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君が男の子なら....

中学入試を無事に終え、晴れて前世と同じ仁政第一中学校に入学した。

今回は1年から浩子ちゃんと同じクラスメートになれて僕は受かれていた。


今日は仁政第一中学校の入学式、僕は前世からの憧れだった女子の制服に身を包む。

グレーのスカートに紺のブレザージャケット、白いカッターに赤いリボン。


まさに今の僕は女子学生!!(女の子だから当たり前か)。


「この姿、浩二君に見せたかったな...」


お母さんの鏡台の前でポーズをとりながら本音が溢れる。

でも浩二君(浩子ちゃん)の制服姿も楽しみ。


女子の制服に身を包んだ僕は鏡の前で気分が高揚し過ぎて家を出るのが遅れてしまい、学校に着いたのは入学式が始まる直前になってしまった。


「式の前に教室でクラスメートとお喋りしたかったのに」


自分の迂闊さを悔やむ、でも過ぎた事は仕方ない。

教室に入り、浩子ちゃんに簡単な挨拶を交わして自分の机を見つけて席に座る。

周りの生徒達が迷わず自分の机を見つけた僕に驚いているけど、僕にしたら学年最初の席は50音順だった事を覚えていただけで、別に大した事じゃない。

大体の席の位置は分かるんだ。


その後僕達は講堂に移動して、入学式が始まる。

懐かしい校歌を歌ったり、少し覚えていた先生や全く忘れてる先生を見たりしてるうちに入学式は終わった。


教室に戻ると自己紹介が始まった。


「清水祐子です。石山小学校から来ました、先ずは3年間宜しくお願いします」


元気一杯に自己紹介をした後、クラスメートからの質問となる。


「清水さん好きな食べ物は?」


うん定番の質問だね。


「私が好きなのは...関西風のうどんかな」


前世の記憶から引き継いだ好物、浩二君も好きだったね。

余りこの辺りでは見かけない、でも作り方が記憶に残っていたから数年前に自分で作ってから家の定番料理になった。


「嫌いな食べ物は?」


「レーズン」


これも前世から一緒なんだ。


「好きな人はいますか?」


おっと、来ましたね。待ってましたその質問。


「いるよ!」


元気に答えた。


「誰?」「誰?」


やっぱりそうだよね、みんな興味ある話題だもん。


「山添浩子ちゃん!」


みんなの視線が僕から浩子ちゃんに移る。


「ありがとう祐ちゃん、私も好きよ」


浩子ちゃんは僕の方を見ながら微笑んで答えてくれた。

浩子ちゃんの言葉に体が痺れる。


ああ、僕が男の子時か、浩子ちゃんが男の子の時に聞きたかった...


その後次の生徒達の自己紹介が続き、やがて浩子ちゃんの番になる。


「山添浩子です、岸里小学校から来ました。

これから皆さん宜しくお願いします」


そう言って浩子ちゃんは最高の笑顔で頭を下げた。


あれ?誰も質問が来ないな?

教室を見回す。

クラスのみんなや担任の先生も顔を真っ赤にしていて声が出ないみたいだ。

分かるよ、だって輝く女神が教室にいるんだもんね。

仕方ない僕が質問するか。


「浩子ちゃん好きな食べ物は?」


「私も祐ちゃんと一緒で関西風のうどんかな?」


ありがとう、前世で僕が男の子だった時にふーふーしながら食べたよね、浩二君(浩子ちゃん)少し嫌がってたけど。よし次の質問だ、


「苦手な食べ物は?」


「餡類は全て駄目、こし餡、つぶ餡、羊羹にぜんざい...みんな苦手なの」


そう言って浩子ちゃんは僅かに顔を曇らせた。

これも前世と一緒。

浩子ちゃんも生まれ変わって性別が入れ替わっても嗜好は変わらないんだ。

さあ最後の質問だ。


「好きな男の子はいますか?」


これは言っておかなくては、浩子ちゃん目茶苦茶可愛いから男の子のアプローチが激しくなる事が予想されるし。


僕の質問に浩子ちゃんはしばらく考えていた。

いきなり殆ど初対面のクラスメートの前で言いにくい質問だったかな?


「ちなみに僕は浩子ちゃんが好きです」


空気を変える為もう1回告白した。


「知ってるよ」


「なんだよ僕って、さっきまで私って言ってたじゃん」


再度の告白に他のクラスメートの緊張も解れて...


「私は橋本由一君が大好きです...」


いきなりの告白だった。

浩子ちゃん、『好きな男の子がいますか?』って聞かれたら『います』だけで良いんだよ。

名前まで...


やがてクラスの中でヒソヒソ話が始まる。


「橋本由一君って?」


「さっき入学式で見たわ、浩子ちゃんとお喋りしていた男の子じゃない?」


「あの凄く格好の良い男の子?」


うん、分かりますよ。浩子ちゃんに由一君、並んだら絵になりますからね。

ざわつく教室、この空気僕が収めよう。


「凄っく絵になる理想のカップルだよね、憧れちゃうな。

でも僕は本当に浩子ちゃんが大好きです!」


「ありがとう祐ちゃん、さっきも言ったけど私も大好きよ!」


笑顔で話す僕と浩子ちゃんを見たクラスメートの空気が変わってい行くのを感じる。


『浩子ちゃんには好きな男の子がいる。でも私達(僕達)が浩子ちゃんを好きになっても良いんだ。あの笑顔に包まれたい...』


そんなクラスメートの空気に僕は笑顔で教室を見渡す。


女の子同士って良いよね、もし男の子同士が入学式後にいきなり僕はお前が好きだ!って言ったらドン引きだもん。


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