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年上メランコリック  作者: Sako
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ふぉー


小春が山下君と付き合って1週間。2人共、ラブラブ過ぎず離れすぎずの丁度いい距離感を保っていた。

そしてなにより、小春の幸せそうな笑顔が見られてよかった。


「夕紀〜岡本君がこんなメモを私にくれたよー」



売店で買って来た焼きそばパンを大事そうに抱えて小春がやってきた。若干にやけ顏の小春から、ノートを破ったであろう紙を受け取る。


「なになに…今日の放課後、そのまま教室に。だって!これ告白なんじゃないっ?」


綺麗に畳んである紙を開いたまま無言のあたしの代わりに小春が音読した。短い文だ。


「声に出して読まないでよ。周りに聞こえたらどうするの」


「えー、いいじゃん。聞かせとけば」


えへっとニッコリ。可愛い。けど、


「ダメなものはダメ。これ待ってるべき?」


「もっちろんっ!」


グッと親指を立てられた。


「ねえ、小春」


「ん?」


「岡本君って誰?」


「そこからぁ~」


小春が椅子からずっこける振りをした。


「うん。だってこのクラスじゃないし。1年の時も一緒じゃなかったから」


「岡本純君!1組の学級委員!」


「…知らない」


フルネームで聞いてもクラスを聞いてもわからないものはわからない。ちなみにあたしのクラスの学級委員は小春。


「まあ、私たちは5組だから教室遠いもんね。で、どうするの?」


「一応待ってる」


「よしっ、じゃあ私は図書室で待ってるよ。今日は放課後デートだもんね♡」


今日はあたしと小春の2人で駅前のアイスクリーム屋に行く日。さっさと話を済ませてしまおうと胸に誓った。




放課後、自分の席で本を読んでいると、後ろのドアから眼鏡の男子が入ってきた。

たぶん岡本君。


「岡本だ」


ですよね。でも思ってたのと違う。

寝癖のない整った黒髪。シュッとした大きすぎない眼鏡。スラッと高い身長に男らしい骨格。

もっともやしっぽくて、ガリ勉な感じを予想していたのに。

私のガリ勉のイメージはパッツンの前髪、大きくて丸い眼鏡、ヒョロヒョロのノッポ。


偏見じゃないですよ?


アニメに出てきた勉強大好き人間がこんな感じだっただけですよ?


頭が良いみなさん、怒らないでね?



「単刀直入に言う。御山夕紀、俺と付き合ってくれ!」


「はぁ」


気の抜けた声が出た。なにこの告白。

もしかして、恋愛的なやつじゃなくて、用事に付き合えとかかもしれない。


「なんだその返事は」


「…何に付き合えばいいんですか?」


とりあえず聞いてみた。


「は?何に?……ぶふっ」


私の言ったことが理解できたのか岡本君が吹き出した。そして一通り笑った後、ズレた眼鏡を直して私に向き直った。


「おもしろい冗談だ。だが僕は恋人になってほしいと言ったんだ」


「私、岡本君のこと全然知らないんですけど」


「だろうな。でも僕は御山のことをたくさん知っている」


「だから?」


ストーカーですか?


「ノープロブレムだ。これから知っていけばいい」


「遠慮します」


「なぜだ」


「私が貴方のことを好きじゃないからです」


「そんなことは把握済みだ」


変な人だ。


「じゃあ、もう話は終わりです。用事があるので、さようなら」


「ちょっと待て、俺は諦めないぞ」


「そうですか。頑張って諦めてください。」


「な、ならばあれだ。友達”から”というのはどうだ?」


「”から”じゃなくてそれ以上発展しない友達ならいいですよ」


「うっ…もう、それでいいよ」


決着がついたみたいなので私は図書室に。

岡本君は…いいや、放置しておこう。

ぼーっと立っている岡本君を教室に残し、私は廊下を走った。


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