カルサハ
「これがカルサハの魔物か、バルディアのダンジョンよりもレベルが高いな」
名前:ボブゴブリン
種族:ゴブリン
性別:――
年齢:――
Lv:21
HP:1100/1100
MP:13/13
力 :980
防御:1080
速さ:990
器用:960
魔法
スキル
殴打lv3 重撃lv1 頑丈lv1
称号
2階層でこれか......。最終階層ってどうなるんだ? あの吸血鬼よりも強い奴が出てくるんじゃないか??
「ねえ、タクミ君。この魔物は私が倒していいでしょ? 久しぶりに魔法を撃ちたいわ」
「そうだね、あの詠唱はなんか恥ずかしいから無詠唱でいこうか」
訓練の成果を見せてあげる! と、自信満々で俺たちの一歩前に出て手を前にかざす。こちらに向かってくるボブゴブリンに狙いをつけて火の玉を飛ばす。おお、魔法の発動もはじめよりもかなり早くなってるな! この速さなら十分に実践で使えるだろう。
バスケットボールサイズの火の玉が130キロ近くの速度でボブゴブリンに向かっていく。いきなりの速度で火の玉が襲い掛かってきたボブゴブリンはなす術もなく燃やされていく。数秒の間に煙になって消え去った。
「やっぱり無詠唱の方が実戦向きよね」
「だね、詠唱をしている間に無詠唱なら数発は撃てるからな」
ミューの魔法に感心しながらもっと効率に撃てる方法を教えながらミラとルナにも無詠唱で撃てる魔法を教えていく。みんな筋がいいから数回も手伝ってあげればすぐにコツを掴んでくれる。
「そうそう、後は魔力制御を......っともう次の階層か」
数百メートル先に階段が見えたのでゆっくりと降りて次の階層に向かう。少しづつだけど冒険者の数が減ってきているのが分かる。確かに敵のレベルが上がれば上がるほど討伐できる冒険者は減っていくからな。
そろそろ昼食を食べる時間になったので他の冒険者たちの邪魔にならない所に移動する。
「ここらへんでいいか。じゃあお昼にしようか」
「もうお昼の時間ですか。ダンジョンに入ると時間の感覚がおかしくなりますね!」
「それ分かるわ。ダンジョンって明るさがずうっと一緒だから時間の感覚が狂うのよね」
「タクミさん、今日のお昼ご飯は何ですか?」
今日はサンドイッチとスープだよ。後は希望者に串焼きかなとお皿にスープを入れ、サンドイッチの入っているバスケットを出しながらお昼の献立を言っていく。
「タクミ君は本当にその串焼き好きよねえ」
「大好きだぞ。この串焼きに出会えてなかったら俺の人生3割は損してたと思うぞ」
確かに美味しいわよねえとミューはサンドイッチを食べた後に串焼きを2本食べている。いいぞいいぞ、みんながこの串焼きの美味しさを分かってくれている。俺はうれしいぞ!
みんなと楽しく食事をしてから下の階層を目指してどんどん進んでいく。この調子なら目標通り5階層あたりまでなら行けそうだな。
景色を楽しみながらも3人の戦闘能力アップのために戦いを教えたりなど予定時刻までダンジョンを楽しむ。
「あれは、スライムか? なんだかんだで初めて見たかもしれないな」
半透明のドロドロとした粘液状の魔物で、体の中に石の欠片みたいなものが浮いている。あれは何だ?
「ねえミラ、あのスライムの中にある石って何?」
「あれは魔核ですね。基本的にどんな魔物でも体の中に所持している心臓みたいなものです」
ほうほう、魔核か。このスライムって心臓の場所まる分かりってことだよな、これって生物として欠陥なんじゃないか?? 試しに最下級の魔物でも避けられるくらいの速度でそこら辺にあった石を投げる。
ビシュッと言う水を切るような音がした後に魔核が石の当たらない場所に移動した。なるほど、自分の心臓を自由に動かせるのか。これは面白いな、でもこれ以上いじめるのも気が引けるので水を滅茶苦茶圧縮して音速に近い速度で放ち魔核を打ち抜く。ピュンと音がしたと思ったらスライムは煙になって消えていった。
「魔核が弱点なのか、まあ魔物の心臓だもんな......」
「すごい速い魔法ですね。私もあんな魔法を使えるようになりますかね......」
当たり前じゃないかとミラの頭を撫でて素早く魔法を撃ちだす方法を分かりやすく教える。ミラとルナが100キロ近くのスピードで出せるようになったところで17時を回ったので転移魔法で家に帰る。
「もう夕方ですね......。平原がずっと昼間だったので時間の感覚が狂ってしまいますね」
「バストンから聞いたんだけど、こういうダンジョンに潜る初心者は大抵時間感覚が狂って寝不足になるっていうのが誰もが通る道らしいぞ」
それは気を付けなくてはいけませんね......とミラたちは寝不足について心配している。確かに時間感覚が狂うのは嫌だなあ。地球でテスト期間中に夜通し勉強して時間感覚がおかしくなった事が何度もある。あの時は学校の授業がつらかったなあと昔を少し懐かしみながら昨日の大衆料理屋に向かう。
おお、相変わらず賑やかな食堂だな。もう冒険者や仕事終わりの騎士たちが酒を飲み飯を食べて騒いでいる。
「おお、昨日の嬢ちゃんたちじゃないか! 今日もたくさん食べて行っておくれ! もちろん兄ちゃんもしっかり食べるんだよ!」
「あっはは、彼女たちに負けない様に頑張ります......」
昨日座った席に座ってメニュー表を見る。昨日は揚げ物オンリーで腹が死にそうだったのでそれを避けるために今日はパスタ系統を頼もう。ミラたちも注文を決めたらしいので女将さんを呼ぶ。
「すいませーん!」
ちょっと待ってな! と大きな声が聞こえて1分ほどで女将さんがこちらに来る。ほら、注文言いな! と少し大きめの声で言ってくる。確かに、この食堂内の煩さを考えればこのくらいの声じゃないと通らないだろう。
「えっと、俺はこのトレトとストロングポークのパスタの、大盛りで。後はこのフライングバードの揚げ物あと果実水」
「私は昨日の揚げ物とこのフレッシュチーズとトレトのパスタとサラダにウェレインのワインをお願いします。」
「昨日の揚げ物とグレートフィッシュの揚げ物にファストウルフのパスタと果実水を」
「ジャイアントボアの揚げ物とクレイジーバードのパスタをお願いします! 後はミルクをお願いします!」
あいよ、ちょっと待ってな! と厨房の方に消えていく。あ、酔っぱらった冒険者が女将さんに絡んでる。おお、ぶっ飛ばされた。何ちゅう怪力だよ、女将さん。
15分ほどおしゃべりをして待っているとドンドンとどんどん注文の品を置いていく。え、これが大盛り?
「あの、これが大盛りですか? これって一人の人間が食べるような量じゃないですよね......」
「なあに言ってんだい! あそこの冒険者たちを見てみな、普通に食ってるじゃないか!」
カウンター近くのテーブルを見ると俺と同じくらいの大きさのパスタを口にかっ込んでいる。ま、まじかあ、なら俺だって食えるはずだ!
いただきます! と元気よく声を出して口にかっ込む。美味い、滅茶苦茶美味いぞ! この美味さならドンドン腹に入るぜ!
「あ、あと少し......」
この量なら食えるぜと思った時期が俺にもありました。流石に多かったぞ......。あと300gほど残っている。途中で揚げ物を平らげなきゃ完食できた気がするぞ......。膨れた腹に物を詰め込むように食べようとするが、ミラたちが私たちが食べますよ! と皿を持っていきもぐもぐと食べていく。
「す、すごいなミラたちはいっぱい食べれて......」
「獣人族は成長期には一杯ご飯が食べれるんですよ!」
「私もまだ成長期なのでまだまだ食べられますね」
ミューと俺はお互いに顔を見合わせて苦笑いをする。人間にはそういう食いだめ機能がないからね。残りのパスタや揚げ物を2人で平らげてしまった。すっすっげえ。
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