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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

魔王様は勇者が欲しい

作者: 黒乃メデ

 パソコンのフォルダを漁ったら、出てきました。面白かったのでアップします。

 私、アリベルが赤毛の少女と会ったのはお忍びで人間の町に来た時だった。

 適当にブラブラ歩きながら、気になったお店に入ったりと、観光を満喫していたところ、連れとはぐれてしまった。

 まあ、そのうち会えるだろうと、楽観したのが運の尽きで、裏路地に迷い込んでしまった。

 この町は治安があまり良くない。アリベルの見た目は、銀髪の可愛らしい少女で、服もかなり良いものを着ていた。一般の人から見れば、貴族令嬢に見えるだろう。そして、そんな女の子が護衛も連れず、一人裏路地に居る。絶好のカモだ。


「……」


 場所は一本道で、目の前に二人、後ろに一人が現れた。厭らしい目をしている男だ。


「おいおい、この嬢ちゃん、かなりの上物じゃねえか! 良い値で売れるんじゃねえか!」

「ああ、間違いない、そしたら、ぱぁっと飲もうぜ!」

「おお、そりゃいい!」


 どうやら、この三人の男共は私を攫おうとしているらしい。ゲスな目で私を見てきて、はっきり言って不愉快だ。

 普通の少女だと怯えてしまう状況。しかし、私は生憎普通の少女ではない。


「失せろ」

「あぁ?」

「聞こえなかったのか? 失せろと言ったのだ」


 一人の男がイラついた様子で私に近付いてきた。


「どうやら、このお嬢ちゃんには教育が必要みてぇだな……俺がみっちりと教育してやるぜ……」


 男は私に触ろうと手を伸ばす。生憎、触らせてやる気がない。その汚らわしい手を魔法で爆発させてやろうとした瞬間。


「ぐへっ!」


 男が吹っ飛んだ。壁に叩きつけられ、そのまま意識を失っている。

 そして、男が立っていた場所に赤毛の少女がいた。


「あんたたち、人攫いね」

「ちっ」

「よくも、仲間を!」


 男が剣を抜き、赤毛の少女に切りかかる。

 赤毛の少女はありえないことに素手で剣を受け止め、男を殴り飛ばした。


「なっ!?」


 残りの男が唖然としている隙に、一瞬で近づき殴り飛ばす。

 結果、戦いは圧倒的勝利で終わった。まあ、少女が助けに来なかったとしても、私一人でどうにかなったが。


「大丈夫? ケガはない?」

「……は、はい。大丈夫です」

「そう、それはよかったわ」


 ドキッと少女の笑顔を見た瞬間、私の胸は高鳴った。

 この子が欲しい……!

 今まで色々な物を見てきた。虹色に輝く石。透き通るような空色の石。贅の限りが尽くされたドレス。絶世の美女と言われた人間の姫たち。

 それらを差し出してもこの子が欲しいと思った。


「あ、あの……」

「うん? どうかした?」

「助けてくれてありがとうございます。よろしければ、お名前を教えていただけませんか?」

「……私のこと知らないんだ」

「?」


 もしかして、有名人なのだろうか?


「私はアニーよ。平民だから姓はないわ。あなたは?」

「私はアリベルと言います」

「アリベルね。よろしく」

「はい」


 その後、到着した衛兵により、事情聴取が行われた。

 どうやら、あの三人組は指名手配犯だったらしい。しかも、賞金もでるそうだ。

 私とアニーは賞金を半分づつ受け取った。


「じゃあ、私はもう行くね」

「そんな……よろしければ、お茶でも」

「誘ってくれるのは嬉しんだけど、こう見えて忙しいんだ私」


 アニーと別れた後、サッと私の後ろに立つ女性。


「アリベル様」

「あら、見つかっちゃったかしら」


 女性の名はクトリ。私の連れであり、護衛でもある。


「全く、勝手にいなくなっては困ります」

「ごめんなさい、次からは気を付けるから、許して」


 ウインクすると、はぁとクトリがため息をついた。


「今回だけですよ。それで、何もなかったですか?」

「そうね、人攫いに攫われそうになったくらいかしら」

「………………そいつらは、どこに居ますか?」


 クトリから殺気が溢れだした。


「クトリ、殺気がただ漏れですわよ」

「っ! 申し訳ございません」

「いえ、構いませんわ。私を心配してのことでしょ。後、報復はしなくて良いわよ。むしろ、お礼を言いたいくらいだわ」

「お礼ですか?」

「ええ、おかげで、可愛い女の子と知り合いになれたのだもの」

「アリベル様がそうおっしゃるなら、さぞ可愛い子なんでしょう。どんな子なんですか?」

「名前はアニー。赤毛の髪に、背は私より少し高くて、年は十五くらいかしらね。それに、中々強いわ。雑魚とはいえ男三人を余裕で倒していたもの」


 私がアニーについて説明すると、クトリの顔が曇っていった。


「アリベル様、非常に申し上げにくいのですが……」

「うん、どうしたの……?」

「そのアニーという少女は勇者です。つまり、魔王であるアリベル様の敵でございます」


 アニーは勇者。

 それを聞いて、私は笑った。心の底から。


「そうか、そうか。勇者か……くくっ……」

「アリベル様?」

「クトリ」

「はっ!」

「私はどんな手を使ってもアニーを手に入れる。これから、しばらく忙しくなるが付き合ってくれるか?」



***



 私は一人、玉座で勇者を待っていた。

 長い旅を終えて、アニーは仲間を引き連れて魔王城にやってきた。

 私は人間のふりをして、アニーの仲間に加わり、共に旅をした。

 そして、魔王城で罠をはり、仲間を分断した。現在、私は魔王軍の指揮を執りつつアニーを待っているという状況だ。

 ちなみに、仲間たちは既に捕獲済み。殺しはせず、アニーとの交渉材料にするつもりだ。

 準備は万全であり、これから起こること想像すると笑いが止まらない。

 謁見の間の扉が開き、アニーが入ってきた。


「……え? アリベル?」

「やあ、アニー」


 戦闘態勢でやってきたアニーに、笑いかけた。


「やあ……て、もしかして、魔王倒したの?」

「まさか、そんなはずないでしょう」


 だって、魔王は私だもの。


「じゃあ、魔王はここにはいなかったのね……はぁ、一体どこにいるのよ……」

「魔王はここにいるわよ」

「えっ!?」


 さあ、始めましょうか。


「私が魔王よ。アニー」

「…………ぷ、ぷははは!!」


 アニーが腹を抱えて笑った。


「もう、アリベルったら、面白い冗談を言うわね」

「魔族の特徴って覚えてる?」

「ええ、角と赤い痣、後、独特の魔力よね。何度も戦ってるからこれくらい覚えてるわよ」

「そうね、正解よ」


 私は右手にあった指輪を抜いた。

 この指輪には変身の魔法が込められており、姿と魔力を変えることができる。

 そうして、変身の魔法が解けた私の本来の姿が露になった。

 頭にはヤギのような二本の角。頬から胸に掛けて赤い痣。

 魔力は魔族独特のものに変わった。


「そ、そんな……」


 アニーの手から剣が抜け落ち、カランと謁見の間に響いた。


「これで、納得してくれたかしら?」

「っ!?」

「私は魔族よ。そして、魔王でもある」

「私達を騙していたの……!?」

「ええ、そうよ」

「何が狙いだったの?」

「狙いね……」


 そう呟いて、私は笑った。


「私はアニーが好きなの」

「………………え?」


 アニーの顔が真っ赤に染まった。


「まあ、単純に言えば好きな人の傍に居たいっていう理由よ」

「な、なによそれ……大体、アリベルは魔族でしょ?」

「魔族だから人間を好きになるはずがない、て? でも、残念。私は魔族だけど人間であるアニーを好きになっちゃったわ」

「う、ぅ……」

「ねえ、アニー。返事を聞かせて? 私の事好き? 嫌い?」

「………………」


 しばしの沈黙の後、アニーは剣を拾うと、切っ先を私に向けた。


「アリベルの事好きだったよ。友達としてだけど。でも、今は……!」


 ああ、やっぱりそうなるか。

 アニーは勇者で、私は魔王。

 相容れることない天敵。

 だが、わかってしまう。アニーが本当は私と戦いたくないことを。勇者の務めを果たそうと心を鬼にしていることを。


「さよなら、アリベル」


 アニーは涙を流しながらも、私に戦いを挑んできた。

 どちらかが死ぬまで終わらない戦い。それが勇者と魔王の戦いだ。

 だが、そんなものに素直に応じる私ではない。

 私は欲しいものはどんな汚い手や酷いことをしても手に入れるのだ。そして、アニーが私に剣を向けることも、対策済みなのだ。


「残念ね、アニー。この手だけは使いたくなかったのだけど」


 パチンと指を鳴らすと、扉から私の部下たちが入ってきた。あるものを連れて。


「……っ!?」

「アニー、剣を捨てなさい。じゃないと……」


 私はそう言って、部下が連れて来たもの、鎖に繋がれたかつての仲間たちを指さした。


「彼らの命はないわよ?」


「卑怯よ! 解放しなさい!」

「嫌よ」

「なっ!?」

「さて、もう一度言うわ。剣を捨てなさい。じゃないと」


 そう言うと、部下の一人が仲間の首元に切っ先を向けた。


「っ……! わかったわ」


 アニーは剣を捨てた。私は魔法を使って剣を部屋の隅に吹き飛ばす。


「さて、次は」

「ちょっと、待って!」

「何?」

「仲間たちを解放してくれるんじゃないの?」

「あら、いつそんなこと言ったかしら?」

「っ!?」


 全く、バカなんだからアニーは。


「まあ、次のお願いを聞いてくれたら仲間たちは解放してあげるわ」

「……本当でしょうね?」

「ええ、本当よ。何だったら、契約を結びましょうか?」

「……契約はいらないわ」

「そう、で次のお願いなんだけど、アニーにこれをつけて欲しいの」


 魔法を発動させると、手の上に赤い指輪が現れた。


「何それ?」

「隷属の首輪を元に作った、隷属の指輪ね。まあ、効果は大体一緒だけど」

「つまり、私にアリベルの奴隷になれて言ってるの?」

「ええ、そう。できれば、フィアンセになって欲しいのだけど、嫌でしょ?」

「そうね、どっちも嫌だけど」

「じゃあ、左手を出して」


 私はアニーの左手の薬指に指輪を通した。


「ふふ、これでアニーは私の物ね」

「……早く仲間たちを解放して」

「良いわよ」


 私はかつての仲間たちを転移魔法で王都に送った。


「………………っ!」


 仲間を解放したのを確認したアニーは私に殴りかかってきた。アニーは剣だけではない。拳のみでも十分に強いのだ。

 しかし、殴る寸前、アニーは倒れた。頬を上気させ、身体をビクビクさせながら。


「な、なにこれ……?」

「ふふ、驚いたでしょ? 普通なら主に危害を加えようとすれば激痛が走るのだけど、私の作ったこれは激痛じゃなくて快楽を与えるの。それも、一瞬でいってしまうようなね。ただ、いけないわよ。いくら、アニーが自分で慰めようとしてもいけないわ。そういう魔法だもの。唯一いける方法は私がアニーを犯すことよ」

「そ、そんにぁ……」

「さあ、早速始めましょうか」


 私は転移魔法を使って、アニーと共に自室に移動する。

 アニーをベッドに寝かせて、覆いかぶさった。


「……アニー。あなたの身体と心を私に頂戴」

「……アリベル」


 切なげに私を呼ぶアニー。私はアニーに微笑みかけ、アニーの服に手を伸ばした。


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