第6話「四葉」
どうも!こんにちは!小林歌子です!
ここだけの話なのですが、下書きした6話を一度全部消してしまって書き直しました涙
でも、やっていればそんな事もありますよね!
本当は昨日投稿しようと思っていたのですが何とか今日書き終える事が出来ました!
是非是非楽しんでください!
第6話「四葉」
5月も終わり差し掛かり雨の多い季節である梅雨が近づいてきた。
そんな今日も雨が降っている。
俺は雨が好きだ。傘をさしていても濡れるという部分に関しては好きではないが
いつもとは違う非日常感がある。だから俺は雨が好きだ。
「四宮、これこれ」
クラスメイトの男子が俺にゲームソフトと思しき物を渡してくる。
「例の頼んで居たものか?」
「ああ、くれぐれもお姉さんや妹さんに見られるんじゃねえぞ?」
「ほう、それほどの物なのか?」
「ああ、超絶にエロい」
キリッとした表情で答えるクラスメイト
俺が頼んでいたものとは。
俗に言うエロゲーというものだ。一応、周りが未成年なので全年齢推奨版とでも言っておこう。
「ちなみに、誰ルートがオススメだ?」
「そうだな〜。俺的には義理の妹ルートだな。超絶可愛いすぎて悶え死ぬぜ?」
「ほう、それは楽しみにしておこう。」
俺はスッとエロゲー全年齢推奨版をカバンにしまった。
さてと、今日の夜の楽しみが一つできた事だし帰るとするか。
「ゆ、う、や、くん!」
すると高らかな声で唯花が俺を呼んだ。
そして唯花はそのまま俺の腕を組んで胸を押し当ててくる。
やわらかいものが俺の腕を掴んでいる感覚だ
これは重罪なセクハラだな。
「おい、唯花。何度も言わせるな」
「だって、私がこうしたいんだもん!」
これが、あざと可愛いと言うものなのか?
「唯花ちゃん、ずるいー!」
すると唯花と逆の腕に夢弥も飛び込んできた。
夢弥も俺の腕に胸を押し当てるがこっちは。。まな板とまでは行かないが唯花よりも遥かに硬い感覚だな。
「夢弥、はしたないぞ?」
「お兄ちゃんにしかこんな事しないもんね〜だ!だからはしたなくないもん!」
俺にそんな理屈は通らないぞ?実の妹よ
これは救援要請が必要のようだな。。。
「五葉、助けてくれ。」
いつものように俺は五葉に助けを求めた。
「あー、ごめん兄さん。私、お姉ちゃんのところに用事があるから先に帰ってて」
五葉はそう言ってそそくさと教室を出て行ってしまった。
おいおい、、、この状況はどうしたら良いんだ?
すると、夢弥の方が俺の腕を離した。
「じゃあ、私は帰るから!またね!お兄ちゃん!唯花ちゃん!」
「おう」
そういって夢弥は教室を出て帰っていった。
「じゃあ、俺も帰るぞ?唯花」
「一緒に帰ろ?裕也くん」
突然帰りに誘ってくる唯花。自転車通学のはずだが、、、
「お前は自転車登校だろ?」
「いや、今日は雨だから、わたし電車で来たの。一駅だけだけど一緒に帰ろうよ裕也くん」
自転車通学だと雨の日は電車で来る者と普通に自転車で来る勇者に分類されようだ。
唯花はその口ではなかったか。
仕方がないな、、、
「わかったよ。一緒に帰るか」
俺は了承して唯花と帰ることにした。
そして2人で教室のすぐ外の下駄箱に来たが、、、、
「唯花、腕を掴まれたままじゃ履き替えられないのだが?」
「私の靴も取ってぇ〜!裕也くん」
唯花は甘い声を囁きながら言ってくる。
話を聞いているのか?この女
「とりあえず一旦離せ唯花。靴が取れないんだ」
「もう、裕也くんのイケズー!」
唯花はむくれながらも一旦俺の腕を離した。
俺は自分の靴を履き替えて唯花を待っていた。
「履き替えないのか?」
「取ってよー!」
「どこのお嬢様のつもりだお前は」
仕方がないので俺は唯花の靴を取って唯花は履き替えた。
「はい!完了!」
唯花はそう言ってまたもや俺の腕を掴んできた。
まったく、どストレートな女の子だことだ。
しかし、勿論だが悪い気はしていない
そのまま腕を組んだ俺たちは昇降口まで来た。
「唯花、傘はどうした?」
俺は傘を持っていたが唯花の方は傘を持っていなかった。
雨が理由で自転車で来ていないのだから持って来ていないはずがないのだが
「あー、家に忘れちゃったー」
誰にでもわかるような嘘の演技っぷりで言っていた。
「待ってるから教室まで取って来い。」
「えぇー、わかってないなぁ裕也くん」
何の話だ?
「相合い傘で帰ろ?」
そう来たか。
「さっきから校舎でも目立っていたのに次は相合い傘か?」
「嫌なの?」
唯花は少し本気で言っているように感じた。
そんな言われ方をしたら断れないだろうに、、、、
「仕方がないやつだな。今日は相合い傘でいいぞ」
「さっすが裕也くん!」
何が、流石なんだ確信犯め
そんなわけで俺は傘を開いて唯花と相合い傘で駅まで歩くこととなった。
ーカシャカシャ
俺と唯花のすぐ近くからカメラのシャッターを切る音が聞こえて来た。
「これはスクープですぅ!」
俺はシャッター音と声のする方に目線を向けた。
するとそこには見知らぬ女子生徒が傘もささずに俺たちの方にカメラを向けていた。
もしやこの女子生徒があのサッカー部の事件を書いた新聞部員か?
俺がカメラに目を向けても夢中でシャッターを切る女子生徒。
ーカシャカシャ
「おい、そこの女子生徒。」
「あ!これは失礼致しました!わたし新聞部の 柊あおい(ひいらぎ) って言います!」
女子生徒は名刺と思われる物を俺に渡して来た。
「それでは、私はこれにて!」
「おい、ちょっと」
柊という女子生徒はそういうと駆け足で俺たちの目の前から立ち去っていった。
そのカメラは濡れても大丈夫なのか?と聞こうと思ったんだが、、、
まあいいか。そのうちまた会えるだろう
「バッチシ撮られちゃったね!裕也くん。」
唯花は嬉しそうに言った。
今回の写真もまた新聞になってしまうのだろうか?スクープですぅ!とか言ってたしな、、、
「あまり目立ちたくないんだがな。。」
「もう、裕也くんは充分過ぎるくらいに目立っちゃってるよ。」
「今のはどちらかと言うと悪目立ちな気がするぞ?」
俺たちはそのまま駅の方まで歩いていた
そういえば唯花とこうして2人きりというのは初めてだな
いつもは五葉が必ず居た
俺はふと思った。
「そういえば、唯花って中学時代に付き合っていた奴っているのか?」
唯花の事だし居るのだろうと思って聞いてみた。もし今現在、彼氏が居るようなら今のこの状況はその彼氏にも悪いだろうしな。
「私はまだ彼氏とか作った事ないよ?」
これはまた以外な答えが返ってきた。まさかの1人すらも居たことがないというのか?
「以外だな、唯花の事だから複数人いるものだと思っていたぞ」
「なにそれ、聞き様によっては私に失礼だよ?裕也くん」
いつもは、俺に向かって又数が多いだの言っている割にはそれか。。。
「そういう意味では言ってない。にしても、1人も作った事ないのか?」
「うん、告白だったら何度もされた事はあるけど。あんまり恋愛とか興味なかったのが一番の理由かな?」
「っていう事は今までされた告白は全部断ったのか?」
「そっ!でもそういう事してるとね。同性からの嫌がらせとかイジメが起きるんだよ。」
唯花は突然のようにマイナス部分の話を始めた。男の場合は羨ましいと思われるだけで。そこの部分に関しての嫌がらせとかは聞かないが
女の子は違うのだろう。。。これは聞いた話だが女の子の嫌がらせやイジメは男の物よりもエゲツないというのを聞いたことがある。男はある意味暴力で終わるが。女は暴力だけじゃ済まされない。陰湿な嫌がらせも多いのだろう。
「唯花、もし良かったら話してくれないか?」
「裕也くんが他の人に他言しないっていうなら話しても良いよ?」
俺はできれば唯花の支えになってやりたいと思った。
「ああ、言わない。」
「じゃあ、話すね」
唯花は過去を振り返って話し始めた。
「中学1年生の鈴木 唯花はその年の冬まで普通の明るい女の子として振舞っていてね。誰にでも明るく接していたの。」
今のクラスでもそんな振る舞いをしている唯花の絵が俺の頭の中には浮かんでいた。
「それで、年が明けてそろそろ2月っていう時に私はある男の子に告白されたんだ。私は恋愛に興味がなかったけど。その事は言わずに告白を断ったの。」
「そこからはなんでか、次々と告白されるようになっちゃってね。同じ学年で結構女の子からの人気もあった男の子の告白を断ってからはもう女子からは嫌がらせや、、時には暴力もあった。」
いつもの唯花からはどうにも想像できない過去だった。
「でも、今のクラスの女子とは仲よさそうにしてるよな?」
「それは私の事を知らないからだよ。中学の時だって告白をされるまではみんなと仲良かったから」
八方美人っていう事なのだろう。実際、唯花は今のクラスでも仲のいい女子は多いし男子からの人気も高い。
「今も恋愛に興味はないのか?唯花」
「さあ、どうかなぁ」
答えになっていない答えを返してくる唯花。
俺だったら唯花を救える。そう確信した
「唯花、もし今の学校でも同じような事が起きても。俺は絶対に唯花の味方だからな?」
「どうして?」
「俺はな、イジメが大嫌いなんだ。人の可能性を踏みにじるような連中にろくな奴はいない。。。。俺も、小学生の頃はイジメられていた、背が低くて、銀髪で、両性巫女でっていうので散々殴られたりした。」
唯花は真剣に聞いているようだった
「でも、今は違う。今は小学生の頃よりも色々な事を知っているし。対処の仕方も心得ている。それに俺は男だ唯花を守る事ぐらいは朝飯前だ。」
「ふふっ、」
唯花は笑っていた。
「この話をしたのが裕也くんで良かったよ!」
唯花は嬉しそうな顔で言っていた。
「そうだろ?」
「ありがとうね。裕也くん」
「五葉や夢弥は今の話は知ってるのか?」
「知らないよ。それに言わないでおいてね。」
「そうか、わかった」
「この話は私と裕也くん2人だけの秘密だから」
「わかったよ2人だけの秘密だ」
少し会話に間が空いた。
「裕也くんの中学の時の話聞かせてよ。」
すると唯花は俺に聞いてくる
「俺の中学時代か。」
唯花の中学時代の話を聞いたんだ。話した方が良いのだろう
とは言っても唯花ほどの過去でもないのだがな
「そうだな。中学1年の終わり辺りから卒業まで付き合っていた彼女が居たな」
「へぇ〜、彼女居たんだ。」
なんとなく唯花から威圧を感じる視線が飛んできた気がした。
「以外なのか?」
「いや?居たんだって思っただけ」
急に露骨に態度を変えてくる唯花。なんか怖いぞ
「今は、付き合ってないの?」
「ああ、監禁されてからは会ってもいなければ連絡すら取っていない」
「会いたいって思わないの?」
「それは、思うさ。俺も七瀬が好きだったし」
「へぇー、七瀬さんって言うんだ?可愛いの?」
結構な威圧感が唯花の方向から感じた。
「顔は可愛かったぞ?」
「っていう事は内面がダメっていう事?」
「いや?学級委員長やっていたりとか。してたな」
「んー、全然想像つかないんだけど?」
唯花は七瀬の像を想像しているのかもしれないが全く想像できていない様子だ。
「簡単に言うと七瀬はしっかり者のツンデレだ。」
「ああ、それなら想像できるわ!」
どうやらわかったらしい
「なんで会いたいって思ってるのに会いに行かないの?」
「あっちに次の彼氏とかが居たら悪いだろ?」
「え?裕也くんだったらそういう事考えなしに会いに行くと思ってたけど?」
何気に失礼だな
「どんなイメージなんだ?俺は。。。でも七瀬は少し特別だったんだ俺にとってはな」
「そんなに元カノのこと引きずってて次の恋に裕也くんは踏み込めるの?」
「いやらしい質問だな。それは、俺だってそこまで過去を引きずらない人間になろうって思ってるんだ。恋をしたら次に進むさ。」
少し間を置いて唯花が言う
「じゃあさ、今ここで私にキスできる?」
唯花は足を止めて真剣な眼差しで俺に向かって言っていた。
それは、許されるのだろうか?
しかし、すでに五葉や夢弥と口付けを交わしていた俺はそんな事に躊躇する資格すらもあるのかもわからなかった。
「できるさ。」
「じゃあ、して見せてよ」
そう言って唯花は目を閉じた。
俺は唯花に顔を近づける。
唯花の吐息が自分にかかってくる。
こうしてマジマジと唯花の顔を見るとやっぱり唯花って可愛くて綺麗な顔立ちをしているんだなと思う。
「ゆ、裕也く。」
唯花が目を開ける瞬間に俺は唯花の唇を唇で塞いだ。
「ん」
俺は持っていた傘を手から離して唯花を抱きしめながらキスをした。
舌を入れ何度も息継ぎをするほどに長い口付けだった。
まるで唯花が俺だけのものになるようなそんな感覚に襲われた。
「んー、ん!」
すると唯花はそろそろ離してくれというように俺の横腹を叩いた。
俺は唯花から唇を離して、抱きしめていた腕を解いて落とした傘を拾った。
「裕也くん、激しすぎだよ。」
唯花は手を口に当てながらそう言っていた。俺の感覚がまだ唯花に残っているのだろう。
「でも、これで七瀬さん時の上書きはできたよね?」
「上書き?」
「うん、キスの上書き」
その前には五葉、そのまた前には夢弥が居るんだがな、、、
「まあ、たしかにそうなるな。」
「どうだった?私とのキス」
「そっちこそどうだったんだ?」
唯花は少し戸惑っていた。そっちが先に聞いてきたんだろうに
「やっぱり、慣れてるね。裕也くん」
「それは、心外な言われ方だな。」
「七瀬さんとも、何度もキスしたんでしょ?」
「それは、そうかもしれないが。」
「私の、ファーストキスだったんだよ?」
「お前から誘って来たんだろ?」
「そうだけど!女の子にキスの感想求めるなんて男の子がする事じゃないよ!」
「そうか?」
「そうだよ!もう!」
俺は一つ唯花にお願いしたい事が出来た。
「唯花。」
「なあに?」
「唯花は自分の事は好きか?」
「なに、その質問?うーん、決して好きではないけど嫌いってわけでもないかな?」
「なら充分だ。」
「どう言う事?」
「俺はな、自分の事が嫌いだ。自分自身の事もろくに理解していない。人の気持ちも理解してやれない。そんな自分が嫌いなんだ。」
なぜ俺は、突然唯花にこんなことを話したんだろう?
「私だって自分のことなんてよくわかってないわよ?むしろ、そんなにそうそう自分自身の事をちゃんと理解できてる人なんているのかな?」
「そうだよな。でもな、いや、だからな唯花?」
「うん」
「俺と自分探しを手伝い合わないか?」
「って言う事は。裕也くんは私の自分探しも手伝ってくれるって事?」
「そうだ、その見返りに唯花は俺の自分探しを手伝うんだ。」
俺は自分の事が知りたかった。唯花なら俺を見つけてくれると感覚で思った。
「うん、良いよ?」
唯花は快く了承してくれた。
「なら、お互いの事を知り合わないとね!裕也くん!」
「そう言う事だ。」
「ありがと、、裕也くん」
「俺からお願いした事なんだ。感謝される事じゃない」
「ううん、私は感謝してるの。だから言わせて?」
「そうか。」
そうして俺と唯花は駅の方まで歩いた。
「唯花、一駅って言ってたけどどっち方向で一駅なんだ?」
「終点にならない方の一駅だよ?」
「って言う事は同じ方向なんだな。」
「うん、だから一緒に帰ろって言ったんじゃない」
「逆になんで俺の家の方向を知ってるんだ?」
「それは、五葉ちゃんに聞いたんだよ」
なるほどな。五葉からだったら聞いていてもおかしくはない
「そういえば、裕也くんと五葉ちゃんっていつから知り合ってるの?」
「実の母親同士が古い友人だからな。五葉が産まれた時から知ってるぞ」
「って言う事は演技じゃなくても本当に兄妹みたいな感覚なんだね」
「たしかに、そうだな。四葉姉さんが産まれた時も俺はもう4歳だったからな」
「そういえばそうだよね。生徒会長も裕也くんよりも歳は下なんだよね」
「まあな」
「自分で姉さんって言ってて違和感は感じないの?」
「最近はめっぽう感じなくなったかな。」
そんな話をしながら俺たちは歩いて学園の最寄り駅まで着いて。すぐに来た電車に乗った。
「そうだ、唯花。これ」
俺は唯花に自分の持った傘を差し出して言った。
「え?」
「持っていけ。学校に置いて来ただろ?」
「さすがに悪いよ。私が相合い傘したくてわざと置いていったんだし。。」
「俺のことなら気にするな。駅から家までは近いんだ」
「私だって近いよ?」
「近くても関係ない。お前は女の子なんだ、あまり濡れたくないだろ?」
「うん、、、そう言うことならお言葉に甘えて」
唯花はそう言いながら俺の傘を受け取った。
そして、唯花の降りる駅に着いた。
「ごめんね、裕也くん」
「良いんだよ。また明日な」
「うん、また明日」
そういって俺は唯花と別れて電車は俺の家の方向に向かって走り出した。
そういえば、1人で小川学園から帰るって言うのも初めてだな
一応、周りには注意を払っておこう。
大川家の手の者がいるとも限らないからな。
とは、言うものの夢弥を送り込んでからも特に変わりばえの日々が流れている。
まだ何か動きがあるような気配は感じない。
だからこそ要注意なのだがな。。。
俺は最寄り駅に着いて外に出ると雨は少し弱まっていて小雨の状態になっていた。
小雨に打たれながら俺は家まで歩いた。
家に着いて扉を開ける。
鍵が開いているという事は清花さんがいるっていう事か。
「ただいま。清花さん?」
返事がない。居ないのだろうか?
だとしたら不用心だが、、、
「あ、おかえり裕也」
すると見た目がとても清花さんに似ている1年ぶりの顔を見た。
「帰っていたのか。一葉」
この容姿がとても清花さんに似ている人は 四宮 一葉 四宮家の長女であり次期四宮家頭首の第1候補だ。今はドイツで四宮家の海外進出に向けて色々勉強をしている
「ただいま、裕也1人なの?四葉と五葉は?」
「まだ、学校じゃないか?五葉は四葉に用事があると言っていたからな」
「あの子たちダメねぇ。裕也を1人にしたら仕事じゃ無いじゃない」
「2人にだってそういう時ぐらいあるだろ。それに帰りは途中までクラスメイトと帰ってたんだ」
「クラスメイト?」
「ああ、唯花っていう女子だ。」
そういえば唯花は無事帰れただろうか?あとで電話でも入れておくか
「彼女?」
テンプレートのような勘違いが飛んできた
「今の俺に彼女はいない」
「中学の時の彼女はどうしたのよ?」
ん?
「なんで一葉がそんな事知ってるんだ?」
「それは知ってるわよ。わたし裕也の事ちゃんと見てるもの」
怖いな、、ストーカーなのか?
「そうか。」
「元カノとは会ってないの?」
「監禁されてからは連絡すらしてない。中学の時の携帯も解約されたからな」
「会いたくはないの?」
なんかさっきも唯花と似た会話をしたな、、、
「会いたいとは思うが。あっちにもう彼氏が居たりしたら悪いだろ?」
「そんな奥手だったっけ?裕也」
唯花もそんな風に言ってたな、俺のイメージは周りではどうなっているんだ?
「七瀬は俺にとっては特別だったんだ。だから七瀬が会いたいのなら会うし俺からは何もしない」
「受け身なのねー。女々しいったらあらしない」
「両性巫女だからな半分女なんだからそれが自然だ」
にしても俺は小雨に打たれて多少なりとも制服が濡れているのでさっさと着替えたいのだが。。。
俺は部屋に向かって歩く
「どこ行くのよ?」
「部屋だ。少し濡れてるから着替えるんだ。」
俺の後を着けてくる一葉
「なんで着いてくる?」
「だって、誰も居なくて暇なんだもの」
「俺が今からする事聞いていたか?」
「お着替えでしょ?」
なんで「お」を付けたんだ?
「ならなんで着いてくる?」
「だから!暇なのよ。ダメなの?」
思考回路は大丈夫なのか?この女?
「ダメだろ、俺が暇だからって女の着替え覗いたことあるか?」
「昔は散々着替えどころか裸で一緒にお風呂入ったじゃない」
そこになんの脈絡があるんだ
「それは子供のころの話だろ」
俺は部屋に入って学ランを脱ぎハンガーにかける。
ワイシャツのボタンも全部外し終えたところで
「あれ?裕也ってワイシャツの下って着ないのね」
一葉が覗き込むように言ってくる。
「なんでまだ居るんだ?」
「だから、ひまだっ。」
そこで俺は一葉の首根っこを掴んで部屋の外へ放り込んだ。
「そこで5分正座でもしていろ」
俺は一葉にそう言い放って部屋の扉を閉めた。
念のためつっかえ棒で扉が開かないようにしておいた。
唯花宅
「ただいま。お母さん」
「あら、唯花おかえりなさい。雨大丈夫だった?」
私は玄関に裕也くんから借りた傘を置いた
「あれ?朝に持っていった傘は?」
「あ、ごめんね学校に置いて来ちゃった。これは裕也くんから借りたの」
「えぇ?裕也くん大丈夫かしら?」
「私も最初は断ったんだけど裕也くんが無理矢理渡して来てね、、」
「そうなの。じゃあ今度裕也くんうちに連れていらっしゃい。今日のお礼がしたいから」
お母さんはなかなかハードルの高い注文をしてくる
「えぇ、断られたら嫌だよ。それにお礼だったら私が自分ですれば良いでしょ?」
「だーめ、私だって唯花がいつも楽しそうに話してくる裕也くんの事気になってるのよ?連れて来なさい」
なんでお母さんが裕也くんを気にかけるのかなぁ?
「えぇ?、、う、うん、誘ってみる」
私はそういって自分の部屋に行った。
にしても、、、
「キス、、しちゃったな」
私は自分の唇に手を当ててさっきの裕也くんとの感覚を思い出した。
あー!もう!なんで私あんなこと言ったんだろ?
「じゃあさ、今ここで私にキスできる?」
「じゃあ、して見せてよ」
あー!もう!私、頭おかしいんじゃないの!?裕也くんも裕也くんで本当にキスしてくるし!激しかったし!舌まで入れてくるし!ファーストキスだったし!
もう!なんなのこの感覚。こんな気持ちになったのなんて初めて
これが人を、異性を好きになる気持ちなのかな?
今まで告白は何度もされた事はあるけど。男の子に向かってこんな気持ちになるのなんて初めて。。。
もっと裕也くんを知りたい。裕也くんと色んな事をしたい
私は自分の顔が熱くなるのを感じたのですぐに部屋にある鏡で自分の顔を見た。
うわ!人ってこんなに赤くなるものなんだ。。
でも雨にも少し当たってたし風邪でも引いたのかもしれないよね!うん!
「唯花?先にお風呂入った方が、、って顔赤くない?」
するとお母さんが突然私の部屋を開けて言った。
「え!?赤くないよ!」
「いや、明らかに赤いわよ。風邪でも引いた?」
「そ、そうかもね!わかったから!熱測るから!お風呂も入るから!」
私はお母さんを部屋の外に追い出して扉を閉めた。
プルルルル♫
「ほわぁぁ!」
いや!変な声出ちゃったわ。もう!誰よ!こんな時に。。って
ゆ、裕也くん!?よりにもよってこのタイミング!?
と、とにかく出ないと!
私は震えた手でスマートフォンの応答ボタンをタッチした
「も、もしもし裕也くん?」
「おう、唯花。帰れたか?」
「うん、帰ったよ。傘ありがとね」
「別に構わん。」
「明日返すから」
「大丈夫だよ。しばらく家に置いておいていいぞ?明日の唯花の荷物が増えるだろ?」
「そういう事なら置いておくね。」
これはチャンスかも
「ならさ、今度わたしの家に来ない?ご飯ご馳走するから」
「家の人は大丈夫なのか?」
「うん、大丈夫だよ。ちょうどさっきお母さんが傘のお礼したいから呼びなさいって言ってたから誘おうと思ってたところなの」
良かったぁ〜なんか自然な感じで誘えそう。
「そうか、そういう事なら遠慮なくお邪魔させてもらうとしよう」
良かった。断られなくて
「うん、裕也くんの都合で来てもらって良いからね?」
「わかった、行く時は事前に言うことにしよう」
「電話ありがとね。」
「気にするな。」
そう言って私は電話を切って。しばらくスマートフォンを眺めていた。
まさか電話してくれるなんて。。
私、本当に裕也くんの事好きになっちゃったのかな?
すると部屋の扉の方から人の視線を感じたので私は扉の方を見た。
「あ、バレた」
お母さんが扉を少し開けて私を見ていた。
もしかして、さっきの電話聞かれてた?
「もう!なんでそこに居るの!」
「なんでそんなに聞かれたくないのよ?」
もう!戸惑ってたところまで見られてないよね?
「今の裕也くんでしょ?誘えたの?」
「う、うん来るって言ってた」
「そう!良かったわ!にしても、唯花がこんなに意識する男の子って初めてじゃない?今まで男の気配なんてなかったのに」
「今までは興味ないって言ってたでしょ?」
「でも、裕也くんは違うと?」
「ぐっ」
「裕也くんは特別だと?」
「もう!良いでしょ!?お母さん出てって!お風呂入るから!」
私はもう一度お母さんを部屋の外に追い出してお風呂に入る準備をした。
四宮家 宅
「兄さん、ただいまー!」
「裕也くん、ただいま」
四葉と五葉が帰ってきた。
「お帰り、2人とも」
俺は2人を出迎えた。その後に一葉が2人を迎えた
「お帰り、四葉、五葉」
四葉と五葉は驚いた顔をしていた
「お勤めご苦労様でした。お姉様」
四葉がそう言って2人で一葉に向かって頭を下げていた。
巫女の家の長女とはこういうものだ
「2人とも、少し話があるから巫女服に着替えて私の部屋に来なさい」
「おい、一葉さっきの事は。」
「ダメよ、ケジメというものはなくてはならないの」
俺に向かって強い言い方をする一葉
どうやら一葉には譲れない考えがあるようだ。
「わかりました。行くわよ?五葉ちゃん」
四葉は五葉を連れて自分の部屋に行った。
「俺も聞かせて貰ってもいいか?」
俺は一葉に話を聞かせてもらうように言った。
「いいけど、余計な口出しは避けて貰いたいわね?」
「善処する」
俺も一葉の部屋で2人が来るのを待った。
「失礼致します。お姉様」
巫女服に着替えた四葉と五葉が一葉の部屋に来た。
「座りなさいよ」
立ったままの2人に一葉は座るように言った。
「はい、失礼致します。」
そう言って2人は座り一葉と対面になった。
「なんで呼び出したかはわかる?」
「はい」
一葉が話し始めると五葉の方から答えが帰ってくる。
「言ってみなさい五葉」
「はい、今日兄さんを1人で家に帰した事です。」
「二分の一は正解ね」
と言う事は二つあると言うことか。
「まあ、まずは今日の話にしましょう。なんで裕也を一人で帰すような事をしたの?」
「はい、今日はクラスメイトと帰るという風に把握してましたので、私はお姉ちゃんに用事もあったのでそのまま帰しました。」
「それは裕也からも聞いたわ。なんでなの?」
「複数人なので大丈夫だと思っていました」
「複数人だったら裕也が拐われない保証があったの?」
「いえ、それは、、」
五葉は答えられなかった。
「まあ、いいわ今日に関してはこうして裕也も帰ってきているし結果オーライという事で水に流すわ。」
どうやら今日の件に関しては音沙汰はないらしい。という事はもう一つが重要なのだろう。
「それでもう一つの方だけど。こっちは大事態だわ。」
一葉はあらかじめ事の重大性を2人に植え付ける言い方をした。
「入学2週間で裕也が大ケガをしたそうね。」
2人は何も答えられないような様子だった。
「あなた達わかってるの?裕也は今、四宮家唯一の両性巫女でこれから必要になってくる存在なのよ?それをあなた達に任せてたったの2週間で大事態の大ケガを負わせる。四宮家の中心巫女ではなかったらとっくにクビにされてるのよ?」
一葉が言っていたのはサッカー部の一件だ。あれは俺の油断が招いた事態だ。
あの時、側には青葉先輩と野球部員しか居なかった。それをこの2人に言うのは酷だろう。
俺はそう思ったので口を割り込ませる
「一葉、あれは俺の油断が招いた結果だ2人には関係ない。」
「余計な口出しは避けてと言ったはずよ。裕也、それに貴方の油断はこの2人の油断でもあるのよ?」
すると一葉の部屋の扉が開いた。
「そこまでにしなさい一葉。」
清花さんが入ってきて開口一番にそう言い放った。
「ダメよ、このままじゃ2人がいつまで経っても一人前にはなれないわ。お母さんが甘すぎるせいで」
一葉は清花さんにそう言って。2人への話を続けた。
「特に四葉、あなたは自覚と警戒心が足りなさすぎるわ」
一葉は四葉に向けて強く言っていた。
先程から四葉は口を開いてはいなかった。
「あなたに魔法の力で裕也を守りなさいとは言わないわ。魔力が薄い事は生まれつきで仕方がない事だもの。でもね、学年が違っていても気を貼らせる事は出来るでしょう?」
そう、四葉は生まれつき魔力の薄い巫女として生まれた。先代四宮家頭首である清花さんの母親のように魔力が薄くそれは一般的な両性巫女と同じくらいの魔力だった。
それでも四葉は四宮家の為に魔法以外で力になろうと尽力していた事を俺は知っていた。
一葉は四葉に向けて話を続けた。
「大川夢弥が転校してきたっていうのを聞いたわ。五葉はまだしも四葉?あなたに危機感っていうのはあるの?」
四葉は消沈してしまい、何も答えてはいなかった。
「そこまでにしなさい一葉。」
割って入ったのは清花さんだった。
「お母さんが甘いからこういう言い方をしなくちゃいけないんでしょ?」
「だからと言ってそんな言い方をする必要があるの?」
清花さんは珍しく強気になっていた。
「裕也?悪いけど2人を連れ出してもらえる?」
清花さんは一葉と対面で話したいようだ。
俺に2人を連れ出すように言った。
「わかった、四葉、五葉出るぞ?」
俺は2人を部屋から出した。
五葉の方は大丈夫そうだが。四葉は
「五葉、悪いが着替えて部屋に居てくれないか?」
「兄さんはどうするの?」
「俺はちょっと四葉と話がしたい。」
「わかった、じゃあ私は先に戻るから」
そう言って五葉は自分の部屋に戻っていった。
さてと、、どうやら俺は四葉の弟にはなれそうにないようだな。
「四葉、とりあえず着替えよう。巫女服ではゆっくり話も出来ないだろう」
「うん」
俺は四葉の部屋の前で着替えるのを待っていた。
すると四葉は無言で部屋の扉を開けた。
「入って大丈夫か?」
四葉は無言で頷いた。
俺は四葉の部屋に入った。とにかく本が多い部屋だ。
俺はテーブルの前に座り四葉もその対面に座った
「さてと、まずはな四葉。やはり俺は四葉の弟にはなれそうにない事を謝らせてくれ」
四葉は何も発してはいなかった。
「でも学校では四葉は俺の姉だ。学校では今日まで通りでいい」
「うん」
四葉はようやく言葉を発してくれた。
「私は、どうしたら良いのかな。」
四葉は突然とそういった。
「私が裕也くんを守ることなんてできない!」
四葉は今にでも壊れてしまいそうに弱っていた。
「魔力じゃ五葉ちゃんにも敵わない。だから五葉ちゃんに押し付けてたの!」
四葉は涙を流してそう言っていた。
「今まで頑張ってきた事は無駄だったのかな?無意味だったのかな?」
俺は四葉の言葉を聴きながら部屋の周りの本の数を見ていた。
これがいままで頭に詰め込んできた四葉の知識だ。そして目に見える努力の結晶だ。
いま、四葉が流している涙はそれがこぼれ落ちるような感覚なのだろう。
でも、俺は知ってる。四葉が頑張って来たことを
「四葉は今まで頑張ってきたんだろ?」
涙を流す四葉に俺は言葉をかける
「なら、それは自分の財産だ。他の誰にも変えられない四葉だけの物だ」
四葉は下を向いていた。
「五葉にだって負けない努力を四葉はしてきたはずだ。俺はそれを見てきた。」
四葉は涙を流していた。
「知ったような口を利くなって思われてもいい。でも俺は四葉を、今まで時間を無にしてでも四宮家の為に頑張っていた四葉を俺は知ってる。」
涙を流す四葉を俺は強く抱きしめた
「それじゃダメか?四葉?」
「ううん、、、ありがとう、、裕也くん」
涙交じりに答える四葉。少しはこれで落ち着いてくれるだろうか?
俺の方が四葉をほったらかしにし過ぎたんだろう。明日からはもっと俺から四葉に歩んでいかないとダメだな。
「少しは落ち着いたか?四葉」
「うん、ありがとね」
俺は四葉の涙を指で拭う
「気晴らしに今日は外で夕飯にするか?」
「うん、そうしよう」
四葉もそういうので俺は部屋で待つ五葉のところに行った。
「五葉?入って大丈夫か?」
「うん」
五葉の返事が聞こえたので俺は扉を開ける
「四葉と外で夕飯にする事にしたけど五葉もどうだ?」
俺は五葉を夕飯に誘った
「ううん、いいよお姉ちゃんと2人で行ってきて?私は自分で作るから」
「そうか?」
「うん、私は大丈夫だから。むしろお姉ちゃんの事心配だし兄さん一緒に居てあげてよ?」
「心配なら尚更、一緒にいた方が良いんじゃないか?」
「心配だからだよ、お姉ちゃんが今、必要なのは兄さんだから」
そういうものなのか?
「まあ、そういう事なら2人で行ってくるぞ?」
「うん、行ってらっしゃい」
五葉がそういうので俺は四葉と車で出る準備をした。
四葉と俺は車に乗り込んだ。
「四葉は何か食いたいもので希望はあるか?」
「特にはないかな」
「そうか」
俺は車を走らせる。
「ファミレスとかでいいか?」
「うん、いいよ」
四葉がそういうので俺は近所のファミレスにすることにした。
「ここで良いか?」
俺は一応、四葉に最終確認をとる
「うん、」
俺は車を駐車場に止めて2人で店内に入った。
「いらっしゃいませー。何名様でしょうか?」
「2人です」
「では、あちらの席へどうぞ」
俺たちは店員に案内されて席に着いた。
2人で同じ料理とドリンクバー注文して料理が来るのを待っていた。
「四葉は何が飲みたい?」
俺は四葉の分も飲み物を取りに行こうと思った。
「いいよ、自分でやるから」
「いや、今日は俺にやらせてくれ。いつものアイスティーで良いか?」
「うん、じゃあお願い」
俺は四葉の分のアイスティーと自分の分の飲み物を取りに行った
「ほれ、アイスティー」
俺は四葉に飲み物を渡して席に着いた
「ありがとう。裕也くん」
「いいんだよ。少しは落ち着いたか?」
「うん、おかげさまで」
だいぶ四葉は表情も明るくなっていた
「そういえば、四葉っていつも昼休みはどうしてるんだ?」
「いつもは生徒会室で仕事をしながらお昼にしてるかな」
「ほう、俺に手伝えることはあるか?一応俺も生徒会の書記だし」
「ううん、大丈夫。私は先回りして仕事片付けてるだけだから」
「流石だな、」
「好きでやってる事だからね。」
「明日も生徒会室でお昼にするのか?」
「うん、そのつもりだけど」
「俺も一緒して良いか?」
「どうして?」
「四葉のそばに居てやりたいってだけだな。ダメか?」
「。。。そんな甘い声で言われちゃったら断れないじゃない」
少し間を置いて答える四葉、甘い声で言ってたか?俺
「甘い声では言ってないと思うが。。。なら明日は一緒にお昼にしよう」
「うん、」
俺はふと四葉について気になることがあった。
「そういえば副会長と仲がいいみたいだが。いつからの友人なんだ?」
「静華のこと?」
「ああ、福原副会長だな」
「静華は中学の頃からの友達よ?最初はクラスメイトで生徒会に入ってからは腐れ縁みたいな感じかな」
「へぇー、なにか気が合うところがあったのか?」
「そうね、服の趣味が一緒だったりとかはあるけど、、共通点っていう共通点はないんじゃないかな?」
「俺から見ると2人ともどことなく雰囲気は似てるけどな」
「そう?私は静華みたいに美人じゃないから」
「そんなことはないさ。四葉だって充分魅力的な女性だぞ?」
「そ、そうかな?」
四葉は少し照れたような素振りで返してくる。
もちろんこれは俺の本心だ。
2人で出てきた料理も食べ終わりお店から出ることにした。
「お会計は3480円になります」
四葉は自分の財布を出そうとしていた。
「いいぞ?四葉、今日は俺が出しておく」
「え?そこまでさせたら悪いよ。せめて割り勘なら。。」
「いやいや、俺から誘ったんだ。俺が出して当然だ。」
「う、うん。ならお言葉に甘えて」
そういって俺は自分の財布からお会計の全額を出して店から出た。
「ごちそうさまです。裕也くん」
「なに、気にすることないさ。」
俺は食後の一本のタバコを吸ってから車に乗り込んだ。
そして2人で家に帰り四葉を部屋まで送り届けた。
「今日は風呂に入ってすぐに寝るんだぞ?あまり一葉と会いたくないだろ?」
「うん、そうするね。何から何までありがとう」
「いいさ、ちょっと俺は一葉のところに行ってくるからそのうちに風呂は済ませておけよ?」
「うん、」
俺は四葉にそう言って一葉の部屋に行った。
「戻ったぞ?一葉」
「四葉とどこに行ってたのよ?」
そこにはしかめっ面の一葉がいた。
「夕飯だ。逆に清花さんとどんな話をしたんだ?」
「そんなの裕也には関係ないわ」
「関係なくはないはずだが、言いたくないのであればいい」
「四葉はどうなの?」
なんだかんだで妹を心配しているようだな
「大分落ち着いたよ。」
「そう」
「あまり四葉に強く言ってやるなよ。四葉は四葉なりに頑張ってるんだ。」
「そんなこと私にだってわかってるわよ」
「なら、どうしてあんな風に言ったんだ。」
「ごめんね、多分わたしにも余裕がなくなってるのよ」
本当に不器用な奴だ
「なんとなくそれは感じ取っていたけどな。でも四葉が魔力についてコンプレックスを持っているのは一葉だってわかっていただろ?」
「そうね、悪いと思ってるわよ」
一葉は次期頭首として自覚をしようとしている。だから焦っているんだろう
「で?四葉とはどんな話をしたのよ?」
「それは自分で四葉に聞くんだな。」
「今あの子と対面で話せると思ってるの?」
「それは2人次第だろ?こう言ってはなんだが、そこに関しては俺は関係ない」
「関係ないのに首を突っ込むなんて自己犠牲が過ぎるわね」
「自己犠牲が俺の良いところだ。」
「自己犠牲が良いところ?ふふっ、ついに頭に蛆虫でも湧いちゃったのかしら?」
「それはちょっと悪口が過ぎるぞ?一葉」
「うるさいわね。」
「はぁ、余裕がないんだな」
「しょうがないじゃない。お母さんが甘過ぎるのよ」
「たしかに、清花さんはみんなに甘いのかもしれないな。でもこうして今、四宮家は三宮家を超えるほどの大きい家になったんだ。そこは認めないのか?」
「認めてるわ、勿論。でもそれ以上を目指すには」
「まあ、まだ先の話なんだ。一葉ももっと色んな経験を積めば見えてくるものもあるだろう?」
「年下のくせに偉そうなこと言うわね?」
「フッ、社会人からは年齢なんて関係ないぞ?実力のあるものから這い上がっていくんだからな」
「あなた、20歳でもまだ高校生でしょ?社会人にすらなってないじゃない」
「まあな、でも年相応の経験はしてきたつもりだ。できれば一葉の力にもなってやりたいと思ってる」
「ふんっ!ほんと、自己犠牲大好き裕也くんね」
「気色の悪いあだ名を付けるな」
そういって俺は一葉の部屋を後にして自分の部屋に戻った。
部屋に戻って俺は自分のカバンを漁っていた。
そういえば、クラスメイトからゲームを借りているのを忘れていた。
「うむ、どうしたものか」
クラスメイトには悪いが今日のところはプレイしないでおこう。しばらくは四葉を気にかけておかないといけなさそうだしな。ゲームと四葉どちらが大事かと言われたら言うまでもない
明日もあるしな。
俺は、風呂に入って寝ることにした。四葉は風呂を出ただろうか?
俺は着替えを持って風呂に入る事にした。
脱衣所を開けると誰も風呂に入っている様子はなかった。という事は四葉はもう出たのだろう。
翌日
朝を迎えた。俺は体を起こしていつものように洗面所に向かっていた。
すると、五葉がもう登校するような様子で玄関にいた。
「五葉、もう行くのか?」
「おはよう兄さん。うん、私は先に行くから兄さんはお姉ちゃんと行ってあげて?」
「それは構わないが。にしても早すぎないか?」
時間はまだ朝の7時を回る前だった。登校時間は8時45分のはずだ
「たまには早めに行くのも良いかなって思って。朝ごはんはお母様が朝早くに出ちゃったから私が作っておいたから!」
「そうか。」
「兄さんのお弁当も私が持って行くからお姉ちゃんと行ってあげてね!それじゃ」
五葉はそう言って家を出て学校に向かった。
俺はというといつものように洗面所で顔を洗い髪をセットして朝食にする事にした。
俺は自分の分の朝食を盛り付けてテーブルに置いた。すると、四葉が起きてきた。
「おはよう、裕也くん」
「おはよう、四葉。珍しいなこんなに遅く起きてくるなんて。四葉の分の朝食もあるぞ?五葉が作ったらしい」
四葉はいつも清花さんと同じくらいの時間に起きて朝ごはんを一緒に準備していたはずだが今日はさすがに気分が乗らなかったか。
「五葉ちゃんは?」
「もう、学校に行ったよ」
「早くない?」
「俺もさすがに早いんじゃないか?って言ったんだがな」
俺は四葉の分も盛り付けて朝食を取る事にした。
2人で朝食を食べ終わり学校に行く事にした。
電車に揺られて二駅、歩いて約20分して学校に着いた。
「じゃあ、俺は5階だからまた昼休みにな」
「うん、生徒会室でね」
そう言って四葉と階段で別れた。
教室に着くと五葉と唯花がいた。
「おはよう。」
「おはよ、兄さん」
「おはよう裕也くん」
「にしても五葉、早く出てどうしてたんだ?」
「する事もなかったし教科書とノート見比べてた。」
「そういえば、なんで今日は一緒に来なかったの?」
唯花が聞いてきた。それもそうだろう俺と五葉はいつも一緒に登校しているからな。
「ちょっと色々あってね。」
「なに?裕也くん五葉ちゃんに何かしたの?」
「何かしてたら今頃気まずくなってるだろ、、、」
唯花は少し顔を赤らめていた。昨日のことでも思い出しているのだろう
ちょっとからかってみるか
「唯花こそ何かあったんじゃないのか?顔が赤いぞ?」
「え?ふーん、昨日雨に濡れたし風邪気味かな〜。コホンコホン」
唯花はわざとらしい咳払いをしながら言った。
「むしろ唯花ちゃんと兄さんの方が怪しいじゃない」
「気にするな五葉、俺は五葉が好きだ。」
いつものような談笑をして朝礼になった。
「あ、五葉。俺、今日は生徒会室で昼にするから。唯花と2人で昼飯にしてくれ」
「うん、わかった。お姉ちゃんのことお願いね」
そう交わして朝礼の話を聞いていた。
すると後ろからツンツンと肩を突かれた
「なんだ、唯花」
「会長に何かあったの?」
「会長?」
「生徒会長。四葉さんのこと」
ああ、四葉の事か。会長っててっきりどこかの企業の会長かと思ったぞ。
にして察しがいいな唯花は。
「まあ、ちょっとな。」
「教えてくれないの?」
「それは昼に五葉から聞いてくれ」
「裕也くんから聞きたいなぁ〜」
甘い声で言ってくる唯花
「すまんな、今回に関しては五葉から聞いた方がいい。姉妹間でのやりとりだからな」
「なるほどね。わかった」
唯花は快く理解して了承してくれた。
午前中の授業も終わり。
ついに昼休みになった。
俺は五葉から弁当箱を受け取って急いで生徒会室に足を運んだ。
俺は生徒会室の扉を開ける。
すると生徒会室の中では四葉がパソコンで何かを打ち込んでいた。
「悪いな四葉、待たせたか?」
「ううん、大丈夫だよ。」
俺は四葉の隣に座って弁当箱を広げた。
四葉もパソコンを閉じて弁当箱を広げていた。
当たり前だが中に入っている料理は全く同じものだ。
「いただきます」
四葉がそう言って俺は手を合わせて
「いただきます」
俺たちは五葉の作った料理を食べる
「にしても、五葉ちゃん料理上手くなったよね」
「そういえば五葉っていつから料理なんて始めたんだ?」
「たしか、中学生になってからだよ。家庭科部に入ってたから」
俺が監禁されている間だったのか。
「五葉ちゃん料理以外にも裁縫が得意なんだよ」
まるで自分の事のように五葉を自慢する四葉。
五葉もそうだけど本当に相思相愛の姉妹だよな。
一葉と二葉は全くそんな事は無いのだが、、、
三葉は、、、そういえば姉妹で特別仲のいい奴はいないな
俺たちは弁当を食べ終わり。ご馳走さまを済ませた。
「四葉、」
「どうしたの?」
「一葉に自分の意思は伝えようとしたのか?」
俺は四葉に昨日の続きの話を持ちかける。そのために昼を一緒にしたんだ
「したよ。でも多分聞いてくれないと思ったから」
「それは、自己完結の話だよな?」
「うん、そうだね。」
「四葉は一葉の事をどう思ってるんだ?」
「わたしにはよくわからないかな。真面目な人ってところかな?」
「真面目って言ったら四葉の方が真面目だと俺は思うぞ?」
俺は間を空けて四葉に改めて質問をした。直接言葉で聞くのは初めての事だ
「四葉はどうしたいんだ?」
「どうしたいって?」
「今まで、色んな勉強をしてきてただろ?姉妹の中でも四葉は一番の博学だと俺は思う。なんでそうしてきたんだ?」
「それは、家のためだよ。魔法の力じゃ私は敵わないもの。だったら普通の人間でも出来ることで姉妹の中で一番になろうと思った。」
知っている事だった。いや、俺は気づいていた。四葉は今まで家のために人一倍以上に努力していた。自分の時間を無にしてでも家のためにそうしていた。
「それは、一葉には伝えないのか?」
「聞いてくれないよ。」
四葉の短所はここだ。自分だけにしか頼れない、決して他人に頼ろうとはしないところだ。だから生徒会でもこうして一人で先回りして仕事をこなしている。
それが出来ているという所が四葉のすごいところでもある。
でも家族は違う。1人では家族ではない。
家族っていうのは必ず複数人で家族になるものだ。
四葉は器用に見えて本当は不器用な女の子だ。本当に姉妹で似た者同士だな。。
一葉も四葉も
「四葉は、一葉がそこまで頭の固い人間に見えるか?」
「頭が固いとは言わないけど。私の意見を聞いてもらえるような気はしないかな」
「なら、そこを俺が訂正してやろう。」
俺が思う一葉を四葉に伝える。
「一葉はな、四葉が思うほど頑固な女じゃない。むしろ家族、清花さんや葉月さん、二葉に三葉、そして五葉、もちろん四葉の事もとても大切に思ってる奴なんだ。」
「いま、ドイツに行ってるのだって清花さんに言われて行ったのは事実かもしれないが。それ以上に家族みんなの架け橋になりたいと思って行ってる。」
一葉のある言葉が俺の頭の中で蘇った。
「お母さんは1人でここまで四宮家を大きくした。なら、私は二葉、三葉、四葉、五葉のみんなでもっと大きくしたいわ。それが私の夢かな」
俺はあの言葉を聞いた。
「一葉は四葉の事も大事に思ってるんだぞ?大事に思ってる妹の話を聞かない女には俺は思えないけどな」
「うん、」
四葉はそれだけ言っていた。
「四葉は俺のことどう思ってる?」
「え?」
俺の質問に赤面して答える四葉
「俺は人を理解できない人間に見えるか?」
「ううん、そんな事ない」
良かった。どうやら俺の言葉は信じてもらえそうだな
「なら、今の話はわかってもらえたか?」
四葉は肩を落として深呼吸をしていた。
「これじゃ、私がまるで悪者みたいじゃない」
「一葉に自分のことは話せそうか?」
「うん、話してみる」
「そうか、」
俺は四葉の頭に手を乗せる。
「俺は今日、唯花の家で夕飯にするから。一葉と話をしておけよ?」
「わかった。」
俺は生徒会室を出る事にした。
「じゃあ、また家でな。一葉ならきっと聞いて理解してくれる」
「うん、ありがとうね。裕也くん」
第6話「四葉」ー完ー
こんにちは!小林歌子です♫
書き直した6話はいかがでしたでしょうか?
今回も後書きはキャラクター紹介をしようと思います!
今回はクラスメイトの「鈴木 唯花」ちゃんです!皆さんも気になっているのではないでしょうか?
ちなみに私がキャラクターに名前を付ける付け方は割と適当です!覚えやすいように心がけています!なので出てくる苗字が大体簡単なんです!
そしてそんな唯花ちゃんですが、作中にもあるようにナイスバディの淫乱娘!誰にでも気軽に関わってくる人懐こい容姿も可愛い女の子です!今回で完全に裕也に惚れてしましたね!唯花ちゃん
そんな唯花ちゃんですが身長は164cm スリーサイズは上から 90/57/88 とまさにボンキュっボンな女の子です!髪型はロングで色は黒なのですが若干赤混じりで濃い赤らへんですかね。。。
裕也と並ぶとほとんど身長が同じに見えます。(裕也の身長167cm)
次回はそんな唯花ちゃんの話しになります!どんな展開になるのでしょうか?お楽しみに!♫
以上、小林歌子でした!