閑話② 地球
とりあえず四章前に入れます。
梅雨明け間近の七月上旬。
高校の夏休み前の恒例行事が行われているのではないだろうか?
そう、定期テストだ。学生達は必死に勉学に励んでいることだろう。
とある高校でも期末テストが行われている。
「あぁー、終わった」
「うん……そうだね」
敦は、テストが終わったことにホッとした表情を作る。
しかし、紗綾は、ホッとするどころかむしろドンと重たい空気になる。その原因は、
「竜くん……」
現在行方不明となっている城谷竜だ。かれこれ一ヶ月程経つ。今も捜索が続けられているが全く手がかりがないらしい。この不可解な事件に「どこかで監禁されているんじゃないか?」、「もう殺されているのではないか?」、はたまた「神隠しにあった」とオカルトネタが囁かれてたりと様々な憶測が飛び交っている。
「大丈夫だって」
敦は、竜が行方不明になってからこうして毎日紗綾を励ましている。こうでもしないとおそらく日が経つにつれ紗綾がやつれていくような気がしていたのではないだろうか。
天使のような微笑みは影を落としている。
「もう……それは何度も聞いたよ」
こうして励ますのにも限界が近づいているらしい。
「何にも手がかりがないんだよ!」
「そうだけど、ほら! 小学校の時にも今回みたいなことあっただろ」
どうやら前にも同じようなことがあったみたいだ。
「帰ってきてあいつなんて言った? 『サバイバルしてた』だぜ」
なかなか竜は破天荒なことをしていたようだ。
「それはそうだけどあれは三日ほどだったよね。でも、今回はあんなのとは訳が違う」
「そう言われたらそうだけど」
敦は、言葉を詰まらせる。もうどうすることも出来ないと思ったようだ。「誰か助けてくれー!」と、そんな表情をして周りに求める。しかし、敦でダメなのに誰が解決出来るのだろうか?
さらにこの二人の周囲の空気はどんよりとしたものになる。
ここで、一人の女子生徒が話掛けてきた。
「隈井くん」
「委員長~!」
このクラスの頼れる人。委員長こと佐野三ツ葉だ。
「どうにかしてくれ。もう限界だ」
「まぁ、毎日よく頑張っていると思うわ」
さぁ、どのようにしてこの重たい空気を晴らすのか。
「紗綾さん」
「三ツ葉ちゃん」
「まだくよくよしているのですか?」
少し強めの口調で紗綾に問い掛ける。
「三ツ葉ちゃんには私の気持ちなんてわからないよ」
「ええ、分かりませんね。心配なことは分かりますが。でも、城谷くんが帰って来た時あなたのその姿を見てどう思うでしょうか? 迷惑を掛けたと思わせることは出来るでしょう。しかし、城谷くんが大変なことに巻き込まれていたとしたらそんな姿より元気なあなたを見た方が落ち着くのでは?」
「そうだね。そうだよ!」
どうやら上手く説得出来たみたいだ。
「さぁ! この話はこれで終わりにしましょう」
三ツ葉は、“パチン”と手を叩く。
さすが頼れる委員長だ!
どんより空気が晴れる。
「すまん、助かった」
敦は、「さすが委員長!」と思ったように安心している。
「別にいいわよ。紗綾さんは、チョロいわね。私なら殴り飛ばすわ」
三ツ葉は、静かに「ふふふ」と笑みを溢す。
ホッとしたのもつかの間、敦は、三ツ葉に恐怖を覚えたようだ。
「竜、一体どこに行ったんだよ」
突然、教室の足下が光り出す。
「なんだ?」
教室にいる生徒達が異変に気づき始める。
敦は、光る足下を見て何が起きているか分かったようだ。
「魔方陣か?」
足下には見たこともない文字が刻まれた魔方陣が徐々に現れ始めていた。
「みんな! 教室の外に!」
委員長が指示を出す。しかし、
「開かないぞ!」
クラスの一人が教室のドアを開けようとするが、びくともしない。
「敦くん」
「どうやら完全に閉じ込められたようだな」
抵抗出来ぬまま完成した魔方陣が強烈な光を発する。
光が収まった後、教室には誰一人いなかった。
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