15話 昇格試験①
遅くなりました。復活です。
三章スタートです。
しっかり休み全快した。
そして、今日はBランク昇格試験を受けるため朝早くからギルドに来ていた。まだ早い時間帯だったのでギルド内は空いている。これが昼頃にはいっぱいになるんだろうなと思いつつ昇格試験の説明を聞こうと受付嬢のいるカウンターへ足を進めていた。
カウンターから依頼を受注し歩いてくるパーティー。大きな身体、はち切れんばかりのムッキムッキの筋肉、顔に傷跡がある男。そう、ダグラスだ。
「おっ! 久しぶりじゃねえかリュウ!」
「やぁ! 久しぶりダグラス!」
ダグラスとはあの初めての依頼からたまにパーティーを組んで依頼をしていた。最後に会ったのは迷宮前だから本当に久しぶりだな。
ダグラスが肩を組んできて、
「聞いたぜ。なんか魔王幹部を倒したらしいじゃん。その話結構広まってるぜ」
「まぁ、幹部っていっても元だからよくわからないけど」
「謙虚すぎだろ。もっと自慢してもいいと思うんだけどな。まぁ、リュウらしいな。話も広まっているからいろんな奴にこれから絡まれるかもな」
「それが本当なら嫌なんだけど」
なんか困ったことになりそうな……。
「そんな嫌そうな顔をすんなって」
それからその場でダグラスが組んでいるパーティーの仲間を紹介された。
話は進み。
「なんでまた今日はこんなにも早い時間に来ているんだ?」
「Bランク昇格試験を受けるためだよ」
「マジかよ! 早すぎだろ。俺、Bランクまでかなり時間がかかったのに……。でも、幹部倒したから当たり前といえば当たり前だよな。むしろ、Aランクでもいいと思うけどな」
「ギルドの規則で飛び級は出来ないってさ」
「そうなのか。それじゃ、しょうがないな。それじゃそろそろ行くわ。がんばれよ!」
「おぅ! そっちもな」
ダグラスと別れ、俺は、受付嬢のいるカウンターへ向かう。
少し昇格試験のことも聞いたがどうやら依頼はランダムに振り分けるからどんな依頼が来るか分からないらしい。ちなみにダグラスの時は魔物討伐だったらしい。シルフィ達にも聞いとけば良かったな、Bランクだし。と言っても、現在シルフィにはあのルナンの『鑑定』スキルの一件以来口を聞いてもらえない。謝ろうとしてもシルフィ、リリア、アレスは俺が傷を癒している間に別の依頼で数日前に出て行ってしまった。今度会ったとき絶対に謝ろう。
「すいません。Bランク昇格試験を受けたいのですが」
カウンターで受付嬢に昇格試験について聞く。
「お名前を聞いてもよろしいですか?」
「リュウです」
「少々お待ちください」
そう言うと受付嬢はカウンターの奥に消えた。
数分後、
「おはようございます。リュウさん。傷は癒えましたか?」
奥からネアさんが出てきた。
「おはようございます。ネアさん。はい、もう大丈夫です」
「いよいよですね。それでは昇格試験の説明を致します」
「よろしくお願いします」
説明が始まり今回俺が受ける依頼は盗賊退治だった。ここからはかなり離れていてこの世界の三大国の一つであるオルスティア王国の近くの町にアジトがあるらしくそこの盗賊を生け捕り出来ないなら殺してもかまわないとのことだった。王国があるならそっちの方で依頼を出したらいいのではないかと思って聞いてみると、
「それもそうなんですが今、魔族が動き始めたことと関係して魔物達の動きが活性化していてそっちの対応で手が回せないらしいです」
そうか魔族も動き始めたのか。
「そうなんですか。ちなみに生け捕りにした盗賊はどうしたらいいのですか?」
「それは向こうの町のギルドで聞いてみて下さい。おそらく拘束用の魔道具が渡されると思います」
「わかりました」
「他に何か質問はありますか?」
「いえ、大丈夫です」
もしかすると初めて人を殺すことになるかもしれないな。中途半端になることだけは避けないと。
そんな不安を抱きながら俺はBランク昇格試験に挑むことになった。
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「冒険者様ありがとうございます。急ぎ出発しなければならなかったのでおかげで助かりました」
「いえ、俺もその町に行かなければならなかったので」
あの後、説明を受けた俺は行こうとしていたら護衛依頼が急遽入ってきた。その護衛もちょうど俺がこれから行くところまでだったのでついでにとネアさんに言われ受けることになった。この依頼は俺にとっても都合が良かった。徒歩で行かなければならなかったが依頼人は商人ということあってか馬車の荷車に乗れることになり数日で着けることになった。
荷車には色々な物が積んであったので気になって聞いてみた。
「商人さんは何を売っているのですか?」
「扱っているのは食材系ですね」
この世界の食べ物ってどんなのがあるのだろう。トレスで見れるやつがすべてではないに違いない。
「人気の食材とかあるのですか?」
「季節ごとに変わるのですが今回仕入れたのはコメという食材なのですが」
米? 今そう言ったよな。
「その食材って小さくて白い粒ですか?」
「合ってますよ!」
この世界にもあるのか。あぁ~。無性に食べたくなってきた。
「もしかして冒険者様は東方の国の出身ですか?」
う~ん。なんと言おうか。
「そっ、そうですね。その方の辺りです。しかし、見たことはなかったので、米は珍しい食材ですか? トレスでは見ることはなかったので」
「そうでございましたか。三大国や大きな町で主にコメが使われています。なので他ではたまにですね」
そうか。
あの町では主食にパンを食べていたが俺はパン派より米派だ。これは何としても食べなければならない。なんたって米は日本人の主食だからな。
俺に米を食べるという新たな目標が一つ増えたのであった。
それからも食べ物の話をしていたが、ここで展開していた『索敵』スキルに何かがかかった。
「商人さん止まって下さい!」
「はっ、はい」
馬車が急停止する。
「どうされたのですか?」
「魔物です! 商人さんはこのまま待機してください。いつでも逃げ出せるように」
「はい! わかりました」
俺は、臨戦態勢に入り魔物が来るのを待つ。少しして、
「そろそろか」
道端の茂みから何かが飛び出してきた。
プルンとしたゼリーの身体を持つ魔物だった。RPGゲームならド定番。
「スライムか?」
「きっ、危険です。冒険者様!」
商人さんはとても慌てていた。
スライムってゲームでいったらザコキャラじゃないのか?
「そんなに強いのですか?」
「普通のなら弱いのですがそのスライムは他とは違います」
商人さんはワナワナと慌てふためいていた。
俺は、正直疑問しか沸かない。これのどこが? 出てきたのは二体で、今もポヨンポヨンと可愛らしく跳ねている。赤色と青色だ。強いて言うなら俺は身長が百七十五センチなんだけど二体ともスライムは俺の頭を越し二メートル以上はあった。
「もう一度聞きますけど本当に強いのですか?」
「キングスライムですよ! あぁー、終わった」
商人さんは諦めたような顔をしていた。
キングスライムって言ったらあれだね。あのゲームだよね。
「とりあえずやりますか」
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リュウはスライムに向かって走る。
剣で赤色のキングスライムに斬りかかる。しかし、攻撃はポヨンと跳ね返される。
「えっ!」
攻撃が跳ね返されたことによって出来た隙を狙い赤色が火弾を放ってきた。
「ちょっ! あぶなっ」
リュウは、それを避けるが今度は青色が水弾で攻撃してきた。火弾の後なので態勢を整えるのが難しくギリギリで躱す。
「ふぅ~、なんとか避けたが」
リュウは、今の攻撃から推測する。身体の色と同じ魔法を使ってきたので赤は火属性、青は水属性の攻撃をしてくるのではないか。これはいいとして剣が通らないのは問題だろう。物理攻撃は全く通じないさっきの攻撃で傷一つ付かなかったから。
「魔法なら通じるのかな? 魔力を喰おうとしても一人じゃ出来ないしな。この際あれ使ってみるか」
リュウは、身体全身に魔力を巡らせる。
「顕現武装、黒狼!」
あの迷宮探索でリュウが新たに手に入れたユニークスキル『顕現武装』、リュウの姿が変わっていく。綺麗な銀髪は黒く染まり頭には獣耳、手の爪は狼のかぎ爪のように鋭く、狼の尻尾が生え、犬歯が鋭くなる。
「おぉー! これが顕現武装か。耳、尻尾まである! あの迷宮探索以降使う機会がなかったがこれならこのままいっても問題はなさそうだな。」
リュウはニヤッと笑う。
まるで獣のような雰囲気が出ていた。
リュウはキングスライムに再度仕掛けるが、
「うぁぁぁ! 早すぎー!」
顕現武装によって強化され、リュウの身体能力は今まで以上に向上したため制御が上手くいかなかったようだ。そのままスライムに突っ込みそして跳ね返される。
「あのままだったら止まれそうになかったしスライムがいて良かった。それにしても身体強化よりもこっちの方が強いな」
今度は足に魔力を込め黒刃を放つ。
キングスライムに漆黒の刃が迫る。物理攻撃で傷一つ付かなかった身体を真横真っ二つに斬った。
「やっぱり魔力を込めた攻撃なら通用するみたいだな」
しかし、攻撃は効いているようだが二体のキングスライムは再生し始める。
「再生するのかどうやったら倒せるんだ?」
リュウはキングスライムからの攻撃を避けつつまた、顕現武装を上手く扱えるよう身体に調節しながら感覚を馴染ませる。
キングスライムを観察していると身体の中心に丸い球が見えた。
「あれか?」
リュウは、あれが人間で言うところの心臓部分ではないかと予想し攻撃を仕掛ける。二体のキングスライムは火、水の魔法で攻めてくるが手に魔力を込めた黒爪で引き裂く。間合いを加速で一気に詰め、
「そこだ!!」
黒刃を放った。
核を斬られたキングスライムの保たれていたプルプルボディはドロドロに溶けた。
「やっぱりあれが核だったのか」
顕現武装を解除する。
「ふぅ~。顕現武装使っても特に問題はなさそうだな。もっと身体に顕現武装の感覚を馴染ませないとな」
一息つく。
「冒険者様! 大丈夫ですか!?」
「はい」
「お強いのですね」
「まだまだですよ。さぁ、早く町に行きましょう」
その後何ごともなくリュウを乗せた馬車は無事町に着いた。
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