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1-6

それから深夜まで、エリーゼと話しをした。

エリーゼの前世は大学院卒で、一年留学、

外資系企業に勤めていたと言う事だった。


27歳の時、結婚を考えていた彼氏と別れ、

自棄になって仕事をしていたら、過労死してしまったらしい。


まごう事なきエリートに、やはりと思う。


乙女ゲームは妹から借りた物で、

やってみたらハマって、

一度目は王宮の侍女、二度目で皇太子妃になったそうだ。


攻略は、攻略本を買い、攻略サイトの配信者と仲良くなり、

情報交換をして、何とかクリアしたとの事。


知識があっても、何度も駄目かなと思って、

はらはらしたと言っていた。


正直、悪役令嬢が余計な事をしなければ、イベントが起こらず、

皇太子との攻略は難しかったらしく、役に立って何よりだと思う。


自分より何倍も賢い彼女だが、

話していくうちに、すっかり仲良くなってしまった。


就寝の時間ですと呼ばれ、

仕方なく、同じベッドで話を続け、一緒に眠る程に。


皇太子のどこが好きなの?と聞くと、乙女ゲームの時から好きで、

いわゆる”推し”だったらしい。


ツンデレで、普段表情を変えないくせに、

めったに見せない、2人きりの時の優しい顔に

キュンとしてしまうらしい。


途中までゲームだと思って推しを攻略し、

途中でゲームだけど現実世界でもあると気づいて、

平民の私だと皇太子の足を引っ張ると、身を引こうとしたら、

皇太子に必死に求婚されて、外堀を埋められ、

ハマって抜け出せなくなったのと屈託なく笑っていた。


ヒロインが彼女で本当に良かった。


大好きになったエリーゼは、

私もよと言ってくれて、初めてゲームの世界でできた友人に、

涙してしまった。


「本当に良かったの?」


「うん」


テーブルの上には、婚約破棄と家の絶縁の書類が置かれている。


「次の日に用意とは、さすが優秀ね」


ため息をつくエリーゼにふっと笑ってみる。


「回復魔法が使えるんでしょう?

 確かにこの国では回復魔法の使い手の地位は高くないけど、

 家とは縁がしっかり切れたんだから、

 このまま王宮に話し相手として、滞在したらいいのに」


私の婚約破棄と同時に、正式にエリーゼが婚約者となり、

ずっと一緒にいようと誘ってくれている。


エリーゼから提案に、

始めての友人の優しさに嬉しくなる。


婚約破棄にはなったが、海外追放の罪状はつかなかった。

エリーゼの力よるものだろう。


「一度、自分で生活してみたいの、

 どうしても駄目なら戻ってくるわ、その時は雇ってね」


茶目っ気たっぷりに言う。


「どこに行くの?」


「隣のルナルール国、回復魔法の使い手を大事にしてるの」


「そうね、ルナルールなら物価も安いし」


隣国の知識も蓄えているエリーゼに流石と思う。


「これプレゼントよ」


そう言って渡されたのは、封筒の蜜蠟を押す印


「こんな大切なもの」


「これがあれば、すぐ私の元に手紙が届くわ、

 何かあったらすぐ連絡して」


「ありがとう」


エリーゼが控えていた従者に指示を出す。


すると、平民の服5つの他に、10日分ぐらいの食べ物、

他、毛布など、役に立ちそうな物が運ばれてきた。


「一応、平民が持っていておかしくない物を用意したわ」


「エリーゼ、ありがとう」


そう言って、思わず抱きしめる。


太ももの収納ブレスレットからイヤリングを出して、

エリーゼに渡した。


「こんな高価な物もらえないわ」


ぎょっとしたエリーゼの手を、そっと包む。


「それだけの価値があるのよ」


私の言わんとする事を察したように、エリーゼはイヤリングを

握りしめた。

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