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幻想と召喚の絆  作者: イ尹口欠
森人族の少女とメオンの塔編
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 メオンの塔にやって来ました。


「こんにちはフェミニオさん。また来ましたよ」


「あらファナ様ですね。どうかされましたか」


「召喚してきたので、同化をしに来たんです。ヘルプは目を通したんですが、具体的にどこに行けばいいのか教えてもらえますか?」


「はい、召喚獣同化はこの塔の八階にて行うことが出来ます。担当の者が常駐しておりますので、同化儀式を行う旨をお伝えいただければ、すぐにでも儀式を行うことが出来ますよ」


「なるほどー。ありがとうございます」


     ◆


 八階の担当者に召喚獣同化について訪ねたところ、召喚獣同化陣、略して同化陣という魔法陣の描かれた部屋があるとのことなので、そこに入りました。


 同化スペースは割りと簡素な部屋で、中央の魔法陣以外には荷物を置くことのできる棚や休憩用か待合人用の椅子があるくらいです。

 同化陣は召喚陣とかなり違いますが、スクショでもない限り細かい部分の違いは分かりませんね。


 ……うん?


 もしかしてスクリーンショットを撮って全く同じ魔法陣を描くことができれば、いつでもどこでも召喚ができるのでしょうか。


 β時代ではアドリアンロットから一日の距離くらいまでしかマップがなかったので困らなかったのですが、北部山嶺地帯を抜ける間など長旅がこれからもあると思います。

 そういうときに、召喚陣が手元にあればいつでもレベルアップ即召喚ができるのではないでしょうか。


 今度、試してみましょうかね。


 さて召喚獣同化です。


 ルールは簡単。

 未合体の召喚獣を自分に同化するだけ。


 さあ、さっそくエルダー・リッチを私に同化しますよ!


 同化陣は召喚陣をみっつ、正三角形の頂点に配置されるように並べてられたような形をしています。

 そのうちのふたつに私とエルダーリッチが立ち、残るひとつに同化した私たちが現れるという仕組みらしいです。


 間違ってハエが混じったりしないでしょうね?


 まあゲーム的に自分の第一職業の未合体召喚獣しか同化できないのでそんなことは起こりうるはずもないのですが……。


 ささ、とっとと済ませて、カナコさんたちと合流しましょう。

 向こうも第二職業の選択、召喚、合体を済ませたみたいですからね!


「いざ同化!」


「……」


 しゅおおおおおおおおんん!!!


 同化陣が暗く輝き、私とエルダー・リッチをみるみるうちに黒い粒子に分解していきます。


 それらの黒い粒子が流れるように三つ目の同化陣に引き寄せられ、くるくると周りながら混じり合っていきます。


 私の視界は一応、あるのですが既に身体はどこにもありません。


 みっつめの同化陣に視界が移動した時点で、輝きが収まり、同化は完了しました。


 おお、スキルに死霊同化が追加されていますよ!


 …………ちょっと試してみましょうか。


 同化スキルは一日に合計でレベル分間、つまり今の私なら24分間、変身できるのだそうです。


 では試してみましょう。


「死霊同化!」


 グオ、と身体に魔力がみなぎる感覚が訪れます。

 急速に身体から水分が失われ、肉がみるみるうちに枯れていきます。

 ぶわりと漆黒のフードマントが私の身体を覆い、……変身は完了しました。


 すっかり手は骨と皮だけになってしまいましたね。

 顔はどうでしょうか。


 メニューからステータス画面を開き、アバターの全身図を参照します。


 うお、これはホラーですね。

 ガリガリを通り越して干からびたミイラのようです。

 黒いフードマントがなければリッチだと分からないのではないでしょうか。


 しかしこうなってくるとリッチ・ガールと同化できなかったのは惜しかったですね。

 マドカは一応、死体とはいえしっかり肉が残っており美少女だったのですから。


 対してエルダー・リッチはホネ。

 私が半端に皮と眼球を残しているため、ミイラにしか見えません。

 やっぱり元の私が死体じゃなかったから、こんなことになってしまったのでしょうね。


 ま、これはこれで悪くないです。

 ちょっと不健康なおばあさんになった感じですし、少なくとも女性のままですからね。


 ……ってなんじゃこりゃ。


 あ、すみません。ついスキルを見てちょっとビビりました。


 闇魔法が一気に三段階も上昇し、杖、知力強化、精神強化も一段階ずつ伸びていたもので。

 さすがエルダー・リッチ。

 同化状態では闇魔法は第六段階まで使えるようになりました。


 マドカが第五段階なので、闇魔法に関しては追い抜けましたね。

 いやーSPを消費せずに追い越せるとは、なんか得した気分ですよ。


 しかしこうなるとSPを使って闇魔法をもう一段階だけ上昇させたくなりますね。

 実は闇魔法の第七段階はようやくまともな攻撃魔法であるシャドウセイバーがあるのです。

 これは対象の影から黒い剣が飛び出て攻撃するというもので、高空を飛んでいる魔物には効果がないものの、そうでなければ回避も難しく威力もなかなかのものなのです。


 ……というか第七段階まで行かないと、まともな攻撃魔法がない闇属性がおかしいんですけどね?


 というわけで、必要になったらSPを使って闇魔法を伸ばすことを覚えておきましょう。

 残りSPは6点もありますが、付与魔法を二段階伸ばしたいというレアな状況などがあるかもしれませんからね!


 おっと、カナコさんからの催促メッセージが段々と剣呑な言葉遣いになってきていますよ。

 待ち合わせはメオンの塔の一階ですから、すぐなんですけどね。

 あんまり待たせるのも悪いので、同化を解いてとっとと合流しましょう!


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