ウル・ティタ:捜索
「グーグー……」
「やれやれ。全く緊張感がないな。軍と行動を共にしているというのに。列車に乗ればいつもこうなのかい?」
「はい。気付くと寝ちゃってるんですよ、私が話し掛けたとしても会話にならないんです」
「罪な男だ。女の子に話し掛けられているというのに。そんなんじゃ彼女、君の傍から離れてしまうぞ?」
「どういう意味で?」
「彼は、君に依存しているように見える。いつまでも一緒に居られる訳ではないのにね」
「ライドさん?」
「君も彼に頼られているのを受け入れている。だが、いつまでもそういう訳にはいかないだろう?」
「それはどうかな……分からないかも、です」
「ふっ、罪な男だよ」
ライドの言葉に頬を染めて返答するティタ。ティタは、本を開いた状態でありながら、時折ウルを気にしている。そんなこともウルは気付いていない。
ティタの隣で黙って話を聞いていたキリナは、窓からの景色に細心の注意を払っていた。一応、軍の任務中なのだから当然ではあるが、ライドはそんな状況の彼女に苦笑していた。
「大尉?」
「熱心なのはいいが、万が一に見つけたとしても降りられないではないかね?」
「銃は撃てますよ」
「物騒なことだ。これは私も用心だ」
「大尉、からかわないでください。ワタシは真剣なんですから」
「ああ、宜しく頼むよ」
たまには肩の力を抜いても構わないと思っているライドだったが、キリナの真摯な姿勢に言い出せないでいた。もちろん、ライドも注意を怠っている訳ではない。軽口を叩いてはいるが、その目はキチンと視野を広げていた。線路を封じていた羊の群れとはぐれていた一匹を見つけると、車掌に事情を話して対処をしてもらった。そんなライドの姿を見ていたティタは素直に感心する。
「やっぱり、ライドさんって凄いんですね。抜け目がないというか。キリナさんが付いていくのも頷けますよ」
「そうね。キチンと仕事をこなしてくれるから、部下としても安心してるわ。まあ、ときどき抜けている事があるから、その時はワタシがフォローしなきゃだけどね」
「これこれ二人共。私をそんなに褒めても何もでないが?」
「別に何も見返りなんて期待してません。それより大尉、そろそろ着くみたいです」
「……そうか」
さっきまでの軽妙な口調がキリッと変わる。最近、連続殺傷事件があったという街へと到着したのだ。ギルへの手掛かりを少しでも得られればと出向いた。
「風車の街、ルワン。評判通りの気持ちのいい風だ」
「行きましょう大尉。事件現場へ」
「ウル! 起きるの!」
「……おぉ!?」
心地よい風を受けて、ウルは思わず寝かかった。ティタにひっぱたかれたのは言うまでもない。




