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孤月終天9

 口に含んだ水を吹き出すには十分のインパクトがある物がテーブルに置かれた。白い光沢のある大理石のような素材で作られたソレは、明らかに男性器を模していた。練国のハンナリ口調の変態女の屋敷にもいっぱいあったなという、忌まわしいくどうでもいい記憶も蘇った。


「ふ、普通に考えたらしないけど、もしかしてこれから理由が説明されたりする?」


 一気に帰りたい気分になってきた。


「理由は幾らでもあるのにゃ」


「そうなんだ…、でも一旦正論を言うと、シズキが自分ですればいいんじゃないの?」


 こんな道具を使ってやる事は性欲の処理であり、そんな事は自身で完結するだろうとしか思えない。


「もうにゃーがやってみて何も感じなかったから、ユズカにお願いしているのにゃ」


「いや、私がやっても変わり無いでしょ」


「それは違うのにゃ。にゃーのようなオビトは族長にしてもらいたいという強い気持ちがあるのにゃ。にゃーは族長しかして来なかったからわからなかったけど、今は何となく族員の気持ちが分かるのにゃ」


 法国に居るときに外の国に居る種族や文化について知る機会があったのだが、オビトという種は女系集団を形成するらしい。

 オビトは生まれる子供の割合が男女比で1:8なのだそうだ。男性は希少であり、族という集団においては強い女性が長となり、男性との生殖をコントロールするらしい。長を自覚した女性は、女性としての生殖能力を失う事無く体や精神構造が疑似男性化するそうだ。長は疑似男性器の肉槍を得て、族員はそれに強烈に惹かれるという。

 文字として読んだだけの知識だったので、へーそうなんだ、という感想しかなかったが、実際に目の当たりにして想像より複雑な事なんだなと理解した。


「私はオビトでは無いよ」


「そんな事は分かっているのにゃ。にゃーもこんな事にはなると思っていなかったのにゃ。まあ、にゃーが他に族長を認めるなら、にゃーより強い奴だと思っていたのにゃ。でも違ったのにゃ」


「確かに私はシズキより弱いし、戦うにしても追加装甲任せだから個体としても魅力は無いよね。という事はどういう事なの?」


「族長とは戦う必要の無い者なのにゃ。にゃーはどんな奴を見ても強い弱い、勝てる勝てないを感じていたのにゃ。そうして誰にも負けてこなかったのにゃ。ウミビトからは退き、剣星との戦いは助けられたにゃけど、勝てない殺せないとは思わなかったのにゃ。だけど今のユズカにはそんな気が起きないのにゃ。勝てる勝てないどころか比べる気にもならないのにゃ。きっとこれが族長を認めたという事なのにゃ」


 なんでこうなってしまったのか。欲国に居た頃、私は族員対象で貞操を狙われていたのに、何がシズキをそうさせたのか分からない。


「やっぱり気のせいじゃない?」


「にゃーはユズカがこの借り屋に入って来たときに確信したのにゃ。それにそろそろ我慢の限界にゃ! ユズカがにゃーにソレを挿れても何の損もないはずにゃ! 今回、ユズカをこの国に呼んだのもこれが目的にゃ! 族員の欲が満たせないまま、剣星に殺されたら死んでも死にきれないのにゃ!」


 かなりキマッた目つきで早口に喋った後、シズキはベッドの上に仰向けに寝転がった。このポーズは完全服従のポーズ。M字に開かれた脚と突き出された股が例の白い棒を待っている。シズキの体毛はヒトと比べて体を覆う面積が広いので、スパッツを履いているようにも見える。それでも物言わぬ尻尾のうねりが誘っているようだ。


「なんで、私なの?」


「そんなの…、にゃーにも分からねーのにゃ」


 ―――


 結果としてシズキの要望に応えてしまった。正直、手と肩が疲れた。

 このまま放置して帰るのも悪いかなというのと、私も無自覚にこの場に来てしまったのは良くなかったという反省から、ちょっと希望に応えて帰ろうというのが当初の予定だった。


 白い棒は持ってみるとバカみたいにでかいサイズ感でこんなの入る訳なくないと思っていたが、シズキには何の抵抗も無く入ってしまった。やっぱりオビトとヒトの身体構造は結構違うのだろう。

 シズキの顔は苦悶なのか悦楽なのかかなり歪んだ表情をしていた。普段は飄々としているシズキは見る影も無かった。

 ウミビトのタイタス戦では、手のひらと肩を水圧ビームで貫通されても涼しい顔をしていた人と同じとはとても思えなかった。


 まあ、最初からマッサージみたいな物と思い。社畜時代に疲れて肩と腰がバキバキになったリカバリーとして使ったマッサージ屋の事を思い出しながら施術した。当然、マッサージの技術は無いので折角なら気持ち良くなってもらいたいよね、という気持ちでやっていたのが良くなかった。

 もう起たないとか言っていたシズキの肉槍が目覚めてしまったのだ。インしている棒の分だけアウトしている感じで、こちらの施術に合わせて前後に揺れていた。

 最初は無視していたが、肉槍越しにシズキと目が合うようになり、仕方なく2スティック操作に切り替えた。


 シズキから人体から出ていい量では無い液体が噴出され、磯の岩場で思わぬ高波を頭から被った気分だった。


「ごめんなさいなのにゃ」


 というか細い言葉で謎のS心に火が付いて、そこからは耐久バトルとなった。

 もはや2スティックを操作するのは、雨の中傘も無く自転車で進むが如くで、兎に角終わりまで突き進むしかないという気持ちだった。

 シズキは声を出すのを我慢しているのか、歯の隙間から抜ける大きな呼吸音と唸り声をあげていた。エロ漫画のように隠語を連呼するような事は無いのだ。


 シズキは脚を閉じるのを耐えていたようで、ベッドのマット的な物にシズキの足爪が食い込みブチブチといっていた。最終的にとんでもない力がかかったのか、ベッドの分厚い板までシズキの足が貫通して事は終了した。


 お互いにずぶ濡れの事後だが私には防具の洗浄機能があるので直ぐにさっぱりした。この機能は私が寝ている間に発動しているらしく、朝起きると髪はサラサラで肌もすっきりしていて、とても便利なのだ。

 シズキは井戸の水を被りに行っている。この妙な雰囲気で始まった夜会も終わり、今はすっかり朝になってしまっている。

 崩壊したベッドとビシャビシャのマットやら布団はもう知らない。シズキが借りた場所なのだからシズキに何とかしてもらうつもりだ。

 被害を受けていないテーブルコーナーで縮こまって柑橘系のジュース的な飲み物をチビチビ呑んでいるとシズキが戻って来た。

 昨日のガンキマって瞳孔の開いた黒目がちの様相から一転して、いつもの感じに戻っている。


「こんな事してて剣星が攻めて来てたらどうするつもりだったの?」


「それはねーのにゃ。剣星はにゃーの止めを刺さずに退いたのにゃ。恐らく、もっと面倒だけど確実な方法に切り替えたのにゃ」


 シズキは武国から狙われる情報を知っている。それは武国と月光国が繋がっている事に関係しているが、詳しい事を話せば私達にも危険が及ぶので話していないらしい。


「今は来なくても、先々で剣星に狙われる事になるんじゃないの?」


「それもねーのにゃ。剣星との戦いでユズカが止める前に、にゃーは剣星の未来を殺してあるのにゃ」


 シズキが何か物騒な事を言い出した。




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