第一話 本当の家族
「……それで?」
男は私をまっすぐ見て、言った。
「本当の家族に会いたい」
私は、家族……実の両親に会った事がない。
なぜか。
どうやら私は捨て子のようなのだ。
義理の家族……拾ってくれた人たちは、そんなこと一言も言わない優しい人だけど、私はそう思う。
だって、なんだかよそよそしいところがあるから。
私のひとりよがりだったら別にいいけれど、そうにもいかない。
「……100円は返す」
「へ?」
男は、さっきよりさらに眉間にしわをよせて、私を睨んだ。
「『本当の家族』だあ? 笑わせんな。そんなわがまま通ると思ってんのか。ここは幸せをサポートする所だ。おまえがそれで幸せになれるとは到底思えないんだよ」
「でもっ……」
「慶。こいつ落ち着かせろ」
そして、『慶』と呼ばれた人が出てきた。
メガネかけた長髪の男の人だった。
「かしこまりました」
「!?」
いきなり手を引っ張られて、私は体のバランスを失う。
「……どういうこと?」
「あなたの幸せを願って、当主はあのようなことをおっしゃったのだと存じます。だから、あまり気を落とさずに」
「はぁ……」
意味不明。
こんな店がなんで出店できたのかわからない。
100円玉は、まだキラキラ光ってる。
『本当の家族』なんて、所詮私の思い込みなの?
……いや、まだ諦めたくはない。
だって、まだ何も知らないもの。
私は、100円玉を握りしめて、ずんずん歩き出した。
耳の奥では、まだ男の声が響いていたけれど……




