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芝浦ちゃん!  作者:
1/6

自販機になっちゃった!



ボクは気がついたら

…自販機になっていた…


おかしいなぁ?


ボクはただ…

お兄ちゃんにこれを届けたくて…


お兄ちゃんにあげるチョコケーキ。




あっ!お兄ちゃん!




「今日は寒いな…

…あれ?

こんなとこに自販機あったっけ?」


(気づいてよ、ボクだよ…)


「…てか、

チョコケーキ売ってるし…変なの…」



(それは、お兄ちゃんにあげる…)


「とりあえず寒いからな、暖まるか~」


(っ!…何か入れてる?)

「…小銭?」



「これにするか~」


ポチっ!


(んー!

くすぐったいよぉー)


「…声?

つーか、反応悪いな…」


(ちょ!何回も…

くすぐったいてばぁ!)


ガチャン!


「…やっと出てきた…」


(ちょっ…!

そんなとこ…触らないでよ…)


ボクのなかにお兄ちゃんの手が入ってくる

…ボクの大切なところに…


お兄ちゃんなら…いいよ…



「…っおかしいな、

缶が抜けない!」


(なんか気持ちい!?

…なんでだ?)


…ココアを取ろうとしてるだけなのに!


(あれ?

やっぱ…声が…)


『お兄ちゃん…』


(…女の子?

てか…ボクっ子?)


…ボクっ子…

…一人しかいないな…


「ゆ…結香か?」


(えっ…!

どうしよ~)


「お兄ちゃん…」


(お~声がはっきり聞こえる!)


「…何で自販機?」


(えっと…何でだろ?)

「…わかんないよ…」


結香のその声は…

泣きそうだった…


(…やっぱ結香の声って、

スゲー可愛いな)


…今は自販機だけど…




「…なぁ結香…」


「なに?」


「…これからどうすんだ?」


「うーん…あ!

…お兄ちゃん、バイトは…」


「…結香…

俺、昨日から休みだぞ」


「えっ…?」


「えっ、

ってなぁ…」

(俺、言ったよな…)



「じゃあ…

お兄ちゃんは?」


「俺は…まぁ…その…

ちょっと野暮用でな…」


(なんだよ…

風邪治ったのか。


今から、見舞いに行こうと思ったのに…)



二人はとりあえず、

元に戻る方法を考えていた。



「ねぇ、お兄ちゃん…」


「ん、なんだ

なんか思いついたか?」


「うん…キ…」


結香がそう言いかけたとき…


結香の体が

ピンク色の煙に包まれた…


「結香!大丈夫か!」


「うーん…大丈夫…

あれっ?」



…体が戻ってる…


「元に戻ったよ!

お兄ちゃんっ!」


…よかった。

「大丈夫か?

…ケガ無いか?」


「うん!

何ともないよ~」


ガバッ!


俺は、たまらず結香の小さな体を抱きしめる


「えっと…お兄ちゃん?」


…ホントに戻ってよかった…

「スゲー心配したんだぞ?


…結香、もう少しこのまま…」


「うん、いいよ…」


ボクはお兄ちゃんの顔を覗き込むと…

お兄ちゃんは泣いていた…

(ホントに心配してくれたんだね…)



『ふふ、あの子…

おもしろいわね。


気に入っちゃった。』







「お兄ちゃん!

ホラ、あれ!」


「ん?…ドコだ?」


…居なくなっちゃた…


「さっきね、魔女がいたんだよ!」


「魔女?

…結香、アニメの見すぎじゃねーか?」


「違うってば、ホントに居たんだよー!」




俺はこの時

結香の見間違えだと思っていた…



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