14話 ギルド支部長
ここはギルド支部長室。
歩けるほどまで回復した俺はシルフィ、リリア、アレスと共にトレスのギルド支部長に呼ばれていた。
ずっと思っていた疑問だ。一体どんな人なのだろう? みんなに聞いても教えてくれないというより自分の目で見て判断してくれという返答だった。
「緊張するなぁ」
「そんなに気を張らなくても大丈夫だよ」
「そうなのか」
リリアはそう言うが彼女自身マイペースな部分があるからなんとも言えない。
「私は苦手だ」
シルフィは凄く嫌な顔をしている。
「まぁ、心配する必要はないね」
アレスはリリアと同じか。
なら、信じるぞ! この場合は多数決のルールだ!
そう思い、心の準備を整えていたら部屋のドアが開く。
入ってきたのは美形の男、気になったのは耳が尖っていて長いことだ。やはりこのギルドをまとめる人だけあって風格がある。それともう一人入ってきた。ネアさんだ。どういうこと?
「すまない。少し待たせてしまって」
「いえ、大丈夫ですよ」
アレスが答える。
「まずは、初めまして私はこのトレスのギルド支部長のルナンだ。気になってると思うけど私はエルフだよ」
「初めまして、リュウです」
お互い自己紹介をする。イケメンの枠を超えた美しさがそこにはあった。本に書かれていた絵とは違い実際に見ると、ヤベーヤバいよ。さすがエルフ!!
「そんなにかしこまらなくていいよ。なんか窮屈だし」
「わかった」
普通の人そうだけどな。
「本題に入ろうか。それにしても驚いたなぁ。魔王の、元だけど幹部があんな所にいたなんて。ほんと生きて戻ってきてくれて……私は……うれしいよぉぉ!!!」
突然、生きて帰ってきたことに歓喜のあまり涙を流す。そして、抱きつこうとして飛びついてきた。
「ウザい」
そう言ったシルフィによるグーパンチが炸裂した。
えっ、えぇぇぇぇ?!
「いっ、痛いじゃないか」
「キモい」
シルフィの目がまるできたないゴミを見るような目をしていた。
「んぅぅ! その見下すような冷たい視線ゾクゾクするなぁ」
自身を抱きしめクネクネ動かす。
あぁ、わかった。この人凄く残念な変態さんかも。
「はぁぁ」
ネアさんが呆れたようにため息をついた。そして、
「すいません。みなさん」
「いいですよいつものことですから」
「今日はまだマシですね」
マシってこんな人が支部長で大丈夫なのかと心配に思った。まだ疑問に思っていたことを聞いた。
「なんでネアさんはいるのですか?」
「いつもは受付でしか会っていませんでしたね。私、一応ルナン支部長の補佐、まぁ秘書みたいなことをしているのですよ」
「そうだったんですか」
聞けば受付嬢の中でも一番偉い役職にも就いているらしい。出来る人だ。
「あと、ああ見えてルナン支部長はSランクの冒険者なんです」
マジですか。今も悦に浸っているこの人が……全然そうは見えない。
「こんなのがSランクなのが余計ウザさを倍にする」
シルフィはとても怒っているようだ。
「あ~!! 今回もなかなか良かったよ」
満足したのか快感に浸っていた状態から復活した。
「今度はもうちょっと……」
「支部長そろそろ」
ネアさんがこの変な流れを止めてくれた。
ルナン支部長は最後に何か要求しようとしていた。
本当にとんだド変態野郎だな。
「コホッ、コホ。もう戦いについては聞いているから……」
ルナン支部長は俺をジッと見つめた。そして、
「なるほどなるほど。魔喰、顕現武装ねぇ」
天職は知られてる可能性があるにしてもユニークスキルについては何も言ってないよな。
まだ話してもいないはずなのにルナン支部長は俺のユニークスキルを当てた。
「聞いてたんですか? なんでわかったんですか?」
「ある程度は聞いていたけど今、私のユニークスキル『鑑定』で見させてもらったよ。こんなスキル初めて見たなぁ。それに天職も。」
『鑑定』スキル……ヤバいな。
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鑑定
調べる対象物のことが分かる。
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突然俺の近くに来てルナン支部長が耳打ちをし始めた。
「このスキルを使えば相手または物質のことが分かるんだけどさぁ。けれど、私のスキルは上位の『完全鑑定』制限がない。これがどういうことかわかるかい?」
そんなのわかんねぇよ。でも、制限がないか。というかもったいぶらずにさっさと教えろよ。
「普通の鑑定ならムリなんだけど……それがわかるんだよ」
だから何が?
「その対象物の細かい部分まで」
俺は、考える。正直これなら聞かなくてもいいだろう。でも、このド変態野郎が聞いてきたことだから普通ではないだろう。俺は、少し考えついたことに期待を膨らませながら聞いた。
「普通の『鑑定』なら相手のスキルとか能力まで見ることができるんだよな?」
「そうだよ」
「『完全鑑定』になると身体の状態とか見れたりするのか?」
「もちろん。さすがに完全って言っても見れないものもあるけどね」
「そっ、それなら……。こういうことか? たとえばなんだけど女性なら、すっ、スリーサイズとか」
「いけるね」
「マジで!」
「うん! マジマジ!」
ヤバいヤバいぞ。これじゃあ普通に使っても反則級なのに別の意味でも反則じゃないか。おっ、落ち着け~。深呼吸をし息を整える。
しかし、ルナン支部長がさらなる追い打ちを掛けた。
「それなら試しにやってあげよう。あの麗しいシルフィのスリーサイズは……」
「!!!!!」
声にならないほどの衝撃だった。
"ゴクリ"
ルナン支部長が言いかけたその時、
「お二人さんさっきからな~に話しているのかな?」
シルフィが笑って拳をバキバキ鳴らしながら、しかしその目は笑ってない。
「こっ、これはとても大事なことだと俺は思うんだ」
ルナン支部長の方を見る。
「別に私は興味はなかったんだけどさ~。なんか~リュウがどうしてもって言うからさ~」
ちょっとぉぉー! ここでまさかの裏切り発生。
おそるおそるシルフィを見ると、
「死ぬ覚悟は出来ているよな」
おぉぉ! 終わった。
シルフィによる捌きの鉄槌が下る。
「あ゛ぁぁぁー!!!」
一方、ルナン支部長も、
「な~に安心した顔しているのですか?」
ネアさんもまた怒っていた。
「どっ、どうしてそんなに怒っているのかな?」
「あんたがさっきから話をそらすからでしょうがーー!!!」
「あ゛ぁぁぁー!!!」
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二人共キッチリ絞められた。
「しゅみませんでした」
俺に関してはまだ治ってないのにその上からさらに攻撃されボロボロになった。
「とっ、とりあえずリュウは治療しないと」
リリアが回復魔法を施す。
「あっ、ありがとう」
「ドンマイだね。今回は」
ルナン支部長は行動不能になるほどになっていた。変わってネアさんが、
「話を進めましょう。今回の件についてですが臨時報酬と元ですが魔王幹部を倒した功績はとても大きなものなのでランクを一気に上げたいのですが規則で出来ないのでアレスさん、リリアさん、シルフィさんにはAランクの認定試験の許可を、リュウさんにはBランク認定試験の許可を出したいと思います」
とてもうれしい報酬だ。しかし、俺以外の三人は認定試験の許可を取り下げた。
「いいのですか?」
「「「はい」」」
「今回倒したのはリュウです。僕たちは手も足も出ませんでした。地道にやっていこうと思います」
「わかりました。リュウさんは?」
「俺は認定試験を受けます」
俺にはやらなきゃならないことがあるからな。もらえるならもらっておこう。
「では試験については後日」
「わかりました」
こうして初のダンジョン探索は幕を閉じた。
これで2章は終わりです。どうだったでしょうか? 次回からは3章に入ります。でき次第投稿していきます。
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