閑話④ 勇者達の天職
本日はこちらの話です。
異世界召喚から一夜が明けた勇者達。今日は天職を確認するため王城のとある一室に集められていた。
「みんなあまり寝られてないみたいだね」
そんなことを紗綾は言うが自身も眠そうにしている。元に何度も欠伸をしている。
「それは紗綾も同じだろ」
それに敦が答えるが「ふぁ~」と大きな欠伸をしている。
どちらも似たようなものだ。
「二人ともだらしないわよ」
「そういう委員長は眠たくないのかよ」
「あまり眠れなかったわ」
そう答える三ツ葉。しかし眠れなかったと言ってはいるが本当は問題ないように見られる。目元にくまは出来ていないし、ハキハキとしているような感じがあった。
「みんなもその辺は同じかな」
敦は、クラスメイトの顔色を伺う。
確かに敦の言う通りみんな個人差はあれど睡眠不足を感じさせる顔付きをしていた。
「天職って何だろうね?」
「昨日聞いてな……ッ!」
三ツ葉が敦の靴を踵で強く踏み付ける。
敦は、「イテェなぁ」と言いたそうな表情で三ツ葉を見た。
「く、ま、い、く、ん?」
小声? いや、むしろ口パクに近い感じと笑っているがそうは感じない目元の表情は敦に「これ以上言うなよ」と言いたげな雰囲気を出していた。
「きのう?」
紗綾は、不思議そうに見つめるが二人は「あはは」と笑いながらやり過ごす。
時は昨日に遡る。
王様と謁見中。
紗綾は、終始竜の名前を読んでいたことは前にも述べただろう。その状態がもう悲惨で見ていられなかった。しかもその状態が結構長く続いた。昨日はあれだったがそれで暴走されるといよいよこちらも手を付けられそうにない。それに大方予想は出来るがそれでもどこに地雷のスイッチがあるか分からない。だから三ツ葉はきっかけを作らないよう止めに入ったということだ。
「あっ、あれですよ。紗綾さん。私たちの能力を見るらしいですよ」
三ツ葉は、慌てながらも紗綾に説明する。
「へぇ~。楽しみだね」
紗綾からの追求もなく今ので納得させることが出来た二人はホッとする。
それから数分後、
「お集まり頂きありがとうございます」
部屋に入ってきたのはこれまた老いた老人だった。しかし、身に纏う雰囲気はやはり違う印象を受ける。さっきまで和気藹々とした生徒達の空気は一瞬で凍り付く。
「え゛ぇ~」
生徒達は、"ゴクリ"と息を飲み老人が発する言葉を待つ。
「え゛ぇ~とですね……。なんじゃったかの~」
漫画風に表現するなら"あだだ"とずっこけるそんな感じだろう。
生徒達は、拍子抜けになる。
「天職についてですよ」
老人の背後に付いている人がすかさずフォローに入る。
「そうじゃった。そうじゃった」
そんなやりとりを見ていた生徒達は「おいおい大丈夫かよ」そんなことを思っているに違いない。
後ろに付いていた人から説明が始まる。
「今からこの水晶に一人ずつ手を当てて頂きます――――」
説明も終わりいよいよ能力確認が始まる。
生徒達は、順番に水晶に触れていく。
やっぱり勇者として呼ばれただけのことはあるようだ。天職を聞いた老人と説明をした人物は終始感嘆の声を上げる。
敦も順番が回ってきて水晶に触れる。
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隈井敦 人族 男
天職 剣士
スキル ?
ユニークスキル ???
称号 勇者
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「おぉー!」
「「何だったの(よ)?」」
敦の反応に紗綾、三ツ葉が同時に問いかける。
「剣士だった。いいねー! 勇者って感じだ」
敦は、満足そうに答える。
「早く二人も見てきなよ」
敦は、もう興奮して二人のが気になって仕方が無いようだ。
紗綾、三ツ葉も水晶に触れ天職を確認する。
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白銀紗綾 人族 女
天職 魔術師
スキル ?
ユニークスキル ???
称号 勇者
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佐野三ツ葉 人族 女
天職 弓術士
スキル ?
ユニークスキル ???
称号 勇者
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「おぉー! これもなんか定番だな」
敦は、アニメや漫画と比較しているのだろう。
「なによ。『定番』って」
敦の発言にご不満な三ツ葉。
「ごめんって委員長。定番っていうのはアニメでも強い系キャラってこんな感じの能力だったんだよ」
「そうなのね。アニメはよくわからないけどとにかく強いってことね」
「敦くん、私の天職はどうかな?」
紗綾も気になり敦に問いかける。
「いいよ! 魔術師だから魔法とか使えるんだろうな。俺もやってみたかった」
敦は、「くぅ~!」と残念がりながらも嬉しそうにしている。
「魔法……なんかこう響きがいいね!」
紗綾もテンションが上がってきたようだ。
「だろ!」
全員の天職の確認が終わり、
「それでは。明日から本格的に訓練を始めるので本日はゆっくりとお休み下さい」
老人の背後にいた人が言った通り生徒達は自分の能力に興奮しながら各々部屋に帰って行った。
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生徒達が部屋に帰った後、王城のある一室では今日のことが報告されていた。
「勇者達はどうだったのだ?」
「はい。結論から申しますと流石勇者と言ったところで御座いますな」
あの場にいた老人が教皇に報告する。あの時のボケた感じとは違いしっかりしていた。まるであの時はやる気が無かったのだろうか?
「特に魔術師は保持する魔力量が桁違いに多いですな」
「そうかそうか。他はどうなのだ?」
「戦闘系、少ないですが生産職系もちらほら」
「今回は伝承に残る記録と違い勇者の人数が多かったがそういうことだったのか」
どうやら今回の召喚は例外的なものと判断されていたようだ。
教皇は、考える。そして明日からのことをこの場にいる全員に伝える。
その場にいた人達は、教皇の考えに賛同した。
勇者のステータス(?)。とにかく能力表示の仕方を前のは暁的に分かりにくかったので変更しました。それに伴って前の話で出していたリュウの表示も変わっています。
修正、評価等(感想あれば)よろしくお願いします。




