プロローグ①
初投稿です。よろしくお願いします。
俺は、緑色の肌をした怪物に追いかけられている。
ファンタジー系小説を読んだことがある人なら一度は見たことがあるかもしれない。おそらくゴブリンだろうか。
「ギャーギャギギ」
向こうはこちらを獲物と判断して手に棍棒を持ち追いかけている。
なぜ、俺がゴブリンに追いかけられているのか。
すべてはあのとき。
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俺、城谷竜はこの春高校一年になり今はじめじめとした六月梅雨の時期だ。高校生活というものに少しずつ慣れてきた。そして今日も平凡で楽しい学校生活が始まる。
「おはよう」
「おう、竜おはよう」
「なに読んでいるんだ?」
「昨日出たラノベの最新刊だ。お前もどうだ?」
「いや、俺はいいや」
「お前にはこの素晴らしさが分からないのか? まあいい、いつでも言えよ貸してやるぞ」
今、会話したのは隈井敦だ。彼は、この通りオタクというやつだ。外見は筋肉質でかなり厳つい、知らない人から見ればヤクザっぽく見られてしまうところが難点だ。けれども、誰とでも話せる明るい性格の持つ。
「おはよう、竜くん、敦くん」
「おはよう、紗綾」
「うっす、紗綾」
彼女は白銀紗綾、端整な顔立ちでスタイルも完璧、控えめなところがあるがそれがまた彼女に上品な印象を与えている。入学早々彼女のことは噂で広まり人気が高い。
ちなみに二人は小学生時代からの仲だ。
「そういえば、この前、先輩に告白されたんだろ? どうなったんだ?」
またですか。一体これで何人目になるのやら。必ず一日一人は告白してくるからな。もう多い時には……数えるのも馬鹿らしい。
「断ったよ」
「おいおい、その先輩かなり人気らしいぜ~。なんて言ったんだ?」
「私には、好きな人がいますと言ったわ」
「ほうほう、で、その好きな人と言うのは?」
敦はニヤニヤしながらその答えを待つ。
「それは……」
紗綾が、顔を赤くし俺をちらちら見ながら何かブツブツ言っている。
なぜ俺の方を見ながら言っているのだろうか?
「ハイハイ、ごちそうさまです。竜も少しは気づけよな~」
「んっ、何が?」
「はぁ~~~~」
そして、なぜ敦は呆れているのか。というか今の会話のどこに呆れるところがあるのだろうか。俺には、さっぱり分からなかった。
色々可能性を考えていたところ紗綾は復活し俺に話かけてきた。
「竜くん、今日の放課後三人で駅前の人気スイーツ店に行かない?」
スイーツ! いいなぁ~、クソー、行きたいけど……。
「ごめん、今日は急に道場の手伝いが入ってだめなんだわ」
俺の親父は近所の子供達に柔道を教えている。俺自身いたって普通の人だから自分の身を守れる程度で始めたところハマってしまって今では定期的に手伝いをしている。
「また今度な」
「うん! また今度行こう。あとね……それでね……」
と、まぁ、いつも通り学校生活を送った。
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放課後。
俺は、道場を手伝うため急いで帰っていた。
「はぁ、はぁ、はぁ」
突如、急に地面が光り出した。
俺は、立ち止まる。
「はぁ、何これ」
輝きと共に見たことのない文字が円上に刻まれていく。そして、視界が白く塗りつぶされる。
「うぁーーーー!」
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目をゆっくり開ける。
「ここは?」
俺は、どうやらまったく違うところに飛ばされたようだ。
「異世界?」
さっきまでの住宅街の風景ではなく地面はフワフワの綿飴のように真っ白それはまるで雲。もし雲に乗れたならこんな感じなのだろうか? 周りを見渡すとどういう原理か分からないが今立っているの同じような雲から滝のように水が流れるものや、木など植物が生えていた。また、そこら中に神殿のような建物、見たことのあるガラス張りのビル。建物の種類には統一感がなかった。
「俺は死んだのか? いや、それはないか。記憶もしっかりと残っている。やっぱり異世界に召喚されたと考えるべきか?」
"異世界"といえば、日頃から敦が熱く語るラノベを思い出した。
「この流れなんか似てないか? となると次は……」
突然、この世界に綺麗で澄んだ声が響く。
「ようこそ、城谷竜」
目の前にこの世の者とは思えない美貌を兼ね備えた可愛らしい幼女が現れた。