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欲の始まり夢の終わり20

 私とシズキは欲国へと戻っていた。シルバはウミビトとの交渉が上手くいった後の事も考えており、それは竜宮都市に転移術の経路を確立する事であった。

 竜宮都市に白樹を設置して、その情報を欲国に持ち帰り、転移門を繋ぐ想定だったようだ。

 予定外に私達が来てしまったので計画が変わってしまったが、白樹の情報を私が欲国に持ち帰り並行作業で経路を繋ぐ事にした。予定の工程よりは早く事が進むそうだ。


 竜宮都市に設置の白樹情報はアダマスに記憶されており、欲国の世界樹教会にある白樹からビシムに伝わり、経路確立はブランが担当する事になった。


 後は竜宮都市のシルバが白樹の設置を完了させるの待ちで、それが終わればシルバも一旦戻って来るそうだ。

 ウミビトの事はなんとかなったが、後はヤマビトとも交渉しなくてはならない。それはシルバが戻ってから、ヤマビトのドリスと話をする事になっている。


 この待ちの間に、シズキの言うご褒美をどうにかする事にした。シズキは何故か私に協力的で、タイタス戦でも、割と命懸けで闘ってくれたのだ。なんとかご褒美とやらに答えたい気持ちはあるが、武国の国を調べにヤクトに行った際には、性的に迫られたので、その手の事だと困ってしまう。

 物とか情報が欲しいといった方向性にならないかなと思いながら、貸し屋敷の一室の扉を開いた。


 ソファーなのかベッドなのか敷き物なのか分からない謎の柔らかそうな物の上にシズキが寝転がっていた。これは明らかに物を要求される流れでは無いだろう。そもそも広い貸し屋敷に他の人の気配は無いのだ。これはそういう事だろう。

 前回は、ビシム特製のハイテク大人の玩具で対応したが、今回はそれ以上を要求される気がする。


「よく来たのにゃ」


「まあ、来ない訳にはいかないからね」


「では、にゃーにご褒美をくれる気になったのにゃ?」


「まあ、それが何かによるけど。私に出来ない事は出来ないよ」


「何、簡単な事をして欲しいのにゃ」


 シズキは仰向けに寝転がり、両腕をバンザイして股も大きく開いた。普段から全裸みたいな格好をしているが、今日は申し訳程度に張り付いている腰布も無い。動物で言うなら服従のポーズだ。


「一応聞くけど私は何をしたらいいの?」


「にゃーの体をユズカの好きにして欲しいのにゃ」


 うーん。何を言っているんだこの人は。


「ちょっと何言ってるか分からないけど、何もしたく無いなら帰ってもいいって事?」


「それは駄目なのにゃ。今日は一日にゃーと居るのにゃ。それに、種族が違うと分からん事もあるから説明するのにゃ」


 そう言ってシズキは自分の隣をポンポンと叩いた。まあ、座れるという事だろう。とりあえず立っていても仕方無いので、となりに座るとシズキも体を起こして目線の高さを合わせてきた。


「それで。説明というのは?」


「にゃーみたいな尻尾がある奴はオビトと呼ばれているのにゃ。オビトは大体、男の数が少ないのは知っているかにゃ?」


「知らない。まあ、欲国で見る人も、そう言われると女の人ばっかりな気がする」


「オビトの男は希少にゃ。だから、オビトは男一人と女10人くらいの族という単位で暮らしいるのにゃ。族の中で一番強い女が族長にゃ」


「男の人が族長やる事は無いの?」


「無いにゃ。オビトの男は体が強くないのにゃ。まあ、逆に女は強いのにゃ。そして性欲も強いのにゃ」


「それで族長は男の代わりをしているって訳ね」


 何かの折に部分的に聞いた気がする。


「そうにゃ。にゃーは族長しかやった事無いから、他の女の気持ちは分からないのにゃ。族を離れてからも、負け無しで生きて来たから、こんな感じは初めてにゃ」


 そうして、シズキは股から生えているモノをアピールしてきた。思わず目を逸らしたが前見た感じとは違うようだ。


「それで、どうして私に好き勝手してほしいって話になる訳?」


「にゃーの肉槍が全く勃たなくなってしまったのにゃ。しかも、それが自然って感じなのにゃ。族の女はきっとこんな気持ちだったのにゃ。それでにゃーもどうしていいか分からないから、ユズカかに鎮めてもらいたいのにゃ」


「一つ言うけど、私に族長の機能は無いよ。後は族長をしたいとも思わない」


「それはわかっているのにゃ。だからユズカの好きなようにして欲しいのにゃ」


 そう言ってシズキは服従のポーズに戻った。


 なかなか難易度の高い依頼だ。正直、ユズカに何かしたい事は無い。


 シズキは三角の耳を布に擦り付けながら、赤い尾で僅かにこちらを触ってくる。

 とりあえず何かしなくてはと思い、シズキの尻尾を捕まえて、先端の赤毛の中に指を突っ込むと、ワサワサとした柔らかい毛の感触がした。

 何となく似た感触を知っている。これは、あれだ。サイズは大きいが猫そのものだ。


「では、私のやりたい事、ネコ吸いをやります」


「ねこすいにゃ? 何にゃそれは?」


 まあ、知らなくて当然か。なんとなく手で促してシズキをうつ伏せにさせる。

 頭から背中の中間くらいまでは赤毛が繁っており、お腹付近は無毛だが尻尾近くになるとまた毛が生えている。これは結構猫感あるのではないだろうか。

 シズキの頭頂部の丁度三角耳の間に自信の鼻を埋めて見る。人の頭皮みたいな匂いかなと思ったら、干したての布団みたいな匂いがした。


「あ、これ意外といいかも」


「何にゃ? 何やってるのにゃ?」


 猫吸いポイントを頭から、首のフサフサコーナーへと移行する。尻尾は捕まえたまま、毛を逆撫でして何度もしごく。普通の猫なら絶対に怒って逃げているが、シズキは逃げ無い。吸い放題である。


「尻尾嫌じゃない?」


「ぞわぞわするのにゃ…」


 尻尾は一旦リリースして、手指や甲に生えている短かい毛をたわしのようにワシワシ触る。腕は肘近くまで短い毛が生え揃っているので、そのまま広範囲に逆撫でする。素晴らしい感触だ。


 そうして私は抵抗しない猫としてシズキを吸い尽くして、そのままお昼寝に移行した。


 ――


 昼寝から目覚めると、すっかり夕方になっていた。シズキは私が寝入ってときと同じポーズのままでいた。

 少し涼しくなってきた時期に猫毛に埋もれ眠るのは心地良い。これなら猫カフェの2倍くらいの満足度ある。またやっていいなら、多少のお金は払ってもよいと思えた。


「寝れた?」


「寝れる訳ねーのにゃ」


「どうだった?」


「何されるか分からない感じがずっと続いて不気味なのにゃ。でも敵意とか痛みがあるわけじゃ無いから、変に構える事も出来ずに、訳わからないままだったのにゃ」


 恐らく、各地で吸われている猫もこんな気持ちなのだろう。


「これがネコ吸いです。私は超満足しました。また定期的に吸わせもらいたいくらい」


「一旦、ねこすいは禁止なのにゃ…」


 そんな話をしていると外で大きな音がした。人々の歓声のような声が聞こえるので、何か悪いことが起きている訳ではないようだ。


 屋敷の庭に出ると、金輪の辺りで何かがライトアップされている。


 それは巨大は人型で、私の追加装甲に良く似た姿をしていた。

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