テンプレ展開だらけの某アニメを観て一話と半分で【そっ閉じ】したが何故そうしたか真面目に考えてみる
先日、YouTubeを観ていたら、公式サイトが期間限定で【異世界ネタ】のアニメを、十話まで無料公開しておりました。
それで観た訳なんですが…先に言っておくと二話目の半ばで動画再生を止めました。
作品の具体的な名前は伏せますが、一話目は特に問題無かったんです。①突如大体つよつよ集団から放逐された主人公が、②朴訥にそれまでの経緯を呟きながら森の中を歩いていると、③突如現れた若きヒロインとばったり遭遇し、彼女のピンチを救う訳です。そして、④彼はお約束の冒険者として登録される事になり…と、いう感じで一話目が終わりました。話の起承転結のリズム感も悪くなく、そこそこ良かった印象。①②③④の配分も自然で流れを損なわず、テンポの良いイメージで観ていられました。今から思えば、どうしてそう感じたのか判りませんが。
で、問題の二話目です…
ざっくり言えば、主人公の類い希なる能力を遺憾無く発揮し、冒険者として規格外な面を見せながら「いやー、そんなに俺強いかなぁ…」とか、何かにつけてヒロインの肌露出や主人公への密着度がやたら画面に出る上に、ものすごくつよいてきをいっぱつでたおせる…的な、お約束の展開が一気に押し寄せた結果…稲村某の対テンプレSAN値がゼロになり、撃沈しました。そう、そっ閉じ確定の瞬間です。
非常に個人的な感想では有りますが、動画のクオリティは十分(いや別に神動画な訳じゃない)でしたし、キャラ各々の絵が受け入れられないレベルでも無く、話の流れももしかしたら、二話後半で一気に盛り上がったのかもしれません。しかし、稲村某は耐え切れず途中でギブアップしたんです…。
まず、主人公が余りにも物事に対して淡白過ぎる上、ヒロインがぐりぐり迫る勢いで密着しても鼻の下を一切伸ばさず(そりゃ年齢制限有りの原作だろうから仕方ない)、お前は異性不感症かよと軽く苛立ち。
次にヒロインが一話目から何かにつけて主人公に絡み付き、痴女かな? と思う程のぐりぐりっ振り。二話目は更にエスカレートするのに、ヒロイン本人は無自覚のまま。そのくだりに稲村某、ノクターンで執筆経験有るからこそ、流れと全く無関係な乳製品映像にまた軽く苛立ち。
そして…本気なんて全然出してないにも関わらず、主人公は次々と迫り来る危機を軽く往なし、本人はやっぱり「いやー、そんなに俺強いかなぁ…」と繰り返す事に、また苛立つ。
そんな風に自覚無いから一番最初に農家で働きたい、とか言う主人公…何故、農家で働かなかったのか。周りも農家で働かせてやれよ、本人が望んでんだから。
…そんな印象ばかりのテンプレ展開ですが、既出の考察に「なろう読者は同じ展開だからこそ安心して読む」「テンプレ展開でも様々なバリエーションがある」「恋愛経験の無い読者には丁度良いレベルなのだ」等と評されています。確かにそうかもしれない。実際、稲村某も恥ずかしながら初期の作品はバリバリのテンプレ展開で、未だに怖くて読めない。たぶん読んだら死ぬ。
それにしても、稲村某は何故そこまでテンプレ展開にアレルギー症状を起こすのか。水戸黄門だってテンプレ展開だし、時代劇の大半もテンプレ展開と言える。にも関わらず若い頃は鬼平犯科帳を全シリーズ観ていた(最近は観てないが)し、決してテンプレ展開が大嫌い、という訳でもなさそうだ。ならば、何故?
たぶんだが、稲村某がなろう的テンプレ展開に苛立つのは、きっと物語の展開に意外性が無くなり、期待値が下がるからかもしれない。今回のアニメに関しても、もし主人公が肉食系男子でヒロインに一目惚れしたとすれば、また違った展開が期待出来ると思う。主人公に気の無いヒロインを振り向かせたい一心で、並み居る敵を必死になって倒す等、ただ強いだけの主人公が身を投じる戦闘自体に必然性が生じる(のか?)し、そんなコミカルな流れも新鮮に感じたかもしれない。
無論、そうした意外性に富んだ展開を内包したテンプレ系作品もあるかもしれないし、いや待てよ? それじゃテンプレ系作品の枠から飛び出してしまい、非テンプレ系作品なんじゃないか? 果たしてどうなんだろう…段々判らなくなってきた。
それにしても、今回のアニメに対しての感想は「どうしてコレをアニメ化する事になったのか?」である。コミカライズ化作品には同じような物が山のように有るし、アニメ化するにも予算は必要である。なろう読者が必ずグッズや円盤を買うと思わないし、更に言えばなろう作品に興味を持たない一般層のアニメファンが、惹き付けられるような魅力的なアニメにも思えない。結果的にアニメ化した際の投資が回収出来るかについては、甚だ疑問しか浮かばない。ぼざろやおにまいレベルの人気は、絶対に得られないと思う。
ここまで書いてしまうと、お前は言う程の作品を書いているのかと詰め寄られかねないが、少なくとも書いていて「こりゃつまらん」と思えば執筆を停めるし、況してや【朴訥な主人公が乳製品ヒロインと距離感離し気味のまま最強】な作品は書かないし書けない。キャラの名前と設定が違うだけの作品書いて、何が楽しいものか。
しかし、重ね重ね書くがテンプレ展開自体に罪は無い。自分の作品も細かく突き詰めれば、テンプレ展開を踏襲しているだろうし、それを避けて物語を書くのは至難の技だろう。テンプレ展開自体は物語の骨格に相当するし、骨格を持たない小説は只の字の羅列である。そんな物語が果たして成立するのか?
結局、結論として稲村某が【あからさま過ぎる上に新鮮味に欠ける】テンプレ展開にアレルギー反応を示す事しか判らなかったが、それでも時々考察し、作者視点で物語の構成を見直すのは必要だと思う。そんな事に読者を巻き込むな、という意見もあるかもしれないが、一個人の独善的な主張であるとお断りしておきたい。そもそも、【あからさま過ぎる上に新鮮味に欠ける】なろう小説の方が読まれている現実は動かないし、それが現在のなろう界隈なのだ。いや、それも若干は下火になりつつあるが。
因みに、現在執筆している作品は非公開だが、普通の現代世界に異世界が並行で重なる展開で、主人公は女性だし全身義体化兵だしお色気は無い。ついでに言えば、なろう受けしないジャンルだと思う。でも書きたいから書いているし、作者なんだから好きにさせて欲しい。
あ、今思い出したが、水戸黄門と言えば【お銀の入浴シーン】、子供の頃は苦手で嫌だったなぁ…何故かは判らないけど。しかし、そんな子供が成長して、なろうで小説書いてノクターンで卑猥な作品書いているんだから、世の中は判らん。