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第十章『捕獲船団 プリヘンデル』

 勇助とフルミノは宇宙船の発着場についた。既に殆どの船は逃げ出しており、残っているのは緊急脱出用の小型艇だけだ。彼女はその中で最も状態の良い物を選び出し、ハッチを開く。

「よしっ。乗れ、ユース……ユースケッ!」

 勇助はハッチに手を駆ける寸前に崩れ落ちた。フルミノは反射的に彼に駆け寄る。

「わりぃ…なんてこと、ねえよ……少し、目眩がした…だけだ……」

「バカッ無いわけあるかッ!……アクチュエーターも電装系も、外装だけじゃ無く内部構造全部がボロボロだ……良くここまで……」

 フルミノの目端に光が滲む。しかし彼女は白衣の袖でぐいとそれを拭うと、小型艇の中から簡易工具を取り出した。熟練の整備工顔負けの速度と正確さで瞬く間に勇助の頭部を取り外す。彼女はしっかりと腕の中に勇助を抱え込み、超科学の結晶である彼の体には見向きもせずに小型艇に乗り込んだ。

「次はもっと良い体を作ってやる。期待して待ってろよ」

 不敵に笑い、腕の中の彼へ囁いた。そして手早く彼を船の制御システムへ繋ぐ。彼女は操縦桿を握り小型艇を静かに浮上させた。緩やかな加速で船は一片の木の葉のように舞い上がる。

 真空の闇の中を泳ぎ出したちっぽけな船の先には巨大船団が待ち構えていた。


 ヴァリ生化学の私設船団プリヘンデルのメインデッキの中、黒衣の美女は艦長の前で怜悧な微笑を浮かべていた。

「良いこと?必ず生かして捕らえるのよ。アレには貴方達全員分の生涯賃金と年金と保険金、全部を足しても手付金にすらならない値打ちがあるんだから」

 プリヘンデルの艦長、若葉色の髪と肌を持つアルボル人は四つの黄色い瞳でカンデラを見据えた。

「カンデラ様、目的を伺っても宜しいですかな」

 ハスキーなバスボイスがデッキに響く。カンデラは三日月のように口の端を歪めた。

「お黙りなさい。貴方達は黙って私の命令に従っていれば良いのよ。貴方達に『判断』なんて政治的に高度な対応は求めていないわ。道具の分際を弁えなさい」

「……承知しました。しかし一先ずはお部屋へお戻り下さいますかな。部下達が混乱すると面倒ですので」

 デッキの中ではクルー達が心配そうに二人を見つめている。だがカンデラが鋭い視線を振り向けると慌てて各々の仕事に戻った。彼女はそんな様子を鼻で笑い、よろしくも言わずにその場を立ち去る。

 艦長はメインスクリーンへ振り向き、深い溜息を吐いた。彼は小枝のように節くれ立って尖った指先で艦長帽を深く被り直す。

「目標の不明小型艇をスクリーンに映し出して回線を繋げ」

 メインスクリーンの中央に星々煌めく闇が映し出される。その中央に白く小さな影が見えた。船籍情報では緊急脱出艇。武装は小型のレーザービームのみだ。艦長はマイクに発声管を近づける。

「此方ヴァリ生化学所属船団プリヘンデル。貴艦は当方の私有宙域に侵入されている。至急停船されたし」

「……応答ありません」

 艦長は再び大きな溜息を吐いた。

「フォトンレーザー用意。出力を誤って蒸発させるな」


 小型艇の操舵は既に勇助へ移っていた。制御系に直結した彼は船を己の身体の如く操る。

「ユースケ、違和感は無いか?」

「すこぶる快調だぜ。俺に任せ……来るぞ。船の加速に備えろ」

 フルミノは即座にコックピットで身構えた。直後に凄まじいGが彼女を襲う。そして不意に加速が和らいだ瞬間、船の紙一重真横を極太のフォトンレーザーが光速で駆け抜けた。

「フルミノ、俺達は何Gまで耐えられる?」

「耐G訓練経験が無い生身のボクは6Gが限界だ。足を引っ張るようだけど、それ以上の加速が十秒以上続けばボクは気絶すると思ってくれ」

「十分だ。お前が気ぃ失わねえ程度にゃ振り回すぜ」

 船は加速した。照射半径を極大まで広げた低密度フォトンレーザーが滝の如く襲いかかる。しかし船はその悉くをミリ単位の正確さで躱した。降り注ぐ光の雨の中を踊るように船は進む。仇敵目掛け、更に船は加速した。


 デッキの中はどよめきで満ちていた。ちっぽけな緊急脱出艇は光速のレーザー砲の雨霰を触れさせもしない。勿論機能停止に追い込む程度の光線であり、大型船相手では日焼け跡を作る程度にしかならない。だがその一切が掠りもしないのは驚異的だった。

 デッキの中でただ一人、艦長だけが真の異常性に気付いていた。それは小型艇が回避行動を取るタイミングである。船はフォトンレーザーの『発射前』に加速を始めていた。より正確には砲が充填を完了し、照準を固定した直後である。照準固定から発射までの僅かなタイムラグの間に船は急激に加速し、命中点からその身をずらす。それを繰り返していた。しかも複数のフォトンレーザーの隙間を縫うように動いて。

 艦長は戦時中のある記憶を呼び起こしていた。それは彼が殿を勤めた撤退戦だ。あわや壊滅と思われたその時に現れ、恐るべき速度で逆に敵機を撃墜していった謎の戦闘艇部隊。小型艇の踊るような舵取りはそれに酷似していた。

 いや、そんなはずは無い。目の前の敵に集中しろ。

「小型誘導弾、発射準備」


 勇助は船の舵を操りながら音を聞いていた。宇宙空間にすら冴え冴えと響くその音を。

 元々『サイボーグコンバット』とはその技術の暗号だった。そもそもこれは格闘技ではない。複数の異種技術を応用し、精緻極まる操作能力によってその場で新たな技術として昇華する異形の業なのだ。操る身体は人の形をしている必要さえ無い。

 彼は宇宙船内の四本の光学レンズを直行させ、内部の反射鏡の中でレーザー光を反射させ続けていた。絶えず変化する光の『たわみ』。勇助はそれを何億倍にも増幅し、かつ『ノイズ』を除去した上で『聞いていた』。その正体は光速で伝わる質量の移動による空間の歪み、重力波である。彼はその音を聞くことによって数万キロ単位先の敵船団の挙動を克明に捉えていた。まるで鯨やイルカが音の反射で水中の獲物を捉えるように。これぞ検体二十号のみが発現し得たサイボーグコンバットの秘奥の一つ、重力波感応である。

 前方から誘導弾の群れが迫る。四方八方から包み込むように鋼の猟犬が襲い掛かった。

 船は誘導弾の第一波をすれすれまで引きつけ、反転してすり抜けるように躱した。対衝突した誘導弾は小型艇の真後ろで破裂し、その衝撃がコックピットを揺さぶる。フルミノは加速力による気絶寸前のGを歯を食いしばって耐えていた。だが彼女は同時に、操作盤に鋭く指を走らせ続ける。

 第二波は密集型だ。勇助は巧みにミサイルを誘導し、一塊になったところで正確にレーザーを照射した。ミサイル群は閃光と共に誘導する。それらは僅かな爆発熱と衝撃を小型艇に与えたのみだった。

 回避行動の最中も船は加速し続けていた。次第に一筋の光の矢へ近付いてゆく。


「誘導弾、全弾回避されました!」

 苛烈極まる攻撃の全てを突破され、デッキは騒然としていた。時折カンデラの金切り声が私室から届くが、艦長はそれをまるっきり無視している。向かい合う船団と小型艇。両者は互いに拡大鏡を使う必要も無いほど接近していた。

「小型無人戦闘艇、発艦!!」

 艦長の号令の後、船団からスズメバチのような小型戦闘艇が飛び立っていく。


 勇助は不思議な感覚を味わっていた。力は無尽蔵に溢れてくると言うのに、引き替えとしてこれまで感じていた自分自身が欠け落ちてゆく気配が無い。いや、正確には一瞬ごとに感じるのだが、即座にそれが満たされる。まるで一欠片ずつ削れる身体が立ち所に塞がるような感覚だった。

 彼はフルミノがコンソールに指を走らせ続けていることに気付いた。

「フルミノ、何かあったのか」

「オマエの記憶領域を修復してるんだ。リアルタイムでね」

「……はっ?」

「オマエが『力』を使う度に記憶を失っていることは分かっていた。正確には別の物に『上書き』されていたんだけど……ともかく保存しておいたオマエの海馬の量子データを転写し続けるプログラムを作ったんだ。とは言え、丸ごと写してたらオマエはコンマ一秒ごとに記憶喪失になる。破損部位の特定とプログラムの微調整、量子データの更新はリアルタイムで続けなきゃいけない」

 そう言いながら、彼女の顔には滝のような汗が流れていた。噴き出た汗で作業着は濃い灰色に変わり、うっすらと白衣にまで滲んでいる。

「フルミノ!無理は『バカ』

 彼女は汗だくになりうっすらと目元にクマを作りながらも、しかし不敵に笑う。

「忘れたのか?このボクは銀河帝国一の頭脳を誇るフルミノ・ウィクトーだぞ。オマエは自分の仕事に集中しろ」

 勇助の眼前に小型の戦闘艇が押し寄せていた。彼女は勇助に小さな背を向けて断言する。

「オマエの魂は何があろうとボクが守る」

 銀笛のような美しい響きの声だった。その背は驚くほど小さかった。

 こんなに小さな体のどこにこれほどのエネルギーが詰まっているのだろう。しかし紛れも無く勇助の魂はこの小さな背に背負われているのだ。同時にその身を守れるのは勇助だけなのだ。

 勇助の頭脳に決意が漲る。

 小型艇は猛然と無人機に向かっていった。扇状に散開した戦闘艇から勇助達に向かって高密度レーザーの弾幕が展開される。しかし船は駒のようにきりもみ回転しながら鋭く加速した。細い網の目のようなレーザーの隙間、そこを針のように貫く。船は加速を一切殺さずには無人機の死角を横切った。加えて細く短く収束したレーザーでナイフのように機体を切り裂く。

 爆炎が小型艇の影を覆う。勇助達は更に加速した。もう敵は目の前だ。


「止まりません!激突します!!」

 通信モニターから届く叫びの後、激しい衝撃がカンデラの乗る大型船に響いた。勇助達の小型艇が発艦場を貫いて格納庫に突っ込んだのである。

 それまでデッキに向けて喚き続けていたカンデラは凍り付き、今更気付いた。いつの間にか自分が『狩られる側』に回っていたことに。

「冗……ッ談じゃないわ!」

 彼女は掠れた声で叫ぶと部屋を飛び出す。そしてハレイの星竜皮バッグから端末を取り出し、慌ただしく何かのアプリを起動した。

「使えないったらありゃしないんだから!これならいっそ、獣の方がマシよ」

 カンデラは一切躊躇わずに画面上のスイッチを押す。艦内でおぞましい叫びが木霊した。


 風穴を開けられた格納庫の中は減圧警報が鳴り響き、宇宙との圧力差で嵐が吹き荒れている。散乱した金属片と瓦礫の山で小型艇は衝撃によって前衛芸術のような現実離れした変形を遂げていた。ハッチも変形して開閉は不可能だ。だがその内側から赤い針のようなレーザートーチの炎が突き出る。二分も経たぬ内にハッチを焼き切った簡易気密スーツ姿のフルミノが現れた。

 それと同時に嵐と警報が止む。艦内の緊急隔壁が下りたのだ。彼女は背負った勇助の頭部に声をかけた。

「しばらく我慢しろよ。今はプログラムを直し続ける余裕は無いからな」

 だが突如としてけたたましい警報が艦内に響く。

『緊急避難警報!!緊急避難警報!!艦内の宇宙生物が収容を離脱しました。担当職員は直ちに隔離処理を行い、通報と避難誘導に当たって下さい。繰り返します――』

 フルミノは透明なヘルメットの内で目を丸くする。次の瞬間、ミサイルの衝突にも耐える巨大な複合鋼板の継ぎ目がどろりと崩れる。融解した継ぎ目から何本もの鋭い棘が突き出ると、力尽くで鋼板をこじ開けていく。中から現れたのは戦車ほどもある蟹と蜘蛛の合いの子のような怪物だった。

「アステロイドベルトシザーズ!? まずいっ唾液腺が切られてないぞ!!」

 フルミノが叫びきらぬ内に怪物は久しぶりの生きた獲物目掛けて消化液を吐きかけた。王水にも匹敵する超酸性の涎が雨のように降り注ぐ。

 彼女の危機を感じ取った瞬間から勇助の頭脳は高速回転していた。相対的に回りの時間は停止しかける。扉が、開いた。

 それは自我が際限なく拡大されていく感覚だった。全ての物質、エネルギー、空間を司る厚さゼロの裏表の無い薄片、メビウス環薄片。空間を飛び交うメビウス環薄片を収束し、勇助の情報を元にして高密度エネルギーの量子半実体が構成されていく。停止した時間の中でフルミノの傍らに光の化身が現れた。これぞサイボーグコンバットの秘奥の一つ、メビウス超量子半実体である。

 溶解液は寸前で空中に静止した。フルミノの周囲を薄い光のヴェールが覆っている。

「てめぇ……俺のフルミノに手ェ出してんじゃ…………ねェッッッ!!!!!」

 亜光速の拳が宙を貫く。瞬間的に発生した衝撃と熱波がフォトンキャノンの如く怪物をなぎ払った。閃光を追いかけるように爆音が轟く。その後にはもはや怪物の残骸どころか、二人の前に燃え盛る大穴が残るのみだった。

「……やっちまった」

「ば…バカッ!!加減を考えろ!大体我慢しろって…ああっ! ほら、もう!!」

 フルミノが指さしたのは大穴の脇から這い出てくる百鬼夜行の如き怪物の群れだった。彼等は一旦お互いの顔を見合わせた後、より柔らかい肉で捕まえやすそうなコルヌ人の少女に狙いを付けた。怪物達は我先に食事にありつこうと殺到する。フルミノは頭を掻きむしろうとしてヘルメットを引っ掻き、勇助は拳を構えた。

「んんんんああああ!!そっちは任せたぞ、ユースケ!ボクは艦内情報をハックするっ」

「任されたぜ。掛かってこいや、雑魚共!!」

 閃光そのものとなった勇助の手足が宙を走った。


 足止めのために艦内の宇宙生物を解き放ったカンデラは通路を必死で走っていた。走ったことなどもはや記憶に無い。移動通路の一つも無い無骨極まる船が忌々しかった。

 彼女は息を切らせながらも専用脱出艇がある発着場まで辿り着いた。しかしその時バッグの中でアラームが鳴る。

「こんな時にッ……」

 カンデラは慌ただしくバッグの中を探る。そして錠剤が入った小瓶を取り出そうとした。

 その瞬間だ。

 爆音、衝撃。砕けた壁から漏れ出す煙を帯びて、それは現れる。壁を砕き、怪物を屠り、その屍を踏みしめて白く輝く死神だ。カンデラは思わず悲鳴を上げかけた。だが伸びた腕が彼女の首を掴み、壁にその身体を叩き付ける。悲鳴は喉元で潰され、ヒキガエルのような声に変わった。

「俺の最低最悪のヘマは……初めて会ったその時に、この首をへし折らなかったことだ」

「無茶言うな、お尋ね者まっしぐらじゃないか。だから態々こうして、船から海に突き落とすような計画を練ったんだろ」

 現れた死神とコルヌ人の少女がカンデラを睨む。だがその目には憎悪も憤怒も無い。ただただ冷徹な殺意が宿るばかりだった。

 カンデラは首を掻きむしりながら哀れみを誘うヴァイオリンの様な声で叫んだ。

「どうしても仕方がなかったの!あの戦争でどれほど人と経済が損なわれたか知っていて?新しい薬を作るのにどれだけお金が掛かるか知っていて?貴方が手に入ればあらゆる新薬と莫大な雇用が生まれるのよ!帝国で飢えと病と貧困に苦しむ人々に『うるせえ』」

 首を掴む手に力が籠もり、カンデラの喉は更に締め上げられる。

「クセえんだよ。大体俺が復讐心だの義憤だの、まして正義感だのでテメエを殺しに来たとでも思ったか?俺は、単純に、純粋に、俺の満足と必要のためだけにてめえを殺す」

「ユースケだけなもんか。ボクにとってもカンデラ婦人は障害だ。どうしても取り除かなきゃいけないリスクだったさ」

 カンデラはもがき、暴れながら更に泣き叫んだ。大粒の涙をボロボロと零し、蒼白く染まった唇から熱い吐息を漏らす。

「いやぁ!!止めて!!殺さないで!!貴方は無抵抗の女を殺すの!?」

「……不思議なもんだ。俺は今までさんざん殺してきて、初めてここまで命乞いされたってのに……てめえで驚くほど何とも思わねえ」

 のたうつカンデラのバッグから何かがこぼれ落ちた。それは固い床に落ちるとぱりんと割れ、白い錠剤を辺りに撒き散らした。

「イヤっ…薬が、薬が……!」

 初めは目元だった。次いで頬、口元と破滅の亀裂が広がっていく。一本の木が枯れるまでを高速再生で映し出すように、勇助とフルミノの目の前で見る見るうちにカンデラの『若さ』が失われていった。瑞々しかった肌はぼろ布のように、艶やかな銀髪は解れた木綿糸のように白んでいく。

 数秒後、そこには首を捕まれた老婆が息も絶え絶えに喘ぐばかりだった。

「なるほど……高精製テロメア修復剤、か。道理でクレジットが必要な筈だね」

 憎悪に燃えた瞳で老婆は二人を睨んだ。黄ばんだ歯をむき出しにして唾を撒き散らしながら修羅の形相で叫ぶ。

「止めろぉおおお!!お前ぇえええ!!!誰に手を出してるのか分かってるのかァァアアア!!!!お前は私が見逃してやっていたんだ!!私が生かしていてやったんだ!!!恩知らずのごろつき共めぇえええ!!薄汚いクズ共の道具風情が!!汚らわしい獣如きが!!この私に触るなぁあああああ!!」

 しかしその叫びはもはや何物も動かすことは無かった。勇助は力を込める。

「じゃあな、地獄で待ってろ」「さよなら、カンデラ婦人」

「イヤダイヤダイヤダ死にたくない死にたくない死にたくなァアアアアアアアア」


 枯れ木を折るような音が鳴った。


 大型船プリヘンデルから蜘蛛の子を散らす様に小型艇が脱出していく。そしてカウントダウンの後、滅菌処理のために船は大きく自爆した。だが、爆発の寸前に豪奢な脱出艇が踊るように飛び出したことをクルー達の誰一人として見ることは無かった。

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