運んでいる救急車を見えなくなるまで見送った。



 愛海は他の四人のもとへ戻る。


「みんな、本当にごめんなさい・・・。」


 愛海は頭を下げて謝罪をする。

 それを見て四人は互いに顔を見合わせた。


 すると澪が愛海に近づいた。


「反省した?」


 澪が愛海の肩に手を置きながら聞く。

 愛海はゆっくりと頭を上げて「うん・・・。」と答えた。


 すると澪は満面の笑みを見せる。


「じゃあ許す!」


 サムズアップをしながらそう言い放った。

 他の三人も笑みを浮かべながら(うなず)いた。


 愛海はそんな仲間たちを見て、思わず涙腺(るいせん)(ゆる)んでしまった。

 そんな愛海を澪は優しく抱きしめて、「よしよし」と言いながら(なぐさ)めた。




 それから警備隊の指示に従って、「第一小隊」はヤミガタ駆除を続けた。

 戦力としては「第一小隊」の方が上だが、戦闘経験は国防警備隊の方が圧倒的に上のため、彼らの指揮で動いた。


 「第一小隊」もそこそこ戦ってきたので、特に問題はなかった。



 それから数時間ほど捜索を続け、ついにヤミガタの駆除が終わった。

 夜間の作業のせいか、普段より疲労を感じる「第一小隊」。

 特に色々あった愛海はかなり疲れていた。


 帰宅用のヘリコプター乗る「第一小隊」。

 しかし今日は剣勇がいないため、いつもと違っていた。


「ようやく終わったぁ〜・・・。」


 澪は分かりやすく疲れていた様子である。

 伸びをした後に、思わず横になってしまった。


「でも、これに慣れないといけないですよね。」


 クラリスは膝の上で頬杖(ほおづえ)をつきながら呟く。


「プロになるって、大変なことだよね・・・。」


 唯織は目をパチパチさせながら言う。

 皆とても疲れているようだ。






 ヘリコプターが学園に着いて、全員無事に降りた。

 ヘリコプターが飛び去った後に、聡美が皆に近づいてくる。


「皆、ご苦労様。」


 まず、そう一言。

 そして次に愛海を見た。


「日鷹さん、本来なら教師として貴方を(しか)らないといけないところですが、それに関しては剣勇が担当するそうなので、私からは言いません。」


 聡美は真面目にそう話す。


「しかし、これだけは言っておきます。 『第一小隊』はチームですので、一人で勝手な行動は決してしてはいけません。 それだけは心に(きざ)んでおいてください。」


 聡美は愛海を真っ直ぐ見つめながら、そう言い放つ。

 それに対して愛海は「はい・・・!」としっかり返事をした。


「じゃあ、みんな着替えて速やかに寮に戻ってね。 でも愛海さんは後で職員室に来てください。」


 聡美がそう言うと、「第一小隊」は皆「はい!」と答えてメタルブレイザーを脱ぐために移動を開始した。






 それから約一時間ほど時間が経った。

 愛海は聡美に連れられて、剣勇がいる病院へやってきた。


 愛海はてっきり特別な病院なのかと思ったが、実際は普通に一般の病院だった。


「特別な病院とかだと、マスコミとかが寄って来ちゃったりするから逆にね。」


 聡美は愛海が思ってそうなことを予想して答えた。




 中に入って受付などで色々済ませた後に、聡美は愛海を連れて剣勇の病室へ向かう。


「世間一般では剣勇は素顔を隠しているからね。 さすがに本名だとまずいから、こういうときは偽名を使ってるわ。」


 歩きながら愛海に説明する聡美。


「なんて名前ですか?」

「"飯田(いいだ)(けん)"よ。」


 聡美はすんなりと答えた。


「飯田って・・・。」

「うん、私たちの苗字を使わせてるわ。」


 そんな会話をしていると、すんなりと病室の前に着いた。


 しかし、剣勇の病室の前に数人の男たちが立っていた。

 全員が筋肉質で大柄である。


 聡美と愛海は一体なにが起きているのか分からず、困惑していた。


「なにか御用ですかな?」


 聡美たちに一番近い大男が二人に話しかける。

 聡美は「えっと・・・」となんとか喋ろうとする。


 だが、その時だった。

 剣勇がいる病室から一人の女性が出て来た。


「じゃあ嘉堂くん、また今度ね。」


 女性はそう言うと部屋から完全に出て、病室の扉を閉めた。

 そして振り返ると、聡美たちに気が付いた。


「あら、貴方たちも嘉堂くんのお見舞いに来たのかしら?」


 女性は微笑みながら聞く。

 しかしその笑みはどこか不気味な感じにも見えた。


「え、ええ、そうです。」


 聡美はやや言葉を詰まらせながらも、そう答える。


「そうですか。 では、私たちはこれで。」


 女性はそう言うと、大男たちを連れて去って行った。

 病室の前にいた大男は彼女の連れだったようだ。



 先客の彼女たちを不思議に思いながらも、聡美は剣勇に会うことを優先した。

 病室の扉をノックする。


「剣勇、入るわよ。」


 聡美はそう言って、三秒ほど待った後に扉を開けた。



 病室はやはり普通で、剣勇は右奥のベッドに寝ているようだ。

 ベッドのカーテンが閉まっているが、物音がしていたのでそこにいることが分かる。


 ちなみに何故か病室の窓が全部開いていた。


「あ、聡美姉、あと三十秒くらい待ってくれ。」


 剣勇の声がした。

 やはり右奥のベッドにいるようだ。


「三十秒って、一体なにやってるのよ。」

「とにかく少し待ってくれ!」


 聡美の質問には答えず、剣勇は必死にそう言い放つ。

 二人は頭にハテナを浮かべている。


 すると愛海が急に部屋の匂いを()ぎ出した。


「なにか変な匂いがしませんか?」


 ふと愛海がそう言う。

 するとそれを聞いた聡美が微妙な顔をする。


「なるほど、さっきのはそういうことか・・・。」


 聡美は全てを察した。

 しかし愛海は理解していない。




 剣勇の言う通り三十秒が経ち、聡美と愛海は剣勇と対面する。


「すまない、夜遅くに。」


 剣勇は片脚に包帯を巻いており、ベッドの上で座っている。

 いつもの緑の服ではなく、患者用の服を着ている。

 上半身のみを起こしており、足はベッドの上で伸ばしている。

 それ以外は特に問題なさそうだった。


「手術は既に終わっているようね。」

「ああ、明後日くらいには戻れるだろう。」


 剣勇は元気そうだった。

 そんな様子を見て、愛海も少し安心した様子だった。


「さて、じゃあ早速だけど、悪いけど愛海と二人にさせてくれないだろうか。」


 剣勇が聡美を見て頼む。


「ええ、分かったわ。」


 そしてその頼みをすぐに了承した。


 聡美はそのまま静かに病室を出て行く。

 そして病室にいるのは剣勇と愛海の二人だけになった。



「あの、脚は・・・。」

「平気さ。 『安静にしてろ』と医者から指示を受けているから寝ているだけだ。 松葉杖(まつばづえ)とか使えば普通に移動できるしな。」


 まるで何事もないかのように、いつもの口調で話す剣勇。

 大した怪我が無いことは本当のようだ。


「それより、少しそこの席に座ってくれ。」


 剣勇はベッドの横に置かれている丸椅子を指した。

 愛海は剣勇の言葉に従って丸椅子に座り、身体を剣勇の方に向ける。

 しかし罪悪感から剣勇の顔を見ることができず、顔を()らしていた。


「愛海、俺の顔を見てくれ。」


 剣勇は優しく愛海に声をかけた。

 愛海は恐る恐る剣勇の顔を見る。

 剣勇の表情は真面目な雰囲気を出していた。


「愛海、一つだけ言っておきたいことがある。」


 剣勇は愛海の顔を見つめる。

 愛海は剣勇の顔を見るだけでも辛そうだったが、逸らそうとはせず見続けた。


「単独行動がしたいのなら、一言声をかけてくれ。 でないとトラブルが起こったときにすぐに助けに行けないからな。」


 まず剣勇はそう言った。

 それを聞いた愛海は静かに「はい・・・。」と返事をした。


「よし、じゃあ以上で説教は終わりだ。」

「はい・・・、え?」


 剣勇の言葉に返事をした後、2秒ほど間を置いて反応した愛海だった。






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