5-7
次の日の朝、メイドに起こされ、
領主と同じ朝食に就く。
相変わらず、手の込んだ、市場などでは絶対食べられない
料理が朝から並んでいる。
それらをありがたく頂戴した。
「領主様、この後少しお時間ありますか?」
「ええ、いつもの書類整理の予定ですが、
少しなら大丈夫です」
「なら、少しお時間頂きたいのです」
「分かりました、何か目的でも?」
「ええ、奥様の呪いを解こうと思って」
「え?」
領主が動揺しているのが分かる、
しかし、すぐに無理だと思ったのが、
苦しげな笑顔を浮かべた。
「回復魔法をかけて頂けるのは嬉しいですが、
昨日倒れられたばかり、あまり無理はなさらないように」
「ありがとうございます」
ここでも私を心配する気持ちが嬉しく、
それ以上何も言わないでおく。
食事が終わった後、奥様の部屋へ行った、
相変わらず、眠っているとしか思えない。
「これをどうぞ」
収納ブレスレットから、細かな細工がされたネックレスを出す、
そのまま夜会にでも付けていけそうなその品は、
言われなければ呪いのアイテムだと分からないだろう。
「これは、昔妻がしていた・・・・」
どうして、これを私が持っているのだと、
不思議そうな顔で領主が聞いてくる。
「そのネックレスの中央の大きな石が、
呪いの石です、その石を割れば、奥様は目を覚まします」
領主は信じられないと言う表情をそのままに、
あわてて従者に指示を出す。
「呪いアイテムを壊す為の金槌を持って来い!早く!」
従者があわてて金槌をもってくる。
領主は無言で力を籠め、ネックレスの石を割る。
パリン!
単に石が割れただけではない、大きな音が響く。
領主はあわてて、奥様の元に行く。
「ロザリー!ロザリー!目を覚ましてくれ」
「もう!うるさいわね!」
奥様がしっかりとした声で叫び、
ベッドの上で上半身を起こす。
領主が奥様を抱きしめた。
おうおうと泣きながら、奥様を抱きしめる領主に、
奥様はポカンとした顔をしている。
「なんなの、あなた、急に泣いたりして」
どうやら奥様は呪いにかかっていた事を知らず、
眠って、起きたそのままの様子だった。
とにかく良かったと、
領主と奥様、2人だけにして、奥様の部屋を後にした。
その後は予想以上に大変だった。
領主には感謝され、すっかり元気になった奥様は、
自分の”元気になったお祝いパーティ”をすると、
バリバリ采配を振るい、大きなパーティが開かれた。
そこには住民も呼ばれ、奥様の回復を喜ぶ。
奥様は
「盗賊7年前に壊滅した?根性のない奴らね!
生きてたら、お礼参りにぼこぼこにしてやるのに!」
と息巻いていたので、豪傑で実際かなり強いらしい。
盗賊が領主でなく、奥様に呪いをかけたのも、
奥様を恐れてたからだろうと住民達が言っていた。
それにしてもパワフルで、
呪いをかけられ、とても8年もの間、寝ていた人とは思えない。
その後、私がBクラスのモンスターも倒した事が伝わり、
俺の息子の嫁に・・・と言う男性に、
リュカ様がいると(まだ付き合ってないが)言うと、
なぜかリュミエール様の婚約者と言う話になり、
更に大騒ぎになった。
「回復魔法の使い手で、聖女様かとは思いましたが、
まさか、王太子様のご婚約者様でいらしたとは・・・」
領主夫妻が頭を下げ、丁寧に扱う事で、
住民にも大切な人と伝わり、どこでも丁重に扱われる。
結局3日だけ過ごす予定が、あちらこちらで呼び止められ、
1週間も滞在する事になってしまった。




