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初めて失恋した陰キャな俺だけど、人生本気出すことにした  作者: こりんさん


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34話「前進」

※ここから再び本編になります。

 月曜日。


 またいつも通りの一週間が始まる。

 土曜日の出来事の余韻は未だに冷めず、思い出すだけでもドキドキしてくる。


 そんな気持ちを抱きつつ、いつも通り電車に乗るべく駅へと向かった。


「おはよう太郎くん」


 駅へと向かう俺に、突然山田さんから声がかけられた。

 そんな朝からの完全なる不意打ちに、俺は普通に驚いてしまった。


「お、おはよう! 朝から会うなんて偶然だね!」

「ううん、違うよ?」

「え? 違う?」

「うん、太郎くんが来るの待ってたから」


 偶然だと思いきや、山田さんは朝から俺にとびきりの爆撃を仕掛けてきた。

 その爆撃は効果抜群で、自分の顔に熱を帯びていくのが分かった。


「れ、連絡くれたら良かったのに」

「太郎くん、それじゃダメなんだよ」

「ダメって?」

「だって、太郎くんを驚かせたかったんだもの」


 そう言いながら、楽しそうに悪戯っぽい笑みを浮かべる山田さんを見ていたら、まぁそれならそれでいいかという気持ちにさせられた。


 今日も可愛いから、オッケーです。


 こうして、ご機嫌な山田さんと一緒に登校した。



 ◇



 教室へ着くと、クラスの皆からの視線が集まる。


 何事だ……? なんて鈍感な事はもう言わない。

 それは、朝から学校一の高嶺の花である山田さんと一緒に登校してきたからに他ならないだろう。


 山田さんと別れて席につくと、前の席の木村くんが早速振り向いて話しかけてきた。


「よぉ、おはよ! 何だ? いよいよお前ら、そういうこと?」

「ハハ、どうかな?」

「どうかなじゃねーよ! まぁ、なんだかもう見慣れてきた感じもするし、俺は悔しいけどお似合いだと思うぜ」


 木村くんは、やれやれといった感じで「さっさとくっついちまえちくしょう!」と言いながら笑った。


 俺はそんな、周りからもそういう見方をされてきてる事に正直ほっとした。


「おはよ! 山田くん!」

「あ、田中さんおはよう!」

「うん、今日も格好いいね! じゃね!」


 そして今日は、前みたいに田中さんから挨拶をしてくれた。

 そしてなんだか、先週までに比べて明るくなったというか、何か吹っ切れたような感じがした。


 それに今、格好いいって言いました?

 その言葉に、俺は思わず恥ずかしくなってしまった。


「……おいおい、まさかお前、クラスのエンジェル美咲ちゃんにも手を出してんのか?」

「そんなわけないでしょ。仲が良いだけだよ」


 田中さんと俺はそんな関係じゃないから、そこはちゃんと否定しておいた。

 田中さんにはちゃんと樋山くんっていうイケメンの彼氏がいるし、そして田中さんはエンジェルじゃなくて女神様だ。


 でも、やっぱり田中さんも人気者なんだなと改めて実感した。

 木村くん曰く「誰にでも公平に接してくれるし、笑顔は天使そのもの」だそうだ。

 その点については、俺も完全に同意だった。



 ◇



 ようやく昼休みになった。


 俺はいつも通り自分の席で弁当を食べようした所で、事件は起きた。


「太郎くん、一緒に食べよ?」


 なんと、いつもは外でお弁当を食べているはずの山田さんが、一緒に弁当を食べようと俺の席までやってきたのだ。


 土曜日の一件以降、連絡のやり取りでも感じていたが、山田さんはめちゃくちゃ俺に対して積極的になっている気がする。

 それは素直に嬉しい事なのだが、流石に教室で一緒に弁当を食べるのは周りの視線とか諸々気になってしまう。


「一緒に晩御飯食べた仲だから、平気よね?」


 俺の気持ちを察したのか、山田さんは小声でそう言うと問答無用に木村くんの席に座ると、机を挟んで自分のお弁当を広げ出した。


 だが、問題はこれだけでは終わらなかった。





「ねぇ山田くん、私も一緒にいいかな?」


 その声に振り向くと、ニコニコと笑みを浮かべる田中さんまでもが、お弁当片手に俺の席へとやってきたのであった。



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― 新着の感想 ―
[一言] 友人は男で相手は中学からの同級生。彼女は会社同僚と結婚、十年くらいで離婚、そっから滅裂アプローチでした。友人いわく彼女が離婚するまで一切手出ししてないただの友人と言ってましたが、ほんまかいな…
[一言] 我々に出来るのは作品に介入することではなく、読むのを止めることのみ……
[一言] 正直な話個人的には山田さんには申し訳ないけど田中さんにも是非とも頑張って欲しいです! 理由としては主人公がキモいと敬遠されてる時(髪を切る前から)でも主人公の魅力に気付いて毎朝声を掛けたり勉…
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