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年上メランコリック  作者: Sako
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16/23

しっくすてぃーん



3年生が大学受験の為に必死に勉強している中、私は必死に英語を教えている。

沢田に。

次のテストで赤点を取ったら毎日居残り勉強をしなければいけないらしい。


「御山ー、ここわかんねー」


「えっと、そこはね…」


手のかかる犬だ。


「あっ、今俺のこと犬って思っただろ?!」


「あ、うん」


いつも思うけど、なんで考えてることわかるんだろうか。


「いいかげん犬扱い止めろー」


「いいじゃん、可愛いんだから」


「男に可愛いって言っても褒め言葉にならねーんだぞ」


「そうなんだ。それより、はやく解かなきゃ日が暮れるよ」


「もう暮れてるよ」


「…本当だ」


時計の針は6時を指している。


「もう、帰らないと」


よっこらしょ、と体を持ち上げた。


「そうだな、下校時間だ」


2人だけの教室はどこかもの寂しい。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



まったりのんびりできるはずの日曜日の午後。

私は今、数学を教えられている。雅に。

どうしてこうなったのかというと、さかのぼること1時間。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「夕紀ー、あんたまた数学だけ失敗したの?」


お母さんに呆れられるのは毎度のこと。


「あーうん。だって数学だけはチンプンカンプンなんだもん」


「そんなんじゃ、大学受験が心配じゃないの。次のテストで平均点以下だったら、数学だけ塾に行かせるわよ」


「えっ?!嫌だよー!」


高校受験の時に塾に通ったけど、あれは地獄だった。


「だったら頑張って上げなさい」


「夕紀ちゃん数学ダメなんだー」


雅がひょこっと顔を出した。


「な、なんでいるの!?」


「いつものことじゃねーか」


お兄ちゃんは当たり前のように麦茶を雅に渡した。

まあ、そうなんだけれども。


「俺が教えてあげようか?」


「雅は数学だけはできるからな」


「数学だけはってなんだよ~」


「雅君が教えてくれるなら心強いわ!お願いしてもいいかしら?」


「もっちろんですよ~。お任せください!」


雅がお母さんに向かってウィンクした。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


と、いうわけだ。


「こらこら、ぼーっとしない!次の問題解いて~」


「うっ……はい」


数学は目が回りそうだけど、これはこれでいいかもしれないと思ってしまった。








雅に教えてもらったからなのか、はたまたあたしが頑張ったからなのか、

次のテストの数学は過去最高点だった。


「おかーさーん!見て!これ!」


テストで100点をとった小学生のようにテンションが上がってしまう。


「あら~、やればできるんじゃない。雅君にもお礼しときなさいよ」


「はーい」


お兄ちゃんから雅のメールアドレスを教えてもらい、


【おかげさまで良い点がとれました。ありがと】


と送った。


数時間後。雅からの返信には


【良かったね~!お礼にバレンタインのチョコ頂戴ね】


と書いてあった。


「バレンタイン…。もうすぐじゃん」


恋をしてない私は毎年無ければいいのにと思っていた行事。それが今は少しだけ楽しみだったりする。

でも、


【からし入りのチョコをあげます】


やっぱり私は素直になれない。



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