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God of slayer  作者: 秦条 暁
神殺しの剣士
4/4

学園交流ランク対戦

教室に入ってきたのは姉のアリサ・ミルフォードとクレア・パーシヴァル。

アリサは教室にいる生徒に軽く挨拶をしながら入ってくる。

クレアもアリサと同じく軽いお辞儀をしながら入ってくる。

アリサとクレアがユウのマエまで来るとアリサが最初に口を開く。

「久しぶりねユウ。……リナから聞いたよあんたに他人だと言われたって。どういうこと?」

「ユウ君さすがにそれはひどすぎる。いくら家と縁を切ったって……」

「……」

ユウはため息をつくとアリサの目を見る。

彼女の目は常に迷いがなく将来を見据えるような瞳を持っておりその透き通る瞳は何もかも見透かされているように感じる。

自分にはない瞳である。自らの瞳は七年前に輝きを失った。彼女はいまだ輝きを帯びている。その強さはユウではとても適わない心の強さである。同じ事件を経験しても彼女の心は折れなかった。

クレアの瞳は心配の色とは裏腹に真実を追い求める強さが感じられる。

彼女は昔から少し心配症だったが、とても意志が強い女の子でどんなことがあっても決して逃げなかった。

ユウは二人を見て覚悟を決めたように口を開く。

「分かった……。アリサとクレアには本音と真実を話そう」

「話してユウ。リナを泣かしたことと他人として接する意味。そして……どうして家を出て行ったのか……。私の唯一の弟ユウ・ミルフォード」

彼女が彼の前の名前を口にすると沈黙の風が吹きそして誰もが驚愕の表情をする。

ミルフォード家はユウの存在を隠し続けていた。その理由はユウとエルフォード夫妻のみが知っている。

一人は口を抑え一人は幻聴か何かと疑い一人はメモをとったりとしている。

真実を知っているガイは腹を抱え苦しみながら笑いを堪えている。

「……まずはリナに他人のように接した理由は単純に家族の絆……縁が切れたから今は赤の他人であり友達でもなんでもないしユウ・ミルフォードとして会ったのなら普通に接するが今はユウ・エクシードとして会ったから他人で接した」

「ファミリーネームが変わった程度で絆が切れるの!?そんな柔な絆だったの私達は!!」

「ミルフォードとエクシードに変わったのは大きな変化がある。ファミリーネームがエクシードになったときに俺はとある契約をした。契約の中身は言えないがその契約でエルフォード家との縁を完全に断ち切った」

「……契約の中身は言えないの……?」

「……また時が来たら説明する」

「……どうして今すぐ言えないのユウ君」

クレアはもっともらしい疑問をユウにぶつける。

「契約の内容は今後に関わるからね。しかもこの契約には君達も少しだけ関わっているから言うわけにはいかない」

「私達が関わってるならすべてここで吐き出しなさいユウ!!」

ユウはやれやれと首を振る。

「それは言えない。そういう契約だからね。仮に言っても君達には未来永劫関係ない内容だからね」

「それを決めるのは私達だよ」

クレアは真剣な目でユウを見る。

ユウはその目に何か思ったのか視線を避けそして口を開く。

「契約の中身は話せないけどあの事件が起きたきっかけとその原因、そして俺の正体なら教えることが出来る」

「……真実?」

クレアは首をかしげる。

「ああ。真実だ。アリサが望めばだけど」

「いいわ話して」

「じゃあ屋上へ移動しよう。屋上なら誰もいないだろう」

ユウとガイは教室を出て行くとアリサやクレアも出て行く。




屋上の景色は言葉にならないほど綺麗な絶景だと言われておりここはカップルが夕日を楽しむ場となっている。

しかし来たのは重苦しい空気を背負ってきた四人組である。

「ここまで来たしそろそろ話そうか」

ユウはすばらしい朝の絶景を背にして話し出す」

「11年前エルフォード家の当主にしてお前の父親ゲイル・ミルフォードによって拾われた。そして4歳のおまえと3歳のリナと出会った。つまり俺たちは血は繋がっていない。血縁者じゃない」

「嘘……」

「じゃあユウ君はアリサやリナとは義姉妹の関係?」

ユウは頷くと話を続ける。

「そして俺はミルフォード家に引き取られた。自分の名前はユウとしか覚えていなくてファミリーネームを貰った。そのときはまだ自分の存在の意味を知らなかった。知ったのは8年前精霊との契約に失敗しゲイル、そして死んだ母マザー・エルフォードと共に理由を調べるために再び拾われた場所に向かった。残されていた資料を見てそしてその真実を知った。……母は大泣きしたよ。……当の俺は何も感じなかった。どうせこんなことだろうとは心のどこかで思っていたからだろう」

「……真実は」

アリサは静かに尋ねるとユウは悲しげな顔をして柵にもたれかかる。

「対神兵器さ」

「……!!」

「神は強大だ。……どういう実験だったかは知らないが、実験による失敗作は大量に残っておりその実験の主任が本当の俺の父であった。俺は成功体でありその力が暴走して研究所を破壊、そして俺という存在が出来上がった」

「そんな……どうしてそんなことを……」

「神を殺すためさ。俺のような存在は神を殺すのに一番有効なのさ。神の弱点は同じ神だからな。当時の世界で神と互角にやりあえる存在などいない。だから質を上げ量で攻める予定だったんだろう。この実験が成功すればこの実験は表向きでも出来るようになりさらに大きな場所で大量の対神兵器を量産すれば神に勝てると踏んだんだろうが実験は失敗。実験は1stで終わった。生き残ったのは俺ただ一人だけだよ」

衝撃の真実にクレアは口押さえアリサは視線を外した。

「……リナには真実を隠しとけ。これを知ればおそらく混乱するだろう。知らないことがいいときもあるんだ」

「だから……アリサもクレアもこのことは他言無用にして俺に関わるな」

ユウはそう言い屋上から降りようとするとアリサに胸倉をつかまれる。

クレアも険しい顔で見つめている。

「……じゃあもうあの頃のユウは戻ってこないというの……、もうあの頃の日常は帰ってこないの……」

「……いい加減現実を見ろよアリサ。……もう俺たちは姉弟の関係ではない。そしてあの頃のユウ・ミルフォードは7年前のあの夜に死んだ。……俺は殺すぞ、母を殺しミルフォード家の人生を狂わし世界をおもちゃのように扱う神をこの手で殺す」

アリサはユウの瞳を見ると咄嗟に後ろに下がった。ユウの瞳にドス黒い怨念が宿っておりアリサが思わず恐怖を覚えるほどである。

ユウはそのドス黒い狂気のようなものを心の中にしまうと屋上の扉を開ける。

ガイは寝起きのように目を擦りながら屋上を下りてくる。

屋上に来た意味があるのかと疑問に思う。

ユウは朝日の眩しい光を遮るように太陽の前で言い放つ。

「さぁこれが真実だ。だから俺のことには関わるな」




ユウ達が教室に戻るともう自分達以外みな席についていた。

仮にもみな育ちの良いお嬢様達でありしかもみな優秀な学校から入学しているまたはこの中学校から上がってきた人間ばかりである。

ユウ達は教室に入るとアリサにみな視線が行く。

生徒代表であり絶大な人気を誇るアリサはこの学園のアイドルである。

本人は自覚なしだが外の世界を踏み出せば確実にひいきしてもらいあらゆる男達にご奉仕されるだろう。

アリサの周りだけ次元が違うように熱気がすごくとても場違いだと自覚させられてしまう。

教室のドアが開くと綺麗な茶髪の短髪に眼鏡をかけた少し小柄な女性が入ってくる。

出席簿のようなものを持っており知的な先生っぽい。

少し背が小さくマスコットほどではないが微妙なほど小さい。

「ええ~私はマリアナ・カンポス。気軽にマリー先生とでも呼んで」

マリアナは出席簿を確認すると一枚のプリントを取り出すとそれを読んでいく。

「ええ~学園交流ランク対戦について説明しますとこれから一週間以内に上級生と戦ってもらいます。勝てば最初からアドバンテージがもらえます。倒す相手が強いほどより多くのポイントを手に入れることが出来ます。しかし、一度しか戦えないし上級生も一度しか戦えません。弱い上級生など一人もいませんが自分と強さが均衡してると確信したときにはすぐに戦いに挑むようにしましょう。どうしてもポイントを多く手に入れたい方は数字付ナンバーズと戦うことをお勧めします」

数字付ナンバーズという単語を聞くとみなざわめき始める。

「あの……数字付ナンバーズってなんですか?」

ユウは普通に質問すると先生は「ハァ!?」と言ったような顔を見せるとすぐさま普通の顔に戻る。

いつもならガイは笑っているがもう寝ている為そのような笑い声が聞こえてこない。

いつもならうざいと思うが今回に関しては少し寂しい。

「……数字付ナンバーズというのはこの学園のランク十位以内を意味します。数字付ナンバーズはこの学園代表でもあり彼ら一人でも倒せばその座につくことができますが、去年誰一人数字付ナンバーズに勝つことができませんでした。ゆえに今現在無敵を誇っています。数字付ナンバーズを倒すのは今現在では不可能なのです」

マリアナは自慢げに話を終えるとユウは心で思ったことをダイレクトで口に出す。

数字付ナンバーズ叩き潰せばとりあえず問題ないんだな」

ガイ以外の全生徒と先生の視線がユウに集まりそして笑いが起こる。

ほかの生徒は「勝てるわけがない」、「そんな簡単に勝てたらみんな勝ってるよ」と笑い声が聞こえてくる。

アリサは憂鬱そうに額を人差し指で支えクレアは少し嬉しそうに笑っている。

「さて……そんな冗談置いといてこれにて解散いたします。これからの学校生活頑張ってください」

マリアナが教室から出て行くとみな一斉に教室から出て行く。

ガイはゆっくりと眠りから覚め身支度を済ませるとスッと立ち上がる。

クレアとアリサはすでに教室から出て行っており今教室に残っているのは俺ら二人だけである。

「……とっとといくぞガイ。なんで好き好んでおまえと二人きりにならなくちゃならないんだ」

「仕方ねェだろ。俺が寝ちまってたんだから」

「言葉間違っているぞ、寝ちまっていたんじゃない寝てたんだ。自主的に」

「……あんまかわらねぇだろ」

「意味がまったく変わってくる」

ユウは教室の鍵を取るとガイと一緒に教室の外へ出て教室の鍵をかける。

「今日の予定を言うと、鍵職員室に返しにいかないといけないから職員室いくぞ。そっから学園交流ランク対戦を見に行く。いいな」

「問題なし」

ユウは職員室に行き鍵を返すと学園交流ランク対戦をやる場所闘技場サール・デ・バールへと足を進める。

闘技場サール・デ・バールとは舞踏場としての意味を持ち戦いでも華やかな戦いを見せる場所ということで名づけられた名前である。ここは主に戦いなど野外で行われることに使用している。

周りにはこの闘技場サール・デ・バールで精霊が暴走してもいいように無数の精霊術のバリアが施されておりその耐久度は半端ではなく内からも外からも破壊されない構図になっているが一度だけこのバリアは破壊されている。それは数字付ナンバーズの1位と2位の戦いでお互いが全力を出してしまいこの闘技場サール・デ・バールを半壊にまでしてしまった生ける伝説である。この事件が各国でも反響を呼びさらに学園に入学してくる人間も増えてきた。1位と2位は世界でも最高峰の力を誇り神と渡り合えると思われている。

ユウはこの学園のレポートを読むとため息を盛大につく。

「そんな簡単に神と互角にやりあえたら神殺しなんて現れないよ」

そう、この世界で神と渡り合えるのは神殺しのみ。

世界は太陽極力砲ソーラー・レイさえ警戒すれば勝てるという神殺しの専門家もいるがそれは大きな間違いである。そもそもあの太陽極力砲が神全員で撃ったこと事態間違っている。確かにあれは大型神力魔法とも呼ばれ大きな魔方陣で構成も複雑だがあれは一人の神が放つ力である。神は本来一箇所には集結せず散らばっているため基本的に力は合わせない。神の力は精霊使いではどうにもならないところにまで既にきている。あの大精霊ですら勝てるかどうかも分からない。だからこそ神殺しがいるのだ、神を殺すことに特化した兵器を。

ユウとガイは闘技場サール・デ・バールにつくとすでに戦いは始まっていた。

観客席は精霊壁で守られており乱入できない状態にされている。

ユウとガイも観客せいに座る。闘技場では下級生が上級生を押している場面だった。もう少しで勝てる状況で下級生が油断してしまい上級生の反撃を防ぐことができずそのまま敗北した。

下級生と上級生には大きな差がある。仮に強さが均衡していたとしてもそこには絶対的な経験の差の違いがある。精霊中学校でも実戦はあるのだが精霊高校ほどの実戦経験はしない。つまり下級生は本当の戦いの怖さを知らない。上級生は戦いの怖さをしっているからこそ彼らは全力で行くのだ。

仮にここで手を抜いてしまうと実戦時にその子達のパーティーは全滅してしまう。

人間との戦いでは人間はどこかで敗北だなと感じ負けたり諦めたりするが魔物はそこまでの知識を持ってないし仮にあったとしても魔物は基本闘争本能むき出しの獣でありそんな小さな理性は本能の前では役立たず。だからこそ下級生のときに戦いの怖さを教えておく。

絶対的な力の差を見せ付けておくことでまだその程度の人間だと分からせある程度緊張させるのだ。

「……にしても迫力足りねぇな」

「仕方ないだろ、上級者といってもまだまだ弱い。ナンバーズ(数字付)なら期待しても損はないと願いたいが」

「そぉだな。さすがにある程度の協力者は必要だしある程度強くねぇと頼りないしな」

「そういうことだ……。あとくれぐれも数字付と戦うな」

「……マジかよぉ」

「ナンバーズを倒してしまうと注目が集まってしまう。しかもナンバーズを倒してしまってナンバーズに入ってしまったらこれからの行動の支障をきたしてしまう恐れもある。くれぐれも注意してくれ。後おまえに関しては能力を使うのは禁止。目立つ」

「それは却下だユウ。それだと俺ァ死んでしまう。悪いが使わせて貰う」

「……もういい。おまえに注意した俺がバカだった……」

ユウはもう何度目か分からないため息をつくと静かに闘技場サール・デ・バールを見ているとそこにはアリサと上級生が入ってきた。

アリサが入ってくると観客席からはものすごい声援が湧き上がってくる。

対する相手は男子であり見ると何か顔がものすごいニヤついている。アリサとその相手が小声で何かを話している。

「ガイ……何を話してるか分かるか?」

「読唇術なら俺得意だ。……なるほどなぁ,要するに相手は勝てば付き合って貰うという条件で戦おうとしている。負けたら二度と近づいてくるなか……完全に敗北フラグだな」

「……それが本当なら間違いなく負けるぞあの男。アリサは男嫌いだからな」

「どっかの誰かさんとは普通にはなせてるじゃねぇか」

「……付き合い長いからな」

そんな話をしていると試合はすぐに動く。

アリサは闘技場をアイススケート場のように凍らすと彼女の両手に氷の剣が握られている。

対する相手は火の精霊であり両手に炎のガントレットのようなものが作られている。

「相手が氷使いと知ったから挑んだのか。つまんねェやつだ。戦いは属性の相性だけでは決まんねェんだよ」

「そうだな、特にアリサはかなり強い。しかも……」

ユウが言おうとしたときに上空から冷たい風が吹き荒れる。

観客者が上を見ると上空に巨大な鷲のような鳥が飛んでいる。

右目には傷跡がありその全身は雪のような純白に包まれておりそれは穢れのない色をしている。

彼女の大精霊は彼女の純潔を象徴するような色をしている。

真っ黒な大鳥フレスベルグと対を成すような姿である。

「……アリサは氷の大精霊グラキエースと契約している」

「すげェな、あの年で大精霊と……」

ガイも感嘆しているとアリサは自らの靴を氷で凍らせスケート靴を作成しアイススケートを滑り出す。

アリサと相手の生徒には絶対的な機動力の差が出始める。

彼女は自らに有利なフィールドでしかも氷なため相手の機動力を奪い自らの機動力を上昇させる。

いくら火の使い手とはいえ機動力にこんな差が出始めたらいくら属性が有利でもプラスマイナスゼロ、もしかしたらアリサのほうが有利になりかねない。

相手は火の精霊の力を右腕に集中させアイススケートに向かって火の砲弾を打ち抜く。

地面を抉り取るような爆発に観客者は唖然とする。

しかし氷の弱点であるはずの火で壊れも溶けもしない強硬な氷だった。

相手は絶望の表情を浮かべるとアリサは氷で作られた二刀の剣を振りかざすと相手はとっさに火の腕を固めて防御する。

二刀の剣が火の腕に触れるとみるみる凍っていく。

本来火は氷に強いのだが精霊と大精霊のようなかなり力が離れていると属性の強さが変わってくる。

相手はアリサから離れようとするが足が動かず相手は全身に火を宿すが腕と足だけ火が通らない。

アリサは離れた場所でクールな瞳でトドメの精霊術を言い放つ。

「……さよなら氷の棺桶フリーズンロック

アリサがそう告げると相手の足元から徐々にみるみる凍り付いていき纏っている炎すらまとめて氷の塊と化するアリサの上級魔法。

大精霊クラスのみが使える上級魔法は魔力の浪費が激しいかわりに絶大なる威力を誇る。

勝負がついたと分かると救護藩が急いで氷の塊を運び出す。死には至らないが多少のトラウマは残ってしまうだろう。

闘技場の巨大な掲示板にアリサにポイントが入るとアリサに盛大の拍手と歓声が上がる。その圧倒的な力に誰しもが酔いしれその美しさに誰もが魅了する。

「さすがだなぁおまえの姉さん。伊達に大精霊と契約してねぇな」

ガイは笑っているとアリサのところにクレアがタオルを持って駆け寄っていく。

「ありがとう、クレア。でも……クレアも早く試合しときなさいよ。後になるほどつらくなるから……」

「大丈夫。私もそろそろやろうかな……と」

クレアはアリサからタオルを受け取るとそのまま闘技場を後にする……ハズだったたが一人の生徒が戦いの火種を巻く。

「そこの……ピンク色の可愛い新入生ちゃん、俺と闘ろうぜ」

そこにはワックスでオールバックにした目つきの悪い男子生徒が席に座っていた。その制服の胸元にはナンバーズの証の数字“8”が刻まれている。

「……すいませんが私はまだナンバーズと闘えるほど強くないので……」

「謙遜はよせよ、上級生の中では有名だぜ。大精霊の使い手と神獣使いがこの学園に入学してきたって」

「どうして……知ってるの!?まだ言ってないのに……」

「内のナンバーズには情報屋がいるから早いんだよそういうことが分かるのは」

オールバックの男は高笑いするとニヤリと不吉な笑みを浮かべる。

その笑みは何か良からぬことが起きると予感するような笑みである。

「神獣使い賭けをしねぇか?勝てばこの数字付の席とポイント半分くれてやる。ただし……負ければ俺専属のメイドだ。おもしれえだろ」

「!!」

クレアの顔に少し驚きと嫌気が入る。

顔は引きつっており後ずさりしている。

「どうした神獣使い。ビビってんのか?まぁ数字付の俺とやるんだからビビってるのは当然だな」

再び高笑いするとオールバックの男は戦いを誘うように手を招く。

その目にはすでに戦いに勝利してその既に先を見据えているようにも感じる。

「さぁ、かかってこいよ。神獣使い。神獣は主と一緒で臆病なのかなクックック」

クレアは拳を握り締めるが我慢している。怒りで我を忘れた状態で戦えば間違いなく敗北を喫してしまう。

神獣使いとはいえまだまだ戦闘経験は浅くましてや相手は戦闘のプロの数字付である。まともに戦えば負けることなど目に見えている。

しかしあいつの挑発を軽く受け流すほどクレアも出来た人間ではない。クレアは瞳に闘志を燃やしながらもそれを隠している。

だがこの現状に怒りで堪忍袋の緒が切れそうな人が二人いた。一人はすでに試合を終えてしまったアリサとその元弟ユウである。ユウもまた拳を握り締めると本能のままにオールバックの男に近づく。

「?なんだテメェは?男には興味はねぇよ」

「ユウ君……!!」

クレアは驚いて口を手で抑えるとオールバックの男が再び高笑いする。

「なんだ?知り合いか?なるほど幼馴染か彼氏かのどちらかだろう?」

「か、彼氏って……」

「……幼馴染、それ以上もそれ以下でもない」

ユウはきっぱりと恋人関係を否定するとクレアは少し落胆する。

ユウはオールバックの男に右手に突如出現させた剣を首元に突きつける。

「俺と勝負しませんかナンバーズ、……まさか新入生の申し出から逃げるなんてそんなナンバーズはいませんよね」

彼は笑いそして挑発するような笑みをさらに浮かべる。

オールバックの男も笑っているがこみかみに血管が浮き出ており怒りのボルテージが上昇しているのは一目瞭然である。

「いいだろう……生意気なガキには少し教えてやらんねばならんな。ただし、賭けは実在だ。おまえが負ければ神獣使いは俺専属のメイドにしてもらう。それでいいな?」

「ちょっ……」

クレアは困惑したような顔でオールバックの男を見るとユウはクスリと笑う。

「別に構わないよ。むしろ、退学届けを書いといたほうがいいんじゃない?……賭けをして負けて挙句の果てに無様な姿を見せるんだから」

「……ぶっ殺す!!」

「やってみなナンバーズ。おまえがどこまで思い上がっているが、おまえがどこまで井の中の蛙か教えてやるよ。後輩に教えられることに屈辱を感じながら」

二人はにらみ合うと闘技場へと姿を消す。




闘技場へ入ろうとするとクレアが前にいる。立ち塞がるようにそこに立っている。

「どうして……あんなこと引き受けたの!」

クレアは少し怒ったようにそして悲しい顔をした。

ユウはその顔を見て胸の奥に痛みを感じた。断ち切ったはずの絆なのにそれでも尚守りたいと思う気持ち。その二つがせめぎ合い心の中で苦しんでいる自分がいる。

(まだまだ甘いな……僕は……)

ユウは自分の弱さに呆れるとクレアの頭に手を乗せる。

「安心しろ俺は必ず勝つ。信頼しなくてもいいし応援もしなくていいが俺は勝つ。それだけは覚えていてくれ」

ユウは闘技場へと歩き出す。

その背中をジッと見つめ続けているクレアは笑みを浮かべた。

「……立派になったねユウ君」

口から自然にこぼれた言葉が少し嬉しく思い笑みを浮かべながら観客席で応援をしようと心から思えた。




闘技場で二人は相対するとオールバックの男が口を開く。

「一応名前を教えてやる。ナンバーズNo8クラフスだ」

「……ユウだ。おまえを倒す後輩の名前だ」

彼らの前では高速で何かやり取りを行っているようにも思える。

戦闘開始の合図がするとクラフスはすぐに後ろへ下がり左腕に魔力を集中させ精霊を呼び出す。

「見せてやろうこれが俺の精霊だ」

クラフスは左手に出てきた球を砕くとクラフスの背後からキコキコと戦車が動いてくる音。

彼の後ろには両腕に大型ランスと肩の部分にはビーム砲、そして胸の辺りには無数のミサイルが詰め込まれている。全身真っ黒でありその姿はまるでいろんな武装を装備した巨大な人にも見える。よく見ると腕にも小型ミサイルが内臓されており全身兵器である。

観客が戦慄が走る中ユウは右腕を伸ばし「エクシード」と言うと手から粒子のようなものが集まり右手に剣を顕現させる。つばは赤色で刀身などは銀色で統一されている。

彼の武器はたった一本の剣。

不自然に思ったクラフスはイラつきながらその剣とユウを見る。

「おい、精霊はどうした」

「……契約してないんだ」

「ちょっとまて……精霊と契約できなかった者か。マジかそんなやつがこの世にいたのかよハハハハハ!!」

クラフスは大声で笑うと観客にも伝染し笑い出す。たった一つの笑い声でユウはすぐさまアウェー状態になる。

「そんな……ユウ君は結局契約できなかったの」

クレアの目は少し涙ぐんでいた。それは自分の未来についてではなくユウがいまだに精霊と契約できていない悲しさから来る物である。

「まぁ、いいんじゃねぇ?勝てば官軍だしな」

ガイはヘラヘラしながらそう言うとクレアはキッと睨みつける。

しかしガイは「見てたら意味分かるぜ」とヘラヘラ笑いながら見る。

クレアはやはり心のどこかでは信じられない自分が心配している。

「ユウ君……」

クレアは祈るようにユウを見る。

クラフトは手を前に突き出し指示する。

「今すぐ奴を粉砕せよクラフストール!!」

精霊クラフストールは叫び声を上げると腕や足、胸から無数のミサイルをユウに向かって発射する。

ミサイルは前方を埋め尽くすミサイルが襲い掛かってくる。

ユウは右に軽くかわす。しかしミサイルは追尾方なのか直角にミサイルが曲がり再びユウに向かって突進してくる。さらに逃げるとその先には5250mm口径の肩のレーザービームの砲台がユウに向くと超高熱レーザービームが発射される。

ユウは咄嗟に飛び上がると地面が高熱で燃え抉れている。

第二発目は空中滞在中のユウに照準すると放たれる。

ユウは体をしならせレーザービームをギリギリでかわすと精霊壁にぶつかる。レーザービームは精霊壁を貫くのではないかというほど精霊壁は震えている。

さらにユウを追い詰めるようにトビウオのように海ではなく地面からミサイルが飛び出してくる。ユウは剣エクシードを足場として大きく飛び上がる。しかしエクシードは壊れることはなくフツウに地面に突き刺さっている。

再び迫り来るミサイルにユウは逃げるのをやめると剣を片手で防御するように剣を下向きに構える。クラフストールはレーザーとミサイルの照準をユウに当て一斉射撃が開始されすべての火力がユウへと降り注ぐ。圧倒的な爆発ですでに勝敗は決した。そう決していたのだ普通の精霊使いの戦いでは。

「弱すぎるぜおい。まぁ、俺が強すぎるんだがハハハハ!!」

クラフトは大声で高笑いする。クレアは口を抑え涙を堪えている。

ガイは表情一つ変えずむしろ口元は笑みを浮かべていた。

その笑みの意味に応えるように砂煙の中から一つの足音がする。

クラフトを目を細め煙の中を見ると剣をもった一人の少年はまだ立っている。

それどころかかすり傷ひとつ負っておらず制服もやぶれていない。さすがのクラフスも呆気にとられている。

「……まさかナンバーズってのはこんなゴミ集団なのか?」

ユウは剣を軽く振るうと煙が嵐が吹いたように吹き飛び剣を肩に乗せる。

「……調子にのるなよ下級生!!消し飛ばせクラフストール!!」

クラフストールはミサイルをセットし再びユウに向けて全頭発射する。

四方八方から来るミサイルで逃げ場のないユウは剣を肩から下ろし剣を振りかざし振り下ろす。するとすべてのミサイルが花火のように散っていく。

たった一撃の斬撃でミサイルすべてを破壊した。

悪夢を振り払うように即座にレーザービームも放つがそれを易々と剣で防ぎ精霊壁へ受け流す。ユウはゆっくりと死神が来るように近づいていく。クラフスは完全にビビっており足を震わせている。

「く、来るなぁ!!殺せ、殺せクラフストール」

両腕の大型ランスを上に上げ突き刺すように下ろしてくる。

ユウを突き刺そうとするがユウの剣で簡単に右にいなされたった一振り、そうたった一振りでクラフストールを真っ二つにし粒子と化しそのまま消える。精霊は一度倒されると再召喚には時間がかかる。

クラフスは腰にあるナイフを取り出すがユウはそのナイフを根元から斬りおとすと左肘でクラフスの鳩尾に深い一撃のストレートをぶち込む。

ゴリッというおかしな音がしクラフスは腹を押さえながらそのまま倒れこむ。

最後の力を振り絞ってか何かを言っている。

「ゴフッ……オ……マエ…ハ……グッ、……誰……ハァハァ……何者……な……んだ」

その問いにユウは静かに答える。

「俺はただ復讐のために生きる愚者だよ」



表現が少なくとても分かりにくくてスイマセン……

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