13話 迷宮⑤
冒険者ランクを変更しました。第5話です。
そっと肌を撫でるかのように心地よく吹く風。辺り一面はきれいな草木の緑に囲まれ、鳥たちの鳴く声もまた穏やかな感じを生み出す。
丘の上のある一本の大きな大樹その下である男が心地よさそうに寝ていた。葉の隙間から少量射し込む暖かな日の光が温もりを与える。
「あっ! またここにいた! さぁ、戻るよ」
暗いアメジストカラーの髪をした美しい少女が微笑みながら寝ている男に話しかける。
「ん? ふあぁぁ。もう少しだけ」
欠伸をし一瞬目を開けるがまた男は眠そうに夢の世界に入る。
その様子に呆れた少女は、
「もぉ~~~~。ほんと○○○は……な……」
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「んぅぅ」
俺は、目を覚ました。少し混乱している。最後の記憶では確か魔王の幹部ワイズと戦っていたはず。そして動けないシルフィを攻撃から守ろうとして……。なのに、今、俺がいるのは純白のベットの上で寝かされている。
ここで一つ気になることがあった起きる直前まで俺は何か夢を見ていた。姿はぼんやりしていて誰かはわからないでも声の感じからして少女なのは間違いない。その人が俺に話しかけていた。そして最後に彼女が何かを言っていたようだけどはっきりと聞き取ることは出来なかった。
「ああー! なんかモヤモヤするな」
ふと手に温もりを感じた。右手の方を見るとそこには俺の手を握っているシルフィが寝ていた。その寝顔を見て、可愛い、いや、美しい? とりあえず胸の鼓動が早くなりそして見とれてしまった。
「ほんとこれはラッキーと言った方がいいのか?」
急にどこからか視線を感じる。動くのもきついし首だけ動かして見るとこの部屋の入り口から覗いている見知った顔の二人。何をしているのか? それにしても最近こういうのに敏感になってきたなぁ。覗いている二人と目と目が合う。
「あ~あ。ばれてしまったか」
「もう~少し見たかったなぁ~」
そう言ってアレスとリリアが部屋に入ってきた。
「いや、なにしてるの?」
「のぞきです!」
見たらわかるよそれくらい。リリアさん、そんなドヤ顔されても……。俺の聞き方も悪かったな。
「身体の調子はどうだい?」
「だるいけど特に問題はないよ」
「ならよかった」
アレスに聞かれて答える。
「よし、では寝ている姫様を起こすとしますか」
「シルフィ、シルフィ~、起きろ~」
リリアがシルフィを起こそうとする。
「ふあぁぁ。あっ、りりあ」
シルフィは目覚めたが起きぬけで寝ぼけているだが、それがまた可愛い。
俺は普通に、
「おはよう、シルフィ」
「ん? あっ、りゅうか。おはぁぁぁぁぁ!」
寝ぼけ顔が一気に引き締まりいつもの感じに戻る。
「いっ、いつ起きたんだ?」
「今さっきだけど」
言ったとたんにシルフィの顔が赤くなり始めた。
「シルフィ~! バッチリとリュウに寝顔を見られていたよ!」
リリアがサムズアップしからかう。おいおい、そんなことしたら。
「……けせ」
なんて言ったんだ? 小さすぎて聞こえない。
シルフィの周りに風が吹き始める。
まさか!
「今すぐに起きる前の私に関する記憶を消せ」
ムリムリ、どうやってもムリでしょ。むしろ意地でも消したくないわ。
だから俺は、
「良かったです。ありがとうございます」
感謝の意を込めてお礼を言う。
「ふぅ~」
シルフィが息を整える。
攻撃されると思い身構えていたがシルフィの纏っていた風が止む。
「ありがとう。あの時リュウが私を突き飛ばしてくれなかったら……今ごろ私は……」
シルフィが頭を下げお礼を言う。
急に言うから少し驚いた。
「なにも気にすることじゃないと思うけどな。俺たちは仮にも今回はパーティーを組んでの仕事だったんだからさ」
「けれど、リュウは私を庇って……」
「お互いさまじゃないかな。俺だってシルフィには救われたし。もちろん、アレスやリリアにも」
「まぁ、リュウもこのように言っているからもうこの話はこれいいんじゃないかな? いつまで経ってもきりが無いし」
アレスが言ったことでこの話は何とか終わらせることが出来た。シルフィは納得してないような顔をしていたが。
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「戦いはどうなったんだ? なんで俺はここに? 途中から記憶が無いんだけど?」
アレスがあの後のことを話してくれた。
「なるほどな」
「本当に何も覚えてないのか?」
「ああ、まったくだ。シルフィを突き飛ばしたところまでなら覚えているんだけどな」
はぁ~、聞くかぎりとりあえず凄かったと確認したいんだけど何かする方法あったかな?
「あっ! あれだ」
俺は、身分証を取り出す。
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リュウ 人族 男
天職 魔喰
スキル ゴブリン 黒狼 鷹 不死王
ユニークスキル 顕現武装
称号 冒険者
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う~ん。なるほどなるほど。変わってないか? 初めに見た時と違う。スキルがなぜか魔物の名前になってるし。ユニークスキルが確か「???」だったのに「顕現武装」? どんな効果なんだろう?
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顕現武装
取り込んだ魔物の魔力から武装を作り出す。その魔物の特性も付与される。
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話の内容的にこれを使ったんだな。
「何か分かったのか?」
「まぁな、言った方がいいのか?」
「出来れば聞きたい」
シルフィにそう言われた。
他の二人も頷く。
「ユニークスキルを習得していた」
少しみんな固まって、
「「「えええぇぇぇぇ!」」」
「そんなにすごいことなのか?」
「それはもちろんだよ! なかなか持つことはできないからね」
アレスに説明をされたが希少なものだということが分かった。
「なぁ、こういうのって答えていいのか? 秘密にしたりしないのか?」
「しないな。スキルについても広まっているから隠さなくても使っていたらある程度わかるからな」
そうですか。それもそうだよな。隠しても使っていたら変わらないよな。
「リュウ、何のユニークスキルだったんだ?」
「顕現武装ってやつ」
「聞いたことがないな」
シルフィが言う。
「それってもしかして新種のスキルじゃないの?」
リリアもそう言うから俺だけの専用か? そうだったらかっこいいな。
「その可能性が高いね。リュウの天職も新種のものだし。まぁ、とりあえずリュウもこうして無事に目覚めたしあの人にも言っておかないと」
「誰なんだ?」
「支部長だよ。ギルドの。リュウがある程度動けるようになったら来るよう言われているから覚えといてねリュウ」
「了解。アレス」
このトレスのギルドの支部長かどんな人なんだろう?
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