プレジデント・キラー -ハンプトン・ローズの蜂 外伝-
ぎりぎり締め切り前です。
史実の大統領暗殺者もブルータスを名乗ってましたが、本作品とは一応、無関係です。
加筆しました。
「デービス大統領って言っても南部の最高権力者とは分からぬよ」と指摘されましたんで、あと説明不足部分も加筆。それとこの世界線で空を初めて飛んだのはライト兄弟ではありません(笑)。
1864年、それは8月のある暑い日に起こった。
銃声が響く。
それは黒いフロックコートに身を包んだ人物に確かに命中した筈だった。
「やれやれ……」
彼は乗馬していた馬から下りると、衝撃が頭から飛んでしまったシルクハットを手に取って、ばんぱんと手ではたきながら埃を払った。
「帽子に穴が開いて汚れてしまったよ。と、キミは南部の刺客かね?」
その問いかけに、茂みの向こうから狙撃者が姿を現した。
手には発売されたばかりの連発銃、ヘンリーライフルが握られている。
「そうだ」
「私を殺しても趨勢は変わらんよ。シャーマン将軍はアトランタを陥落させるだろう。そうすれば、大西洋へと軍は侵攻し、連合は瓦解の道を辿るだろう」
「だろうな。しかし、俺が大統領、貴様を狙うのは南部の恨みと言うだけじゃない」
大統領と言われた紳士、アブラハムは「ふむ」と呟いた。
「キミは人種差別主義者かね?」
「どちらかと言えば、そうなるな」
「黒人嫌いな訳だ」
「ああ、特にお前さんがこの国へ迎え入れようとする、黒人に似た何かがな」
刈り揃えたひげ面の大統領は深く頷き、「奴隷解放宣言は皆に大受けだったのだけどね」と自画自賛する。
しかし、アブラハムとは真対象に無精髭を生やした大柄の暗殺者は、「けっ」と面白くも無さそうに、地面へ唾を吐いた。
「お前さんが博愛主義者では無い事は判ってるんだ」
「ほぅ」
「本当の人種差別反対派なら、原住民、インディアンを何故弾圧する?」
二年前ホームステッド法を制定して、インディアンを迫害して土地を奪うなど彼の政策は原住民の弾圧が基本であった。
「彼らは人民では無いからだよ」
合衆国大統領は満足げにそう告げた。
男は「そうかい」と素っ気なく言って、再び銃を構える。
「一応、名前を訊いておこう。ミスター」
「ブルータスとでも呼んでくれ」
南部男はそう名乗った。
アブラハムは「ここで私を撃ち殺す事は出来ないぞ」と、にこやかに告げる。
「その冗談は面白いな」
「試してみたまえ。さて、オイール!」
アブラハムの叫びと共に、道の向こうから何かが猛烈な土煙を上げて迫って来た。
そいつが手に持った変な缶詰をむしゃむしゃ食べる、黒いセーラー服を着た水兵だと判った途端、ブルータスはそいつに向かって容赦なく発砲する。
しかし、そいつは「AHAHAHAHAHA!」と馬鹿にした様な笑いを挙げながら、次々と発射される.44口径リムファイア弾を腕で弾き飛ばしつつ、たちまち目の前に現れた。
「ザ・セーラメーン。あはははは、ザ・セーラメーン!」
「化け物め!」
レバーアクション銃の用心鉄を下げながら、最後の一発を撃ち尽くしたのを把握したブルータスは銃を奴に投げつけた。
元々、北軍からの鹵獲品で、弾を補充する見込みも無い為に惜しくは無い。
だが、オイールと呼ばれたひょろい身体の水兵は、何と投げられたヘンリーライフルを受け止めると、飴細工の様にひん曲げてしまった!
「ぽっぽーっ!」
優雅に煙草を一服しながら、汽笛の様に鳴らす芸当まで披露する。
「はははははははははっ」
嘲笑するアブラハムの声を背に受けながら、最後っ屁とばかりにブルータスは懐から拳銃を取り出した。
「その余裕が命取りだ!」
レマット・リボルバー。
南部の魂とも言える大型拳銃は、黒色火薬の盛大な白煙を吐きながら、連続して合衆国大統領の腹に命中した。
◆ ◆ ◆
「死んでいない。馬鹿な!」
ホワイトハウスからやや離れた一軒家。
命からがら、暗殺に成功した筈のブルータスは大声を上げた。
「相手はイルミナティよ」
森色の魔女、本名、アイリーン・フォン・グリューンヴァルトはやれやれと言った感じで、今朝の朝刊を折り畳んだ。
見出しには〝アブラハム大統領、狙撃さる〟の字が躍っているが、内容は別荘からホワイトハウスへ向かった大統領が、狙撃されたが無傷であるとの記事である。
「腹に九発。ついでに散弾もぶち込んだんだぜ」
それは42口径の拳銃弾×9にそれを上回る、63口径のバックショット(9粒散弾)。レマットの持つ最大火力である。
普通の人間だったら、二、三回死んでお釣りが来るだけの攻撃だ。
「だから、常識の範疇に入らない相手だって事よ」
「んだとぉ」
魔女、本当に魔女かも知れない様な格好をしている若い技術者が、若草色の長衣を翻して「あたしらの相手をしているのが秘密結社、ううん、魔術結社だってのを理解する必要があるわよ」と告げながら、窓のカーテンから外を窺う。
「そのイルミナティというのが、そうなのか?」
「何処かでフリーメイソンとも繋がってるらしいんだけどね」
歴史的には一度、欧州で壊滅したが、その後、米国で再興したのだと言う。
「困った事に、今の彼らは異界の影響を受けているのは知っての通り」
「うむ。何か、人外の物を現世に呼び込んでいるのはな」
南軍の大尉であった彼もハンプトン・ローズ海戦の後、半魚人と言う訳の分からぬ化け物に襲われ、合衆国大統領が設立させた黒人部隊の中身が、黒人ですらない異形の人型な何かである事を、身をもって体験してしまっている。
「で、デ-ビス大統領に訪米してた、あたしが呼ばれた」
ジェファーソン・デービス大統領はアメリカ南部連合(南軍)の最高権力者だ。
「何でだ」
「一応、あたしがローゼンクロイツに所属する魔女だから」
しかし、魔女と言っても大した力量は無いらしい、
お伽話の魔女みたいに、杖の一振りで魔術を使える様な力は無く、どちらかと言えば錬金術、今では科学方面専門になってしまった技術者だ。
魔術結社ローゼンクロイツ(薔薇十字団)の末席に籍を置くだけの魔女である。
藁にもすがりたい気持ちだったんだろう。
北米では頼るべき魔法の専門家が〝セイラム魔女裁判〟からこっち、イルミナティの仲間以外は根絶させられていたからである。
中欧の片田舎からやって来た、新米魔女に頼るほど……。
「でも、もう戦争もお仕舞い。あたし達が例え、アブラハムを暗殺したって……」
南部は北部の、いや、イルミナティ支配下のアブラハムが進めている計画に気が付いて、独立戦争を起こしたのである。
無論、経済問題やもろもろの事情もあり、と南部十三州が離脱したのもそれだけでは無いのだが、それも南部の敗北で幕を閉じようとしているのだ。
「で、アブラハム……いや、イルミナティって連中は何がしたいんだ?」
「多分、この土地を異界にする気ね」
黒人と偽って住民を異界の得体の知れぬ生物に置き換え、土地の精霊界を護っていた北米の原住民を弾圧し、世界を異界へと変えて行く。
それがどんな意味があるのか?
判らない。そもそも、異界の思想に囚われた人間は本質的に狂っており、異界の神々の下僕と化しているからである。
「精霊とか現代人は馬鹿にするけど、土地を護る結界としての役割は馬鹿に出来ないのよ。あたしの故郷の思想でもあるけどね」
「で、インディアンが護っていた聖域が破壊されつつある……か」
「異界化されやすい土地になっている。別の何か、別の神が土地を侵食させ易くなってるんだよ」
ブルータスが「神?」と訝しげに呟くと、魔女は「ああ、ゴッドって奴は本来一つじゃ無い。アメリカなんかは欧州でも一神教の影響受けてるから、全てイエスだと考えてしまうんだろうけど」と説明した。
ギリシャ神話を例に挙げ、本来、神とは一つの物では無く、数多くの存在があって併存しているのをである。
「要するに、超常的な力を持ってる奴を神と言うのか」
「そう」
欧州でもキリスト教以前のケルト文化圏は、そんな考えが強かったのだと説明する。
彼女の故郷は中欧であるが、まだ、そんな古い考えが残っており、力の強い土地神みたいのが二柱存在しているらしい。
「オイールとか言ってたわね」
魔女は話題を変えて、あの化け物水兵の事を尋ねる。
ブルータスは「少佐殿も見た筈だぜ」と、昔の階級を持ち出してアイリーンに説明する。
そう、ハンプトン・ローズで装甲艦の天蓋に乗っていた、あの男だ。
「でも、当時はそんな化け物じゃ無かったわ」
「缶詰を食ってなかったからだろ」
「その缶詰が臭いわね」
曰く、 何かをキーワードに人外の力を発揮させる方法があると言う。
暗示。または錬金的な処理によって、例えば丸い皿やらボールを見ると、突然、狼男に変身するスイッチが入るとかである。
「聞いた事があるのよ。オイール。オイール……」
魔女はつかつかと本棚へと向かうと、分厚い本を取り出して何やらめくって行く。
やがて「あった。これよ」と問題の頁を指し示した。
「エライア・オイール?」
「北米の魔女よ。夫はハロード・オイールと言って錬金術師だったけど、これは後に死亡してるわね。でも兄のキャスター・オイールは炭鉱王でイルミナティの幹部。多分、この関係ね」
「オイール一家は北米でも上流階級臭いな」
示されている資産関係を読んでブルータスが指摘する。
オイール一族に関してはオイール炭鉱。オイール石油。オイール金山。オイール造船と、企業名がずらずら並んでいるからだ。
「魔女とか錬金術師とか、胡散臭い肩書きなのによ」
「そりゃ、そっちは表の商売じゃ無いからね」
魔女曰く、「あたしだってエンジニアだわ」である。
彼女が蒸気機関の専門家であるのは確かであり、南軍では技術士官として少佐待遇を受けて、水雷艇建造に関わっている。
魔女だの錬金術師だのを公言する奴らより、これを裏の商売として営なみ、密かに表の商売に応用する方が実は質が悪いらしい。
ダウンジングで鉱脈を掘り当てるとか。錬金術で技術を強化するとかである(純粋に数学的な計算を応用するのも、錬金術的アプローチである)。
「そうじゃなくても発明家なんて夢想家や、オカルト信奉者と紙一重だからね」
「おいおい」
「直感で勝負するからね。その内、空を飛びたいと願って成功する奴が出るわよ」
それは約四十年後に、アメリカのとある教授がポトマック河で〝エアロドローム〟を用いて実現させるのであるが、無論、現在の森色の魔女達がそれを知る由もない。
「まぁ、それはそうとしてあの水兵だが……」
魔女は「パイポよ」と告げる。
「は?」
「だから、パイポ・オイール。エライアの婿養子」
「そうなのか!」
「元はパイポ・シューリンガンとか言うらしいわ。中国人ね」
彼女は「エライアの項に書いてあるわよ」と素っ気なく答えた。
どんな経緯でオイール一族に入ったのかは不明であるが、このパイポは、元々、エライアの死んだ夫、ハロードの護衛であったらしい。
「後釜に納まったって訳か」
「あるいは、夫ハロードを殺したのはエライア本人だったのかもね」
但し、本人曰く、確証は無いらしい。
とにかく、ハロード数年前、インスマウスとか言う町で暴徒に襲われて死んでおり、パイポだけが生還したらしい。
「まぁ、いい。判ってるのは奴に鉛弾は通用しねぇ事だ」
「多分、大統領にもね」
パイポは腕を振り回しただけで、弾丸を弾く様な奴なのである。
アイリーンは引き出しを開けると、小さな木の箱を取り出した。
「特別な魔的な体を持つ存在には、それなりの武器が必要になるけど……」
かたっと箱を開けて、そいつをブルータスへと見せる。
決闘用の単発拳銃を納めるケースみたいである。しかし、二挺がセットとなって一組であるのが普通なのだが、入ってる銃は小さな雷管銃が一挺だけで、残りのスペースには曲がりくねった奇妙な形の短剣が収まっている。
「クリスナイフ。アジアのどっかで使われてたナイフよ」
これには魔力が秘められていて、魔的な何かでも傷を付ける事が出来るらしい。だが彼女は、「隕鉄で作られているから、耐久性は怪しいわね」と欠点も同時に述べる。
「拳銃の方は?」
「これはただのピストル。問題はその先にある弾丸よ」
対霊魔弾という代物らしい。
吸血鬼でも幽霊でもこいつが当たれば一発なのだが、森色の魔女のご先祖様の作なので、手元に在るのはこれ一発きりである。
「大統領にも効くのか?」
「よっぽどの化け物、亜神クラスの奴でも無い限りはやれる筈よ」
異界の神とかには傷は付けられるだろうが、この程度じゃくたばりはしない。
しかし、手下クラスであるなら、絶大な威力を示すだろう。
「これを使って大統領を仕留めてやる」
「余りお勧めはしないけどね。どっちにせよ、至近距離で使わないといけないわよ」
と言うのも、滑腔式拳銃の射程距離なんてたかが知れているからだ。
感覚的にはナイフと変わらない。ライフリングを持たないから、至近でぶっ放さないと命中なんぞ、おぼつきはしないのだ。
「ま、あたしの仕事はこれを渡しに来ただけだけど、ね」
たった一発の魔弾を摘まむと、魔女はそれをゆらゆらと揺らす。
いずれにせよ、南部連合の大統領と会社の契約は今月一杯で切れる。
薔薇十字団からは何も言ってこない。まぁ、連絡がイルミナティに妨害されてるんだろうけど、かといって個人的に勝手に働ける状況では無い。
「これからどうする気だ?」
「ペンシルベニアへ行くつもり、丁度、魔女が身を隠すのに適した町があって……」
その時、破壊音と共に家畜の悲鳴が響いたのであった。
◆ ◆ ◆
「嘘だろ」
その光景は目を疑う物であった。
コーンパイプを咥え、鼻歌交じりで「セーラメーン」と歌う水夫。
ブルータスは扉の向こうに存在する化け物、パイポ・オイールをまけなかった事に愕然とした。尾行を考えて逃走した筈なのだが、どんな方法を使ったのか奴は隠れ家に辿り着いていたのだ。
家畜小屋の壁、この当時の民家は例外なく、自家用に牛や豚なんかの家畜を飼っている。
この家も離れではあるが廊下で繋がれた家畜小屋がある、をぶち壊して内部に侵入した男は、「わははははは」と笑いながら、碇の刺青が入った力こぶ付きの腕を振り回した。
「ぶもぉぉぉぉぉぉ」
パイポのパンチに殴られた豚が悲鳴を上げて上空へ跳ね飛ばされ、天井を突き破って吹き飛んでしまう。
だが、もっと恐ろしいのは、落下して来る豚の末路だ。
原形を留めていないのである。
いや、もっと理不尽な事に、墜ちて来た家畜はステーキ肉、ハム、ソーセージに姿を変えてしまっているのだ!
「んな、馬鹿な!」
頭を振りながら、常識では説明不可能な現象に絶句するブルータス。
魔女が後ろから駆け付けて、「あのパンチには魔術が掛かってるわよ!」と注意を促す。
「何だって」
「殴った相手の元素を転換してしまうの。そこらの立木を殴って〝薪になれ〟と念じたら、薪束になるし、人間を殴って〝ミイラになれ〟と念じたら」
「皆まで言うな。しかし、どうすりゃ良いんだよ」
ブルータスは焦った。そんなミダス王の親戚相手にどう闘うんだよ。
パイポの奴は「セーラーメーン」と歌いながら、今度は鶏を生きたままローストチキンに変化させてしまってる。
それをむさぼり食いながら、ジョッキに入れた水をビールに換えてグビグビと飲んで、ゲラゲラ笑っている。
「クリスがあるわ」
魔女が差し出したのは隕鉄のナイフ。
刃が緩やかに波打っている魔力を秘めた武器であった。
「銃の方は?」
「火薬が無いのよ。素手で魔弾だけぶつけたって効かないしね」
あの箱の火薬入れの中に火薬は充填されていなかった。
あくまでのディスプレイセットで、直ぐに使うとは想定していなかったらしい。もしセットされていたなら、ここへ来るまでに装填はできたんだろうけど。
「やるっきゃねぇ」
ブルータスはクリスを構えると、パイポ・オイールに立ち向かった。
◆ ◆ ◆
その日、ワシントン郊外の一軒家が火事で焼失した。
そこを借りていたのは欧州から来た外国人の女であったが、その女性の死体は見付からず、代わりに猿の様な尻尾がある、奇怪な生き物の焼けた骨が発見されたけであった。
明けて1865年4月15日。
南北戦争も終わりを告げようとしていたある日、合衆国大統領アブラハム・リンカーンは観劇中に、暗殺者の凶弾に倒れる。
暗殺者は自らを「ブルータス」と名乗り、小型短銃ファラディルフィア・デリンジャーを発砲後、「これで南部の報復は果たされた」と叫んで逃走。
騎兵隊の追跡を受け、とある農場の納屋へと追い込まれたのちに自決した。
死因は爆死。
犯人は軍属だったらしく、大量の爆薬を小屋に予め隠匿していた。
その為、犯人、ブルータスの死体は木っ端微塵で回収されず、犯人像もひげ面の大男以外に、今日までその容姿を明確に伝える資料は乏しい。
「で、これからどーするのよ」
サスケハナ河を行くショウボート。船尾に外輪を付けた大型河川蒸気の上で、森色の魔女が元南軍大尉に問うた。
外輪を動かすアームがゴロゴロと動き、大きな水車の化け物がばゃばしゃと煩いのは、ここが三等船客用のハリケーンデッキであるからだ。
上等の船客はもっと見晴らしが良くて、雑音とも縁遠い上階を居室にしているのだが、手持ちの財布事情と、北軍から身分を隠すためにこんな場所に位置しているのだ。
「遂に南部も降伏してしまったしな」
何処か遠い目をしてブルータスは呟いた。
自爆寸前の所を助けた魔女本人としては、ここで生きる目的を失って貰っては困るのだが、こればかりは本人の意志次第なので口は挟めない。
「あたしに付いて来るか? イルミナティとの戦いは終わった訳じゃないし」
「また、パイポみたいな奴と命のやり取りをするのか」
ま、うんざりするのも解る。
実際、ブルータスの投擲が外れていれば命は無かった。
クリスは命中した途端、ぽっきりと柄から折れて使い物にならなくなってしまったのだし、アブラハムだって、あの一発が外れていれば後が無かった。
「この上流にあるんだったな、お前さんの目的地」
「ん、暫くはそこに潜むつもりだ」
まだ見えないが、上から見ると平面図が天使の姿をした町であると言う。
「暫くなら、付き合っても構わん」
「ん、決まりだな!」
魔女はほっとしていた。腐れ縁だが、死なれては目覚めが悪い。
大統領暗殺犯と森色の魔女の乗った河蒸気は、ペンシルベニア州の田舎町目指して遡航をして行った。
そこがとんでもない場所だと後に彼らは思い知るのであるが、それは後にヴァージンタウンと呼ばれた場所に到着してから後の物語である。
〈FIN〉
天使の姿を持った町はSJかな(笑)。
後に魔女が沢山出て来るんだよね。ヴァージンタウン。
【ネタばらし】
エライア「エライアとは、ギリシャ語でオリーブを指す単語なのよ」
ブルータス「アイリーンの名をエライアにしときゃ、完璧にあのカトゥーンの構図になったのに失敗だったぜ」
パイポ「わーお、なぁんてこったい!」
ぱーぱぱーぱぱぱー、ぽっぽー!