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幻想と召喚の絆  作者: イ尹口欠
アンデッド村開拓記編
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 召喚と合体を済ませた私は、ドロップ品を売り払い、MPポーションを買い足して、店売りの一番安い装備を新規召喚組に与えてから、夜間行軍にて無事にヤツハカ村に戻ってまいりました。


 いやーなんですかね、この木の柵。

 あとデカデカと「ヤツハカ村」と書かれた看板と、木製の門は。


 さすが疲労も睡眠もないアンデッドたち。

 スケルトンもゾンビもよく働いてくれているようですね。


 では1時間ほど休憩しつつ、子爵となったヨサクの内政能力を見せてもらおうではありませんか!


 手持ちの召喚獣の全員を村に配備し、私は女王蜂の部屋へ向かいます。

 レベルが30になったときにここで住民の召喚をうっかり忘れていたので、まずはそれをこなしましょう。


     ◆


 ハニカム構造の蜂の巣ですが、だいぶ人? の手が入ったのか、道はあるきやすくなり、幾つかの部屋には扉が取り付けられたりしています。

 どうやら民家の建設をせずに蜂の巣の一角を借りて生活する気のようですね。


 そういえば大量の農具はどこへ行ったんでしょうか。

 後で見回っておかないと、知らないうちにデカイ畑とか出来ててびっくりしそうですよ。


 女王蜂の部屋はなぜか人間用に整えられつつあります。

 多分、私に気を使って誰かがやってくれたのでしょう。

 案外、命じたのはヨサクかもしれませんが……まあそれはさておき、新たな住人の召喚です。


「住人召喚!」


 にゅう。


 【建築学の書を召喚しました】


 …………ああ、そういえば第四職業にセレブリティスカラーを選択してましたよ私。当然、出てきますよねえ。


 しかし建築学の書とは、村作りに役に立ちそうですね。

 問題は誰が読めるか、ですが……。


 私は書を持ってヨサクを探します。

 ああ、いたいた。

 どうやら巣の中で作られている蜂蜜づくりの様子を見ているようです。


 もしかしなくてもこの村の特産物になりますからね、蜂蜜は。

 子爵としても気になるところでしょう。


 私がやって来たことに気づいたヨサクは会釈し、蜂蜜作りの見学を一旦やめてこちらにやって来ます。

 いやー可愛良いなあ。

 ちゃんと主人の私を立ててくれるんですね。


 とりあえず使い道の分からない建築学の書を渡すと、ヨサクは矯めつ眇めつしながら、それをその辺でふわふわしていたゴーストの一体に与え、何事かカタカタと顎を鳴らして命令を出しました。

 ゴーストは書物を持ってどこかへふわふわ立ち去りました。

 どうやら、彼女が建築大臣になるようですね。


「では引き続き村のことは任せます。ヨサク、支配地は最低、もうひとつ増やすつもりですが、住人は簡単には増えません。それを考慮して村作りをしてくださいね」


 ヨサクはコクリ、とうなずき、また蜂蜜作りの見学に戻りました。


 いやー部下が優秀だと私、やることなくて楽ですね-。


 ……と、なんですかこの項目は。


《ユニオン『グレイブキーパー』

 ユニオンリーダー ファナ

 ユニオンメンバー 1人

 ユニオンポイント 18pt

 住人召喚獣 30体

 支配地 ヤツハカ村(アドリアンロット北部山嶺地帯北西部)

 従属氏族 ジャイアントビー》


 ユニオンメニューにはユニオンポイントという謎の項目が増えていました。

 またヘルプを見たり、ポイント項目をいじったりしているうちに判明したのですが……村の発展度や他のユニオンとの模擬戦で上昇していく数字のようですね。


 ていうか、これ50点消費するとネクロマンサーギルドを村に招致できるってマジですか!?


 他にも道路の敷設とか建物の建造など、色々なメニューが存在しています。

 これは……まずはポイント貯めてネクロマンサーギルドですね。


 ここにギルドが出来れば、いちいち街に戻らなくても召喚ができますから、非常に便利になると思うのですよ。


 ……しかし一日放ったらかして18点というのは解せません。

 何もしていない割に多すぎませんか?

 ちょっと外の発展具合を見ておいた方が良さそうですね。


     ◆


 うん、でっかい畑ですね。

 まだ耕している最中ですが、疲れを知らないスケルトンとゾンビが夜にも関わらずせっせと地面を耕しています。

 ていうか、何を植えるつもりなんでしょうか……もしかして種は私が用意しなければならないのでは?

 採集系スキルも取ってないですし、……店売りしているもので良ければそれにしますか。


 とはいえ半端に野菜なんて作っても誰が食べるんでしょうか。


 ドラゴンインファントは確実に肉食だと思うんですよねえ。

 それとも野菜、食べるのかな?


 そうして村を見回るうちに、掘っ立て小屋のような小さな建物に佇むゴーストを見て、嫌な予感がしたので話しかけることにしました。


「あのー、君はそこで一体、なにをしているのでしょうか」


「いらっしゃいませ」


「!?」


 どうやら蜂蜜を売るお店だったみたいですね。


 そういえばゾンビもスケルトンもまともに会話ができません。

 店舗運営や他の街との交易を担うのは、ゴーストになるのは必然でしょう。


 ……なるほど、考えられてますねえ。


 ヨサクが建築学の書をゴーストに渡したのもこの辺りが理由でしょう。


 いやー楽しいですね開拓村。


 さあて、じゃんじゃん発展させてあげましょうね!


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