84 召喚
さてそんなわけでやって参りましたセレブリティスカラーギルド。
村作りのために第四職業にドールメイカーを選ぼうかなーなどと考えていましたが、クリエイト・アンデッドで無差別にアンデッドを配置することを考えると、むしろ管理しないで無法地帯にした方が面白そうだなーなんて考えて辞めたのです。
すると選択肢は現在のメンバーを強化できそうなセレブリティスカラーが一番手に躍り出ました。
今更、アンデッド以外を使役するつもりもないし、武器と防具は充実してきているので、アクセサリでちびちび強化できないかと狙っているのです。
合体数が多ければ多いほど召喚獣は強くなりますからね。
というわけで、
「頼もうー」
「いらっしゃい。お嬢ちゃん……は神に召喚された召喚士かな?」
「そうです。セレブリティスカラーに登録しに来ました」
「ほほう。セレブリティスカラーを選択するとはお目が高い。よろしい、登録しましょう――って第四職業!? 失礼しました!!」
私の実力に驚いたのか、受付の男性は恐縮した様子で登録処理を終えました。
さあ、召喚しますよー!
「あ、ファナ様。召喚の内容が変わっておりますので、今後はご留意ください」
「え、どう変わったんですか」
「はい。使役できる召喚獣が七体となった召喚士の第一職業の召喚獣は、これまで強い召喚獣と弱い召喚獣を交互に召喚されていたかと思いますが、これが強い召喚獣は変わらず、弱い召喚獣は稀に更に強い召喚獣として召喚されることがあります」
……あー。
随分と回りくどい説明でしたが、つまりこういうことでしょうね。
今まではティアー2とティアー1が召喚されていたのが、レベル30からはティアー2と、ティアー1かティアー3のいずれかが召喚されるようになった、ということでしょう。
遂にティアー3ですか……。
「あれ、そういえば第二職業の召喚獣はどうなっているんですか。増えたりしますか?」
「いいえ。既に召喚されていてお気づきかもしれませんが、第一職業と違い第二職業以降は稀に強い召喚獣が召喚できることがある程度となっております」
なるほど。
基本的にティアー1を召喚士つつも、運が良ければティアー2が召喚されているということですね。
ソウルブリンガーについては詳しくないので、どれがティアー2なのか分かりませんが。
「そういうことでしたか、ありがとうございます」
「いいえ」
「では召喚スペースを借りますね」
「はい、どうぞごゆっくり」
さあさあ、気を取り直して召喚です。
今回はレベルがかなり上がったので、沢山引けますよ~。
具体的にはネクロマンサーの死体ガチャが6レベル分なので十二回。
ソウルブリンガーの武器ガチャか防具ガチャが合計で六回。
ドラゴンメイジのやる気なしドラゴンガチャが六回。
そして新たに取得したセレブリティスカラーのガチャが初期ボーナスで五回です。
合計、二十九連ガチャですね!
……うわあ、その後の合体のことを考えると頭が痛いですよ!
ま、合体のことはそのときに考えるとして、今は召喚に集中しましょう!
まずは死体ガチャ十二連です。
「召喚!」
ずももももも。
【イビル・ゴーストを召喚しました】
お、レイスやダンシング系の合体材料ですね。
幸先いいじゃないですか。
「召喚!」
ずももももも。
【ゾンビを召喚しました】
これでドラゴンがまたドラゴンゾンビになりますね!
「召喚!」
ずももももも。
【スケルトン・スミスを召喚しました】
……スミス?
え、スケルトンって職人系のスキル持ちがいたんですか!?
ええと、順番的にはティアー2ですか、まだまだ初見の召喚獣が多いですね。
これで完全にドールメイカーを選ぶ理由がなくなりました。
「召喚!」
ずももももも。
【ゴーストを召喚しました】
お、スペクターの材料じゃないですか。
「はい、召喚!」
ずももももも。
【マミーを召喚しました】
「つぎつぎ。召喚!」
ずももももも。
【ソンビを召喚しました】
「召喚!」
ずももももも。
【ワイトを召喚しました】
「次! 召喚!」
ずももももも。
【スケルトン・ソードマンを召喚しました】
ううん……君にはもうムラマサという大先輩がいるんですけど。
村に配置して用心棒でもしてもらいましょうかね。
「召喚!」
ずももももも。
【グールを召喚しました】
「はいはい。召喚!」
ズワァっ!!
お、レア演出ですよ。
ええと今はティアー1かティアー3ですね、ティアー3のレア召喚獣来るか!?
【リッチ・ボーイを召喚しました!】
お、おお?
これはマドカと対をなす存在ですね。
恐らくティアー1でしょう。
しかし美少年の死体ですか……合体素材に余裕があれば育ててもいいですね。
マドカのお役立ち度を考えると、二人目のリッチ系がいても構わないでしょう。
しかも最初にイビル・ゴーストを引いていますから、レイス化も早いことでしょう。
「召喚!」
ずももももも。
【スケルトン・ウッドクラフターを召喚しました】
……なんだと!?
木工までこなしますか。
これもしかしてユニオンが支配地を得ている状況が影響しているのかもしれませんねえ。
「召喚!」
ずももももも。
【ロッティングコープスを召喚しました】
ふぉ!?
通常演出だったので油断してましたよ!
そうか、こいつティアー3だったんですね。
しかしノーマル召喚獣でダンジョンの元ボスが出て来るとは……。
ちょっとテンション上がっちゃうじゃないですか!
ささ、次はソウルブリンガーですね。
新しい面々が増えたので、防具ガチャと武器ガチャを半々で引きましょう。
「防具召喚!」
しゅきーん。
【ソウル・スティールエプロンを召喚しました】
直訳すると、鉄の前掛け、ですかね。
別に料理するときにつかう奴じゃないです、立派な防具ですよ。
「防具召喚!」
しゅきーん。
【ソウル・ゴールデンマスクを召喚しました!】
ぶふぉ!?
思わず噴き出してしまいました。
な、なんですかこの趣味の悪い仮面は……。
そういえば兜はまだ出てきてなかったような気がしますが、いきなりこれは。
合体候補は厳選しなくてはなりませんね、こればかりは。
「防具召喚!」
しゅきーん。
【ソウル・ヴァイキングヘルムを召喚しました】
お、これは格好いい兜ですね。
良かった、可能ならヨサクに合体させたられます。
「武器召喚!」
しゅきーん。
【ソウル・カイトシールドを召喚しました】
ひし形の普通の盾ですね。
「武器召喚!」
しゅきーん。
【ソウル・シミターを召喚しました】
ゆるい曲線を描いた片刃の剣です。
「武器召喚!」
しゅきーん。
【ソウル・パイクを召喚しました】
ん?
ああ、長い棒かと思いましたが、どうやら槍のようですね。
極端に柄が長いですが、これどうやって使うんでしょうか。
さて、次はドラゴンメイジですね。
どうせやる気ない奴らがちびっと出てくるだけでしょう。
さっさと済ませましょう。
「召喚!」
ごわぁぁぁぁ。
【レッサードラゴン(氷の吐息)を召喚しました】
おや、氷属性とは珍しい。
スノウ・ワイバーンを思い出しますね。
そういえばソコヤマさんは元気でやっているのでしょうか。
あっさり見捨てて先を進んでしまいましたが……まあ掲示板でも見かけたので、レベリング頑張ってるんでしょう。
「召喚!」
ゴゴゴゴゴ……!!
お、なんですか?
レア演出じゃないですかね、これ。
【ブラックドラゴン(闇の吐息)を召喚しました!】
……ふーん。
つまりアレですよね、ホワイトドラゴンの対になってる奴。
なんていうか、今更感がありませんか?
まあレア召喚獣なんでありがたく頂いておきますけど。
「召喚!」
ごわぁぁぁぁ。
【レッサードラゴン(地の吐息)を召喚しました】
「ハイ次。召喚!」
ごわぁぁぁぁ。
【レッサードラゴン(風の尻尾)を召喚しました】
はいはい、……って尻尾!?
腕だけで爪とか言われるのも何ですが、尻尾だけにゅるっと出て来るのもシュールですねえ。
トゲトゲがあって薙ぎ払ったらなかなか痛そうです。
「よし次、召喚!」
ゴゴゴゴゴ……!!
おや、またレア演出ですよ?
【アストラルドラゴン(霊の吐息)を召喚しました!】
な、なんですかこいつは。
霊? 霊ってなんですか、何を吐くんでしょう?
ネクロマンサー的には気になるのですが、まさか霊属性なんてものがあるとでもいうのでしょうかね。
想像もつきませんが……。
「次、召喚!」
ごわぁぁぁぁ。
【レッサードラゴン(雷の爪)を召喚しました】
これも珍しい属性ですね。
思えばレベルも30ですから、ドラゴンメイジにもティアー2が混じっているのでしょうね。
さてさて、次は新しい職業セレブリティスカラーですね。
ソウルブリンガーと違ってこっちは装飾品か書物かは選べない仕様らしいです。
まあ装飾品は何が出てもゴテゴテ付けられそうですし、気にせずどんどん召喚してみましょう。
「召喚!」
きらーん。
【エメラルド・ネックレスを召喚しました】
ほっほう。
いきなり風耐性のネックレスですよ。
いいですねえ、誰にでも合体できそうな汎用性のありそうな装飾品です。
期待できるじゃないですか、セレブリティスカラー!
「召喚!」
きらーん。
【ファイヤアローの書を召喚しました】
お次は書物ですね。
うわ、結構な大きさと重さがあります。
片手で持てなくもないですが、両手が空いていないと厳しいですかね。
書物は武器として装備していると、名前の通りの魔法をスキルなしで使えるという代物らしいです。
ファイヤアローはなかなか使い勝手の良い魔法ですが、第一段階ですからねえ。
できれば段階の高い魔法の書物が欲しいところですが……ティアー1じゃ期待薄でしょうか。
「召喚!」
きらーん。
【トパーズ・リングを召喚しました】
お、これは指輪ですね。
地属性の消費MPを少しだけ減らしてくれるらしいですよ。
これはマドカに合体できると嬉しいですね。
「召喚!」
シャラララララ!!
うお、眩しい!?
【シグネットリングを召喚しました!】
え、なんですかこの地味な指輪は。
……宝石じゃないですね、なにか彫ってあるようですが。
あ、分かった。
これ封蝋にグイっと押す奴ですよ。
印章というんでしたっけか、昔の印鑑みたいなものです。
確か貴族の家紋が掘られているんですよね。
よく見れば骸骨、剣、竜、宝石が掘られています。
私の家紋というか、職業を表した印章ということなんでしょうね。
「召喚!」
きらーん。
【ライトの書を召喚しました】
お、これは地味に嬉しいですね。
実はウチのメンバー、アンデッドだらけで誰も光魔法を持ってないんですよね。
私もネクロマンサーとして光はちょっと……というわけで光魔法の書物はありがたいんですが、正直、全員が暗視状態なので灯りは不要なんですよねー。
私がブラインドを受けたときの対処用でしょうか。
もしくは今後、アンデッド以外の村人が出来たら必要になるかもしれませんね。
現状ではあまり有用ではありません。
さあこれで召喚は一通り済みました。
次は合体ですよ。
候補は……うはあ、これは検討に時間がかかりそうです。
一旦、カナコさんとノマキさんと食事でもしてリフレッシュしてきましょうかね。