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短編シリーズ

回転寿司は目が回るから嫌だな

作者: だるは

 『回転寿司は目が回るから嫌だな』


 彼氏がそう言ったのは確か初デートの日だった。なんの冗談かと思ったが俯いていたので、その日はラーメン屋に行ったのを覚えている。


 今日は私たちが付き合って一ヶ月の記念日デートで、念入りに計画を練ってきたからきっと大丈夫だろう。


 「じゃあ先ずは水族館に行こうか!」

 「……うん」


 彼氏がどことなく不満そうな返事をするが、気づかなかった振りをして水族館に向かった。


 水族館に着いて十分ほど見回っていると、彼氏が俯いていた。


 「……どうしたの?」

 「ごめん、(いわし)がぐるぐるしてるのを見ると目が回るんだ」


 私は溜め息をつくのを必死に堪えて、一時間程で水族館を一周した。


 「じゃあ次は遊園地行くわよ」

 「……」


 歯切れの悪い返事だった。情けない彼氏にイライラするのを抑えながら、近くに出来たばかりのテーマパークを目指した。


 「ねえねえ、メリーゴーランド乗ろうよ!」

 「ごめん、目が回るから一人で楽しんできて」


 さすがに酷すぎる。私が一生懸命考えたスケジュールなのに楽しんでくれないし。何よ、目が回るって。


 「さっきから何なの!? 目が回るとか言ってさ……せっかくの計画も楽しめないし、私と分かれたいの!?」


 彼氏が驚愕で目を丸くする。しまった、流石に言い過ぎたか。いや、これくらい言ってやらないとこういう奴は変わらないから仕方がない。


 「わかった。別れよう」


 あっさり彼氏がそう言ったので声が喉につまる。何で貴方に言われなきゃいけないの?


 「僕も別れたかったんだよ。僕が考えたプラン全部無視して色々な所に振り回す君とね。」

 「それってもしかして……」


 「君といると目が回るから、別れよう」


 彼氏は俯いてそう言った。

 

お読みくださりありがとうございました。

不定期に短編を投稿しております、だるはです。

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