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生まれ変わりました。

僕の名前は清水祐子。


僕には前世の記憶がある。

とは言っても全てでは無い、断片的な記憶で少しづつ思い出して行く感じだ。


[前世は清水祐一と言う名前の男の子だった。

前回も今回の人生と同じ地元の保育園、小学校と進んでいる。

だからこの後も中学校は私立中学、そのまま附属高校に進む事になるだろう]


「いや進まなくてはダメなんだ!」


鉛筆を握り締め、思わず声に出していた。


「祐子、起きてるの?」


「うん」


僕の声にお母さんは気がついたみたいで台所の方から声がした。

僕の家は築80年を超える平屋の古民家で部屋の仕切りの殆どが襖で声が筒抜けだ。


「祐子、支度したらご飯食べなさい」


「はーい」


お母さんの声に書いていたノートを閉じる。

これは自分が物心がついた時からの習慣だ。

こうして思い出した事や前回の記憶を何度も何度も書いている。

すると意外と忘れていた事、見落としていた事が見つかって行く。

素早く布団を畳んでパジャマから普段着に着替える。

洗面所の大きな鏡で肩まである髪をとかして笑顔のチェック。


「僕って、なかなか可愛いね」


鏡の自分に向かって笑顔の一言。

これも毎日の習慣だ。

そして朝御飯を食べに台所横の和室に入る。

畳の上に置かれたテーブルと椅子4脚が些か不格好だけど、去年までちゃぶ台だったから文句は無い。


「おはようお母さん」


お母さんに朝の挨拶をする。


「おはよう祐子ちゃん良く眠れた?」


僕のお茶碗に御飯をよそいながらお母さんが僕に聞いた。

お母さんはいつもこうして僕を心配してくれる。


「うん。今日は小学校の遠足だからね、しっかり眠れたよ」


「そう、良かったわ。祐ちゃん今回の遠足をずっと楽しみにしてたもんね」


お母さんも嬉しそうに笑う。

そう今日は4年生の春の遠足、近くの自然公園でオリエンテーリング。

前回の記憶では余り印象が無かったけど何故か今回は素敵な事が起こりそうな予感があった。


「うん、すっごく楽しみ!」


お母さんに笑顔を向けた。


「相変わらずの笑顔ね、お母さん祐ちゃんの笑顔を見ると幸せな気分になるわ」


そう言いながらお母さんは顔を赤らめる。

僕の笑顔を見た人はみんなそう言うんだ。

朝御飯を食べた僕はリュックサックにお弁当と水筒を入れてを背負って家を出る。


「行って来ます」


「行ってらっしゃい」


家族に声をかけて出発した僕は学校に向かう通学路で友達を待つ。


「おはよう祐ちゃん!」


「おはよう久子ちゃん!」


いつも決まった時間に来るこの子は吉田久子ちゃん。

保育園からの友達で久子ちゃんのお家は地元の旧家でお嬢様、いつも綺麗な格好で腰まである長い髪をキラキラ光らせてる凄く可愛い女の子。


「今日の遠足楽しみだね」


「うん。今日は何か素敵な事がある気がしてるんだ」


「祐ちゃんずっと前からそう言ってるね」


久子ちゃんは僕の顔を見ながら笑った。


「お待たせ」


そこにもう1人待ち合わせしていた友達が来た。すらりとした格好いい男の子、伊藤律君だ。


「お、おはよう...」


久子ちゃんは顔を赤らめながら律君に挨拶をする。

久子ちゃんは律君が大好きなんだ。


「おはよう律、今日は同じ班だね、宜しく」


律に挨拶をする。


「ああ祐ちゃん、おはよう。急に同じ班に入りたいって先生に言ったけど許可が出て良かったね」


本当は律君や久子ちゃんと別の班だったけど何故か一緒の班に入りたくて先生にお願いして1人の子と入れ換えで入れて貰えたんだ。


「うん!」


最高の笑顔で律君と久子ちゃんに応えた。


「あ、ああ」


「祐ちゃん良かったね...」


何故か律君も久子ちゃんも顔を真っ赤にして僕を見た。


いよいよ遠足の始まりだ!

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