嵐の森観光案内
「よし、今日はこの嵐の森の名所観光をしてやろう。」
ユナが随分ともったいぶって言った。
・・・行きたくねー・・・
レイはココに来て随分口が悪くなった。
勿論、心の中で。
というか、ココに来れば誰だって変になるだろう。
「僕はココにいるよ。皿洗い楽しいし」
嘘である。
ユナはたじろいだ。
「えー!?なんでだよ。お前が居ないと観光にならないだろう?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
妙にながーい沈黙。
レイはユナの何か求めるような眼差しに負けた。
「分かったよ、行けばいんでしょ、行けば」
「そうだそうだ!分かってるなあレイは」
「準備してくるから」
レイはそう言って逃げるように屋根裏の梯子をかけのぼった。
「ここが、泉だ。守護神の生活用水として使っている。そしてあっちが広場になっていて偶に家具とかを作ったりするときにあそこで作るんだ」
「家具って?」
レイとユナは歩きながら森の観光案内をしていた。
「盥とか、バケツとかだな。偶に蔓で籠を編んだりする」
「へえ、以外に器用なんだね」
レイは素直に褒めた。
「む!?以外とは心外だな。そんなに不器用に見えるか」
「え・・・駄目?」
ユナはため息をついたが、微笑んだ。
「いや。今度からはレイに任せるからいい」
「うっ・・・そう来る?」
「そうだ。次行くぞ」
ユナはレイの手をとり走り始めた。
「ちょ、ちょっと!ユナ、早いって」
「これからとっておきの場所に連れて行ってやる。もうすぐだ・・・」
「ええ!?」
そう言いながらもレイも一緒に走った。
しばらく走り続けてユナが走る速度を緩めた。
その先には、レイの見たことの無い風景・・・というか、場所があった。
そこには灰色の蝋のようなものが氷柱の如く沢山連なり、地下へと続いていた。
かろうじて日光が届いており、地面には数々の水溜りができていた。
「なに、これ・・・?」
口をまん丸にあけたレイはユナの方を見た。
すると、ユナはまるで水浴びをするかのように服を巻く仕上げ、髪を束ねていた。
「今からここに入るからな。レイも準備するのだ」
「準備って・・・水浴びでもするの?」
「いや、潜る」
潜る・・・?
いや、まさか。
そんな訳無いだろう。
「潜るって、水ないよ?」
「いや、ある。かろやかに泳ぎたいのなら服を捲くれ」
「・・・・・・・・・。」
ユナの言っている事は信じたくなかったが、もし本当だと溺れたら嫌なのでレイも捲くった。
ユナはそれを確認すると上へ拳を振り上げた。
「よーし、いまから鍾乳洞紀行へ出発だ!!!」
ん?鍾乳洞?
森にあるのか、そんなもの。
ま、いいや。聞かなかったことにしよう。
「レイ、私が先に行くからその後を付いてきてくれ。ココは危険がいっぱいだからな」
「ん?・・いいよ」
今の言葉も、聞かなかったことにした。
「じゃ、行くぞ。」
ユナは地下へと続く鍾乳洞を下り始めた。
少しずれちゃったかもしれません・・・。
ご了承を・・・