ハニュー効果
えッ、声が出そうになる。
反応がないと思って、既に次の作業に入っていた。
が、足音が聞こえる。
ジーーー。
紙が出る。
出終わるまで、次の作業に移れない。
相手は、まだか、という顔をする。
ようやく、正規の手続きを進め、
相手に謝罪も含め、頭を下げた。
そして、俺は驚きと嬉しさで男の家を後にした。
まただった。
俺は、同じ轍は二度と踏まない。
今度は少し待った。
すると、女の声が帰ってきた。
いつもは夜の女。
30前後、いつものように不機嫌な顔をしていた。
「早くして」と言ってるような。
俺は素早く処理し、いそいそと引き上げた。
夜の女パート2のはずだったのに・・・
前の夜の女を処理した後、3件こなしていた。
中年、高齢の人らだった。
これまで驚異の100%。
しかし、夜の女パート2で途切れると思っていた。
女は満面な笑みをたたえていた。
俺はドキッとした。
おっと、手が・・・
ペンを落としてしまった。
女は嫌な顔もせず、自分でペンを拾い署名した。
「寒い中、ご苦労様」と女は言った。
俺は深く頭を下げ、彼女の家を後にした。
異常な土曜日だった。
いつも出掛ける人が在宅しているなんて。
2月17日?
「そうか」、俺は一つ頷いた。
思い当たることがある。
「ハニュー効果ッ」と俺は思わずつぶやいた。
「逆に・・・、
逆ハニュー効果があったかもしれない・・・」
テレビやレストランは冷や冷やしたろうと想像した。
さっそく、ネットで検索した。
案の定そうだった。
『羽生結弦選手、金メダル』、
さらに宇野昌磨選手も銀メダルを獲得していた。
みんな羽生選手を見るために在宅していたのに違いない。
これぞ『羽生効果』と言わずして、なんと言うだろう。
ありがとう、羽生選手!
ありがとう、宇野選手。
配達員一同より。
逆ハニュー効果、もしフィギュアスケートがゴールデンタイムに
放送されていたなら、裏番組は壊滅し、レストランの客足も減っただろう。
夜の女とは、本当の夜職業の女ではないですよ。
だって、よる夜に在宅してるから。




