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メタルブレイザー -鋼鉄の戦乙女たち-  作者: サムライドラゴン
愛海 編
24/33

22.第4話「剣勇 と 愛海」(4/5)


 5階へ向かうために階段を上る剣勇と「第一小隊」。


「屋上に本隊を待機させてるというのは、どういう罠ですか?」


 クラリスが剣勇に聞く。


「まあ、まだそうと決まったわけではないが、もしそうならおそらく『"デパート内のヤミガタは少ない"という油断をさせて、屋上にやってきた際に一気に襲う』という罠だろうな。」


 剣勇はそう説明する。

 それを聞いてクラリスは納得するが、同時に疑問もある。


「でも、レーダーで出現数は判明しているですよね?」

「いや、ヤミガタはレーダーの存在までは知らないハズだ。」


 疑問を抱くクラリスだったが、すぐにその答えを剣勇は述べた。


 ヤミガタ側の情報は精々メタルブレイザーやガーディアンに関する情報のみだろう。

 そう剣勇は考えている。



 そんな感じで話し続けていると、ついに5階フロアに到達した。


「よし、じゃあ行くぞ。」


 剣勇はそう言って中に入る。

 そして「第一小隊」も彼の後ろについて行く。




 5階は家具や家電売り場だった。


 入って早々にヤミガタを発見して駆除をする剣勇と「第一小隊」。

 とりあえず目の前に見えた三体のヤミガタ駆除することに成功した。


「よし、じゃあまた周辺の調査を・・・。」


 剣勇が指示を出そうとした途中で、急に近くのクローゼットの扉が勢いよく開かれた。

 そして中から「ナニカ」が飛び出してきた。


 剣勇は思わず迎撃体勢に入るが、瞬時に対象の正体を見抜いた。


「た、助けてくださいぃ〜・・・!」


 クローゼットから出てきたのは、どうやらこのデパートの店員のようだった。

 店員は怯えながら剣勇に近づく。


「ど、どうしてそんなところに・・・?」


 剣勇は驚きながらも、冷静に店員に事情を聞こうとする。

 周りに散らばっていた「第一小隊」も集まってきた。


「に、逃げ遅れてしまったのです・・・。 皆はデパートの地下にある避難シェルターに隠れていると思われます・・・!」


 店員はガクガクと震えながらそう説明をした。

 それを聞いて剣勇は少しの間だけ考え込むと、次の指示を「第一小隊」に出す。


「別の警備隊に保護してもらうように連絡をするから、しばらく待っててくれ。」


 剣勇はそう言うと、すぐに聡美を通じて別の国防警備隊の部隊を呼ぶように頼み出す。

 その間「第一小隊」は周囲を警戒しながら待機していた。


 だが、ふと皆は違和感を感じた。

 そしてそれは確信へと変わった。


「チ、チーフ!!」


 澪は慌てた様子で剣勇を呼ぶ。

 すると剣勇は一旦会話を止めて澪の方を向いた。


「どうした?」


 剣勇は澪に聞く。

 会話を途切らせた澪に対して剣勇は全く怒った様子を見せなかった。


「ま、愛海ちゃんが!!」


 澪が愛海に関してのことを言おうとする。

 しかしその前に剣勇も違和感に気づいた。


「ま、愛海はどこだ!!?」


 そう、違和感の正体は「愛海がいなかった」ということだ。






 少しだけ時間を戻し、場面は変わって屋上。

 デパートの屋上は小規模の遊園地となっていた。


 非常階段を上ると、まずはテント内にあるゲームエリアにやってくる。

 そしてそのテントを出ると、外には沢山の乗り物が存在する。

 ゴーカートや汽車、キャラクターを模した乗り物ばかりである。

 しかし中でも注目を引くのは小型の観覧車だろう。



 その場所に今現在やって来る者がいた。

 それは勝手に単独行動をし始めた愛海だった。


 彼女はまず、テントの外をそーっと眺める。

 すると外に多数のヤミガタがいることを確認した。

 それを見て愛海は兜の下で笑みを浮かべるのだった。


 彼女は先程の剣勇の話を聞いたことで、集団のヤミガタを一人で退治しようとしているのだ。

 目的はもちろん姫花と同じレベルになろうとしているのだ。


 祖父の拳士郎に責め立てられた愛海は前より冷静な判断が出来なくなっており、このような愚かな行動に出てしまったのだ。



 愛海は剣を構えて、出るタイミングを見計(みはか)らっていた。

 そしてヤミガタの一体が近くを通ったのが合図となった。


 愛海は勢いよく飛び出て、まず一体のヤミガタを剣で突き刺した。

 ヤミガタは少しだけ間を置いて、黒い血液をぶち撒けながら弾け飛ぶ。


 それを見た周りの他のヤミガタたちが一斉に愛海を狙い始めた。



 数名が走り寄ってきて、愛海を攻撃しようとする。

 しかし愛海は学生とはいえ中々の実力者である。

 攻撃するために飛びかかってきたヤミガタを華麗に避けて、逆に剣で斬り裂く。


 続いて二体目は飛んだりはせず、そのまま走っている勢いを利用して突撃をしようとするが、ぶつかる少し前に愛海はしゃがんで剣を前に突き出した。

 突撃しようとしたヤミガタの腹部に勢いよく剣が突き刺さり、貫通する。

 そしてそれを確認した愛海は剣を上方向に動かして、ヤミガタの上半身を真っ二つにした。

 ヤミガタは当然弾け飛んだ。


 三体目は二体目との戦闘中の愛海に飛びかかろうとしていた。

 だがその前に愛海が二体目を撃破したので、そのまま三体目を相手にする。

 一体目と同じく愛海は華麗に避けて斬り裂く。

 だが今度は手応えがあまりなかったので、追い討ちをかけるように着地したヤミガタの頭を斬り飛ばした。

 頭がなくなったヤミガタはゆっくりと地面に倒れて、やがて弾け飛んだ。



 そんな感じで次々とヤミガタを討伐していく愛海。


 一見すると善戦しているように見える。

 しかし愛海はまだ集団戦の恐ろしさをよく分かっていない。


 次から次へと敵が襲ってくるということは、休んでいる暇が無いということだ。

 徐々(じょじょ)に体力は消耗されて、それによって力も落ちてくる。


 さらに愛海は剣勇との手合わせの後にすぐ出撃をしているので、疲れが十分に取れていなかった。


 三体目で手応えを感じなかったのは、当たりどころが良くなかったからではない。

 愛海の力が落ちてきている証拠だった。


「くっ・・・。」


 愛海もそれは感じていた。

 しかし同時に認めたくもなかった。



 次々に向かってくるヤミガタを斬り捨てていく愛海。

 一応まだ戦えてはいるが、それはメタルブレイザーの性能とヤミガタの耐久力のおかげで戦えているのだ。

 そこまで強く武器を振らなくてもヤミガタの耐久力なら傷を負わせることができるのである。


 疲労を感じながらも十体以上のヤミガタを討伐する愛海。

 だが、まだヤミガタは現れる。


 愛海は諦めずに剣を構えてヤミガタたちを警戒する。


 ・・・だが、その時だった。



 パチンッという音と共に周りが暗黒に包まれた。






 場面は変わってデパートの5階。

 剣勇たちがいる場所だ。


 剣勇たちがいる5階でも停電が起きたのだ。


「ヒィッ、な、なんですかぁ!?」


 逃げ遅れた店員が突然の停電に怯える。

 だが驚いたのは「第一小隊」も同じだ。


「真っ暗だぁ!?」

「て、停電っ!?」


 姿は見えないが澪と明日香は慌てているようだ。


「どこですかツルギぃ・・・?」

「隊長さん・・・!」


 クラリスと唯織は剣勇を探していた。


 それぞれが慌てていると、先程まで剣勇がいた場所で赤い光が急に光出した。

 それは剣勇のメタルブレイザー「刃」のバイザーの形と全く一緒だった。


「皆、落ち着いてくれ。 とりあえず、この光に集まってくれ。」


 剣勇は冷静に指示を出す。

 「第一小隊」と店員は指示通りに赤い光に集まる。


「隊長さん、それは一体・・・。」


 唯織が赤く光る物体がなにか剣勇に聞く。


「俺のメタルブレイザーの『サーモグラフィー機能』だ。 暗闇でも対象の体温で姿を見ることができる。 (あか)り代わりにできるのは副次的(ふくじてき)なモノだ。」


 剣勇は冷静に説明をした。


「時間がないから疑問などは置いておいて、素直に指示に従ってくれ。」


 すると今度はやや急いだ様子で話し始める。


「今から俺は愛海を探しにいく。 他の皆はこの店員さん守りながら待機しててくれ。」


 そういうと剣勇は店員と「第一小隊」を誘導しながら移動をし始める。

 そしてフロアの壁際に着いた。


「店員さんを壁につけて皆は彼を囲うような感じに待機してくれ。 そして明日香は皆を覆うようにバリアを展開しててくれ。 既に警備隊を呼んでいるから、時期に保護しに来てくれるだろうし、停電も直るだろう。」


 そういうと剣勇は明日香のメタルブレイザーの肩に手を置く。

 そして他の三人も見ながら言い放つ。


「頼んだぞ!」


 剣勇がそう言うと、四人は元気よく「はい!」と答えた。

 それを聞いた剣勇はそのまま愛海の捜索に出発した。


 残された四人は言われた通りに店員さんを囲い、明日香はバリアを展開し始めた。






 再び場面は変わって屋上。

 停電によって周りは真っ暗になっている。


 低い場所なら他の建物の光で照らされたりするところだが、ここはデパートの7階の屋上で、高い場所だ。

 完全には暗くないが、視界を奪うには十分の暗さだった。


 ヤミガタの黒い肌もそれを強める。



 そしてさらに問題はあった。


「うぅ・・・。」


 最悪なことに、愛海は暗闇が嫌いだった。

 正確にはお化けが苦手で、暗闇はそれを連想させるのだ。


 だが愛海にはメタルブレイザーの戦士としての自覚もある。

 怖がってなにもしない愛海ではなかった。


 彼女はなにも見えないことを逆手に取り、目をつぶる。

 そして音だけを頼りに戦おうする。



 だが、そんな高度な技術を愛海は持っていなかった。


 愛海は暗黒の世界から出現するヤミガタの攻撃をもろにくらってしまった。

 ヤミガタの飛び蹴りが愛海に命中する。


「うあぁ!!」


 愛海は地面に倒れてしまい、思わず剣を手放してしまう。

 ダメージはないが衝撃で倒れてしまったのだ。


 だが瞬時に体勢を立て直して剣を拾う。

 そして距離を取るために後ろに下がった。


 ・・・しかし愛海の後ろには建物の壁があり、退路が無かった。


 逃げることができないと悟った愛海は「ならば」と思って、攻撃が来た方向に向かって思いっきり剣を振る。

 しかし攻撃は空気を斬るだけで、ヤミガタには命中しなかった。



 すると今度は剣を振り終わった隙をヤミガタに攻撃される。


「うっ!」


 愛海は再び地面に倒れる。

 振った勢いで剣も遠くに投げ捨ててしまった。

 だが再び瞬時に起きようとした。


 しかしその前にヤミガタが愛海を踏み潰し、立たせないように捕える。

 そして愛海のメタルブレイザーの脇腹辺りを執拗(しつよう)に爪で攻撃する。


 メタルブレイザーの硬い装甲相手なので簡単には爪で貫けないが、徐々に穴が空き始めていた。

 このままでは愛海の脇腹にヤミガタの爪が刺さってしまう。


 愛海は恐怖を感じて、泣き出しそうになっていた。




 その時だった。


「愛海ぃー!!」


 大声と共に剣勇が愛海のもとへ一直線に近づいていた。

 聞き覚えのある声を聞いて愛海も大声を出す。


「隊長ー!!」


 剣勇の大声に反応してヤミガタは辺りを見渡し始めるが、発見される前に剣勇はヤミガタに対して思いっきりタックルをかまして吹っ飛ばした。

 そしてすぐに愛海に近づく。


 赤く光るバイザーが愛海を照らす。


「愛海、大丈夫か!?」

「た、隊長・・・。」


 愛海は泣きそうになりながら剣勇を見る。


「あ、あの、隊長・・・。 本当に、すみませんでした・・・。 わ、私・・・。」


 愛海は泣きながら剣勇へ謝罪しようとする。

 だが、剣勇は言い終わる前に愛海に喋りかける。


「謝罪は後だ。 今は避難しよう。」


 剣勇はそう言って、愛海を起こす。

 そして立たせると、腕を掴んである場所へ引っ張って行った。


 その途中、剣勇は走りながら聡美に連絡を取っていた。

 おそらく愛海を発見した報告であろう。




 着いた場所は屋上の周りにある柵だった。

 そこに愛海を掴ませる。


「ここで動かないでいてくれ。 今から逃走経路を確保する。」


 剣勇のその言葉を聞いて愛海は「え?」と答えるが、剣勇はすぐに暗黒の世界へ向かって行った。






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