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第五章『子供達』

「過労ですな。少なくとも一週間は労働を控えなさい。身体だけじゃありませんよ、頭もです。栄養と睡眠をしっかり取って養生することですな」

 緑色の海老のような甲羅頭の医者は首元の変声機を通して診断を下した。彼が冷蔵庫のような医者鞄を六本のカギ爪でひょいと担いで往診から帰った後、勇助はベッドの中で横たわるフルミノの寝顔を見つめていた。

 勇助が倒れた彼女を抱え起こしたとき、机の上の情報端末はまだ動いていた。モニターに表示されたタスク表と転がった手帳にびっしりと書き込まれたスケジュールを見て、勇助は凍りついた。彼の身体のメンテナンス、訓練用プログラムの設計、試合のカードを組むための交渉、闘技会各方面への手配、各種法令書類の作成と帳簿の管理。フルミノはこれらを全くの比喩抜きで単独でこなしていた。しかもその合間に勇助の訓練のための資格勉強までしているのである。『寝食を惜しまず』どころではない。部屋の中には埃を被った栄養剤の箱や瓶が夥しく転がっていた。彼女が己の体に鞭を打って歯を食いしばる姿が、勇助にもありありと想像できた。限界はとうに超えていたに違いない。そこへハッキング騒ぎがある種の『トドメ』になってしまったのだ。


 翌日の昼頃になってようやく彼女は目を覚ました。ゆっくりと瞼を開き、深紅の瞳を動かしてぼうっと天井を眺める。そして突如バネ仕掛けのびっくり箱のように飛び起きた。

「マズいップログラムの動作チェックがまだ――!!」

「落ち着け、落ち付けってフルミノ。警報は出てねえよ」

 勇助は毛布をはねのけようとしたフルミノの肩を押さえてベッドに寝かせつける。フルミノは彼を見て目を丸くした。勇助は彼女が質問の雨霰をぶつけようと口を開く前に、水の入ったコップを差し出す。

「飲めるか? ああ、それとお前、アレルギーってあるか?」

 フルミノが脇の小机を見ると小皿が載ったプレートが置かれていた。皿を満たす白い顆粒状のペーストが湯気を漂わせている。ふわりと湯気が運んだ香りがフルミノの鼻孔をくすぐった。トルティとオリュゾのお粥、コルヌ風である。

「アレルギーは無い、けど……コレ……オマエが作ったの?」

「悪いな、台所の勝手がイマイチ分からなくてよ。簡単なモンしか作れなかった」

 フルミノは勇助から手渡されたコップとスプーンを握ったまましばらく固まっていた。

 勇助は倒れたフルミノを介抱し、呼び付けた医者の診断を受けてすぐに行動を開始していた。端末をネットワークに繋ぎ、コルヌ人の看病方法、食事について調べ上げる。キッチンの機能を確認してから材料を発注した。出来合いの食べ物も幾らか頼んだが、フルミノには出来立てで消化の良い物を食べさせるべきと考えた。そして食材が届くまでに掃除を済ませ、キッチンの扱いとコルヌ料理のレシピを頭に叩き込んだのだった。

 フルミノは恐る恐るスプーンを運ぶ。しかし一口含んだ途端、ぱっと眉を開いた。一掬いまた一掬いと手を動かし、一心不乱に粥を啜る。皿が空になるのはあっという間だった。

「医者は過労だってよ。一仕事終わったんだし、お前も少しは休もうぜ」

「そうか、ご苦労だったな。お前の整備を始めるぞ」

「ってオイっ!ちょっ待てってオイ!!」

 コップの水をグイと一息に飲み干してベッドから起きあがろうとするフルミノを、勇助は慌てて押しとどめた。彼女は顔を真っ赤にしてじたばたと暴れる。

「離せッ!ボクは仕事があるんだ!タスクが山のように溜まってるんだ!」

「分かってる!ゼンブ分かってる!!だからイッペン俺の話を聞いてくれッ!!」

 フルミノはゼイゼイと息を荒げている。燐葉石のような蛍火の髪が乱れ、燃える赤銅色の額に汗が滴った。深紅の瞳は煌々と輝き、桜色の口元が喘ぎながら熱い吐息を吐き出している。彼女は勇助のどんな言い訳も罵詈雑言を交えて論殺してやろうと全身の毛を逆立てて身構えていた。しかしそんな彼女の闘志を勇助は一瞬でへし折った。

 フルミノの前に深々と勇助の頭が下げられたのである。

「悪かった……お前が必死になって働いてるのも知らねえで、俺ぁ一人でいい気になって遊びほうけてたんだ……本当に、弁解のしようもねえ……」

 フルミノは戸惑った。勇助はゆっくりと噛み含めるように話を続ける。

「前も言ったよな?俺はお前だけが頼りだ。お前が倒れたら、俺にはもう何も出来ねえ」

「……もうこんなヘマはしないさ。体調管理くらい何てことない」

「責めてるんじゃねえよ。俺はその……ああ、クソッ。こんなんはガラじゃねえんだ」

 勇助は自分の頬をぱちんと軽く叩いた。

「なあフルミノよう。そんなに急がなきゃならねえのか?一週間、たった一週間休んでくれるだけでいいんだ」

「駄目だ。オマエは『今が旬』なんだ!話題性が残っている内に、お客がまだオマエを覚えている内に次の手を打たなきゃならない。あんな極上のカードを毎回組める訳じゃないんだぞ!」

「でもよ、今のペースで仕事が続けられるか? 無理だろ? せめて出来るところは余所に頼むとかよ」

「それこそもっと駄目だ!他人なんか宛に出来ないッ!どいつもこいつも、本当に助けて欲しい時は足元見るか逃げ出すような連中ばっかりだ!」

「なら、やっぱ仕事のペースを落とすしかねえだろ」

 興奮するフルミノに対して勇助は努めて平静に話を運ぶ。

「知った風な口を効くんじゃあないッ! 命令するのがボクで!従うのがオマエだ!」

「だから落ち着け、フルミノ。要は俺のプロデュースに不安がなければ休めるんだろ? それなら何の心配もいらねえさ」

「……何でそんなこと言えるのさ」

 勇助はパンと両膝に手を突いた。

「決まってる。フルミノならどんなカードだって組めるし、俺ならどんなショーだってやってのけられるからさ」

 フルミノはぽかんと口を開けて彼を見た。一拍置いた後、腹を抱えて笑い出す。

「何それ、バッカみたい。全然答えになってないじゃないか」

「いや!これ以上は無いってぐらい確かな答えだ!俺は確信してるぜ!」

 勇助はおどけながら力強いガッツポーズを取ってみせる。フルミノはますます大きな声で笑い出し、そのまま笑い疲れて眠ってしまった。

 勇助はそっと毛布を掛け直す。机の前で倒れ伏せていたときよりもずっと安らいだ寝顔を、彼はじっと見つめていた。


 勇助が頭を下げ、宥めすかし、説得を重ねた結果――フルミノは渋々ながら一週間の休業を承諾した。と言っても全く何も仕事をしなかったわけではない。勇助に頭脳保護液の交換などの簡易的なセルフメンテナンスを伝授し、電子・物理両面でセキュリティの監視を命じた。勇助はその間甲斐甲斐しく彼女の看病をしながらベッドの中で退屈しているフルミノの相手を務めていた。

 彼女は食事を口に運びながら花柄のエプロンを掛けたサイボーグを見つめた。

「絶望的に似合わないな」

「うるせえ。これが一番安かったんだ。大体テメエ、人のこと言えたガラか」

 フルミノはパジャマを着ている。白地の上に黒の細かい幾何学模様が幾つも描かれ、それらを無数の線が繋ぎ合わせている柄だった。勇助の目には珍妙奇天烈なワケの分からぬ落書きにしか見えない。

「ふふん。オマエの安物のエプロンとは違うぞ。白と黒、『平穏』と『秩序』のテーマでレトロな電子回路図をモチーフにしてるんだ。洒落てるだろ?」

 フルミノは得意げな顔で微笑を浮かべる。どうやら本気で自慢しているらしい。ただ、ぐっと胸を張る仕草が(柄を強調したつもりだったのだろうが)薄いパジャマ生地に覆われた丸く尖った二つの盛り上がりを強調したため、彼はレンズを明後日の方へ向けた。

「あーハイハイ似合ってる似合ってる。つか、俺のは使えりゃいいんだよ。エプロンの柄で料理の味が変わるもんでもねえだろ」

「まあね……それなりに食べられる味だよ。料理が出来るなんて知らなかった」

 勇助も軽く胸を張った。鋼の胸板の上で黄色いエイリアンフラワーが笑っている。

「レシピ通りに作るだけなら大して難しかねえんだぜ。家じゃよく作ってたしな。普通の飯以外にもホットケーキとかよ」

「『ホットケーキ』?」

 勇助は端末にホットケーキの写真を映して見せた。銀河帝国人達は異星文化に割合興味があるらしく、地球のレシピ情報もすぐに見つかった。

「ふぅん……なかなか食欲をそそる見た目じゃないか」

「そこまで上等な食い物でもねぇから、期待し過ぎるとガッカリするかもしれねえぞ。だが弟達はコイツが好きでよ。俺が作る時はフォークと皿持ってフライパンの前に並ぶんだ。火ぃ使ってて危ねえから下がってろっつってるのに『出来立てが食べたい』とか言ってよ。でも確かに出来たては本当に良い匂いなんだ。こう……卵と牛乳の甘い匂いがふわーっとな。二人とも顔を蜂蜜とバターでベッタベタにしながらガツガツ食ってくれたもんだ。弟達はもちろん、親父までお代わりするくらい好評だったんだぜ」

 勇助は身振り手振りを交えながら饒舌に語っていた。フルミノは食事の手を止めて彼の様子をじっと見つめる。やがて皿の上に視線を落とし、か細い声でポツリと漏らした。

「……やっぱり、帰りたいか?」

 勇助はハタとその様子に気付いておしゃべりを止めた。俯くフルミノの横顔は、いつもの彼女から想像も出来ないほど弱弱しい。勇助はフルミノの次の言葉を待ったが、彼女の沈黙は続いた。

「どしたよ、オイ」

「……何でもない。それよりオマエも無理はするなよ。このボクに向かって偉そうに講釈を垂れたんだ。倒れたりしたら承知しないぞ」

「それこそ余計な心配だぜ。この間の休みでフェレスやトパズスとも会えたしな。頗る調子はいいぜ」

 勇助はフェレスに街での大立ち回りや彼らと食事を共にしてフェレスと暮らす子供達に会ったこと等を話して聞かせた。

「なるほどね。二人が言った『普通でいられるのが普通じゃない』という点にそっくり同意するよ。オマエの安定性にはボクも驚くばかりだ」

「少し大げさじゃねえか?」

「普通は突然身体を無くしたら、もっと不安定になるんだよ。大体、いずれは生身に近い身体を手に入れる算段があるとしても、今はまだ皮算用に過ぎないだろ。もうオマエが繊細でもデリケートでもないって分かってるから言うけど、自分で不安にならないのか?」

 勇助は首を捻っていたが、ふと思いついたように空になったコップに水を注ぐ。

「フルミノ、こいつを見な」

 勇助は水が注がれたコップを指差す。水面には滴る雫の波紋が漂っていた。

「俺達は要は、この波紋みてえなもんだ」

 フルミノは『コイツ何を言ってるんだ?』とばかりに眉を顰めて勇助を見る。彼は「まあ聞けよ」と手で制した。

「いいか?波紋ってやつは、まるで水の帯が中心から輪になって広がってるように見える。だが実際はそうじゃない。あくまで『形』と『エネルギー』が伝わってるだけで、水は放射状に動いたりしない。その場に留まって上下してるだけだ」

「そんなの常識だろ。ボクが学位を幾つ持ってるか教えてやろうか」

「だから聞けって。こいつはな、俺達についても同じことが言える。例えばフルミノ、お前が食ってるその粥だ」

 勇助は皿を指差す。

「その粥はお前の中で消化されてタンパク質やら脂肪やらに置き換わる。粥だけじゃねえ。水を飲むにしても、お前が息をするにしても、お前の身体はどんどん新しいものを取り入れて置き換わって不要なものを捨てる。生物の体で不変不動の部分なんてありゃしねえ。確かに俺達はまるで一つの体がずっとその場に佇んでいるように『見える』。だが実際はそうじゃない。俺達は言わばタンパク質が作る波紋なんだ」

 フルミノは言葉を無くして目を見張っていた。まるで思いもかけないところから手品が飛び出したような、そんな顔だった。

「じゃあ俺達は何を持って自分自身を同じ自分だって言えるんだ?数ヶ月も経てば俺達を作ってる原子や分子はそっくり別のものに入れ替わってるんだぜ」

「……『形』だ。言い換えれば身体形状や記憶情報、その変化の連続性だ」

「そうだ。生物の本質は維持される『形』と維持しようとする『エネルギー』にある。それなら俺はどうだ?確かに俺は身体を失った。俺には呼吸する肺も鼓動を打つ心臓も、俺の意思とは無関係にいきり立つナニもねえ」

「最後のは止めろよ、折角真面目な話だったのに」

 フルミノはくすりと笑みを漏らし、勇助もその後に続いた。

「悪い悪い。とにかく俺の身体は金属と樹脂とセラミックスに置き換わった。だが俺はやっぱり俺だ。俺の意思と記憶って『形』はまだ残ってる。何で出来てるかはさほど重要じゃあない。例え俺の体が『エネルギー』そのものになっちまったとしても……俺が俺の『形』を保っている限り俺は生きてるんだ、フルミノ」

 勇助はそこで言葉を切った。フルミノは何故か、彼が微笑んだことに気付いた。表情を作るどころか、カメラアイが一つ付いたきりの白い仮面のような顔だというのに。

「お前が拾ってくれなきゃ、俺は箱詰めされたまま眠ってたんだろうな。そりゃ死んでないかもしれないが、生きてるとは言えねえさ。俺を生き返らせてくれたのはお前だ。お前が俺に新しい体と、何よりも生きるための『エネルギー』をくれた。俺は保護液越しに新陳代謝を再開した。俺はまた、動く『波紋』に戻ったんだ。もう一度言うぜ。俺は生きている。生きているから、何だって出来る。そうなりゃもう、怖いものはありゃしねえ」

 勇助はじっとフルミノの目を見つめる。彼女は彼の次の言葉を待っていた。

「俺はこれでも、それなりにオマエを信頼してるんだぜ。だから大した不安もねエし、オマエもそう心配するなよ。な、フルミノ」

「……心配なんか、してないさ。ボクはオーナーの義務として、オマエのメンタルチェックをしただけだ」

 フルミノはぷいっと目を背けて勢い良く粥をかっ込み始める。粥は既にやや冷めているのに、その頬は不思議と桜色に上気していた。

「その割には手前ぇ、俺を初めて起こした時に拷問しやがったよな」

「発狂しても再洗浄に掛ければ良かったからね。オマエと契約もしてなかったし。今はもう、オマエにかけた手間と時間とクレジットが無駄になるから早々やらないけどさ」

「へっ! 銭ゲバ女め」

 勇助は悪態を吐いたが、その声は明るかった。


 一週間後、フルミノはパリッとした作業着と白衣に身を包み、腰に手を当てて立っていた。生気を取り戻した彼女の肌はきめ細かく、艶やかだ。こめかみから伸びる角も心なしか鋭くなったように見える。何よりその真紅の瞳には燦然と輝く決意の炎が灯り、瑞々しい唇は不敵な笑みを形作っていた。

「一週間、ご苦労だったなユースケ。今日からまた帝国軍の訓練が就寝前のストレッチ同然に思えるほどビシバシ行くぞ。嬉しいだろ」

「もういつものクソアマ平常運転に戻りやがった」

 彼女は鼻で笑う。勇助の言う『クソアマ』振りを隠すつもりは更々無いようだ。

「さて、無目的な訓練ほど無意味なものも無い。そして今のボクらには仕事を選ぶ余裕も無い。そこで実に、実に、全く都合の良いタイミングで試合のお誘いが来ている」

「胡散臭ぇ」

「その通り。ボクも罠だと思う。しかしボク等の状況的にも、紹介者から考えても、到底門前払いは不可能な話だ。それなら罠を食い破るしかない」

「紹介者?」

「カンデラ婦人だ」

 フルミノは口角を上げた。不敵な笑みを深めようとしたのだろうが、その口元は若干引き攣っていた。


 その晩二人は揃ってカンデラ婦人の晩餐に招かれた。勇助は銀河帝国の古い警備隊の制服を模した伝統的な灰色のスーツを着せられている。更に婦人が送り届けたサイボーグ用の簡易顎口を取り付けて食事に臨んだ。いつも野暮ったい作業着しか着ないフルミノでさえ、彼女の髪と瞳に合わせた淡い緑の生地に赤い花の刺繍が施されたドレスを纏っている。ブランド物らしきバッグまで持っていた。

 晩餐では豪華絢爛な料理が振舞われ、フルミノとカンデラ婦人は流麗な手つきと会話で会食を楽しんでいるように見えた。しかし勇助は彼女の瞳が一瞬たりとも緊張を解かなかったことに気付いていた。彼は殆ど会話を交わさずにフルミノの所作を真似ているだけだったが、婦人も時折勇助に言葉を向ける。しかし彼は努めて阿呆のように「良く分かりません」を繰り返した。これは情報を相手に漏らすなと言うフルミノの指示である。晩餐の前にフルミノは言った。

「カンデラ婦人が何を仕掛けてくるか分からないからな。でも馬鹿が馬鹿の振りをするんだ。絶対に見破られないぞ」

「言いやがったなクソアマ」

 カンデラ婦人はつまらなそうに溜息を吐き、その後はフルミノと試合の段取りについて話し合っていた。打ち合わせそのものはスムーズに進んでいたが、終わり間際に少しだけ緊迫した空気になった。

「ねえ、フルミノちゃん。最近の闘技会は随分と上品すぎないかしら」

「そうでしょうか。カンデラ様は物足りないとお考えですか?」

「有り体に言えば、そうね。少し退屈だわ。闘技会では私は一スポンサーに過ぎないけれど、これでもヴァリ生化学の筆頭株主よ。クレジットなら使いたいだけあるわ。だからもっとショーを大きくやりたいの。そのためには観客のニーズに答えなきゃ。フルミノちゃんも分かってるんじゃない?」

 勇助は彼女が少し深く息を吸い込んだことに気付いた。暗闇に手を伸ばすような慎重さでゆっくりと言葉を吐き出す。

「確かに……効果的なものは、より派手で、より大勢の剣闘士が参加するようなものでしょう。ボクのユースケならその中でも十分目玉を張れるとお約束できます」

「違うわよ、フルミノちゃん。誤魔化そうとしても駄目。でも答えてくれそうにないから言っちゃうわ」

 カンデラ婦人の碧眼の奥の瞳孔がすうっと細く鋭くなる。

「もっと一度にたくさん、ドラマチックで、悲劇的な血が見たいの。観客もそれを望んでる。ユースケ君はきっと血溜まりの中心で勝ちどきを上げるのに相応しいわ」

 カンデラ婦人は何かの薬を食後のお茶で飲み下しながら微笑んだ。フルミノはカップを皿に置いたまま、テーブルの下できつく拳を握っていた。


 家の中に戻った瞬間、フルミノは荒れ狂った。

「んんんんああああ!!クソッ!クソクソクソがぁッ!!即席スープに浸かって溺死する害虫の糞にも劣る薄汚いバイオ屋の財布如きがァァッ!!このボクに向かって訳知り顔でクソ説教を垂れやがって!!このフルミノ・ウィクトーがッ!クレジット欲しさにッ!自分の剣闘士を慰み者に差し出すとでも思うのかーッ!!!」

 ダーン!とバッグを居間の壁に叩きつける。そして彼女は勇助がいるのにも構わずにむしり取るようにドレスを脱ぎ出した。仰天した勇助は慌てて居間から廊下へ飛び出す。

 肌に触れられるのは拒む癖に裸を見られるのは平気なのか。勇助には彼女の貞操観念が理解できなかった。

 彼は混乱しながらも慣れない手つきでスーツを脱ごうと悪戦苦闘する。が、その最中に素っ裸のフルミノが小脇に丸めたドレスを抱えてノシノシと大股歩きで出てきた。彼は再びひっくり返りそうになる。

「馬鹿女!!なんつーかっこで歩いてんだ!!だいたいそんな丸め方したらせっかくのドレスに皺が「こんなもの皺くちゃになろうとどうだっていいっ!モタモタするなっノロマ!オマエもいつまでもスーツなんか着てるんじゃあないッ!」

「着せたのはテメェだろーがッ!」

 フルミノはずいと彼へ詰め寄る。勇助はとっさにレンズのオートフォーカスを解除し、焦点をガッと引いて固定した。ぼやけた視界の中でフルミノの蛍火の髪と真紅の角先が揺れている。どうやら彼のスーツの留め具を外しているらしい。勇助は幼子のように言われるがまま姿勢を変えてスーツを脱がされた。

 勇助からスーツを引ん剥いていつもの作業着と白衣に戻ってからもフルミノの機嫌は元に戻っていなかった。

「なんでそこまでイライラしてんだよ。飯も旨かったじゃん。親父と弟達にも食わせてやりたかったくらいで」

「まだ分かってないのか!?この兵六玉!!あの女はオマエを次の『処刑人』にするつもりだぞ!今回の試合は間違いなくその試金石だ!!」

 息を切らせながら彼女は叫んだ。その瞳には怒りの炎が赤々と燃え上がっている。

「ユースケ……あの女に舐められてるって分かってるか?あの女は剣闘士なんてみんな自分の好き勝手に踊ってくれる玩具だと頭っから思いこんでるんだぞ」

「だが、あの女の機嫌を損ねるとマズいっつたのはテメェだろ。平気なのか」

「確かに手強い相手さ。ウン十年も闘技場のパトロンとして君臨してる女帝だ。だがな、あの女はボクのプロデュースプランに宣戦布告したんだ。勝負を挑まれた以上は勝ちにいく。いずれにせよ、対決は避けられない相手だったんだ」

 フルミノは両手でがっしりと勇助の頭をつかんだ。ぎりぎりと細い指に力が加わる。

「徹底的にやるぞ」


 試合の場は地下闘技場だった。フンゴールとやり合ったコロッセオ・タイト・ペリ・カエデが表の顔なら、こちらは裏の顔である。より凄惨で過激な出し物が喜ばれ、大っぴらに賭博が開かれる非公式の場だ。勇助とフルミノは薄暗い控え室でその時を待っていた。

「流れは覚えてるな?概要を暗唱して見ろ」

「相手はとっつかまった犯罪者集団。向こうはハンデで飛道具あり。味方は無しで俺一人。俺は連中を一人残らず、生かしたまま身動きとれなくさせる」

「よし。客は皆殺しを期待してるだろうが、ルール上は戦闘不能で勝利になるよう調整した。ボクらは連中に見せつけてやるんだ。『そんなショーはしない。お望みなら他を当たれ』ってね。ただし退屈なショーは駄目だぞ。殺さずに押さえ込むのがどれだけ難しく、高度な技術を必要とするかを分からせてやるんだ」

「任せろ」


 勇助は暗闇の闘技場の中、ゲートの出口前で悠然と立っていた。足元の感触は柔らかい。表の闘技場とは違ってむき出しの土であった。周囲に人間の可視光域の波長は一切無い。だが彼の赤外線センサーは興奮する観衆の体温と天井で命令を待つ機器類の熱量を明確に捕らえていた。沈黙と暗黒は続き、観客の緊張が次第に高まる。そしてそれが暴動の叫びとなる一瞬先に、スポットライトは演目の主役たるサイボーグを照らし出した。

『サイボォォオオオオオグッ!ユーーーーースケーーーーーー!!!!』

 響きわたる実況の声を起爆剤に観衆のどら声が響き渡る。勇助はそれに答えるように高々と拳を掲げた。血に飢えた欲望の叫びが一層高まる。彼の脳内でフルートのような声が響いた。

『当てられるなよ。連中はボクらが狙うターゲット層じゃないんだ』

『分かってる。名セコンドに期待してるぜ』

 勇助は脳内でフルミノに答えた。非公式の場ではこういった無線通信も大目に見られる。

 怒濤の歓声が収まり掛けた頃、遮蔽シールドが闘技場の中心を真っ二つに横切った。半円の頂点に勇助が立ち、その向かいに対戦相手のゲートがある。吊り上げ式のゲートがゆっくりと持ち上がり、彼の今晩の相手達が現れた。

 そして彼は我が目を疑った。震えながら身の丈に大きすぎるビームライフルを担がされていたのは、フェレスと共に廃ビルに住み着いていた子供達だったのだ。

 観客はサイボーグの相手を見るなりブーイングを上げる。もちろん気の毒だからではない。サイボーグには役不足に過ぎると思ったからだ。だが勇助は観客の罵声も実況の声も、必死で彼に呼びかけるフルミノの声でさえ、理解できていなかった。何かの膜越しに遠くから聞こえるようで、薄ぼんやりと現実感が無かった。

 甲高いゴングの音が鳴り響く。同時に薄いベールのような遮蔽シールドが解かれた。子供達は必死になって引き金を引く。そして勇助は棒立ちになったままその集中砲火を浴び、激しく吹き飛んで壁に激突した。

『――ケ!ユースケッ!聞こえてるか!?しっかりしろ!!』

 痛みと衝撃の後、立ち込める埃の中で漸くフルミノの声がまともに聞こえるようになる。そこでやっと勇助は己が状況を理解した。第二射が襲い来る前に横っ飛びになって照射位置から身をかわす。しかし子供達の銃口は数が多い上に狙いが定まっておらず、回避はかえって困難を極めた。

『慌てるなユースケ!オマエなら一人一人気絶させるのは難しくない!確実にやれ!』

 勇助はフルミノの声でどうにか冷静さを取り戻していた。彼は自身の体たらくに毒づきながらも、ひとかたまりになった彼らから距離を取りつつ機会を伺う。

 観客は雨霰と降り注ぐレーザー光をかわし続けるサイボーグの妙技にいったんは喝采したものの、次第に殺戮を求める声が混じり始めた。勇助とてそう長く待つつもりは無い。彼は仕掛けた。

 足元の土を大きく蹴り上げる。殆ど爆発に近いそれは瞬時に試合場を覆う煙幕となった。土埃の煙幕は勇助の姿を覆い隠し、レーザー光を弱めるばかりか子供達の周囲にまで及んだ。観客たちは当然ながら試合観覧の妨げとなる煙幕に不満の叫びを上げるが、勇助はそれが晴れるまで待ちなどしない。

 彼は音も無く子供達の背後へ回り込み、首元へ次々に手刀を浴びせた。疾風の如く放たれた刃は瞬く間に子供達全員を昏倒せしめる。煙が晴れた頃には倒れ伏せた子供達の中心で佇むサイボーグの姿があった。観客はどよめき、困惑に満ちたざわめきを上げる。勇助は悠然と手の甲の埃を払い落とした。彼は勝ち鬨を上げることも拳を掲げることもしなかった。ただじっと審判が試合終了を告げるのを待つばかりである。

 だが一向にゴングは鳴らなかった。

 観客が一斉にブーイングする。止めを刺さないサイボーグともたつく審判の両方へ罵声を浴びせかけていた。しかし勇助は腕を組んで佇んだまま微動だにしなかった。ゴングが鳴らなければ彼は宇宙が熱的死を迎えるまで立ち続けていただろう。だがそうはならなかった。彼は再び我が目を疑う。

 子供達が一斉に起きあがったのである。勇助は考えるよりも先に再び手刀を繰り出した。二度も同じ過ちを犯す彼ではない。しかし子供達は彼の手刀を華麗にかわし、一斉に彼から距離を取った。

『馬鹿な! 丸一日は昏倒していてもおかしくないはずだぞ!?』

 彼の疑問をそっくりフルミノが代弁した。不気味なのは突如として変貌した子供達の動きよりもその表情だった。見開かれた目は血走り、顔中に青黒い血管と神経が浮き上がり、全身の筋繊維は異様なほど膨れ上がり、且つ口は呆けたように開かれて涎を流れるままにしている。

 勇助は深く腰を落として前傾姿勢を取った。


 観客席正面に特別に設えられた個室型観覧席の中で銀髪の美女が不満げに漏らした。

「ちょっとぉ…随分時間がかかったじゃない。危うくショーが終わっちゃう所だったわ」

 彼女の傍らに控える黒いスーツのルプス人は恭しく頭を垂れ、何かをぼそぼそと呟いた。

「分かってるわ。本格的な臨床は始まったばかりだものね。でもこれで結果を出した後はもっとちゃんとなさい」

 美女は足を組み替えて、食い入るように試合を見つめた。単結晶酸化珪素の窓の向こうでは重戦闘サイボーグが小鬼の群を相手に舞踏を続けている。

「さあ、頑張って頂戴。きちんとイかせて上げないと止まらないわよ……フフッ」


 勇助は子供達の攻撃を捌き続けながら糸口を探していた。四方八方から飛びかかってくる彼らの動きは獣じみており、理性は感じさせないが用意に急所を狙えるほど単純でも愚鈍でもない。

『ユースケ!無傷で済ませようなんて欲をかくな!手足をへし折るぐらいは避けられない相手だぞ!』

 残念ながらフルミノの言う通りだった。勇助はそれまで両腕を柳のように揺らして防御と回避を主体に戦っていたが、捕獲と『極め』を重視した動きに切り替える。

 彼は襲い来る少女の腕を蛇のように絡め取り、背後に回って逆手にねじり上げると容赦なくその肩を外した。そのまま一カ所に止まらずに彼は動き続け、子供達の手足を破壊していく。その度に手のひらを通して伝わる鈍い手応えが彼の魂を締め付けた。

 一人、一人と彼らは動く手足を失い、這い蹲るばかりになる。最後の一人を地に伏せ倒した後、残虐な戦いぶりに観客は色めき立って歓声を上げた。

「クソッタレめ。テメェに反吐が出るぜ」

『オマエのせいじゃない。まあ…結果オーライだとでも思えば――後ろだユースケッ!』

 フルミノの叫びと同時に勇助は体を捻りながら前へ跳躍し、地面に転がった。受け身を取りながら立ち上がると、彼がそれまで立っていた場所に爪を突き立てる子供達が居た。全て彼が両手足を破壊した筈だというのに。

 観客は予期せぬアンコールに喝采を上げる。血と泥に塗れた獣と化した子供達は次々に起きあがり、サイボーグに襲いかかる。

『「急速再生薬」か!?ふざけるな!!あんな小さな子達を引きずり出した上にこんな危険な後遺症前提の劇薬を…ッ!ユースケ!ボクが手だてを考える!しばらく凌げ!』

 通信越しにフルミノの激しい悪態とバタバタと駆け回る音が聞こえる。彼女はどこかへ連絡を取っているらしい。どうやらこの試合そのものを没収試合にするつもりのようだ。

 だがそれは困難極まるだろうと勇助は考えた。何しろここまで盛り上がってしまったのだ。ブーイングどころか暴動が起きかねない。

 勇助の脳内では『この試合場そのものをたたき壊して子供達を連れてきた奴の首を吊せ』という絶叫が獅子の咆哮の如く木霊している。だが彼はそれを思考から切り離し、機械的に攻撃を回避しながら次善の策を探していた。

 五分ほどか、それとも一時間か。すでに時間の感覚はなくなっていたが、フルミノはまだ試合を止められずにいた。勇助も己はともかく、子供達に時間が残されていないことを感じ取っていた。彼らは命尽きるまで戦わされるだろう。彼は手足を止めずにフルミノに声をかけた。

「フルミノ、イッコ考えがある。まず、あの子達にゃ神経をどうこうするヤクが使われてんだな?」

『神経系だけじゃないけどね。肝はそこだ』

「電圧を浴びせかけりゃ作用を止められるか? 天井にスプリンクラーがある。お前ならハック出来んだろ」

 通信越しに彼女が息を飲む気配が伝わった。

『ばっ…馬鹿いうな!オマエの体はそんなことが出来るように作られてないんだぞ!』

「察しが良くて助かるぜ。いいから、やれ」

『この抜け作!!やれったって水だけまき散らしたところで全員を感電なんか無理だ!ここの土には大した電解質は含まれてない!塩化ナトリウムのようなイオン化して導電性を上げる電解質がなければ、大した電流は流れないんだ!!』

「電解質なら、俺の体の中にあるじゃあねえか…やれ」

 フルミノは絶句した。声は震え、うわずり、形にならない。

 勇助の体内には確かに電解質を豊富に含んだ液体があった。だがそれは彼の生命線であり、最後の防波堤でもある――彼の頭脳を生かしている生体保護液であった。

 彼女がようやく絞り出すようにして発した叫びは悲痛な色を帯びていた。

「正気か!? なんてこと考えるんだ!! そんな、そんなことして……あまつさえ漏電を起こそうなんて! どんな後遺症が残るか分からないぞ!!」

「関係ない。やれ」

 支離滅裂なスラング混じりの甲高い罵声が勇助の脳内をつつき回す。しかし彼はこれ以上議論しなかった。彼は壁際まで走り、試合場の壁を殴りつけてヒビを入れる。そして欠け落ちた拳大の破片を一掴みすると天井へ投げつけた。これ自体に実際的な効果はない。しかし突然スプリンクラーが狂い出すよりは不自然ではなく見えるだろう。フルミノは絶え間なく泣き喚くような声で彼を罵り続けていたが、天井の防火設備が瞬くのが見えた。

「流石の名セコンドだ。いい腕してるぜフルミノ」

「バカ!!この……バカァッ!!!!覚えてろ!!帰ったら酷いからな!!!!」

 突如試合場に雨が降り注ぐ。まさしく試合に水を差されて自分達もずぶぬれになった観客はどよめいた。

 勇助は一斉に襲い掛かる子供達と真っ向から取っ組み合った。全身に絡みつく無数の指先が勇助の間接を万力の様に締め上げる。このまま留まれば圧壊は時間の問題だが、もちろん勇助に時間をかけるつもりなど無い。彼は生命維持に最低限必要な量を残して生体保護液を体外に放出した。

 瞬間、目の前が暗くなる。指先から力が失われ、急速に立っていることさえ難しくなっていく。激しい頭痛、眩暈、意識の混濁。保護液の循環量が激減し、頭脳への酸素の供給が極限まで落ち込む。彼の頭脳は絞め殺される鶏のような苦痛の絶叫を上げた。だが倒れるには行かない。勇助はあらん限りの意思を持って体内の二重メビウス環薄片リアクターの出力を全開にまで引き上げる。体内を駆け巡る無数の微細修復用ナノマシンが集合し、危機的状況の最中に増殖する毛細血管のように新たな電流路を形作った。彼はそれらを瞬く間に体表に張り巡らしていく。本来であれば機体の修復、一時的な出力の増大、機能の集中などに用いられるサイボーグコンバットの妙技、自在ナノマシン経絡形成である。

 勇助は電流網が完成すると同時に、溜め込んだ電圧を一斉に開放した。稲妻が、弾ける。

 閃光と共に激しい破裂音が鳴り響いた。観客達でさえフラッシュバンを浴びたかのように目を多い、耳を塞ぎ、あるいは気絶した。いわんやゼロ距離で炸裂させられた子供達は、である。サイボーグ自身も炭化した電解物質の黒いすすに塗れ、蒸気の煙を上げていた。彼の脳内ではあらゆる警報が鳴り響き、レッドランプが目の前を血の色に染めている。しかしそれでも倒れはしない。倒れたのは気絶した子供達だけだ。

 サイボーグは今度こそゆっくりと右手を掲げた。気絶を免れた観客達は一拍遅れ、雷のような喝采と拍手を送る。口笛が鳴り響き、千切れ飛んだ闘券の紙吹雪が舞った。勇助は拳を掲げたまま遠くで鳴り響くゴングの音を聞きながら、今にも途切れそうな意識を決死の覚悟で手繰り寄せてフルミノへ最後の通信を試みる。

「頼む……フル、ミノ……この子達と、フェレ…ス…………を…………」

『分かってる!!その子達は保護の交渉をするしフェレスさんも探す!!だから早く休眠に入れ!!もう休むんだ!お願いだから休んでくれユースケッ!!!』

 しかし勇助はもはや彼女の応答を聞くことさえできなくなっていた。フルミノは泣き叫ぶような声で彼を制止していたが、勇助は壊れたラジオのように掠れた声を途切れ途切れに繰り返す。そして勇助の精神は自らも意識できないまま、ゆっくりと底の見えない奈落へ沈んでいった。


 個室型観覧席の中で銀髪の美女がけたけたと笑いながら手を叩く。

「素敵なショーだったわ! でもこっちはてんで駄目だったわね。やっぱり検体がいけないのかしら? 次はもっといい素材を用意しないと」

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