母強し
え?叫んだお前は誰って?
そんなの私が聞きたいよ!
だって私病気がちで、公務そっちのけで
ひきこもってネットサーフィンしてたら
いつの間にか死んだハズ。
なんだけどなあ…
「ここは誰私はどこおおおおおおおお!」
(素で間違えたよ逆だよ頑張れ私負けるな私)
わけがわからないよっ!
と自分との戦いをしていたら
近くに居たメイドさんが
鏡を差し出してくれました。
あら優しいありがとう。
でも私の知っているメイドさんって
ちゃんと地に足がついてるハズなんだけど
貴方浮いてますよねソレ。
マジシャンの卵とかかな
しかもちょいまち。鏡に映った赤ん坊の
この顔全然見覚えないです!
(どうなってんの?なにがどうなってんの?)
生まれたての赤ん坊が
おぎゃーと泣くのではなく
いきなり言葉を発っしてるんだよ?
皆なんでそんなに冷静に拍手してるの。
ありえないスピードでの成長を
遂げているのに、
あたりは何故か祝福ムードで
私の叫びは誰も拾ってくれない。
(…解せぬ!)
皆がみな
ワイングラス片手に乾杯を繰り返し
歌り踊って騒いでいる。
猫耳や犬耳つけてコスプレしてる子もいる!
異様だ、異様すぎるぞこの光景…
そして何より今、まさに
私の問題がかなり深刻。聞いて
(さっきから喋ってる私のこれ何語!)
頭の中で喋ってる内容は理解できている。
だからこのように独白で話せる。
だが口から出てくる発音そのものが
自分の知っているそれとは違うのだ。
今までに一度も聴いたことのないような
呪文のような言葉を奏でていた。
なのに、使いこなせている。
わからないのに使えてるって
怖すぎやしないか?!
「びええええええええええ」
成人してないけど、
良い歳した大人の大泣きタイムです。
仕方ないよねこんな状況
咄嗟に理解して適応できる能力が
ある人間がいるとしたらそいつは
おかしい、絶対におかしい!
(大事な事だから2回言いました)
涙腺が弱ってるのか涙は止まらない。
いかんせん床に伏せてばかりだから
ほらこんなにも手にも力が入らない…
手
えなにこの手
TE
てええええええ?!(本日三度目)
何この手!大きくなったよ今!
さっき私赤ん坊だったのに
もう成長してる?!!
え、メイドさんもう一回鏡ををおおおっ。
(えこれ推定五歳くらい?見た目はもう幼女やで)
赤ん坊が消えた。
これは事件です。奥さん事件です!
ダメだもう、既に私の脳内は
キャパオーバーだ。
誰か説明してくれ。
バカな私にもわかる取扱説明書をおくれ。
「ググれカス。」
ん?ん?!なんだと!
なんて酷いことを!
「なんちゃってウフフ。」
いきなり暴言来ましたはいこれ。
隣に居るのに気配感じなかった、
誰この美人さん。
なんちゃってじゃすみませんよ
なんちゃってで済んだらうんたらかんたらですよ。
イタイケな幼女に追い打ちかけたらダメダメー!
「申し遅れました棗
私貴方の母の亜咽と申します。」
ほう。
さっきの暴言吐いたこの美人さん
私の母親なのか。
なら私への暴言も許してあげよう。美人だし
にしても…前世のマミーよりきr…グフグフ
この世界では私の名前は棗というらしい。
かっちょいい。
「腐りきったこの世界へ産まれたあなたへ
どうか幸あらんことを。」
そう言って綺麗に微笑んだその人が
この道化の世界の女王として君臨する人だと
この時の私はまだわからなかった。
((にしても最後の不穏な発言については
怖いから追及しないでおこう!))