帝国へ向かうぞ!
翌朝、王都に転移して帝国行きの馬車を探す。幸運なことにこの後すぐに出る予定の馬車を見つけることができたので料金を払い馬車に乗り込む。4人だけで乗れないのかと御者の兄ちゃんに聞いたのだが、国外に出る馬車はよほどの事がない限りは10人ほど一気に載せて向かうらしい。
乗り込む前に馬を見たがなんかすごいいかつい筋肉に馬らしからぬ顔をしている。これについても気になったので乗り込む前に御者に尋ねる。馬の馬力や体力が持つのか聞いてみたところ、国外に行く馬車は基本的に馬型の魔獣を使っているらしい、だから必ず御者は調教のスキルがないとなれないらしい。
「いやあ、初めて知ることが多いな」
「馬車に乗るだけならあまり知らなくても問題ない知識ですからね。うちの馬車はいい魔獣使ってるんで帝国までは6日もあれば到着しますよ」
帝国までがどのくらいあるのかよくわかってないが、とりあえずそれは素晴らしいと伝えて馬車の中に入る。馬車に入ると俺たち以外には女性の冒険者が3人と家族と思われる3人組が乗っている。御者からはもう客は入れないと教えてもらったので、さっさと乗り込む。
「それでは出発しますね」
馬の鳴き声に似た魔獣の声が聞こえると馬車がガラガラと音を立てて進んでいく。城門まではゆっくりと進んでいたが、門を出てからは早かった。流石魔獣という処なのか今まで乗った馬車よりもかなり早い。流石に自動車の方が早いけどな。と、考えていたがほかの3人はそうでもないらしく、かなり興奮気味で窓枠の外を見ている。
「うわあ! 速いですね、こんなに早い馬車は見たことないです!」
「本当です! 速いです!」
「確かに速いわね。いい魔獣を使ってるというのもなるほどと思ってしまうわ」
おお、そうか。そりゃそうだよな、俺が小っちゃいときだって車が高速走ってた時に超速え! って思ってた気がするしな。いや、多分思ってたな。小っちゃいときは何でもかんでもスゲエスゲエ言ってた記憶がある。そうあれは、
「タクミさんもそう思いませんか!」
「あ? ああ、確かに速いね。流石魔獣だろう馬力が違うね」
昔の回想をしかける直前にミラに現実に戻される。危ない危ない、ほとんどがおバカで痛ましい記憶しかないのであまり思い出したくはない。3時間ほど馬車を飛ばしていると馬車が速度を落とし始める。
「皆様申し訳ありません、魔物が現れたので止めました。炎獄の皆さんお願いします!」
魔物が現れたのか、なら俺がと思ったがどうやら俺ではないらしい。女性の冒険者たちが馬車から出ていく。魔物は何なのかなあと馬車から降りて魔物を視認する。おお、あれは懐かしのキラーウルフじゃないか! いやあ、懐かしいなあ。初めて手こずった敵だからな、以外にもよく覚えている。
懐かしがりながら冒険者たちの戦いも見てみる。おお、剣士にタンクに魔法使いとまあバランスのいいパーティだな。5分ほどでキラーウルフの討伐をしてしまう。さっさと剥ぎ取りをした後は火の魔法を使いキラーウルフを燃やしていく。
「なあミラ、あの子たちってなんでキラーウルフを燃やしてるんだ? 全部持ってった方が売れるんじゃないか?」
「タクミさん......みんながみんな空間の魔法を覚えているわけじゃあないんですよ? だから必要最低限の素材を剥ぎ取ったらああやって燃やすんです。他の魔物が近くに寄り付かないようにするためですね」
なるほどなあ、アイテムボックスや、無限収納がなきゃ丸ごとなんて仕舞えないよな。中にはアイテムボックスが付与されたバックなどがあるけどかなり高いもんな。なるほどと思い、馬車の中に戻る。すぐに冒険者組も馬車に乗り込んで再出発をする。
この後は魔物の出現はなかったので、かなりスムーズに進むことができた。魔獣って体力すごいんだな、休みなしでずーっと走り続けていたのにあまり息を乱していない。
「魔獣ってすごいですね、こんなに休みなく走り続けられるなんて思ってませんでしたよ」
「そこが魔獣のいいところなんですよね、休憩は1日に1回あればいいので日中は走り続けることができるんですよね」
なるほどな、それなら馬車は全部魔獣にした方がいいのではと思ったが、そもそも魔獣になれる個体が少なく、捕獲が困難だからあまり多くは増やせないらしい。そりゃそうだよなあと思い、御者と別れる。野宿の準備をみんな始めているので俺たちも参加する。
「何か手伝うことはありますか?」
「あ? 兄ちゃんこれ見て何か手伝うことあると思うか?」
女性冒険者たちはこちらをキッとした目で見てくる。おお、怖い怖い。ただ手伝うことはあるか聞いただけなのに。そういうと女性冒険者は完成したテントの中に入って行ってしまう。ううむ、そうなるとほかに手伝えそうなのは、あの家族の方かな。
「何か手伝うことはありますか?」
「ええ、実は持ってきたテントが穴あきでして、どうしようかと困っていたところです」
実際にテントを見てみると15センチくらいのかなり大きな穴が開いている。しかもテントを立てる際に必ず使う処が開いているので建てようにもたてられなくなってる。ではお任せくださいと土魔法で3人家族で住むには問題ないくらいの家を建てた。豆腐ハウスなのであまり格好良くないがまあいいだろう。室内はテーブルに椅子3つ、あとは3人寝れるくらいのベッドもどきだ。ベッドと言っても高さは地面と変わらないし弾力のある地面と言った方がいいだろうか、寝袋はあるらしいのでそれだけにとどめといた。
「こんなもんでいいですかね?」
「おお、最近の魔法使いはこんなこともできるのですか。素晴らしいですねえ、私たちは魔法をつかえないのでうらやましい限りです。こんなに素晴らしい寝床を立ててくれてどうもありがとうございます」
いえいえ、と伝えミラたちがいる場所に向かう。俺たちはテント道具などは一切持ってきていないので先程と同じように魔法で家を創造する。ミラは懐かしそうに家の外装を見ていた。そういえば初めて見らと会った時もこんな感じの家だったな。
「相変わらずすごい魔法だわ......」
「大したことはしてないんだけどなあ。まあ、ミューエルもすぐ扱えるようになるよ」
よし、できた。外見は豆腐ハウスだが内装は頑張った、きれいに磨き上げたテーブルに全員寝ても大丈夫なウォーターベッド、そして壁からシャンデリアのように土を垂らして光魔法を使ったシャンデリア、土魔法と付与魔法を使って作った汚物が瞬時に消えるトイレなど頑張って作った。まあ、壁は茶色いんだけどね。
家に戻ればよくないかと思ったがそれはロマンがないと言われ即却下だった。まあいいか、この家でも不自由はないしな。即却下されたことに少しの悲しみを覚えながら夕食を作る、サンドイッチに串焼きだ。串焼きは安定で安心の王都のおっちゃんの串焼きだ。俺からの絶大的な信頼を勝ち取っている。俺が女だったら胃袋をガッツリつかまれていたな。
なんとびっくりサンドイッチと串焼きはかなりGOODな組み合わせだった。みんなにも大絶賛でよかったぜ。そのあとは魔法で体をきれいにしたい歯を磨いて就寝する。明日も意外に早く起きるのでさっさと寝てしまう。
翌朝、朝食を食べて馬車の方に向かう。もちろん家を崩しておくのを忘れない。初めて作った家が久しぶりに言ったら盗賊が住み着いてて悲しい気持ちになったからね。もちろんボコッて門番に連れて行ったがな!
家族が出たのを確認してそこの家も崩して馬車に乗り込む。家族の人たちには感謝されてしまったぜ、まあ、あと何回か同じことをすると思うので別に気にするなと伝えておく。冒険者の女たちは何か気に食わなそうな顔をしながらこちらを少しにらんでそっぽを向く。
「それでは出発しますよ!」
魔獣たちの元気な一声が聞こえて馬車が動き出す。さあ2日目の始まりだ。
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