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両性巫女の高校生活  作者: 小林歌子
3/8

第3話「実妹」

2話に引き続き第3話「実妹」の投稿になります!もうサブタイトルから誰が出てくるのか丸わかりですね!笑

是非是非楽しんでください!

あと、読んで頂いた方もし宜しければコメントの方もお待ちしております!

最近、すっかり俺は学校中で注目を浴びる有名人になってしまった。

先日のあのサッカー部の一件からである。

あのあと意識を失っていた俺は全く知らなかったがあの一件を新聞部が取り上げたらしい。そして俺が両性巫女である事もその記事には書かれていた。

そのおかげで両性巫女が犯罪者予備軍の種族である事を知っている連中は俺からは距離を置いているが

知らない奴や興味のある連中は結構話かけてくるようにもなった。

「裕也くんすっかり有名人になっちゃったね」

唯花が嬉しそうに言う。

「注目はあまり集めたくないんだがな。まあ、仕方がないだろう」

「そう言えば。今日うちのクラスに転校生来るみたいよ?」

「まだ4月なのにか?」

4月で転校ってどこにもほとんど居ないだろうに

「可愛い女の子なんだって。」

「ほう」

「裕也くん興味あるんだ?」

「ない訳じゃないな」

「兄さん転校生に早々と手を出すんだ?」

五葉が怒ったように返してきた

「そういう人聞きの悪いことは言うな」

すると教室に担任の先生が入ってきた。

「はい朝礼始めます。今日の日直は四宮の妹さんですね。号令お願いします」

「はい、」

五葉がクラスの号令をして朝礼が始まった

「はい、では知ってる人も多いと思いますが。転校生がうちのクラスに入りますので仲良くしてあげて下さい。では入って来てください」

そして教室の扉が空きピンク色の短いツインテールの女の子が入ってきた。

ガタン!俺は咄嗟に立ち上がった!

「な、なんで夢弥が」

五葉も驚いた顔をしていた

「どうしたんですか?四宮の兄の方」

担任の先生が俺に言う。すると夢弥が口を開いた

「会いに来たよ。お兄ちゃん」

「なんで」

「では大川さん自己紹介をお願いします。」

先生は気にせず先に進めようとしていた

「大川夢弥っていいます。お母さんの仕事の都合でこっちに転校しました!よろしくお願いしますね!」

気さくな自己紹介をする夢弥。なんで大川家直々に送り込んで来る?監視役はすでにいるんじゃないのか?

俺は河合さんを見た。とても焦ったような顔をしている。ただ夢弥が来るのを知っていて焦っているようだった。

「じゃあ大川さんの席は」

「あ、四宮君の隣でお願いします」

「そこは空いてないんだけど」

夢弥は先生に無理を言っていた

「で、ではわかりました、菊池さんごめんなさい。あっちの空いてる席に言って貰っても良いですか?」

すると夢弥は嬉しそうに俺の左隣りに座った

そして夢弥の前の席は焦っている様子を隠せない河合さんだった

「おい、河合。こっち向きなさい」

さっきの可愛らしい声とは裏腹な声で河合さんを呼ぶ夢弥

「はい、」

河合さんは申し訳なさそうな顔をして夢弥の方を向いた

「あんたねえ、仕事やってんの?うちの合法ロリババアがうるさくて仕方ないんだけど」

「申し訳ありません。夢弥さま」

「まあいいわ、おかげでこうしてお兄ちゃんとまた会えたから許してあげる」

そんなこんなで朝礼も終わり1時間目の授業までの空き時間になった

「お兄ちゃん。会いたかったよ」

夢弥は俺を見て先ほどとは打って変わった可愛らしい声で言った

「ああ、俺もだ。だけどなぜ転校なんだ」

「だから母親の仕事の都合って言ったじゃない。あの合法ロリババアがたいそうお怒りなの」

「いい加減母さんを合法ロリババアって言うのやめろ。夢弥は俺を連れ戻す為に来たのか?」

「うーん、当たらずとも遠からずかな」

「なら目的はなんだ?」

「それは今や関係者ではないお兄ちゃんには話せないよ。それとお兄ちゃんに会い来たのは本当だよ。会いたかったのも本当」

夢弥がこういう事を言う時の表情は真剣だこう言う時の夢弥は嘘を言っていない。

「でもここでの任務があるのも本当。そしてそれはお兄ちゃんには話せない」

「そうか」

以前にも言ったが夢弥は俺の唯一よく遊んだり飯を食ったりした唯一の肉身だ夢弥がいた事で俺はここまで生きてこれたと言っても過言ではない。

夢弥に心を救われた今でもそれには感謝している

「でもね、私はお兄ちゃんの味方だから。」

「夢弥。。」

「あんな合法ロリババアの思い通りになんかさせないから。」

「だからその合法ロリババアっていうの辞めろよ。お前も将来はそう言われるかもしれないぞ?」

「お兄ちゃんと子供が作れたらそれでも良いよ!」

「何言ってんだこの淫乱ロリ娘!お前に子供なぞ10年早いわ!」

「何気にリアルな数字を言ってる裕也くん?」

声の方に顔を向けると眉間にシワを寄せた唯花がいた

「2人はどんな関係なのかな?」

「前に言わなかったか?実の妹だ」

「聞いてないわよ!妹がいる事なんて!」

だからってそんなに怒る事なのか?

「夢弥が妹じゃなかったらなんか問題でもあるのか?」

「大アリでしょ!赤の他人にお兄ちゃんとか呼ばせてたら」

ああ、それなのか。まあ年齢も隠してるし無理だとは思うが夢弥に言っておくか

「夢弥。」

「はい、お兄ちゃん」

「学校ではお兄ちゃんとは呼ぶな。一応俺といつ。。」

「ムリ」

最後まで言わせず答えやがった

「夢弥。話は最後まで聞けと小さい頃から教えているだろ」

「裕也くん?私の話も最後まで終わってないわよ?」

「あとにしろ唯花」

「あとにしないけど?」

俺は唯花に耳を引っ張られて唯花に顔を向けた

「普通に痛いぞ?唯花。これはセクハラとパワハラ両方つけられるぞ?」

「あなたのメンタルハラスメントには及ばないわよ?で、私の話の続きなんだけど」

そこまでして言わなくちゃいけない事なのか

「あなたこの子とその、、えと、、、」

唯花はいきなりどもり始めたと思ったら顔を赤くした

なんだこいつ今日生理なのか?

「子供?」

夢弥が答えると唯花は完全に真っ赤になっていた。不思議と頭から湯気が見える

「私、お兄ちゃんと子供が作りたい!」

本当に何言ってるんだ実妹よ。第一こいつ子供の作り方知ってるのか?

コウノトリが運んできたとか言わないだろうな?

「ねえ、夢弥ちゃんそもそも子供の作り方知ってるの?」

何を言わせようとしてるんだ。五葉よ、俺は止めないぞ

「そんな事知ってるわよ。この偽妹。この私が教えてあげるわ?」

自信満々な所を見ると、これは知らないだろうな。あと偽妹もやめろ?

「そんなの男のあれと女の、、むっ」

唯花が夢弥の口を全力で防いだ

「何をする唯花。いま良いところだったぞ?空気を読め」

「こんなちっちゃい子になに言わせようとしてるのよ!」

「夢弥。以外だったぞ知ってるじゃないか。」

俺は夢弥の頭を撫でた

「えへへ」

夢弥は満面の笑顔で喜んでいた

「だがな夢弥よ。俺はお前と子供は作れない。わかるか?」

夢弥はなんで?と言ったような顔をして俺を見る。子供の作り方は知ってても遺伝子やDNAの事はわかっていないらしいな

「あのな。俺と夢弥は血が繋がってるんだぞ?そこはわかるか?」

「うん、なんで血が繋がってるとダメなの?」

「同じ遺伝子、厳密には似通った遺伝子なんだが、それを持つ者同士が子孫を残すとその生まれてくる子供には様々な障害が生まれる可能性があるんだ。」

「別に良いじゃん、別にお兄ちゃん障害の子でも差別とかないでしょ?」

「そういう問題じゃない。産まれてくる子供の苦労は考えないのか?」

「それは、、そうだけど」

「わかってくれたな?夢弥」

「で、さっきから子作りについて熱弁してる裕也くん?」

唯花が怒りの表情で俺に迫る。怖い怖い

「あ、ちなみに唯花とは子供を作っても大丈夫なんだぞ?夢弥」

「あ、あ、あ、いきなり何言い出すのよ!」

唯花は言うとすぐに顔を赤くした。よし、気をそらす事ができたな

「そんな事より。そろそろ授業が始まるぞ」

今日もそんなで1日の授業が始まったにしてもまさか直接、大川家の夢弥を送り込んで来るとはな。何を考えているんだ大川沙弥もう俺はあなたの元には戻る気は無いんだ。夢弥は俺の味方だと言ってくれてはいたが

「四宮裕也くん?」

俺の名前が呼ばれた

「はい?」

数学の女性教師が俺の目の前にいた。この巨乳眼鏡教師めが。誘惑でもしているつもりか?

「なんで教科書を出さないのかな?」

「ふっ愚問ですね。淫乱で有名な平沢先生。そんなの先生の体を隅から隅まで見るために決まってるじゃないですか」

自分で言ってても気色の悪いセリフだな。先生はそんな事を言われ腕で胸を隠す仕草で俺に返してきた

「見るのは教科書出しながらでもできるでしょ?」

「それもそうですね、気づきませんでした。申し訳ありません淫乱先生いえ平沢先生」

「あの四宮くん?出来ればその変な呼び方やめてもらえるかしら?」

「淫乱先生ですか?」

「そうよ。これでも私しょ、、って何言わせるの!」

「これは意外ですね、ギャップ萌えしました。」

「口説こうとしても無駄よ?」

「まさか、先生を口説くなんて恐れ多いですよ。俺には五葉が居ますから。」

「あの、兄さん私にふられても困るんだけど」

五葉は平然と答える

「先生ごめんなさい、兄さんの又数が多くて家で強く言っておきますので」

「もうお願いよ。妹さん」

俺は数学の教科書を出し授業を受ける準備をした。平沢先生は教壇のほうに戻っていった。

「兄さん、大川家のこと気にしてたんでしょ?」

さすがだな五葉。まあどうしても気になってしまう

「ああ、まあな。今まで以上に注意が必要そうだ」

「でも、夢弥ちゃんの言ってた事は信用してる?」

「そこが難しいところだ。夢弥の気持ちは知ってるだけにな」

俺たち2人はなるべく夢弥に聞こえないように話した

まあ聞かれても問題はない程度の話だがな

なんだかんだで午前中の授業が終わり。昼休みの時間になった。

「五葉、唯花ビオトープで飯食うか。」

「うん行こっか。」

「あの、四宮裕也。私と夢弥さまもご一緒してもよろしいでしょうか?」

俺は3人でビオトープに行こうとすると河合乙女が俺を呼び止めた

「ん?河合さんは俺のこと知ってるんだったか?」

「はい、もちろんです。これでも古くから大川家に仕えています。」

なら問題はなさそうだな。学校だったら特に何か仕掛けるとも思えないし

「なら、一緒に行くか。」

俺たち5人はビオトープにそれぞれ昼飯を持ってビオトープに来た。

いつものように何人かの喫煙者の教師がいた

「お、四宮くんお疲れ様。今日は人が増えたね」

「はい、皆。俺の事知ってるんで。大丈夫でしたか?」

「全然構わないよ。にしてもモテモテだな四宮くん」

「いや、両性ですから、モテてるわけでは無いでしょう。あはは」

俺は愛想笑いをしながらいつものベンチに座った。すると五葉と唯花はいつものように座れたが夢弥と河合さんは余ってしまった。

「あ、どうするか。」

「大丈夫です。」

そう河合さんが言うと、同じ大きさのベンチをもう一つ魔法で出した。

やっぱり女の巫女はなんでもアリだな。

すると河合さんの銀髪は毛先が少しピンク色に変色した。

「どうやらなんの変哲もない巫女のようだな」

「何か特別な巫女だとでも思っていたのですか?」

河合さんは鋭い視線を俺に向けながら答える。前から思っていたが威圧感がある目だな。

「いや、そんな事はない。第一特別な巫女なんているのか?」

「いるでしょう。両性巫女なんて特別以外のなんでもないでしょ?」

それは言えるな

「でも両性巫女は女の巫女よりも魔力が劣る存在なんだぞ?特別どころか普通の巫女に劣る存在なんだぞ?」

「そんなことないでしょ、、だって、」

すると話している河合さんにいきなり夢弥が襟首を掴んだ。どうしたんだ夢弥

「あんた何口走ろうとしてんのよ?」

夢弥がドスの効いた声で言った。

「申し訳ありません」

「そんなんだから、仕事一つ簡単にこなせない落ちこぼれなのよ。その話は四宮裕也には言ってはいけない話でしょ?タブーもわからないの?」

よくわからない話だから俺はあまり踏み込まなかった。だが

「おい夢弥、それはやりすぎだぞ。河合さんにだって色々あるはずだ」

夢弥は河合さんの襟首を離した。

「ごめんね、お兄ちゃん。でもこれは大川家には報告しないとね」

「あえて、俺は踏み込んだ話は聞かないが。あまり河合さんをいじめるなよ?」

「はーい!お兄ちゃん大好き!」

ではでは、お昼にするか

「はい、兄さん今日のお弁当」

俺は五葉から今日のお弁当を受け取った

「いつもありがとな。五葉。」

「う、うん今日も私が作ったから。」

五葉は顔を赤らめ前髪をいじりながら言う。

「え?偽妹。お兄ちゃんにお弁当作ってるの?」

「だから偽妹やめろ?」

「もはや夫婦ですね。」

「河合さんもやめろ。双子としての演出だ」

「もうこの2人の間には入れないわ」

「おい唯花、諦めるんじゃない」

「今度、私もお兄ちゃんにお弁当作ってくるね!偽の妹になんか負けないから!」

「夢弥、俺の話を聞いてるか?五葉を偽の妹というのをやめろ」

「だって私が本物の妹だもん。」

「それはそうだが。周りにお前が本物の妹だとバレるのはマズイんだ。」

「そんなのわかってるよ。だからわざわざ魔法で髪の毛の色変えてるんでしょ?」

「そういう事だったのか。全く気づかなかったぞ」

「だってお兄ちゃんと私の顔結構似てるから。せめて髪の毛だけでもって思って」

「そんなに似てるのか?唯花ちょっと見比べてみてくれ」

「え?うーん」

唯花は俺と夢弥の顔を交互に見比べる

「確かに言われてみれば目つき以外は結構似てるかも。でも髪の毛の色一緒でもわかりやすいのかな?」

「じゃあ地毛の色で見比べてよ!」

夢弥は髪の色を元に戻した。魔法を使っていたので毛先の少しの部分はピンク色になっていたが

「うわ!結構似てる!目つき以外!」

唯花はかなり驚いたように言う

「でしょ?」

そういって夢弥はまた髪の毛をピンク色に戻す

「そんな気を使えるのになんで五葉を偽の妹と言うんだ?」

「他の人がいるとこでは言ってないでしょ?」

「一番最初に教室で言ってただろ」

「だってこの偽妹の顔見てたらムカついてきたんだもん。」

五葉は少し悲しそうな顔をしていた。昔は仲良くしていたと思うんだが

「五葉、あなたにお兄ちゃんはあげないから!」

夢弥は五葉に指を立て強く言った

俺は五葉のお弁当を食べ終わりタバコを吸い始めた。

「あ、こんな時間ちょっと私、乙女と出るからまた後でねお兄ちゃん!」

「おう、また教室でな」

夢弥はそう言って河合さんとビオトープを後にした。大川家は学生も関係なしに大忙しなんだろうな。それは四宮家の五葉と四葉姉さんも似たようなものだが

「兄さん、私夢弥ちゃんになにかしたのかな?」

「わからんな。そもそも五葉。夢弥と最後に会ったのはいつなんだ?」

「兄さんを大川家から出した4年前が最後だったかな。あの時に夢弥ちゃんの魔力を私が全部取って倒したんだけど。」

「まあ、それは戦闘の時の事だからそんな事を根に持つような夢弥ではないと思うが」

「私もそうだと思うけど」

「単純に女の子としてって事じゃないの?夢弥ちゃんが言ってるの」

唯花が話に割ってきた

「ん?さらにわからんぞ?唯花」

「ごめん、私もわからなかった唯花ちゃん」

「はぁ、2人揃って鈍感だなぁ」

「にしても五葉、今日は帰ったら清花さんとの巫女検査だけど。大丈夫か?」

「うん、それは大丈夫。」

「巫女検査ってどんなことするの?」

唯花が聞いてきた

「そんな小難しい事はしないぞ?単に巫女化して戦うだけだ。殺さない程度にな。」

「え?巫女の攻撃って人死んじゃうの?」

「ああ、死ぬよ。巫女1人に戦車と戦闘機が10機10両並みの戦闘力と殺傷力がある。だからよく軍人の両性巫女とかテレビで取り上げられるだろ?」

「ああ、あれってそう言う事だったんだ。でも両性巫女って女の巫女よりも劣るんでしょ?」

「ああ、だが物を物理的に動かすのはまさに自由自在だ。だから最前線に置かれたりする。」

「それってそんなに使えるの?」

「あのなよく考えてみろ。撃った弾がほぼ百発百中なんだぞ?撃てばとりあえず当たるんだぞ?それも狙わずに撃っても当たるんだぞ?」

「でも軍人の人たちってみんなそんなもんなんじゃないの?」

「バカ言うな。人間はそんな便利にできてない努力をしても狙わずに的確に当てるなんてできる人間は存在しない練習あっての物種だ」

「裕也くんもその百発百中ってできるの?」

「ああ、できるよ。絶対に当たるからつまらなくてすぐに辞めたがな」

「やっぱりそう言うもんなんだね。なんでも上手くできちゃうって言うのも面白くないんだ」

「そうだ。努力した先が人生を楽しむって言う事なんだ。そんな両性巫女や巫女が唯一努力しないと手に入れられないものがあるが、わかるか?唯花」

「え?ごめん。両性巫女を裕也くんしか知らないしわからない」

「まあ、俺しか見てなかったら尚更わからないかもしれないな」

「ねえ教えてよ」

「なら、教えてやろう。それはな、、」

俺は一息をついて答える

「それは人間関係だ」

「ああ、ってなんで?」

「人間は1人1人価値観も考え方も違うからな。馬の合うのもいれば合わないのもいる。人の気持ちは魔法では動かせないからな。」

「ああ、なるほどね。裕也くんはそれを自然とやってるから気づかなかった」

「俺はそれに気づいてそうしてるし。これに気づけない巫女はそこら中にいる。近場でいうと河合さんなんかはその気づけなかった巫女なんだろうな。」

「たしかに河合さんってクラス委員長だけどなんか孤立してるね」

「特に女の巫女だから割となんでもできるからな。あまり面白いと思える事が今までに無いんだろう」

「裕也くんは河合さんにその話はしないの?」

「これは他人に言われてやるような事じゃない。気づいているんだったらとっくにやってるし自分次第の事なんだよ。まあもし河合さんの方から聞いてくような事があれば話すかもしれないな」

「そういうとこ以外と冷たいんだね」

「そうではないだろ。さっきも言ったが自分次第なんだ。だから唯花はこうして俺と五葉と一緒に居るんだろ?この今は唯花の努力でできた居場所だ。気づいていないのか?」

「あまり意識はしてないけど。。まあ最初に話しかけるのは確かにちょっと緊張はしたかもね。」

「そうだ。その緊張が努力の証だよ」

「それに気づいてる兄さんを4年も監禁した大川家がどれだけ酷いのかわかるでしょ?」

ずっと黙って聞いていた五葉が口を開いた

「五葉、良いんだよ。今はこうして四宮家に居るんだから」

「兄さん、絶対に大川家には取り戻させないから」

「五葉。」

俺たちは午後の授業に向けて教室に戻った。

「裕ちゃん!ねえねえ」

誰だ俺を呼んでるのか?と俺は声の方に振り向いた

「。。。なんだ、夢弥か誰だと思ったぞ」

「もう!やっぱりお兄ちゃんじゃなきゃわからないんじゃん!」

ああ、そういえばさっきそんな話ししてたな。

「だからって裕ちゃんはないだろ。四宮くんとか裕也くんとかあるだろ」

「イヤだイヤだ!ちゃん付けじゃなきゃイヤだ!」

なんだそのわがままは意味が不明だ

「わかったよ。ならそれでいい」

「でね、裕ちゃん。今日の放課後ヒマ?」

「ああ、特に何かあるわけではないが」

「なら私の家来ない?」

いきなり俺を奪還しようってことか?

「ふざけるな。大川家には行かないって言っただろ」

「違うよ。大川家じゃなくて私の家」

「夢弥の家は大川家だろ」

「もう、私はお兄ちゃんの味方って言ったでしょ?なんでこれで気づいてくれないかな?」

夢弥は小さい胸を俺の腕に押し付けてくる。ロリっ娘恐るべしだ

「私、高校生になったから一人暮らしになったの。」

「こんな小っちゃい娘を一人暮らしとは相当残酷な実の親なんだな」

「その実の親、お兄ちゃんの生みの親でもあるんだけど」

「で?なんで俺をその夢弥の一人暮らしの家に案内する?」

「実はちょっとまだ荷物の整理ができてなくて。お兄ちゃんちょっとだけ手伝ってくれないかな?」

「ほう、この俺を雑用に駆り出すとは偉くなったな夢弥。」

「4年間実家に監禁されてたお兄ちゃんがそれ言う?」

「母さんは居ないんだな?」

「あんなロリババア私の家に入れないよ。」

「実の親をロリババアと言うのはやめておけ。まあ良いだろう。手伝ってやる」

「え?兄さん行くの?」

すると五葉の方から驚いた声が聞こえた

「なによ、偽の妹。あなたは私の家には入れないわよ?」

五葉は入れないのか一緒について来てもらおうと思ってたのだが

「夢弥ちゃんに聞いてないよ。兄さん行くの?」

「ああ、行ってくるよ。大丈夫だ夢弥は本当に一人暮らしらしいからな」

大川家の企んでいる事ももしかしたらわかるかもしれない

「8時くらいまでは戻れる?」

「うーんわからんな。夢弥、あまり遅くはなりたくないんだが」

俺は夢弥に聞いた

「えー?それはわからないよ?なるべく早くはしてあげるけど」

「五葉、なるべく8時までには帰れるようにするよ。巫女検査だろ?」

「うん、その兄さんには見て欲しくて。」

「わかった。戻れるようにするよ」

午後の授業も終わり放課後になった。

「弟くん!」

姉さんが終礼が終わった途端に俺たちの教室に来た。

「はぁはぁ、、ちょっと待ってね。」

「なんだ姉さん走ってきたのか?」

「うん、えっと夢弥ちゃんが転校してきたって本当?」

「本当ですよ。偽物のお姉さま?」

後ろから夢弥が顔を出して言った。

「夢弥ちゃん、、、どうして?何の為にこの学校に」

「そんな事、四宮家の皆さんには関係ないわ。無論実の兄であり今は四宮家のお兄ちゃんにも関係ないけどね。」

「姉さん。俺も今日一日夢弥に色々聞いたんだ。ひとまずは落ち着いてくれないか?」

「任務の事までは話してないでしょ?裕ちゃん」

「余計な事を言うな。」

「本当に大丈夫なの?」

「ああ、姉さんに心配はかけないよ。」

「なら、いいの。何かあったら連絡してね。」

「ああ、大丈夫だ問題ない」

よし、夢弥の家に行くということは姉さんにバレていない。姉さんが知るとめんどくさいからな。

「じゃあ、お兄ちゃん私の家行こう!」

夢弥が俺の腕に掴みかかりながら言った。おい、まだ姉さんが居るんだぞ?

「あの、裕也くん?」

「姉さん、ちょっと待ってくれ。これは、、、」

「帰ったら、ちゃんと聞かせて貰うからね?」

「え?ああ」

予想とは全く違う答えで拍子抜けしてしまった。大川家直属の家に行くという事に気づいているのだろうか?逆に心配だ。

「はい、お兄ちゃん!行くよ」

夢弥が俺の腕に抱きつきながら言う。

「おい、あまりくっつくな。夢弥」

「いいじゃん、別に今は兄妹じゃないもん」

「だからこそくっつくなって言ってるんだが?付き合ってると思われる」

「イヤなの?私は全然気にしない!むしろ勘違いドンと来いだよ!」

「あのな俺をロリコンにするつもりか?」

「あのね、お兄ちゃん私これでも高校生なんだけど」

「制服は高校生かもしれんがお前の身体は中学生か下手したら小学生並みのなりだぞ?もっと自分の事を知るんだ夢弥。」

「そこまで女の子の身体の事とやかく言われると色々思う所があるよね」

「でだ、お前の家の最寄り駅はどこなんだ?」

「お兄ちゃんと一緒だよ?」

俺は足を止めた

「何でだ?」

「何でって言われても同じ駅なんだからしょうがないでしょ?」

本当に要注意だな大川家なんでわざわざ近所に夢弥を送り込むんだ

「ほら、行こうよ。お兄ちゃん」

「なあ夢弥」

「俺は母さんにどう思われてるんだ?」

「そんな事、私にはわからないよ。それに、あのババアがお兄ちゃんをどう思ってようと。私はお兄ちゃんの味方だから。それは信じてもいいんだよ?」

「そうなのか?」

「それにお姉ちゃんより私の方がお兄ちゃんも信用できるでしょ?」

「まあな。ならちょっとは夢弥を信用してみようかな」

「大丈夫だよ、お兄ちゃん私はお兄ちゃんだけの味方だから」

「そこまでしつこく言われると逆に怖いぞ?夢弥」

俺たちが学校の最寄り駅まで歩くとき夢弥はずっと俺の腕に抱きついていた

たまに歩行者に見られるのだが。どうしても夢弥は離してくれない

「夢弥、なんかお前から母さんの匂いがするんだが」

「ちょっとお兄ちゃんやめてくれない?セクハラで訴えるしまたお母さんの牢獄にぶち込むよ?」

「なんで実の妹にセクハラで訴えられなきゃいけないんだ。悪かった、単純に懐かしい感じがしたんだよ」

「それに、あのロリババアと同じ匂いとかマジ最悪」

「お前どうしたって言うんだ?そんなに母さんの事嫌いだったっけか?」

「嫌いよ」

「なんでさ、理由聞いちゃダメなのか?」

「逆にお兄ちゃんお母さんの事許してるの?」

「それは許してないけど」

「お兄ちゃんをこんな風にしたから嫌いなの。私にとっても唯一の家族だったお兄ちゃんを」

「そうか。」

夢弥は産まれてから小学5年になるまでほとんど俺と2人で過ごしてきた。

父親も母親も仕事でほとんど家を空け。大川家からの期待の大きい姉も両親の仕事に就く事が多かったからだ。

俺たち2人は家族から除け者にされて育った。

俺が四宮家に引き取られた時も第一に夢弥を心配したがそれよりも前に夢弥は大川家からの仕事に就いていた事もわかってそこの心配はしなかった。

そんな事を思ってたのに今またこうして夢弥が俺の目の前に現れたから驚くのも当然だ。

そして夢弥の家の最寄り駅であり四宮家の最寄り駅でもある駅に着いた。

「で、どっちの方向なんだ?夢弥」

「こっちこっち!」

夢弥は俺の腕を引っ張って家の方角に案内する。

「こっちって四宮家の方向じゃないか。」

「結構近いんだよ?」

「なんでそんなに近くにしたんだ?」

「たまたまだよ。」

「そんなたまたまがあってたまるか。」

そして夢弥の家と思しきマンションの前に着いた。四宮家から歩いて10分もしないくらいの場所だ。それにまあまあ金額も高そうなマンションだ。

夢弥は鍵と思われる。ICカードをカバンから取り出し入り口を開けた。

「お金持ちみたいなマンションだな。」

「実際、大川家はお金持ちなんだから仕方ないよ。」

「他のところにはしようとしたのか?」

「お父さんがセキュリティがしっかりした所じゃないと認めないってうるさくてね」

「相変わらず。娘には心配症なんだな。」

「別にお父さんの方はお兄ちゃんにも心配はしてたでしょ?」

「それは初耳だ。ほぼほぼ会話した記憶もない。」

「まあ、お父さんは普通の人間だしね。」

そうして夢弥の部屋であろう10階層中の8階に着いた。

807号室で夢弥はまた鍵であるICカードを出す。

ピロロロ♪

そこで俺の携帯が着信音を鳴らした。

誰からだ?清花さんからだ。うむ、出ておいた方がいいな。

「はい、清花さん」

「あんた!今どこにいるの?」

「あ、えっと」

「四葉から聞いたけど本当に夢弥の家に行ってるんじゃないでしょうね?」

「なんだ知ってるんじゃないか」

俺はすごい棒読みで答えてしまった

「知ってるんじゃないか。じゃないわよ!どうゆうつもり?」

「大丈夫だ。清花さんこれは仕事の一つだ。必ず帰ってくる。」

「そう言う事なら。あとで位置情報を送りなさい。対応策を打っておくから」

「わかったよ。でも心配は要らないから」

「ダメよ。大川家にあなたを渡すわけにはいかないの。わかるでしょ?」

ちゃんとした理由までは聞いてないがな

「わかったよ。」

そういって清花さんとの電話を切りすぐに位置情報を送った。

「今の清花さん?」

夢弥は俺に聞いてくる

「ああ、まあな」

「まあ心配するのも当たり前だよね。でもお兄ちゃん安心してね。私はお兄ちゃんを苦しめたりする気はないんだから」

「ああ、わかってるよ。だからついてきたんだから。」

「あ!でも気持ち良くはなっちゃうかも!」

夢弥が思いついたように言う。こいつは朝の話を理解していないのか?

「では、お邪魔するとしようか。」

「うん!いらっしゃい!お兄ちゃん!」

すると奥の方から人の気配がした。

「お帰りなさい。裕也、夢弥」

「お、お姉ちゃん!?」

俺と夢弥の実の姉である姫弥がそこにはいた

「おい夢弥。少しばかり話が違うんじゃないか?」

「私だってお姉ちゃんが来るなんて聞いてない。」

夢弥も夢弥で少しばかり焦っていた。どうやら本当に知らなかったみたいだな。

「なんで居るんだ?姫弥」

「あら?いつから私の事を名前で呼び捨てにするようになったのかしら?お姉ちゃん悲しいわ」

「冗談はよしてくれ。もうあんたは俺の姉ではない」

「さすがにそれはお姉ちゃん怒るわよ?裕也?」

姫弥は俺に近づいてくる。そして俺の胸に抱きついてくる。

「私と裕也は血の繋がりというもので永遠に引き離される事はないのよ?」

「そんな事を言われても。俺はあなたとほとんど話した事もない。確かに血縁はあるのかもしれないが。そこらへんの他人となんら変わらないじゃないか。」

「昔の事はちゃんと覚えてくれていないのね。ちょっと悲しいけど。まあいいわ」

なんの事だ?昔の事って

「これから私たちの愛を育めば。そんなたった数年の事なんてすぐに埋められるわ」

「おい、夢弥。すまない俺は帰らせて貰う。」

姫弥がいるなんて事は夢弥も知らなかったみたいだが。ここはあまり姫弥に干渉もしたくなかった

「ちょっと待って!お兄ちゃん!」

夢弥が俺を止める。

「はぁ、さすがにこれはサプライズが過ぎたわね。私が帰るわ夢弥。」

「お姉ちゃん?」

「だから裕也は夢弥と一緒に居てあげて?」

「なんのつもりなんだ?」

「別に何かを企んでるとかじゃないもの。本当に裕也に会いたかったそれだけよ?」

そんな事今まで一度も思ったことないだろうに。話だってした事なかっただろうに

姫弥はドアを開け帰ろうとしたその時

「あ!夢弥の荷物。私が全部片付けておいたから。それだけは伝えておくね。じゃあまたね。」

そういって姫弥は夢弥の家を去った。

「ごめんね。お兄ちゃん」

「本当に知らなかったんだろ?なら夢弥を攻める気にはならないさ」

そういって俺は夢弥の家であるリビングを見渡す。

「本当に荷物全部片付けたみたいだな」

部屋の隅にダンボールが置いてあったが。それも全て空になっていて。全ての荷物が整理されていたようだった。おまけに今日の夕飯と思しきものも用意されていた

「どうする夢弥?なにもする事がなくなってしまったようだが」

夢弥はとても俺に申し訳なさそうな顔をして黙ってしまっていた

「夢弥、俺はお前が俺の味方であるように。俺も夢弥の味方でありたい。任務の事は聞かない俺はもう関係者ではないし。聞かれたくもないんだろ?でもお前の味方なんだから困っている事があったらなんでも言ってくれ俺は兄としてお前の力になる」

「任務に関してはお兄ちゃんが全く関係ないわけじゃないよ」

「そんな事はとっくに理解してるさ。でなきゃ俺と同じ学校になんか来ないだろう?」

「さすが、お兄ちゃん。なんでもお見通しだね」

「大川家の考える事なんて何となくわかるさ。俺がどれだけの重要人物にされているのかはよくわかってないけどな」

「私の任務は河合乙女がやるべき任務の補佐とお兄ちゃんの監視。お兄ちゃんをまた大川家に隔離する為に私たちが小川学園に送り込まれたの」

俺は夢弥の話を聞きながらリビングにある監視カメラの位置を確認していた。

マイクもおそらくどこかにあるのだろう。

「まあそうだろうな。深くは聞かないよ。夢弥が大川家に隔離されても困るしな。」

「さすがお兄ちゃん。もうカメラがある事までわかってるんだ。」

「で、今日は俺をこの部屋に入れるのが任務の第一だったというわけだ」

今頃カメラの先には実の母親の目があるんだろう。なら少しばかり遊んでみるか

「夢弥。」

俺は夢弥をカメラに見せつけるように抱き寄せた

「お兄ちゃん。お母さんが見てる」

「見せつけてるんだよ。夢弥。もっと恥ずかしそうな顔を見せてくれ」

俺は夢弥に顔を近づける。

「お兄ちゃん。。」

「夢弥。目を閉じろ」

目を閉じる夢弥。俺は夢弥の唇に口付けをした。

「ん。お兄ちゃん、これはさすがに恥ずかしいよぉ」

「俺だってそうさ」

「全然恥ずかしそうじゃないし。お兄ちゃんなんか慣れてない?」

「そんな事はない。ファーストキスだよ」

ついこの間五葉としたばかりなのだが

「もう、お兄ちゃんのいじわる。こんな事されたら」

夢弥は顔を赤くし完全にメスの顔と化していた。少々やりすぎたか?

「夢弥、これ以上はダメだ」

「実の妹をこんな風にしてタダで済むと思ってるの?お兄ちゃん」

夢弥は俺の身体を離さなかった。

「私の部屋ならカメラはないから」

そういって部屋の方を指差す夢弥。そして部屋の方に強引に腕を引っ張る夢弥

「夢弥。待て、冷静になれ夢弥」

「大丈夫。ゴムなら私が持ってるから安心してお兄ちゃん。」

「尚更、冷静ではない事を理解しろ夢弥。カメラはなくてもマイクに声が通るぞ」

「声だけじゃ何してるかわからないから大丈夫お兄ちゃん。」

くっ、ならば奥の手だ。

俺は全身に魔力を込めた

「これなら何もできないわよ?夢弥。」

「それはないよ。お兄ちゃん」

私は女性化し。夢弥の気を逸らした。

「本当に何もできないじゃん。お兄ちゃん酷いよ。」

「あのね。ゴムがどうこうとかそういう問題じゃないの夢弥。」

「もう、じゃあいいよ。ご飯だけ食べていって」

私は時間を確認した18時の前を指していた。

「まだちょっと早いんじゃないの?」

「せっかく家に呼んだのにこのままじゃ本当に何もしてあげてないし。ご飯だけでも食べてよ。お姉ちゃんが作った物だけどね」

「わかった。ありがたく頂くよ。」

私は清花さんにメールだけ入れて。夢弥の夕飯を頂く事にした。

「いただきます」

口にすると久しぶりの味がした。4年間監禁されていた時に出ていたご飯の味だった。

もしかしてあの時私のご飯を作っていたのは姫弥だったのかな?

「ごちそうさま」

食べ終わり。私は台所に自分の使った食器を片付けた。

「片付けは私がやるよ?お兄ちゃん」

「いいよ。せっかくご馳走になったんだし。片付けくらいは」

「お兄ちゃん、相変わらずお人好しだね」

「このくらいは人として当たり前。夢弥も私を見習いなさい」

「当たり前の事を当たり前にこなすって。簡単に見えて簡単にできない人の方が多いからね。」

「わかってるじゃない。安心したわ、夢弥もしっかり成長したのね」

「そうだよ、いつまでも子供扱いしないでよね。お兄ちゃん」

「まあ、私の妹だし。わかっていた事だけどね」

私は夢弥の分の食器も洗い終わり。四宮家に帰ることにした。時間は19時を回っていた。余裕で20時には間に合うわね。

「じゃあ、私は帰るわよ?夢弥」

「うん、ありがとうね。お兄ちゃん!あっそうそうこれ!」

夢弥は私にICカードを渡した。

「なにこれ」

「合鍵だよ!いつでも私の家にこれるように!」

「要らないわよ」

「持っておいてよ。」

「うーん、真面目に要らないんだけど」

仕方がないので受け取っておく

「じゃあ、また来てね!お兄ちゃん!」

「そんなに行かないわよ?」

「じゃあ。連れ込むから!」

「あーもう、勝手にして」

面倒なのでそう返して夢弥の家を後にした

夢弥のマンションを出ると黒服の男が1人私に近づいてきた。

「裕也さま!ご無事で!」

「ああ、山崎が来たのね」

「はい、初任務です。にしてもなぜ女性化しているのですか?」

「色々あったのよ。すぐに戻すわ」

「大丈夫なのですか?」

「今日は戻れると思う」

私は全身に魔力を込め。男の姿に戻った

「ほら、戻れただろ?」

「良かったです。裕也さまは戻れることが少ないとお聞きしてましたので」

「まあな、両性巫女にも色々なタイプがいるのさ」

そうして俺と山崎は四宮家に戻ることにした。

「家までついてくるのか?」

「はい、裕也さまを家までお連れするのが今日の任務になってます」

「ならば、頼むよ新人くん」

といっても10分もかからない距離なのだが

家に着くと門の前には清花さんが立って待っていた。

「ようやく戻ったわね」

「もしかして。あの電話からずっと待ってたんですか?」

「そんな何時間も立ってられるわけないでしょ?ほんの15分前よ」

「いやそれでも、すみません心配かけていたみたいで」

「まあ夢弥を知ってるからそこまでの心配はしてなかったけど無事で良かったわ。山崎くんもお疲れ様」

「いえ、初任務を頂けたこと感謝しております!清花さま!」

山崎は背筋を伸ばし右の拳を胸に当てて答える

「今日は帰ってもいいわ。明日またお願いね」

「はい!今日のところは失礼します!」

そういって山崎は黒服の寮の方向に歩いて行った。

「兄さん、おかえりなさい。」

五葉が玄関まで来て俺を迎えてくれた。

「ただいま、五葉。」

「兄さん、少しだけ魔力使った?」

五葉は俺の髪の毛の先を見ながら言った。

「ああ、ちょっと色々あってな。女性化してた」

「でも約束の時間までに来てくれた」

「当たり前だ。俺が五葉との約束をすっぽかすわけないだろ?」

「ありがと。兄さん」

「さて、五葉そろそろ始めるわよ?」

清花さんはそう言うと家の裏にある隔離された広場まできた。ここが巫女検査で使われる。場所だ。周りに音も響かないので能力の使い放題というわけだ。

「五葉、私を殺すつもりで来なさい」

清花さんは巫女服を纏う巫女化に変身をした。

「わかりました。今日こそお母様をあの世に送りたいと思います。」

五葉も巫女化をし巫女検査の準備が整った。あとそのセリフ実の母親に言うセリフじゃないと思う。

清花さんは手元に2本の日本刀を実体化させた。これが清花さんの巫女化した時のメインの武器だ。

そして対する五葉は弓を実体化させた清花さん同様これが巫女化した五葉のメインの武器だ。

「まだそんな飛び道具に頼っているの?五葉。それでは私を殺す事はできないわよ?」

「ご安心下さいお母様。私の武器はこれだけではありません」

「すぐに木っ端微塵にしてあげるは可愛い私の娘」

そして五葉が1発目の矢を清花さんに向けて放った。しかし、清花さんはいとも簡単に五葉の放った矢を日本刀で跳ね除け五葉に迫る。

五葉はすぐに武器を弓から短めのナイフの二刀に切り替えた。

「そんな短い刀で私の刀に勝てると思ってるの?」

キン!

五葉は清花さんの攻撃を寸前で抑えた。

「まだ、私には武器がありますお母様!」

五葉は清花さんの片方の刀を後方へ吹き飛ばす。そして空いた方の手に拳銃を出し清花さんに向けて撃った。

パン!パン!

しかし、清花さんはすぐに五葉から離れて避ける。

「なかなか、力がついてきたじゃない五葉。安心したわ。」

「日頃の鍛錬のおかげです。お母様」

「いいわよ、もっと楽しませて頂戴」

そして五葉は拳銃と短刀をしまい一本の日本刀を出した。

それに清花さんも乗り飛ばされた方の日本刀をしまい武器は一本の日本刀になった。

「行きます!お母様!」

そして2人は死闘を繰り広げた。

「はぁはぁ、」

「やるようになったわね。五葉。」

「はい、ありがとうございました。お母様」

息を切らしながら答える五葉

「五葉、頑張ったな」

「兄さんもありがとう。見ててくれて」

「なに、戦っている五葉の姿もカッコよかったし可愛かったよ」

「もう兄さんったら」

五葉は顔を赤くして俺から目を逸らした。

「さ、今日はお風呂入ってすぐに寝るわよ五葉」

清花さんは五葉に手を差し出して立たせる。

2人とも巫女化もして魔力を使ったので髪の毛は毛先から半分以上がピンク色になっていた。

さすが女性巫女。戦ってもそこまでの魔力は消費しない。

「じゃあ、俺は部屋で待ってるよ。2人とも出たら呼んでくれればいいから」

「わかったわ。五葉、行きましょう」

「はい、お母様」

2人は風呂の方に行った。

「お母様はさすがにお強いです。まだまだ敵いません」

「大丈夫よ五葉。あなたは私の娘なんだから必ず強くなれるわ。」

「はい、」

私はお母様とお風呂に入っていた。自然とお母様の胸の方に目がいってしまう

「にしてもお母様。」

「なによ?」

私は自分の胸に手を当てていた

「私はなぜお母様程の胸がないのでしょう?」

「バカね。あなたはまだまだこれから成長するわよ。私もあなたぐらい頃はそのくらいの大きさだったわ。というかそこまで小っちゃいわけでもないでしょ?あの夢弥に比べたら」

「それはそうなんですが。やっぱり気になって」

「大丈夫よ裕也は胸なんかで女を選んだりしないわ」

「そうなんですか?」

「そうよ。なんせ実の母親も姉妹もあんなに見たくれ小っちゃいでしょ?」

「尚更、大きい方が好みなんじゃ、、」

「そんな事ないわよ、だって。。。」

「だって?」

「いや、なんでもないわ!」

お母様は私から目を逸らして言う。

「気になりますよ!お母様!」

「さすがに言えないわよ!」

「いいじゃないですか!お母様!」

「ダメよ!」

そうして私たちの今日一日は終わった。夢弥ちゃんが何をしようとしているのかだけは要注意しておかないと。


3話「実妹」ー完ー









こんにちは!「両性巫女の高校生活」作者の小林歌子です!

3話にしてかなりの登場人物に名前を覚えきれない方も多いのではないでしょうか?

そんなあなたに今回から1人ずつキャラクター紹介をしたいと思います!

今回は主人公である「大川裕也」もとい「四宮裕也」を紹介したいと思います!

紹介するまでもない主人公の裕也ですが、男の時の見た目は身長167cm体重60kgで若干低めの身長の設定です!髪の毛は銀髪で毎日朝にワックスでセットしています!性格は読んでの通り。クール系主人公らしい性格の持ち主です!

そして女性化した時の裕也は身長156cm体重は秘密♡の胸はCカップ若干小柄の可愛い女の子です!

髪型はサイドポニーテール。性格はそこまで男性状態と変わらないかな?(書いてる本人もよくわかってない)

サイドポニーは作者の趣味100%でございます!笑

これからも裕也をよろしくね☆

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