第23.5話【レーゲンとハーピー】
23話のレーゲン視点
1000文字程度の短い話です。
(当事者のハズなのに暇だなぁ……どうすっかなぁ……)
スピカについて来るなと強く釘を刺されてしまったレーゲンは一人、時間をもて余していた。
普段なら人形劇の練習をしたり、″小さな友達″と話をしたりするのだが、残念ながら人形は全て猿に取られた鞄の中で、涼太達と話そうにもいつのまにやら姿が消えてしまっていた。
ちらり、とレーゲンは何やら作業をしている2人のハーピーの方を見た。血生臭い、嫌な臭いがするので何をしているのかは何となく理解できるものの、暇なので覗けば案の定、彼女達は捕った獲物を解体していた。
1人がトカゲらしき生き物の腹を爪で裂き、内蔵を取り出して皮を剥げば、もう1匹は取り出された内蔵から食べられそうなものと食べられ無さそうなものを分けているように見える。
(やっぱりか……まぁトカゲなら魚と変わらねぇな。)
海の民を母に持つレーゲンは、幼少期から彼らの魚をシメる姿から解体する姿まで見てきたので、そう言う生き物の解体に対する不快感は無い。
しかし、トカゲを解体し終わった彼女達が、次に鹿らしき生き物の解体を始めようとしていたときは流石に見ていられず、レーゲンは血の惨劇と化した広場を後にした。
少し離れても血と脂の異臭が辺りを包んでいる。それはあの鹿がどうなってしまったのかを用意に想像させた。
(魚と同じ、食べ物だから解体するってだけだけど……どうも割り切れないよなぁ)
こういう何とも言えない気分の時は人形を動かす事で紛らわせた方が言いと判断したレーゲンは道化師の人形、レーゲン君2号を取り出すと、糸を使って操り始めた。
暫くの間、心を無にして人形を動かしていると、ふと誰かの視線を感じた。人形から目をそらし、前の方を見ればそこにいたのはこちらを奇妙な目で見つめるハーピーの男だった。
「や、やぁ。どうも」
「……」
ハーピーは呆然としているように見える。お互いの間に微妙な空気が流れる中、先に動いたのはハーピーだった。
「ピ」
「あ!」
ハーピーは足で人形を掴むとそれをぐいっと引き寄せた。糸で繋がっているレーゲンもその力で引っ張られそうになり、とっさに糸を指から外した。
ハーピーはレーゲンの様子には目もくれず、人形をまるで子どもの様な、好奇心でキラキラと輝いていた目で見つめている。
その姿を見たレーゲンの脳内で、幼い頃の自分と彼の姿が重なり……レーゲンはある決断をした。
「……その人形、興味があるならやるよ」
「ピ?」
「って……伝わってねぇみたいだな。どうするか」
言葉が通じない事の不便さを改めて実感したものの、どのみちどうすることも出来ない。
ハーピーは余程人形に興味があるのか、再び人形を弄りはじめた。
(置いていくのはちょっと寂しいけど……大事にしてもらえよ)
レーゲンは人形に別れを告げ、少し寂しい思いをしながらもそっとその場を後にした。




