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メタルブレイザー -鋼鉄の戦乙女たち-  作者: サムライドラゴン
澪 編
18/33

16.第3話「剣勇 と 澪」(4/6)


 これは、同時期に『国防警備隊』に派遣された愛海、明日香、唯織の話である。




 剣勇の指示で『国防警備隊』のもとへ派遣された三人。

 教員の飯田聡美先生の夫である慎二に誘導される。


「そろそろ着くからね。」


 慎二は前を見ながら皆にそう言い放つ。

 それを聞いた三人も「はい!」と答える。


 そして言葉通り、本当に着いたのだった。


「お、来た来た。」


 パワードスーツ「ガーディアン」を身に付けた警備隊が集まっている。

 やや遠くでは複数のヤミガタと戦闘を繰り広げていた。


 その中の一人が愛海たちに近寄ってきた。

 その人物が身に付けているガーディアンは他のとは違って、青いマフラーのようなモノを首に巻いており、マフラーの先には警備隊のマークが入っていた。


「ボッさん、第一小隊を連れてきました。」


 慎二は近寄ってきた人物に敬礼をしながらそう言う。

 すると「ボッさん」と呼ばれた人物は腰に手を当てて肩を落とした。


「慎二、仕事中は“隊長”って呼んでくれよ。」

「ボッさんは“ボッさん”の方がしっくりくるから。」


 慎二は冷静に言う。

 それを聞いた「ボッさん」と呼ばれた人物は「フンッ」と鼻で笑い、それ以上はなにも言わなかった。


 「ボッさん」と呼ばれた人物は視線を愛海たちへ向ける。


「やあ、初めまして。 『国防警備隊「第五部隊」』の隊長をやってる "如月(きさらぎ)凡人(ぼんど)" だ。」


 「ボッさん」と呼ばれた人物は自身に親指を突き付けながら自己紹介をした。

 「隊長」という肩書きに反して、とても軽い感じの雰囲気に三人は少し驚く。

 しかしすぐに唯織は喋り返す。


「初めまして、新嶋唯織と申します。」


 唯織は頭を下げる。

 それを見て愛海も自己紹介を始める。


「日鷹愛海です。」


 愛海も同じように頭を下げる。

 二人が頭を上げると、まだ自己紹介をしていない明日香を見た。


「あ、えっと・・・、佐久間明日香です・・・。」


 やや慌てていたが、無事に自己紹介ができた明日香。


「ああ、よろしくな。」


 凡人はそう言うと手を差し出してきた。

 それを見て、唯織、愛海、明日香の順番で握手をする。


「ボッさん、とりあえずそのくらいに・・・。」


 慎二が横から声をかけてきた。

 彼は遠くで戦っている警備隊を指している。


「おっと、そうだった。 話はまた今度ゆっくりしよう。」


 凡人はそう言って腰に下げていた銃を取り出して、構えた。

 慎二も同様に銃を構える。


「じゃあ、早速お手並み拝見といこうか!」


 そう言って凡人は走り出した。

 慎二が愛海たち三人を誘導する。


 戦闘中の警備隊の中へ五人は入る。

 ガーディアンの戦闘力はメタルブレイザーより低い。

 (ゆえ)にヤミガタを全然倒せていなかった。


 凡人だけは前へ進み続け、赤いマフラーのようなモノを巻いている人物に近付いた。


「『第一小隊』連れてきました。」

「よし。」


 会話を終えると赤いマフラーの人物は攻撃をやめて後方へ移動する。

 愛海たちのもとへ向かったのだ。


「よくぞ来てくれた。 私は『国防警備隊「第一部隊」』の隊長である "黄河(こうが)(ひかる)" だ。」

「は、初めまして。 ワタクシは・・・。」


 唯織が自己紹介を始めようとしたが、輝は手で制止した。


「悪いが、紹介は今度にしてくれ。 今はヤミガタの駆除が先だ。」


 そう言うと輝はヤミガタの方を向いた。


「私が全員の攻撃をやめさせる。 その間にヤミガタたちを倒してくれ。」


 輝は愛海たちの返事を待たずに行動に出た。

 そして警備隊全員に攻撃を止めさせる指示を出した。

 すると、先程までヤミガタを攻撃していた警備隊が次々と攻撃をやめていった。


「唯織、明日香、行くよ!」


 愛海が先陣を切ってヤミガタに突撃した。

 唯織と明日香も彼女に続く。


 愛海は早速一体のヤミガタを斬り刻んだ。

 そしてすぐに二体目も斬った。


「明日香、ワタクシたちもやろう。」

「う、うん・・・。」


 明日香は唯織に返事をする。

 そして支援型である二人は数少ない攻撃方法である射撃武器を使って二人で一体のヤミガタを攻撃した。


 愛海が一体、また一体と剣で仕留める。

 明日香と唯織も微力ながらヤミガタを一体倒す。

 その光景を警備隊は黙って見ていた。


「すげえ・・・。 これがメタルブレイザー・・・。」


 警備隊の一人がそう(つぶや)く。

 自分たちの非力さを見せつけられているのだろう。



 数分後、ヤミガタの駆除が完了した。

 8割ほど愛海の活躍だったが、まあ仕方ない。


 ヤミガタがいなくなったことを確認し、凡人は建物の(すみ)に足を運んだ。


「よし、もう大丈夫だぞ。」


 そう言ってどこかに手を伸ばす。

 すると凡人のガーディアンの鉄の手を、生身の人の手が掴んだ。

 それは民間人の女性だった。


 凡人は隠していた民間人を次々に出してあげた。

 民間人の数は六人。

 警備隊はこの人たちを守っていたのだ。


「あ、ありがとうございました・・・。」


 民間人は警備隊、そして『第一小隊』に向かってお礼を言う。

 それを見て凡人は笑い、彼女たちに近付いた。

 そして輝の方を向いた。


「では、自分らは民間人を避難をさせます。」


 そう言って凡人と一部の警備隊が動き出した。

 その中に慎二がいたため、おそらく凡人の部下たちだろう。


「待て、彼女たちも連れて行け。」

「え?」


 突然輝に呼び止められて命令された凡人。

 それは「『第一小隊』を連れて行け」という指示だった。


「しかし・・・。」

「民間人を安全に送り届ける方が重要だ。」


 凡人はなにか言いたそうにするが、素直に「了解。」と言う。

 そして『第一小隊』を連れて民間人を誘導し始めた。




 凡人たちと行動を共にする『第一小隊』の三人。

 民間人を真ん中に入れ、『第一小隊』が彼らを囲み、その周りで凡人率いる『国防警備隊「第五部隊」』が守っている。


 警備隊は周囲を警戒する。

 凡人以外が全員同じ見た目をしているが、よく見ると一人一人が独自の動きを見せている。


「学校は楽しいか?」


 すると、突然凡人が『第一小隊』の三人に話しかけてきた。

 表情が分からない鉄の兜で顔を覆われた状態で三人を順番に見る。


 愛海、明日香、唯織は互いに顔を見合わせる。

 凡人と違ってこちらは目元が見えるため、表情が大体分かる。


「もちろんです。」


 三人を代表して唯織が答えた。

 愛海と明日香も(うなず)く。


 その言葉を聞いた凡人はしばらく沈黙した後に「フッ・・・」と笑った。

 そしてすぐに喋り出した。


「剣勇は凄くて良いヤツだ。 アイツについていけば、必ず一人前の立派な戦士になれるさ。」


 凡人は優しくそう言う。

 表情はガーディアンの兜で分からないが、おそらく笑みを浮かべているだろう。


 その言葉に対して静かに頷く三人。

 周りにいる他の警備隊員も静かにその光景を見ていた。






 民間人を避難エリアへと送り届けた『第一小隊』の三人と『国防警備隊「第五部隊」』。

 人々に心から感謝され、照れる三人。

 彼女たちにとって、初めての人命救助かもしれない。


「よっ、美少女英雄(スーパーヒロイン)!」


 そんなことを言いながら『第一小隊』の三人に近付いてきたのは凡人だった。

 彼は相変わらず「ガーディアン」で身を包んでいるため、どのような容姿なのか不明だった。

 だが、明るい人なのは分かった。


 凡人の存在に気付くと、三人は彼の方を向いた。

 すると凡人は腰に手を当てて喋り出した。


「さっきの人たちの笑顔を見たか?」


 突然そのようなことを聞いていた凡人。

 三人は互いに顔を合わせた後に、代表として唯織が「はい。」と答えた。


 すると凡人は軽く笑った。


「あの笑顔を、俺たちは守ってるんだ。 それを覚えておいてな。」


 彼は優しくそう語る。


 この時の三人はどういう感情を抱いたか、不明である。

 分かることは、少しだけだが"成長した"ということだろう。



「・・・さて、まだ『仕事』は終わってないから、早く戻ろう。」


 凡人はそう言うと三人を手招(てまね)きして、移動を開始しようとする。


「あ、あの!」


 しかしその前に唯織が凡人の背中に向かって話しかけた。

 それに気付いて歩みを止める。


「嘉堂隊長とは、どのようなご関係なのですか?」


 それが唯織が気になったことだった。

 実は愛海と明日香も気になっていたため、ちょうどいい機会だった。


 すると凡人は一度鼻で笑った後、三人の方に顔を向けた。


「友達さ。 大事な友達。」


 凡人は優しさを感じる口調で言い放った。

 そして付け加えるように喋り続けた。


「改めてしっかりと言ったのは恥ずかしいから、本人に言うなよ。」


 凡人は微笑みながらそう言うと、向かうべき方向に顔を戻して歩き出す。

 振り向かないことを確認した三人は、彼の背中を追うように次の現場へと歩いて行った。






 それから愛海たち三人は「国防警備隊」の皆に援護をされながら着実にヤミガタたちを駆除していった。

 特に愛海が圧倒的に討伐していた。


 他二人のメタルブレイザーは戦闘用ではないため、仕方ないことではあるが。



 しばらくして、やや遠くで『国防警備隊「第一部隊」』の隊長である輝と話していた凡人が愛海たちのもとへ近づいてきた。


「今日は本当に助かったよ。 あとは俺たちで周辺警備をするからキミたちは帰っていいみたいだ。」


 凡人は腰に手を当てながら愛海たちに言う。


「大丈夫なのですか・・・?」

「ああ。 十分近く出現報告がないから、普通ならおそらく今日はもう出てこないだろう。」


 凡人は周りを見回しながら説明した。

 やや不安なのか、『第一小隊』は互いに顔を見合わせる。


「安心しな。 俺たちは戦士としては中々ベテランだから、こういうことはなんとなく分かるのさ。」


 凡人が愛海の肩に手を乗せながらそう述べた。

 そしてすぐに肩から手を離して、後ろを向いた。


「んじゃ、剣勇のもとまで送るからついてきてくれ。」


 凡人はそう言って歩き出した。

 『第一小隊』は再び互いに顔を見合わすが、どんどん先に進んでいく凡人に追いつくために早歩きで追いかけて行った。






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